キロス・シーゲル


「……母親に似ているな、君は」
「『父親に似なくて良かったな』、だそうだ」

これよく顔の話だと言われてるけど、それだと父親に似なくて良かったな、っておかしくない?と。個人的な意見を推させてもらうけど、これはスコールの性格について言ってると考えるほうが自然かと。

Disc2のウィンヒルでキロスは
「私のケガは1ヶ月くらいで治ってそのあとは……あんたを捜していた」
「なんで?」
「軍を辞めて……まあ、退屈しのぎだな」
「あんたという娯楽がいないと人生は退屈だ」
「ひでえこと言うよな。オレは日々マジメに生きてるんだぜ」
「でも、わかるわ」

ゲーム中ではたったこれだけ。
だが、アルティマニアのキロスの文には、「不思議と人を引き付ける魅力をラグナに感じており、それだけにラグナのウィンヒルでの暮らしを見てショックを受けた」と書いてある。

キロスは冗談でも何でも無く、本当にラグナという人物が好きだった。 退屈しのぎ、確かにそれもあるんだろうけど、ジュリアやレイン、エルオーネ同様キロスもラグナと一緒に過ごしたいと考えていた一人。

それだけに、ラグナの息子であるスコールには期待していた。
ラグナの息子だ。きっとラグナと同じ魅力を感じさせてくれる人物に違いない。そうキロスが期待していたのは恐らく確実。

だが、現実は違った。スコールはラグナでは無かった。そんなことは一目見ればわかる。いや、ラグナならば一目で周りのものを魅了してしまう、と言ったほうが正しいだろうか。

「……母親に似ているな、君は」

馬鹿みたいな父親に似なくて良かったな、とウォードからツッコミとも言える慰めの言葉をもらったが、キロスは期待していただけに残念だった。勿論、皮肉を込めて言った訳ではない。レインは確かに最初はキロスにとって気に喰わなかった。自分からラグナを取ってしまったように見えたからだ。だが、レインという女性と出会ったことによってラグナの人間的魅力は更に増している、そうも思った。ラグナに似ずに、あのレインという女性に似ている、この息子は。そう思ったのだろう。思わず口にしてしまった、そんな感が残る。

「隊長……あのパブの女か?」
「レインだレイン。オレの命の恩人だ、おぼえとけ」
「人の良さそうな女だな。悪いやつにだまされるタイプだ」

「おい、ラグナくん」
「あんた、毎日こんなパトロールごっこをしてるのか?」
「ごっこ、ってなんだよ!」
「世界を旅するジャーナリストになるんじゃなかったのか?」
 

「……悪いヤツが来てレインを取られる、か?ラグナ……あんた、変わったな」

「ときどき恐くなるんだよな」
「目がさめたらここじゃないどこかでエルオーネがいなくて……」
「レインもいなくて?」
「オレ、どうしちまったんだろうな。こんな気持ち……なんだこれ?」
「ああ、目が覚めてもこの部屋でありますように!」
「このちっこいベッドで目が覚めますように!」
「変わったな、ラグナくん」



……退院を契機に軍をやめてから、私はずっとラグナを探していた。
軍で知り合って以来、私はラグナという娯楽なしに人生を送ることはできなくなってしまったようだ。ウォードも誘って、また3人で今度は自由に世界を旅してみたい、そう考えて、私はラグナの消息を尋ね歩いた。
それだけに、現在の彼の暮らしぶりに私は少々ショックを受けた。
ラグナは村のパトロールごっこに明け暮れていて、ジャーナリストになりたいという夢も捨ててしまったように見えたのだ。

彼を看病したレインという名の女性と、幼いエルオーネとの平穏な暮らしがラグナを変えた。彼にとってかけがえのない幸せがこの村にはあったのだ。

しかし、それも悪くは無いと私には思えてきた。不思議と人を惹きつけるラグナの本質は変わっていない。そこに愛する者たちを守ろうとする愛情が生まれ、彼の人間的魅力は増したように思うのだ。

だから私は、しばらくここで友の暮らしを見守ることにした。もしかしたらずっと。そんな安らぎが、彼らの周りにはあった。
願わくばこの幸福が、永遠につづかんことを。

(アルティマニア『花に囲まれた村で』より)


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(余談)

私はゲームをやるのに向いていないかもしれない。レベル上げとか雑魚戦が嫌いなのにゲームやってるなんて邪道すぎる。まあそのおかげでFF8とは妙に歯車があってしまったわけだが。
ゲームとして異質な、レベル連動制、召喚魔法を使うとSeeDランクがダウン。魔法を使うとそれだけジャンクション能力が落ちる、数が減るというファンタジーにあるまじき設定。これだけでも充分ゲームとしては邪道だ。初期レベルでもラスボスに楽々勝てるし。

もう一つの大きな問題はアルティマニアだ。あんなもの、何で用意したんだ?
アレを読んだか読んでないかで大きくイメージに差が開く。
極端に重要なことが書かれすぎている。正直いって、「ストーリを考察する」という点に関してはアルティマニアが無いと話にならないと思っている。認識度の問題ではない。アルティマニアにはゲーム内でほとんど触れられなかったことが書かれすぎている。だからこそアルティマニアの存在は問題だ。

FF10が発売された頃にFF8を初プレイした自分にとってはアルティマニアの存在なんか知らずに一回目はクリアしたわけだが、何故か単純にFF8が気に入った。一般的に世間的評価の低い作品にもかかわらず。そして、アルティマニアを読むことによって今までプレイしたゲームの中で最高クラスのゲームへと評価が自分の中で上がっていた。

だが、その評価があがる原因となったのが他でもない、このキロスの話だ。
ゲームとは直接的に何の関係も無い、ただこれだけの話。
正直言って、EDを見たときよりこっちの話のほうが惹きつけられた。
このキロスの話を読んで、FF8においては誰一人として、運命に捕らわれることなく幸せに暮らせた人がいないんだなあ、と思うと悲しくなってくる。

こんな話に感動を覚える自分は恐らく一般的に言えば変わっている。ゲームをやる資格も無いかもしれない。
だが、ある意味このキロスの話が一番FF8の本質をついているというか何と言うか。……まあ自分で何が書きたいのかわからなくなってきたのでこのへんでやめとこう。

でもまあ、リノア=アルティミシア説なんてはっきり言って自分にとってはどうでもいい話だが、キロスの

「……母親に似ているな、君は」

このセリフだけは絶対に顔のことなんかじゃなく、スコールの性格が「君はラグナに似ずにレインに似ているんだな」という意味で言っているということだけは譲ることができない。

ますます何が言いたいのかわからんな(笑)



「んで、どうすんだ?しばらくここにいられんだろ?」
「いいだろうか?」
「働かざるもの食うべからず。それでよければどうぞ」


「自分のことは自分でどうにかするしかないだろ?」
「俺は他人の荷物は持ちたくない」



よくスコールの性格は勘違されるが、スコールの本音は恐ろしく素直だ。素直すぎるがゆえに、大事すぎるがゆえに、仲間の喪失を恐れる。別れを恐れる。小さい頃エルオーネに執着していたように、スコールにとって仲間は「だいじなもの」なのだ。「だいじなもの」ほど、失ったときの辛さは大きい。だからこそ、リノアが意識不明に襲われたとき、それが爆発した。
アレでスコールが豹変したやら暴走したやらよく言われるが、小さい頃のエルオーネに対する執着を見れば、スコールは何一つ変わっていない。ずっと隠そうとしていてた自分の本音が前に出てきただけだ。倒れているリノアに対してそれを打ち明けていることからもわかる。あれにしたってそうだ。結局、周りの人物には本音を見せようとはしない。気絶しているリノアにしかスコールは本音をぶつけてなどいない。まあ、スコールの「仲間」には、当然バレバレなわけだが。

「……俺、本当は他人にどう思われてるか気になって仕方ないんだ」
「スコールは無愛想で何考えてるかわからない奴。皆にそう思われていればとっても楽だ」
「今の、みんなには内緒だからな」

 

もしかして、このセリフもレインとスコールをかけてるのかな?

「俺、なにも知らないんだ。なにも……知らないんだ」
「だから……だまされる。だから……利用される」

「人の良さそうな女だな。悪いやつにだまされるタイプだ」

考えすぎかな?前フリ論に従えば結構可能性アリだけどどうなんだろ。レインに性格が似ているスコールは悪いヤツにだまされる、みたいな。

……あ、ちなみに「悪いヤツ」ってのは勿論シドのことです。私の中ではシドは極悪人です、あの確信犯はかなり重罪なので(笑)。


「……ジュリアはどうしてるのかな?」
「……さあ」
「ジュリアって、歌手の?」
「そうだ。ラグナくんはジュリアにあこがれて非番の夜は必ずクラブへ行ってた」

「最近結婚したらしいな」

最初はジュリアについて全く知らないような口ぶりをしていた割に、ジュリアが最近結婚したということをちゃっかり知っていたキロス。

「そうそう!軍の少佐と結婚したのよね。カーウェイ少佐だっけ?」
「よく知らないな」
「ええと、雑誌に載ってたんだけど、好きな人が戦地に行って行方不明。
それで落ち込んでるところを少佐がはげましてくれて、それが結婚のキッカケなんだって」

「……戦地に行った男の帰りを待ったりはしないものなのか?」

どうもキロスはジュリアに対して腹を立てているという感じが残る。ラグナが幸せになることを願っていたキロスからしてみればラグナからカーウェイへの切り替えが早いジュリアが腹立たしかったんだろうね。軽い女性不審とも言えるだろうか。

「隊長……あのパブの女か?」
「人の良さそうな女だな。悪いやつにだまされるタイプだ」

ジュリアのことがあったからこそ、ラグナがレインに気があることに気がついたキロスの言葉は少し苦々しかった。しかし、レインとエルオーネの会話を盗み聞きしたときに、レインもラグナのことをよくわかっており、レインが心の優しい人間だということに気が付き、言葉にトゲの無い、冷静ないつものキロスに戻る。

「……悪いヤツが来てレインを取られる、か?ラグナ……あんた、変わったな」

「……でもね。あの人、本当は世界中のいろんなところへ行きたいんだと思うのね。
こんな田舎の村で静かに暮らすなんてできないと思うの。そういうタイプの人、いるのよ」
「……なんか腹立ってきちゃった」
「……きらいなの?」
「……エルオーネと同じ気持ちよ」
「あら?」

「ああ、目が覚めてもこの部屋でありますように!」
「このちっこいベッドで目が覚めますように!」

「変わったな、ラグナくん」


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