全てのはじまりはこれだった。SeeDはアルティミシアを倒すという目的のために作られた。だが、魔女は全てが悪しき魔女では無い。
「幻想に幻想を重ねて夢を見ているのは誰だ?」
私は悪くない。悪いのは夢を見ているお前達だ。
恐らく、アルティミシアは普通の魔女だった。良き魔女とされてきた魔女達同様、人目を避けて、ひっそり暮らしていたんだろう。それでも「SeeDは魔女を倒す」という概念に捉われた未来のSeeD達によってアルティミシアは命を狙われた。
アルティミシアは我慢に我慢を重ねていたが、SeeDの追手は執拗だった。神話のように受け継がれてきた物語では、伝説のSeeDによって自分の名前と同じ「アルティミシア」という魔女が倒されている。
「現実は優しくない」
「現実はまったく優しくない」
アルティミシアは気がつく。私は殺される。このままだと伝説のSeeDに。
「ならば、愚かな者、おまえたち!こうするしかない」
アルティミシアの中で何かが切れた。アルティミシアは怒り狂う。そうするしかなかった。自分の運命を破壊するために、アルティミシアは運命の根源となった伝説のSeeDの時代へ赴く。SeeDを育てるというガーデンを破壊すれば、なんとかなるかもしれない。
「反魔女軍のSeeDを育てている罪でバラム・ガーデンは破壊される」
アルティミシアが本当に自分が伝説のSeeDに殺されることを知っていたのなら時間圧縮などしなければいい、とよく耳にするが、アルティミシアには他にどうすることもできなかった。
このままだと自分が殺されるという運命を知って、じっとしていられるだろうか?
何とか過去を変えられないか、自分の運命を変えることはできないか、そう考えないだろうか?
「過去は変えられないって人は言う」
「でも、それでもやっぱり、可能性があるなら試してみたいじゃない?」
(過去を変えたいだって?本気で言ってんのか?バカバカしい……)
その通り。バカバカしい。だが、アルティミシアの時代にはジャンクション・マシーン・エルオーネが存在する。
運命を変えられるかもしれない。アルティミシアは「エルオーネ」という小さな望みを捜すために、未来から旅立つ。
例え過去を変えられなくても、私には時間圧縮がある。時間圧縮によって、自分が倒されるという運命そのものを消せばいい。
まさか時間圧縮後の世界にまでスコール達が追ってくるなど予想もしなかっただろう。
本来ならば消えてなくなるはずの存在がそこにいるのである。
アルティミシア
「……eeD…」
「SeeD……SeeD……」
「SeeD,SeeD,SeeD!!」
「気にいらない……」
「なぜ魔女の邪魔をする!なぜ私の自由にさせない!?」
「もう少しで完全なる時間圧縮の世界が完成するというのに……」
何処を見渡してもアルティミシアの周りにはSeeD。なるほど。私はどうやらここで殺される運命らしい。運命だとわかりながらアルティミシアは感じる。妙な余裕を、安堵感を。アルティミシアは疲れていた。疲れすぎた。SeeDとの戦いに。
私のつらく悲しい物語は……ここで終わる。
「ほら、よく言うだろ〜?」
「人生には無限の可能性があるってさ〜」
「僕はそんなの信じてないんだ」
「いつだって選べる道は少なかった。時には道は1本しかなかった」
「その、少なかった可能性の中から自分で選んだ結果が僕をここまで連れてきた」
「だからこそ僕はその選んだ道を……」
「選ばなくちゃならなかった道を大切にしたい」
……でも、ここまで書いてちょっと考えた。アルティミシアが何を考えていたのかって。彼女は、きっと生き残ろうとしたんだよね。過去から時間を圧縮して、知ってしまった自分の運命を消そうとした……んじゃないのかな。だとしたら、ここであたしが一方的に書くのはフェアじゃない---そう思ったんだ。
だから、つづきは直接話そう!聞きたい人はあたしのところに遠慮なくきてね!学際実行委員の勧誘もオマケでつけちゃうぞ〜。
(アルティマニア、セルフィ最新公開日記より)
アルティミシアは自分の運命を知っていた。だが、スコールを「伝説のSeeD」と認識していなかったことからも、ジャンクション・マシーン・エルオーネを使って13年前の自分の死の瞬間を見ていたわけでは無く、「伝説のSeeD」が誰であるかも未来へは伝わっていない。
「アルティミシア」という名前は、デリングシティの人々が口にしていることからも、一度は話題になった魔女である。しかし、魔女アルティミシアは、一般人に姿を現すことなくスコール達によって倒されることになる。
「新しい魔女が現われたのよ。アルティミシアっていうんだって。でも、信用できるのかしら?」
「今度の魔女アルティミシアは、騎士サイファー・アルマシーと新しい契約をかわしたそうだぜ」 「今度の軍指揮官?まあ、お手並み拝見だね……フン。新しい魔女が現われたらしいが、未だ姿を見た者はいないそうだ」何故、スコール達の物語が伝説になっているのか疑問に思った。それは実態の無い魔女アルティミシアが民衆の前に姿を現すことなく倒されたからではないか、と。「伝説」なんて大体そんなものだ。「伝説」と言われているだけに、具体性は全く無く、「伝説のSeeD」の名前すら残って居ない。だが、バラムガーデンの生徒から外へ伝わったのか、「SeeDは魔女を倒す」ために作られたという話から、どうやらその姿を現さなかった魔女アルティミシアはSeeD様によって殺されたらしい、と。それが未来に残っている「伝説のSeeDが魔女アルティミシアを倒した」という、アルティミシアが消したかった運命なのだろう。どこで、どうやって倒されたかは残っていない。
時間圧縮しなければアルティミシアは助かったはず、とよく言われるが、それはプレイヤ視点で見てるだけであって、当のアルティミシアからしては、このままじっとしていれば運命のように殺される、そんな危機感を味わっていたはず。ただでさえ、未来のSeeD達は伝説のSeeDの姿を自分達に照らし合わせ、アルティミシアに挑んでくる。「もしかしたら、俺達が伝説のSeeDなのかもしれない」と。
「おまえが伝説のSeeDだったのか」
(意味不明……だまれ)
「なるほど立派なものだ。おまえ、じゅぶん立派だよ」
「……立派すぎて目障りだ。ここで消してやろう……」
「素晴らしいリーダーね」
「いつでも冷静な判断で仲間の希望を否定して楽しい?」