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Yahoo!ジオシティーズ 2004年11月19日付 「今週のピックアップ」に掲載されました! |
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2005年3月14日 Yahoo!ジオシティーズ 第1回ホームペー ジフェスティバル Yahoo! JAPAN サーファー賞受賞! |
| 【 ま え が き 】 |
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ほんとうに歳月のたつのは早いもので、ときの流れ去る速さを実感するのだが、最近、ますます速くなっていくように思われて仕方ない。古希を過ぎたころは、まだ先に人生があるような気がしていたが、知らぬ間に時間が流れて、そろそろ人生の区切りをつけるときが近づいてきた。 私たちは過ぎ去った時間の中で、命を傾けて懸命に生きてきた忘れ難い日々を、思い出と甘い響きで呼んでいるが、私の人生にも思い出といういろんな枝が多方面に張り出していて、自由にそれらを伸ばし、歳を重ねるごとに数を増していく。 しかし、この思い出を仕舞い込んだ抽斗の出し入れが、この頃、思うようにならず、ついイライラさせられることが多くなった。人の世を幾十年か生きてきて来し方を振り返るのだが、すでに過ぎ去った歳月はすべて茫々として、はるか彼方にかすんで見える。 ところが、遠くはるか彼方にかすんで見える思い出も、ときとして人や物や出来事を媒体に、ひょいと思い出すことがある。過去にめぐり逢ったいろんな場面にフィルターがかけられると、おなじ場面もべつの色彩によって、いっそう鮮やかに映し出され、ややもすると素敵な回想に耽っている。 だが、こんな素敵な回想も、もし私がこの世からいなくなったら全てが消え去り、後には何も残るものがない。これでは余りにも空しい一生ではないか。自分の一生は果たして何だったのか。誰しも思うことだが、ふとそんなことが脳裏をよぎる。 いま自分史を書くことが、静かなブームになっているという。私もここらあたりで立ち止まり、おぼろな記憶をたどりながら、たとえ華やかでなくても今日まで生きてきた証しを、残しておきたいものだと思った。 とは言っても文章を書くのは生易しいことではない。ふさわしい語彙を探して文字を紡ぐのに、苦しみがつきまとう。心に響くような文は難しいが、それでも言葉の怪しさに取り憑かれて、書くことから逃げられない。毎日が言葉探しで時間が過ぎていった。 もときた道を振り返り、あれこれと思い出すままに綴ってみたが、文章というものは因果なもので、適当に見切りをつけて手離さないと、あたかも悪女の深情けみたいに際限なくつきまとわれる。これでよしと見直してみたら直したいところばかりで、ここをちょっと、あちらも少しと、書き直しを繰り返すばかり。 長い時間を費やしてしまったが、やっと私という人間の足跡を残すことができた。体験という井戸からどうにか文字を汲み上げてはみたが、あとから読んでみても今更ながら恥ずかしく、冷や汗三斗の思いである。 プロの物書きと違って、しょせんは素人が書いたささやかな自分史です。そんなに期待してもらうほど、面白くも何ともありません。書いた順番どおりに読んで戴くなり、好きなところから拾い読みして戴くなり、お気の向くままに読んで戴ければ幸いです。 藤根 鍵市 2004年3月10日開設
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