小ネタ


最萌トーナメント支援SS 最萌トーナメント撤退SS 初詣 吊り橋 生命(いのち)の生まれる瞬間(とき)


最萌トーナメント支援SS

 水曜日の朝。沢近愛理はいつものように繊細な作りの椅子に身を預け、庭の景色を楽しみながらダージリンティーを楽しんでいた。
 ファーストフラッシュ特有の繊細な香りを味わいつつ、惜しむかのようにそれを飲み干していく。
 美しい瞳を瞼の裏に隠し、何を思うのか。
 幾分大人びて見えるのは、いつもはツインテールにまとめている金髪を今はおろしているせいだろうか。
 夏とは言え、すでに盆も過ぎ、早朝の空気がやけに心地よい。

 物憂げに瞳を閉じていた彼女は、誰かが近付いてくる気配に気が付いて顔を上げた。いつの間にか目の前に立っていたのはなじみの顔。
 その男、執事のナカムラは深々と腰を折ったあと、厳かな口調で告げてくる。
「お嬢様。本日は最萌えトーナメント1回戦の日になります。前線から、支援物資補給要請の通信が絶えませんが、どのようにいたしましょうか?」
 ナカムラの言葉を聞くと、愛理はつまらなそうにため息をつき、また一口紅茶をすする。
「最萌えねえ。あんまり興味ないのよね。そんなので勝っても負けても私の値打ちがどうなるとも思わないし」
 テーブルの上に置いてあって扇子をあくまで上品に煽ったのち、愛理は思い出したように口を開いた。
「それより、今週のマガジン、もう出てるんでしょ。持ってきてくれる?」
 愛理が言うと、なぜかナカムラはわずかに眉をしかめ、しかし、よどみのない口調で答える。
「かしこまりました。すぐに持ってまいります」
 数分と立たずに彼は戻ってきた。やたらと作りのよいトレイに少年マガジンが乗っているさまは滑稽とさえ言えるが、ナカムラは鉄面皮を崩さない。
「お待たせいたしました」
「ありがとう」
 涼やかな声で答え、愛理はマガジンを手に取る。いつも通りの静かな表情でそれをめくっていた彼女の表情が見る見る険しくなったのは、ほんの数十秒後のことであった。
「なに、これ?」
 愛理らしくもない震える声。そして声だけでなく、雑誌を持った指先さえも震えだす。色白な頬はむしろ青ざめ、形のいい唇はわなわなと震える。
「お嬢様……」
 思わずといった風に声をかけてくるナカムラ。だがそれに構わず、愛理はマガジンを地面に叩きつけた。右手に持っていた扇子をぴしゃりと閉じ、愛理はそれをテーブルに叩きつけながら立ち上がった。
「ナカムラ。気が変わったわ。この戦い、勝ちに行くから。支援物資は惜しまないで。責任は私が取るわ」
「はっ、お嬢様」
 拳を胸に当て、決然とした表情で自分を見つめてくる忠実な戦士を見返し、愛理は言う。
「私も前線に出るわ。着替えの用意は?」
「すでに整っております」
「さすがね。用意をしておいて。すぐに行くから」
「かしこまりました。お嬢様、ご武運を」
 行って立ち去ったナカムラの背中を見送ったのち、愛理は地面に横たわるマガジンをにらみつけ、押さえつけたような声で言う。
「バカヒゲ。絶対に許さない。私のほう、向かせて見せるからね」
 燃えるような金色の瞳は、凄絶なまでに美しかった。

 〜Fin〜

最萌トーナメントと言う人気投票みたいなのがありまして、それの支援で書いたSSです。こういうのはあんまり意味ないよと言われてこれでやめたわけですが。しかし、最萌のことは思い出したくないと言うスクランファンが多いでしょうね……orz

あと、この話でお嬢が読んでるマガジンは、例の誕生パーティーの回です。これ書いておかないと意味わからんだろうとあとで気付いた俺。

投稿先:2ちゃんねる/漫画キャラ/沢近愛理萌へスレ



最萌トーナメント撤退SS

 秋風が肌にひんやりとしみる。
 放課後の矢神高校の屋上で、沢近愛理は手すりをつかんで、校庭を見下ろしていた。
 その先には帰路を急ぐ生徒たちがいるが、彼らの姿が目に入った風もなく、愛理は無意識のような動作で一枚の紙片を取り出した。
 
 神尾観鈴617票 沢近愛理570票

 刻まれた数字は何度見ても変わることはない。570票という数字は、決して敗者にふさわしい数字ではないが、観鈴のそれが愛理のそれを上回ったという事実はいかんともしがたい。
 と、そのときカチャリという音を背後に聞き、愛理は振り返った。そこにいたのは黒髪と小柄な体躯を持った親友。
「愛理ちゃん……」
 その少女、塚本天満はかすかに震える声とともにこちらに歩み寄ってきた。
「愛理ちゃん。私……。私……」
 今にも泣き出しそうな彼女の顔を見て、愛理は苦笑を浮かべた。
「ちょっとあんたが泣いてどうすんの?」
「だって、悔しいよ。相手の子よく知らないけど、絶対愛理ちゃんのほうがかわいいし、負けてなかったよ」
「負けたのよ」
 言って愛理が指先で先ほどの紙片をはじくと、天満は声を荒げた。
「負けてない! だって五分前まで勝ってたんだよ! それに向こうの人たち、全然関係ない人にまで応援頼んだって。そんなのおかしい!」
「おかしくないのよ。これはそういう戦いだったから。私の詰めが甘かっただけ」
 愛理は言って天満の頭をいとおしげに撫でた。
「私のことはもういいのよ。あんたはまだ残ってるんだし。八雲だって。私の分までがんばりなさい」
「無理だよぉ。愛理ちゃんでも勝てなかったのに私なんて……」
「わからないわよ。私だって下馬評では……」
 その先は言葉にはならなかった。
「愛理ちゃん……」
 天満は手の甲で目じりをぬぐうと、必死のおももちで微笑んできた。
「帰ろう、愛理ちゃん。ミコちゃんも晶ちゃんも待ってるから」
「ん」
 数瞬視線をさまよわせたのち、しかし愛理は言う。
「ごめん。もう少しだけひとりにしておいて。すぐに行くから」
「そう……」
 天満は寂しげに言うと、小さく愛理の肩を叩いた。
「じゃあ、待ってる。元気出して」
「ありがと」
 天満の姿が通用口の奥に消えた。それを確認すると、改めて愛理は校庭を見下ろす。
 悔いはない。予想以上の票を投じてくれた支持者たちに対しては感謝の言葉もない。行き過ぎた支援もあったようだが、それも愛理のことを想ってしてくれたことなのだろう。
 そして、神尾観鈴はふさわしい敵手だった。彼女の支持者たちも含めて。
 しかし、そう言い聞かせても、敗北という二文字は愛理の胸を容赦なく抉る。
「っ……」
 こらえてきたそれがこみ上げてきた瞬間だった。ファサっという感触とともに、何かが肩にかけられたのは。

 驚いて肩を見る。そこにあったのは赤いジャージ……ではなかった。黒い学生服の上着。
 恐る恐る振り返るとそこに彼はいた。
 苦虫を噛み潰したような顔を黒いサングラスで隠した大柄な男。
 播磨拳児。愛理が今、もっとも会いたい人が、そしてもっとも会いたくなかった人がそこにいた。
「ヒゲ……どうして?」
 愛理の問いかけを無視して、播磨が手を伸ばしてくる。
「ちょ……」
 大きな手がもぎとったのは例の結果表。サングラス越しにそれを見ると、播磨は鼻を鳴らしながら言ってくる。
「ふうん、がんばったんじゃねえか」
「勝たなきゃ意味ないのよ! あんたにはわかんないだろうけど」
「ああ、わかんねえな。これに何の意味があんだよ?」
「なんのって……」
「そりゃよ、顔もしらねえ何百人って連中が応援してくれるってのはすげえことで、それが嬉しいのもわかるけどよ。俺なら、そんなことより、たったひとり。自分が側にいてほしいやつがいてくれるかどうかのほうが大事だけどな」
「ヒゲ……」
 愛理がマジマジと播磨を見つめると、彼は居心地悪げに視線をそらす。
 彼の横顔に照れくさげな色を見つけると、愛理はようやく心から微笑むことができた。
「あんたにしては、いいこと言うじゃない」
「一言多いんだよ、おめーは」
 吐き捨ててきた播磨の袖を愛理はつかむ。
「戻るわよ」
「お、おい」
 愛理に引っ張られるままになりながら播磨は言う。
「お嬢、とりあえず学ラン返せ」
 その言葉を聞くと、愛理は逆に上着を胸元でしっかりと合わせる。彼のぬくもりが感じられる気がして、自然と顔がほころんでくる。
「ヒゲ、お茶付き合いなさいよ」
「はぁ? なんで俺が?」
「落ち込んでる女の子励ますのは男の仕事でしょ」
「おめー、全然落ち込んでるように見えねえぞ」
 播磨の言うとおり、愛理の笑顔には一片の翳りもなかった。

〜Fin〜

最萌の敗退が決まった直後に書いたSSです。正直、ほんとにあそこで負けてよかったと思う今日この頃。

投稿先:2ちゃんねる/漫画キャラ/沢近愛理萌へスレ



初詣

「ねえヒゲ。なにお願いしたの?」
「あ? なんでもいいだろ」
 仏頂面で答える播磨。だが、数瞬ののちに興味なさそうな声で彼は尋ねてくる。
「おめーはなに頼んだんだよ。まあ、欲しいもんなんてねえだろうけどよ」
「あるわよ」
 むっとして答えると、播磨が興味深そうにサングラスを光らせた。
「ほう、なんだそりゃ?」
「えっと……」
 愛理は頬が染まるのを覚えながらも、思い切って播磨の手を握った。
「お、おい……」
「うるさいわね、とっとと来なさいよ。みんな行っちゃったじゃないの!」
 播磨の手を引きながら歩き出そうとした愛理がバランスを崩したのは次の瞬間だった。
 階段から足を踏み外したのだ。
「きゃっ」
 思わず悲鳴を上げた愛理だが、次の瞬間力強い手で抱きとめられていた。
「気を付けろよ、お嬢」
「あ、ありがと」
 のろのろと歩き出す愛理。そんな彼女の横顔を見ながら播磨が尋ねてくる。
「なにニヤニヤしてんだ?」
「別に。今年はいいことありそうだなって思って」
 言って愛理はもう一度播磨の手を握るのだった。

〜Fin〜


萌えスレの雑談の流れでなんとなく書いた雑文。いや、こんなものまでと思いましたが、まあ記念なので。

投稿先:2ちゃんねる/漫画キャラ/沢近愛理萌へスレ



吊り橋

「きゃあ!」
 悲鳴に驚いて振り返ったとき、その少女の体はすでに半ば宙に浮いていた。
「天満ちゃん!」
 播磨拳児は、身を投げ出して天満の手首を握る。
 だが、不安定な吊り橋の上では、少女の軽い体ですら播磨の手には余った。
「うおっ!」
 バランスを崩す播磨。
「ああっ!」
 天満もまた、絶望的な悲鳴をあげながら目をつむった。
「死なせてたまっかよ!」
 播磨は天満の手を握った右手に必死の力を込めると同時に、左手を懸命に泳がせた。
 その手がかすかにロープらしきものにかかる。
「ちぃっ!!」
 祈るような想いでそれをつかむ。次の瞬間、体を引き裂くような衝撃。
「くそっ!」
 固く瞳をつむる播磨。そして数秒ののち、その声は聞こえてきた。
「播磨君……」
 恐る恐る瞳を開くと、眼下に大切な少女がいた。
「塚本……」
 安堵のあまりに力が抜けそうになる自分に必死に鞭を入れ、播磨は天を仰いだ。
 播磨が掴んでいるのは吊り橋を支えているロープ。いくらなんでも、この体勢から天満を引き上げるのは無理だ。
 瞬時に判断して播磨は言う。
「塚本。俺の体を伝って上にあがれ」
「む、無理だよ、そんなこと……」
「塚本!」
 播磨が怒鳴りつけると天満がぴくりと震えた。播磨は声のトーンを落として続ける。
「会いたい奴がいるんだろ? 二度と会えなくなってもいいのか?」
「播磨……君」
「急げ! 俺だって長くはもたねえ」
「う、うん」
 天満の手が学生服の合わせ目にかかる。意外なほど力強く天満は播磨の体を這い登っていく。
「急げ、塚本!」
 播磨の言葉に天満のピッチが上がる。その手が播磨の顔を払い、サングラスが谷底へと落ちていった。
「え?」
 播磨の素顔を見て、天満が凍りつく。
「うそ……」
「うそじゃ……ねえよ」
 絶望をかみ締める余裕もなく播磨は言う。
「説明ならあとですっからよ。今はとにかく上がれ」
「う、うん」
 自分が助かりたいと言う気持ちよりも、このままでは播磨がもたないという気持ちのほうが今の天満の中では強いのだろうと感じるのは欲目だろうか。
 いずれにしても、天満が播磨の体を這い上がって吊り橋の上に戻るまでには、さして時間はかからなかった。
 天満の重みが消えて、すっと体が楽になる。しかし。それと同時に、播磨の体力、そして気力も切れていた。
「天満ちゃん、お別れだ」
「え?」
 目をまん丸に見開いたその少女の顔をまぶたに焼き付けながら播磨は言う。
「もう、限界だ。さよならな。ずっと好きだった。初めて会ったあの日から。じゃあな」
 ロープを握った左手から力が抜けていくのがわかる。瞳を閉じて、播磨は最後のときを待った。
 だが、それはいつまで待っても訪れる気配はない。怪訝に思って瞳を開いて播磨は愕然とした。
 吊り橋の上で、必死の表情の天満。そして、彼女が握っているのは自分の左手首だった。
「ば、ばかやろう! おまえまで落ちるぞ!! 放せ! 頼むからよ!!」
「イヤ! 絶対イヤ!!」
「塚本……」
 こうなった以上、天満は絶対に手を離さないだろう。天満はそういう少女だ。そして、そういう少女だからこそ、播磨は好きになったのだ。
「くそったれ!!」
 播磨は、残された全ての力を左腕に込めた。そして……。


 吊り橋を渡りきった播磨は、大の字になって寝転がった。もはや体力はカケラも残ってはいない。
「し、死ぬ……。むしろ死なせてくれ」
「ダメだよ」
 見下ろしてきた少女の顔は、見たこともないほどに暖かい。
「私ね。誤解してた。あのときも播磨君、私のこと、必死に守ってくれたんだね。私……」
 こぼれた一粒の涙が播磨の頬をぬらした。
「塚本……」
 そのぬくもりを噛み締めながら播磨は思う。天満の中にあるあいつを越えることは容易ではないだろうと。しかし、ようやくスタートラインには立てたかもしれない。
「塚本。さっきの言葉だけどよ……俺、俺」
 口ごもる播磨を見つめる天満の瞳は、あくまでも優しかった。

 〜Fin〜

生まれて初めて書いた王道物件です。IFスレで吊り橋話が読みたいというリクエストがあったので即興で書いたんですが、あまり喜んでもらえなかったような……。

注:『吊り橋』というのは、スクランの派閥のひとつ、田中×永山の愛称です。

投稿先:2ちゃんねる/ラウンジクラシック/スクールランブルIFスレ


生命(いのち)の生まれる瞬間(とき)

 秋も深まった深夜。
 談講社ビル最上階にあるアメリカの間で、男はひとり原稿と格闘していた。
 男の名は播磨拳児。ペンネームをハリマ☆ハリオというその漫画家は今年23歳。
 高校のときにデビューを果たし、今や週間少年ジンマガの中堅作家として認めら
れた存在だ。
 いつも仕事には真摯な彼だが、今日の顔つきはとりわけ真剣そのもの。その理由
は……。

 と、そのとき突然、ノックもなしに入り口の扉が開いた。入ってきたのは、担当
編集者の塚本八雲。
「播磨さん、大変です! ナカムラさんから電話で、せんぱ……いえ、奥さんが産気
づいたって……」
「なにぃっ!」
 思わずペンを叩きつけ、播磨は叫ぶ。
「もうかよ! 早すぎんぜ!!」
 拳を握る播磨に、意を決したように八雲が言う。
「播磨さん、行ってください」
「な……」
 思わず播磨は目を見開く。
「け、けどよ……。今やめたら、確実に原稿は落ちる。そしたらあんたの立場は…
…。それに俺を待ってる読者が……」
「播磨さん!!」
 八雲が、普段の彼女からは考えられないほどの大声で播磨の口舌をさえぎった。
「行ってください。原稿は新人のもので心当たりがありますから。差し替えは間に
合いますから。播磨さんにとって一番大切な人は、読者の皆さんでも、ましてや私
でもないですよね? その人が播磨さんのこと、待ってるんです」
「妹さん……」
 唇を噛む播磨。八雲の面影があのときに重なった。泣きながら駆け出した愛理を
追うようにうながしたあのときの面影に。
「すまねえ!!」
 手のひらをテーブルに叩きつけ、播磨は立ち上がった。そして、走り出す。誰よ
りも大切な人の元へ。

 ベッドの上にひとりの若い女が目を閉じ横たわっている。軽い寝息を立てるその
頬には笑み。
 女として生まれ、最大の仕事をやりとげた満足感が漂っている。
 沢近愛理。
 結婚してからもこの旧姓を通している彼女は、静かに眠りから覚めた。
 目を開けると、すぐ横の椅子に最愛の人がいた。
 病院には不似合いな濃い色のサングラスと、逆立てた短髪。
「がんばったな、お嬢」
 聞いたこともないほどの優しい声に、愛理はかすかに苦笑しつつ尋ねる。
「赤ちゃんたちは?」
「二人とも元気だ。今は、新生児室で眠ってる」
「会いたい」
 身を起こそうとする愛理を、播磨がそっと押しとどめる。
「もう少し休んでからな。おめえ、疲れてるんだから」
「……うん」
 ほんの少し不服げに、しかし笑みをたたえて愛理はうなずく。
「ヒゲ、悪かったわね」
「は? なにが?」
「双子なら、一人ぐらい男の子がよかったでしょ?」
 愛理の言葉を聞くと、播磨はかすかに鼻を鳴らした。
「なに言ってんだ。元気な子供を、それも二人も授かったんだぜ? これ以上何望
むんだ? 性別なんて関係ねえ。俺とおめーの子供だ」
「ヒゲ……」
 愛理が手を差し出すと、その意を察して播磨が両手でそれを握り締めてきた。
「仕事は?」
「投げてきた。妹さんがいいから行けってよ」
「そう……」
 愛理は軽く息をついて言う。
「あんた、あの子には頭が上がらないわね」
「全くだぜ」
 二人は顔を見合わせて笑った。ひとしきりそうしたのち、愛理が口を開いた。
「子供たちの名前なんだけど」
「ああ」
「天満と八雲からひと文字ずつもらおうと思うの」
「いいんじゃねえか?」
 播磨の言葉にうなずいて愛理は言う。
「上の子は天満から満の字をもらって満子。下の子は八雲から雲の字をもらって
雲子。いいと思わない?」
「いいな。『満子』と『雲子』か」
 播磨は笑って言う。
「あの二人から字をもらえば、きっと二人とも幸せになるぜ」
「違うでしょ。私たちが幸せにするの」
 愛理が言ったとき、新生児室から二つのけたたましい泣き声が聞こえてきた。
「へっ、あいつらもおめーの付けた名前、気に入ったみてえだぜ」
「そうね。これからもよろしくね、パパ」
「よせよ、こら」
 愛理のおでこを播磨はつつく。いちゃつく両親をよそに、新生児室では二人の
赤ん坊が、いつまでも泣き続けていた。

 〜Fin〜

天満と八雲から名前もらったらどうなるかと考えてたらこのネタが浮かび、もう止まりませんでしたw

今にして思えば王道でやったほうが絵になったかと思うんですが、播磨が他の女と子供作る話なんて、ギャグでも書けるか!

投稿先:2ちゃんねる/ラウンジクラシック/スクールランブルIFスレ

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