<<エルとシドが繋がっていた可能性>>

わかりにくい描写の一つであるが、エルオーネがシドと組んでいたのは明白である。

(ごめんね。頼れるのはあなた達しかいないの)

スコール、ゼル、キスティス、アーヴァイン、セルフィが一緒に行動していることを知っているのである。

スコール、セルフィ、ゼルが組んでいることは知っていたとしても、 後から緊急で加わったキスティスやアーヴァインのことをエルオーネは知るはずが無い。後から入ったメンバーのことすらもエルオーネは知っており、なおかつそれらの人物に対しても接続を試みているのである。これらのメンバーは全てシドが仕向けたメンバーでもある。

そもそも、スコール達が初任務についたときに初めて接続を経験させているし、魔女暗殺に失敗した際においても、ゼルに対してウォードの働いている姿を見せることによって、脱出の手助けをしようとしたり、タイミングが非常に「臭い」。

どこまでエルオーネが知っていたのかは定かでは無い。だが、スコールが記憶を失っていることは知っているのだ。

「わたし、忘れられたままじゃ悲しいもの」

どうやってエルオーネはスコール達の状況を把握していたのか?

答えは単純。シドの存在である。
エルオーネはゲームの当初からバラムガーデンにいた。
白いSeeDに頼まれてシドはエルオーネをかくまっている。シドとエルは少なくとも知り合いなのは確定である。

また、シドがスコールの運命を知っていたのは明白である。スコールの運命、すなわち13年前のイデアが見た、未来の魔女を倒すスコールの姿。

「スコール、よろしくお願いしますよ。これは君の運命です。魔女討伐の先陣に立つことは、君の定めなのです」

イデアが13年前に見たスコールの姿をシドに伝えていたのかはゲーム中で明らかになっていないが、シドがスコールを特別扱いしていることからシドもスコールの運命を知っていたのはほぼ間違いない。

その運命をシドがエルに話したのかは定かでは無い。しかし、スコールが記憶を失っている可能性や、スコール達の行動状況をエルオーネに話していたのは明らかである。

恐らく、エルオーネはシドからスコールの運命を聞いていたと思われる。後のラグナが「宇宙でエルオーネから色々聞いた」やら、

「アルティミシアはアデルの中だ。お望み通りの結末だぜ」
「さ〜て、こっからが大勝負だ。時間圧縮、始まるぜ」
「「愛と友情、勇気の大作戦」だ!頼むぜ、若者たちよ!」

ラグナは最初は知らなかったのかもしれないが、「アルティミシアがアデルに入ることがお望みどおりの結末」といっていたり、「頼むぜ、若者たちよ!」なんて言ってるあたり、宇宙でスコールの運命に関する話をエルオーネに聞いた可能性は高い。

エルオーネが宇宙に来なければ、スコールは宇宙になど行かなかった。勿論、魔女リノアも宇宙に来ない。アデルの封印を解かれる可能性も限りなく低い。しかし、アデルの封印を解かせることはエルとシドの計画の一つに過ぎなかった。未来の魔女アルティミシアを倒すためには時間圧縮を行わせる必要がある。アデルに乗り移ることがお望み通りのアルティミシア。アデルの封印を解けば、スコール達の時代で時間圧縮が開始されるのは明白だった。エルも、スコールがわざわざ自分に会いに来る可能性を上げるかのような、「挑発」まで行っている。

「でも、ダメだった。もうあの瞬間には戻れない……。
それに……。私、会ったことのある人の中にしかあなたたちを送り込めないの。
ごめんね、スコール。接続、切れそうなの。また、あなたと話せるように試してみるね」

これを知ったスコールがエルオーネに会いに、「まんまと」宇宙に向かった。そのせいで魔女リノアによって、魔女アデルの封印が解かれ、「計画通り」に時間圧縮を行われてしまったわけである。この「計画」というのは勿論、アルティミシアではなく、シド・イデア・エルの計画である。時間圧縮が行われなければ、スコール達は未来のアルティミシアに手を出すことすらできない。あくまで、アルティミシアに時間圧縮を行わせ、アルティミシアの時間圧縮の最中に、接続を切り、「不完全な時間圧縮世界」を用意する必要があった。単に時間圧縮を行わせてしまえば、シド達はおろか、スコール達すら時間の狭間に消えてしまう。

終盤では、シドはほとんどシナリオに関与こそしていないが、イデアを通して運命を知ったシドが、スコールの運命を支え、エルオーネには運命の実行役とも言える役割を担わせた。スコールがエルオーネを求めて魔女リノアを宇宙に連れてくることや、アデルの封印が解かれたことすらもシドの計画の一つに過ぎなかった。そうでなければ、時間圧縮は行われず、スコールが伝説のSeeDになるシナリオが完成しないのだ。


ラグナは……、ラグナはどうなのか?彼は最初から全てを知っていたのか?個人的には、ラグナは宇宙でエルオーネから話を聞くまで運命を知らなかったと願いたい。ラグナが宇宙で聞いたというエルオーネの話。ここで、自分の息子の存在やアルティミシアを倒すという計画を聞いたと考えるほうがシナリオとしても自然だし、ラグナの性格から考えても息子の存在を知りつつ引き取らなかったとは考えにくいし考えたく無い。
ラグナがスコールの運命を知ったのが宇宙でエルオーネの話を聞いてからと考えるのも少し根拠がある。

「どうしてこんなにいっぺんにいろんなことが起こるんだ〜?
これじゃ、まるで誰かが仕組んだみたいじゃねえか!
あん?……仕組んだ?」

あまりにも「出来すぎたシナリオ」にラグナはふと気が付く。エルオーネから聞いた「クレイマー夫妻が仕組んだスコールの運命」の話を。ああ、アデルの封印を解くのも計画のうちか、と。だからこそ、アデルの封印が解除された後もあんなに淡々とアルティミシアを倒す任務の説明を行っていたのだろう。

17年間止まっていた時間が、運命の歯車がついに動き始めた。10年以上もエルオーネとは会うことができず、ラグナにとっては死んだような毎日を送るような大統領の生活。



「あの人、本当は世界中のいろんなところへ行きたいんだと思うのね」
「こんな田舎の村で静かに暮らすなんてできないと思うの。そういうタイプの人、いるのよ」

「エルオーネだけでもレインの元に帰そうと思ったのが間違いだった。レインが死んじまってエルは孤児院に送られてよう……」
「あんとき、せめて自分でエルをウィンヒルまで送っていればレインにも会えたんだぜ……」
「レインは死んでしまった」
「エルオーネは行方不明」
「大統領の仕事は忙しい」
「オレはここに残ってあれこれ考えてな〜んかわけわかんねえうちにこんなに時間がたってしまった」

「……まあ、ぜんぶオレがやってきたことだ。 良かったのも悪かったのもオレだからな」


だからこそ、宇宙でエルオーネに会え、なおかつ自分の息子の存在を知ったとき、ラグナは嬉しかっただろう。だからこそ、アルティミシアを倒す作戦の説明のときの彼は生き生きとしていたように見えた。我々が初めて見た18年前のラグナと同様に。

「うぉーーーっし!!
じゃあ、行くぞ!ラグナロク乗るぞ、ラグナロク!
あの中で最後の作戦説明にしようぜ!
1回乗りたかったんだ、あれ。オレと名前にてるしな!」

それに、ラグナが自分の息子の存在を知らなかったからこそ、エルオーネがスコールを通して、ラグナにウィンヒルに残るように過去を変えたがっていたのだろう。

「あいつの人生ってなんなんだよな。そう思わねえか?」

「船での生活は幸せだったって言ってたけど、ほんとはどうだか……」
「世の中にはもっと当たり前の幸せってもんがあるだろ?船の中で10年以上だぞ?」

ラグナはこう言っていたが、息子の存在を知らずに、レインには先立たれて、ウィンヒルの人からは嫌われたまま。エルオーネとも10年以上会うことができなかった。別に運命に振り回されていたのはエルオーネだけじゃない。「もっと当たり前の幸せ」を求めていたのは彼自身。



「オレはそんとき宇宙に行ってたからエルオーネはおっかけてきた。ちっちゃいエルが大きくなってよ……」

「そこのおまえ!エルオーネを守れ!まかせた!
くわぁ!」



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