
今20歳の娘が5歳の時夜ベッドで私は何かについて叱った。その時娘は “そんなに怒ると本当のお母さんを探しに行っちゃうよ” と私を脅かした。”本当のお母さんって誰?” “フランスワーズというフランス人なの。” “じゃあ、お父さんは?” ”お父さんは健二パパ。” はいはい、父と娘はとても仲が良いんだっけ。本当のお母さんでもフランスでも探しに行ってらっしゃい。
その頃高校生だった長男が夜9時ごろ冷蔵庫からコーラを出し、小さい弟や妹に分からないようにそっと開けて飲んでいた。“プッシュ〜っ” という小さな音を聞き逃さなかった娘は兄に向かって “夜コーラを飲んじゃいけないんだよ。” と注意した。兄は冷たく “てめぇに言われる筋合いはねえや。” と言い捨てて自室に入った。兄に憧れている娘はその言葉がとてもかっこ良く感じ、いつか使ってみたいと思ったらしい。翌日食事の時、私が娘に姿勢良くして左手にお茶碗を持ってご飯を食べるように注意したら、“てめぇに言われる筋合いはねえや” が返ってきた。使う時がちょっと違うんだけどな〜。
娘が小学2年生の時私のところへやってきて “私は不動産だからね。” と言った。“不動産ってな〜に?” “親が死んだ時にもらう物さ” ”なんで知ってるの?” “こちら葛飾区亀有交番の両さんが言っていた” な〜るほど、漫画もばかにならない。今の内に親孝行しとけよ。そうしたら貰えるかもしれないぞ、と。
私は60年代オールディーズの生演奏をしているライブハウスに行ってツイストだのディスコだの踊るのが好きだ。ツイストの時代に育ったがその当時は若い娘が夜遊びなんかはとんでもない時代だった。だから50歳を過ぎてからロックンロールだのツイストだのが好きだと気がついてはじけた。でも夫は夜12時までには帰ってくるように言った。私はシンデレラか。ある日、興が乗って帰宅が夜中の1時になってしまった。早寝早起き整理整頓の夫は10時ごろ寝てしまうので気がつかない、と思ったら高校生の娘が玄関で腕組みをして仁王立ちになり “遅いじゃないの。今何時だと思ってるのよ。心配したじゃないの。” と言った。私は “まだ1時前だけど…。” とおろおろと答えた。“ほ〜、1時に帰っても良いってか。じゃあ私も1時までに帰ってこよう” と言った。それは困る。娘に叱れるより高校生の娘が遅く帰る方が恐い。おばさんは夜中1時に帰ってきても良いけど高校生は夜9時までに帰らないといけないのよ〜、と心の中で言った。
娘が高校生の時、”ねえねえ、お母さん” と私に話しかけた。パソコンのホームページ作りに夢中になっていた私は地震がきてもやめられないという状態。上の空で “えっ、な〜に?” と答えた。私がろくろく話しを聞いてないと察した娘は “パソコンに保険をかけときな。明日の朝パソコンが壊されているかもしれないから。” と言った。
私の友人が急にメールが出せなくなったというので急きょ応援に駆けつけた。友人がお茶を入れている間、パソコンが置いてある炬燵の布団につまづいて電話接続ケーブルをはずしてしまった。気が付かれないようにそっとつないでパソコンを開けたらメールの送受信用ダイアルは無事に接続できた。私の手は魔法の手。友人は感激して豪華な昼食を振舞ってくれた上に、マッターホーンのフルーツケーキのお土産付きよ。こりゃあパソコンは止められないと意気揚揚と帰って来た。大学生になっていた娘が縦10cm、横10cm、長さ20cmくらいのフルーツケーキを “私、これ丸かじりしてみた〜い” と言った。“じゃあ、やってみたら” と答えたら2/3くらいかじって “ふ〜、もうお腹一杯で食べられない。” だって。大学生にそんな事を許した私の教育って間違ってた?
うちの隣に姉とその長男夫婦が住んでいる。姉の長男は即ち私の甥である。姉は甥の嫁さんのしゅうとめであり、そうなると姉の妹たる私はその嫁さんの “しゅうとめ・ダッシュ” である。嫁さん、即ちMちゃんは長いことペーパードライバーだった。そこでこのごろ私はMちゃんに運転の稽古をつけている。初めて目黒通りに出た時、初心者同様なので左車線を走ってもらった。しばらくすると左車線に駐車車両がいたのでセンターライン側の車線に移らなければならない。後ろからの車がちょっと途切れたので私は “直ぐに出て” と言った。まだ頭の中で考えた事が手足に伝わるまで時間のかかるMちゃんは “直ぐには出られません” と言った。だよね〜。直ぐに出られるくらいなら今更運転の練習なんかする必要はないよね〜。一呼吸置いて出ようとしたら後ろから来た車はもう間近に迫っていた。
先日夫と甥とMちゃんと4人で車で鎌倉まで法事に行った。夫と甥はアルコールを飲むのが好きなので帰りはろくろく飲めない私が運転をする事になった。“もうすぐMちゃんも鎌倉から運転して帰ってこられるようになるわね〜” と私は期待半分、おだて半分で言った。そうしたらMちゃんは “私も運転よりは飲む方が良いな〜。” と言った。そうだった。Mちゃんは夕食時のビールが美味しくなくなるからと、夕方の5時からは水分を取らないほどの酒豪だった。