ベテランセイラーはいかに天気図を見抜き行動するか

うんちく語り : 知ったかブリ夫
自己紹介  : ウインド歴1?年以上、ここ5年くらいは年間100日?140日ウインドしてるらしい。
         吹く日は平日でも海にいるみたい。140日なんて会社休みの日数より多いんじゃないかって?
         でもちゃんとサラリーマンしてますよ。ウインド行動範囲は神奈川?名古屋

友人談   : 話し聞いてると馬鹿ではないらしいが、どこまで信じていいやら。

【はじめに】
ウインドサーファーたるもの良いコンディションで楽しみたいと誰でも考えてます。
皆さんご存知の通り、天気予報で言う風情報ははっきり言って良く外れます。
今迄予報聞いて海行ったはいいが、ガッカリなんてことはシワの数程あります。

そのため、何十年も海にかよっているベテランは天気予報など信じずに自分の
経験を基に自分自身で予想し行動します。勿論外れる時もありますが精度は
はっきり言って相当高いです。今日は三浦、明日は御前崎、自分で予想してるか
ら外しても誰も怨みません。
では、そのノウハウ一例を伝授しましょう。
ただし、だからと言って注意報や警報が出ているのを勝手に自分で嘘だと思い込み
無理な行動しないように注意ね!!

【基本】
風が吹くパターンは概ね2種類。一つはサーマル(直訳すれば熱)と呼ばれる
風、もう一つは低気圧による風。

サーマルは水(陸)と土(陸)で太陽による空気の暖まり方が違い、その気温差
で吹くもの。空気自体は直接熱源(太陽)により暖まりにくい性質があり接して
いる土や海水からのふく射熱で暖まる。
ここで水と土では同じように太陽あたっても土(陸)の方が早く熱くなる(これ
は物質の性質で難しい言葉で言うと熱伝達率・熱伝導率が違うってこと)。
そうすると陸上の空気も熱くなる。熱くなった空気は膨張して比重(一定体積あ
たりの重さ)が軽くなるから空高く浮き上がる。
それが上昇気流。空気が上昇しただけだと、陸付近は空気が無くなっちまうが、
その分は海上の空気を引っ張ってくる力が働く。
それがサーマル風だ。それじゃ、海上の空気が無くなっちまうって?最後は陸上
で上昇した熱い空気が上空で冷えて海上に落っこちてくるんです。
空気は廻り回って対流してんだよ。

低気圧による風は、こりゃ説明するまでもないが説明すると、圧力の高い物と低
いものを同じ容器に入れれば混ざって容器内は均一圧力になろうとする。
地球が容器、高気圧が圧力の高い空気、低気圧が圧力の低い空気、とすればそれ
らは均一になろうと混ざり合うように動く。その動きが風だ。
じゃあ、高気圧と低気圧はいつ誰が作ったんだって?それはこういうこと。地球
上やたら凸凹あるし、場所によって地質も違うし海は浅いとこ、深いとこいろい
ろ条件違うから空気の動きは複雑であっちは高気圧、こっちは低気圧になる。
ついでに地球は自転により地上では北半球なら反時計廻りの渦の力が働くし、
南半球なら時計廻りの力が働いているそうで、これは自然の摂理(コリオリの力と言うらしい)。
しかも自転軸は太陽に対して斜めになった状態で毎日公転(太陽の廻り回ってる)から
地上の同じ箇所でも太陽の当たり方は毎日変わるし
変な渦の力(ココリコじゃなくってコリオリ)かかるしでなお更複雑な状態にな
っているみたい。だから、地球の空気状態が均一になっちまうことは無くて必
ず、高気圧と低気圧の両方がどっかにあるって訳。

【低気圧による風向】
ウインドサーファーたる者、間違っても天気予報で聞く風予報を鵜呑みにしてはいけない。
参考にするのは結構だが海岸の風はそんな簡単じゃないんだから・・
じゃあ、どうやって自前予報すんだ?
それは天気図だ。天気図は各種天気物ホームページやテレビ、新聞なんかに載ってるやつ。
そう言えば最近NHKの天気予報って天気図出さない日が多いけど、どうなってんだ?
「次は○○さんの気象予報です」なんて言って本物気象予報士が出てきてうんちく
述べるのはいいが、天気図出さないって、こりゃ手抜きじゃねえか。
視聴料払うの止めたくなるぞ。
話しが脱線しちまったんで元戻すと地上での風は高気圧から低気圧の向きに吹
く。また、コリオリの力(基本の項参照)が働き風向きは反時計方向でカーブして吹く。
よって天気図別の風向きは図1(準備中)のようになる。当然、高気圧ドップリ
では気圧差がないから強風は吹かないということになる。

【地形の影響】
さて前項で風向について述べたが、これは大局的な空気の動きであって、実際の
海岸地帯はそんな簡単な話しではないのだ。
内陸部には数百?何千メートル級の山々が至る所そびえ立ち、風の通り道を妨害
している。その結果天気図による風向きとは異なる方角から吹いてしまうのだ。
一例としてはスラローマーのメッカ三浦の風。ここのトレードは西高東低冬型の
気圧配置における北風(北東)だ。冬に北風は当たり前だと思いきや、前項の説
明とは一致しねえじゃねえかって?
前項図1(準備中)によれば冬は北西(西っけ)の風じゃねえのか?
でも実際に北風吹いてる気するし、前項の説明が間違ってるんじゃねえかって?

ここで日本地図を見てくれ。
三浦の北西方向には丹沢の山々がある。
北西の風はこの山を越えてまで吹くことはできないのだ。
関東平野付近では上州の空っ風っていうのが上信越の谷間を通り抜ける。すると
その風は関東平野を広がり東京付近では北風になるっちゅうしくみだ。
ついでに三浦半島東岸ではその北風は最後観音崎にぶつかるが、丁度野比の谷が
あり、そこが風の通り道になっていて三浦海岸に吹き降ろしているんだ。
尚、北風はどうしても地上の影響大だ。三浦は幸い北風吹きやすい地形なので強
風が吹いているが、同時刻に三浦半島西岸?湘南エリアは調子悪く無風なんて頻
繁にある。
同じ頃、静岡方面を見てみよう。
静岡は内陸に南アルプスがそびえ立っていて、やはり風を遮っている。よって静
岡で北西の風は吹きようがないのだ。(ただし県西部程北西吹き易い)
ところが静岡では北西の代わりに西風が滅法強く吹く。これは関ヶ原を抜けた北
西の季節風が太平洋に抜け、左カーブした結果なのである。
左カーブするのはコリオリの力のみならず、東西にそびえる南アルプスと駿河湾
のへこんだ地形が風を吸い寄せているのである。
さて、このように関東?遠州灘では二つの大きな風の流れがあることが理解できたか?
実はここからが複雑なのだ。冬場の自前天気予報が外れる原因の大半はこの相反
する向きの二つの風どちらが強いかの予測が難しいことによるのだ。
遠州灘を越えた西風は石廊崎(伊豆半島の先端)を通り、さらに進めば伊豆大
島、洲崎(千葉の先っぽ)まで達するのだ。
これに対し上州?関東平野を通り抜けた北風は東京湾を南下しやはり洲崎、風向
が北東っけであれば湘南から海を越え伊豆大島や石廊崎に達する。
いずれにせよ、この2つはどこかで衝突しその場所で風の流れは止まるのだが、
その場所は両者の強弱バランスにより日々異なる。
よって三浦付近でバランスしてしまうと三浦は無風で御前崎は西強風、北東風が
石廊崎を越えてしまうと御前崎は無風で三浦は北東強風、
丁度いいバランスだと三浦は北風強風で御前崎は西強風となるのだ。
説明が長くなったが、その他気圧配置別の各地風向について図2(準備中)に示す。

【サーマル】
サーマルというのは最も予測しずらい風だが、4月?5月頃の春先のような気温
変動の激しい時期程当て易い側面もある。
まだ、肌寒い日が多い時期は当然水温も低い。そんな時期に天気はピーカンで急
に気温が上がったなんて日は
超高確率でサーマルが期待できる。サーマルは陸と海の温度差が原因であること
は基本の項で述べた通り、また当然のことながら
海しかない島や半島の先端のような所では吹き難いということになる。よって神
奈川なら三浦より湘南に分があると言える。
こんな日は普段三浦に行っている君も鎌倉や江ノ島へGOだ!また、サーマルは
気温が上がる午後?夕方にかけて吹くということもお忘れなく。
それと、いくら暑くても海水までぬるま湯になっちまうような真夏はあんまり期
待しない方がいいだろう。

【潮廻り】
比較的キャリアの長いベテランセイラーでさえ気にかけない人が多いのがこれで
実に重要度大、というより特大だ!一見すると潮廻りと風に関係なさそうに見えるが
実は大潮の上げ潮時間帯は最も吹きやすく、逆に大潮の下げ潮時間帯は
一番駄目なのである。潮の干満は月の引力によることは誰もが知るところだが、
海水はこの月の引力で吸い上げられれば上げ潮、逆は下げ潮となるのである。
当然空気に対しても同様の力は働いているので上げ潮時は空気も満ちてきて風が吹き、
下げ潮時は風が吹かない方に作用する。潮の干満は春先の大潮は特に潮位差が
大きい上、時間帯も昼頃干潮、夕方満潮となるのでサーマルの条件も重なれば
二重丸で期待度大である。こんな日に低気圧の位置まで良かった日にゃ、もう会
社は休むしかないでしょう。

【おまけ】
なぜ、天気予報の風情報がこれベテランウインドサーファーの予想に比べ精度が
極端に悪いのか考えてみました。私の推論はこうです。
完全なる主観ですので気を悪くした本物予報士さんいたら許して下さい。

1)予報士はあまり地形のことは考えてないのだろう。多分、単に統計に頼った
予報をしてるんじゃないのか?
2)潮廻りは一切考慮してない。
3)海水温のことは考慮してない。そもそもサーマル風なんか眼中にないのか
な?

長いうんちく聞いてくれてありがとう。また合いましょう。
おわり

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