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悪魔の辞典
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今は昔(1970年代)、学校の山岳部の部室に、悪魔の辞典らしき落書きがあり、
それは、
「明るさは滅びの色であろうか、人も山も暗いうちはまだ滅ばない。」とか、
「他人の不幸は、わが身の幸福。」、「まだ行けるは、もう行けない。」などというようなものでした。
しかし、そこは、悪魔の住処のような暗く重く醜く湿って卑しい恐ろしい場所ではなく、
日ごろのトレーニングや登山行動は、科学的・合理的で、
アルプスとヒマラヤを目指す若いクライマーたちの、のんびり自由で明るく知的で元気な純情な青年の集会場所で、
「一点突破全面展開」というような熱い落書きもあり。
それはたぶん、例えば、
冬山で仲間の誰かが自分より先にダウンして動けなくなり、「おい頑張れ!もーすこしだから!」と励ましながら、
じつは、(ふう、ここでぼくも少し休める、)と心の中で思っていると、自分が先に凍傷になっているのを知らずにいたとか、
ロッククライミングのパートナーと結ぶザイルを、もしもの時にすぐ切ることができるようにと、ナイフをいつもポケットに入れていたけれど、ついに使わなかったとかの、そのような、プラス⇔マイナス、や、陽⇔陰をいつも背中合わせにして動いていたからなのだろうと思います。
つまり、「悪魔の辞典」は、「優しい者の辞典」ということがわかってきます。
その有名なビアスの「悪魔の辞典」(1911年)の一部を、「ふくのページ」にアップします。
しかしながら、この辞典が生まれてからすでに一世紀、訳本が出てからでも四半世紀が経過しており、
今の時代に照らして、例えば: 靴下どめ(garter) 女が靴下から抜け出して、国じゅうを荒らしまわることがないようにとの意図を持った輪ゴム。
といったような、整合しないもの、無理なもの、差別的なものなど、不具合と思われる項目や表現は、とくに断りなく削除または調整させていただいています。
オリジナル版は書物でお求めくださいne。

出典:「新編 悪魔の辞典」 (アンブローズ・ビアス /西川正身 訳) 岩波書店1983第1版
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参考: ウィキペディア
悪魔の辞典(あくまのじてん, The Devil's Dictionary)は、1911年にアメリカ合衆国で発表された書籍。アンブローズ・ビアス著。ふつうの辞典の体裁をもってさまざまな単語に再定義を行ったものだが、その定義が痛烈な皮肉やブラックユーモアに満ち溢れ、通常の辞書とは一線を画している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E8%BE%9E%E5%85%B8
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参考:はてなダイアリー
内容は悪魔に関する辞典ではなく、普遍的な用語に皮肉めいた説明*1がついているもの。
本来の意味を知った上で読むと、説明の意図する風刺がわかって面白いが、意味を知らないで読むと落しどころが判らないため面白くないかもしれないし、書かれている説明をまじめにとると大変なことになる。
日本語訳は角川文庫で、またWEB上でも読むことができる。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/kareha/trans/dd_index.htm
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目次
【あ】 【い】 【う】 【え】 【お】 【か】 【き】 【く】 【け】 【こ】 【さ】 【し】 【す】 【せ】 【そ】
【た】 【ち】 【つ】 【て】 【と】 【な】 【に】 【ぬ】 【ね】 【の】 【は】 【ひ】 【ふ】 【へ】 【ほ】
【ま】 【み】 【む】 【め】 【も】 【や】 【ゆ】 【よ】 【ら】 【り】 【る】 【れ】 【ろ】 【わ】

【あ】
愛国者(patriot.) 部分の利害のほうが全体のそれよりも大事だと考えているらしい人。政治家に手もなくだまされるお人好し。征服者のお先棒をかつぐ人。
愛国心(patriotism) 自分の名声を明るく輝かしいものにしたいと野心を持つ者が、たいまつを近づけると、すぐに燃え出す可燃性のもの。
悪人(malefactor) 人類を進化させていく最も重要な要因。
悪魔(Devil ) われわれ人間のあらゆる災いを創始した者、この世のあらゆる良きものを所有する者。
麻縄(hemp) 植物の一種類で、その繊維質の皮から作った首巻きは、戸外で公開演説の後、しばしば人の首に巻きつけられ、巻きつけられた者はその後風邪をひかない。
阿片(opiate) 「自己認識(アイデンティティ)」という牢獄に見られる鍵のないドア。そのドアは牢獄の運動場に通じている。
アマチュア(amateur) 趣味を技量と思い誤り、野心を能力と混同している世間の厄介者。
過ち(fault) 自分の犯す違反の一つであって、他人の犯す違反の一つとは区別される。なぜなら、後者は犯罪という。
あら捜し屋(caviler) わたしの仕事を酷評すね者。
安心(comfort) 隣人が不安を覚えているさまを眺めることから生ずる心の状態。
安堵の思い(relief) 寒いの朝早く目を覚ましたら、日曜日だったと知ること。
【い】
言い紛らす(prevaricate) ぼくの彼女いいだろう?と友人に問われたとき、「表情豊かな眼をしているね」と答える。
いかさま医者(quack) 免許を持たない殺し屋。
医者(physicisn) 病気の時にはしきりと望みをかけ、健康な時には近づきたくない者。
一刻者(bigot) あなたが抱いていない見解を、頑固に、かつ熱狂的に固執する者。
いとしい人(darling) 未発達の段階にある、うんざりするほど退屈な異性。
犬(dog) 付加的な、あるいは補助的な、ともいうべき一種の神であって、この世の人々が神を礼拝する心の過剰な部分および余剰の部分を受け入れるように定められている。
犬畜生(brute) ⇒良人
いんちき(sham) 政治家の言明、医者の学問、評論家の知識、俗受けを狙う説教師の信仰。
引用(quotation) 他人の言葉を繰り返す行為。繰り返される言葉。
引力(gravitation) あらゆる物体が、それぞれを構成している物質の量に比例する力で、お互いに近づき会おうとする傾向を言い、それぞれを構成している物質の量は、その力によって、確実に知ることができるが、これは、科学が、AをもってBの証明とした上で、次にBをもってAの証明とする、まことに結構千万な教訓的な例証であると言える。
【う】
飢え(hunger) 人類のあらゆる階層の者を苦しめる一種独特の病気で、その治療は、通常、食事の摂取ないし食餌療法によって行われる。
嘘つき(liar) 自由旅行ならぬ自由悪口の権限を与えられている弁護士、ジャーナリスト、その従事する職業、商売。
自惚れ(conceit) こちらが嫌っている者に見られる自尊心。
噂(rumor) 人の名声を抹殺しようとする暗殺者たちが好んで用いる武器。
運命(destiny) 暴君が悪事を行う時に利用する典拠。愚者が失敗をしでかした時に持ち出す口実。
【え】
絵(picture) 三次元にある何か退屈なものを二次元で表現したもの。⇒絵画
餌(bait) 釣り針の味を一層よくするために作った料理。その最上のものが美貌。
厭世観(pessimism) 見え透いた希望と見苦しい微笑とを特徴とする楽天主義者が、うんざりするほどのさばっているところから、その様を眺める者の確信の上に、否も応もなく押し付けられる人生観。⇒楽天観
【お】
追剥(robber) 率直な実務家。
横隔膜(diaphragm) 胸の疾患と腸の疾患を分けている筋肉でできた仕切り。
王子さま(prince) ロマンスの世界では田舎娘に、現実の生活では友人たちの細君に愛情を施す青年紳士。
臆病者(coward) 危険な非常事態に際会すると、脚で考えようとする人。
恩知らず(ingrate) 他人から恩恵を受けるか、そうでなければ慈善を施される対象となる人。⇒忘恩

【か】
絵画(painting) 平らな表面を雨風から保護する一方、同じその表面を批評家の目にさらす技術。
改革(reform) ある運動の宣伝に使われるスライド・ショー。目的を果たすとすぐに捨てられる。
懐古(reminiscence) 不仕合わせな人々に許された最高の贅沢。
悔悟(repentance) 懲罰に忠実に付き添い、かつそれに従う者。通常、ある程度の改心となって表われるが、その程度は、その後二度と再び罪を犯さないという保障はない。
外交(diplomacy) 祖国のために偽りを言う愛国的な技術。
会社(corporation) 個々の人々が、責任を伴わないで、それぞれ自己の利益をあげ得るように工夫された巧みな仕掛け。
回想(recollet) さまざなことを付け加えながら、以前には知らなかったことを思い出す。
回転式連発拳銃(revolver) かりそめの狂人が取り用いる議論。
解放(emancipation) 奴隷が他の者による暴虐から自分自身による圧制へと、その境涯を変えること。
快楽(pleasyre) 同じ憂鬱の中でも、忌々しさの最も少ない種類のもの。
会話(conversation) お互いに自分の頭脳の中身を陳列しあう共進会。ただし、誰も自分の商品を並べるのに忙しく、相手が並べてみせる商品を眺める余裕など、全然ないのが普通。
下院議員(representative) 自分の選挙区住民の利益を守る紳士−その利益が自分自身のそれと衝突しない限り。⇒上院議員
鏡(looking-glass) 人間が迷いから目を覚ますようにと、その上で何かあるつかの間の芝居が演じられるガラス板。
格言(saw) 民間で行われている陳腐な言い習わし、ないし、諺。
学識(learning) 学問に勤勉な者の特色である一種の無知。⇒博識
革命(revolution) 政治において、政治形態ならぬ失政形態が急激に変化すること。通常、大量の流血を伴うが、それだけの価値は十分にあるとされている。ただし、そのような評価を下すのは、自らの血を流す不運に出会うことなく、利益だけを享受することになった連中に限られている。
賭け事(gambling) ある程度は自分が利益を得ていることを意識するが、大部分は他人が損をしているさまを眺めることから楽しみが得られる遊戯。
過去(past) 永遠の一部分ではあるものの、われわれはそのごくわずかな部分を知っているに過ぎず、しかも知っていることを後悔せざるを得ない。
ガス計量器(gas-meter) 知らん顔で鎮座している、一家の嘘つき。
火葬(cremation) 冷たくなった人間を暖め直す操作。
家族(family) 一つの書体の中で暮らしている個体の一集団で、男性、女性、子供、老人、犬、猫、ゴキブリ、ノミから構成される。
活字(type) 他に類のないすぐれた本辞典では、明らかに大きな働きをしているにもかかわらず、文明を破壊へと導いていく疑いがあると見られている有害な金属片。
家庭(home) 最後の頼みの綱として訪れる場所。
金持ち(rich) 怠け者、浪費家、運の悪い者の財産を保管し、その用途を明細に報告する義務のある者。
火薬(gunpowder) 諸国が調停しないで放っておくと、厄介なことになる国家間の争いを解決するのに用いる力。
過労(overwork) 身分の高い役人が、魚釣りに行きたいと思う時にかかりやすい危険な病気。
歓迎会(reception) 花火と、旗と、たわいない談話。
感謝の念(gratitude) すでに受けた恩恵と、これから期待する恩恵との中間に位置する感情。
関税(tariff) 国内の消費者の貪欲から同国の生産者を保護する税。
完全(perfection) 卓越という名で知られる要素によって現実とは区別される想像上の状態。もしくは性質。
鑑定家(connoisseur) ある特別なことについては、何一つ知らないことはないが、それ以外のことについては、何一つ知らない専門家。
感動(emotion) 心臓の血が脳へ上がることが原因で起こる、肉体を消耗させる病気。
頑張り(perseverance) 平凡な人が、それによって不名誉な成功をかち得る、とるに足らぬ美徳。
【き】
気鬱(gloom) ワイドショー、お笑い番組、天国への望み、および悪魔の辞典に帰因する精神状態。⇒憂鬱
機会(opportuniyt) 失望を鷲づかみにする好機。
祈願(pray) つまらない存在と自ら認めているたった一人の嘆願者のために、宇宙の全法則が廃棄されることを願うこと。
奇行(eccentricity) 頼り抜きん出ようとする方法だが、金がかからない方法なので、阿呆な者がおのれの無能力を強調しようとして、この方法を用いる。
キス(kiss) 意思の疎通ということに関係のあるある種の儀式ないし祭典を意味すると考えられている。ただし、その儀式なり祭典なりをどのように執り行うかは、本辞典の編者は不案内である。
偽善者(hypocrite) 自分ではそんなものは少しも尊重していないくせに、いくつかの美徳を身につけていると称して、自分が軽蔑している者らしくみせかけるという虫のいい条件を確保すね者。
貴族(nobleman) 社会席名声という厄介な代物を一身に引き受け、かつ上流の生活をも享受しようというほど野心に燃えた金持ちの娘たちのために自然が用意してくれているもの。
貴族政治(aristocracy) 第一級の人々による政治。(廃語。この種の政治は今はすでにない。)
機知(wit) 自分のせっかくの知的な料理法を台なしにしてしまう塩。
記念碑(monument) 記念する必要がないか、あるいは、記念することが不可能なものを、あえて記念しようとする意図から建てられる工作物。
昨日(yesterday) 青春の幼年時代、成年の青春時代、老年の過去のすべて。⇒過去、現在、翌日
気晴らし(receation) 全体的な疲労を癒す特定の種類の憂鬱。⇒娯楽
希望(hpe) 欲望と期待を丸めて一つにしたもの。
欺瞞(fraud) 商業の生命、宗教の精髄、求愛の際の餌、政治的勢力の基礎。
義務(duty) 欲望の線に沿って、利益の方向へと、われわれを厳しく駆り立てるもの。
求愛(courtship) 愛に飢えた酒好きな二人の者が、二人ともわけもなく飲み干すことはできても、どちらも元通り一杯にすることができない一つのグラスから、おずおずとすすること。
急進主義(radiclism) 今日の諸問題に注入した明日の日の保守主義。
休戦(truce) 友情。
窮地(predicament) 言行一致が受ける報い。
キューピッド(Cupid) 恋愛の神と称せられるが、この、野蛮な空想力が生み出した私生児は、疑いもなく神々が犯した罪の代償として、神話が背負い込まねばならなくなった厄介者であるほかない。
教育(education) それぞれが理解力に欠けていることを、賢者に対してはこれを隠して見せないようにするもの。
教会(church) 牧師が神を崇め、女が牧師を崇める場所。
狂気(madness) 高度の知的独立心という病気。
競売人(auctiioneer) あなたのポケットの中を、全部頂戴いたしましたと、木槌を使って公に知らせる人。
共犯者(accomplice) 他の一人の者とともに犯罪に関係した結果、犯罪の行われたことを知り、かつ共謀関係を免れ得ぬ者。
享楽主義者(epcure) 快楽こそ人間の主要な目的なりとし、五官の満足には片時も時間を浪費せず節制を旨とした哲学者に敵対する者。
教理問答(catechism) 普遍的で、かつ永遠の疑問が、局部的で、かつその場限りの答えでもって解決されるという、神学上のなぞなぞの一様式。
共和国(republic) 統治するものと統治されるものとが同一であることから、権限を認められていても、任意の服従を強制するしかない国家。
局外者(outsider) 自分自身にはできないことや、なれないものに、口やかましく難癖をつけたがる者。
拒絶(refsal) 心から望んでいるものを断ること。
議論(discussion) 他の人々の思い違いをますます強固なものにしてやる方法。
金言(adage) 歯の弱い者でも噛めるようにと、骨が抜き取ってある人生の知恵。
金権政治(pltocracy) 共和政体の一種で、その権力は、統治されている者の自惚れ、つまり、自分たちが統治しているのだと、考えるところから生ずる。⇒貴族政治
銀行預金(deposit) 銀行を支えていくために行われる慈善の寄付。
金銭(money) これを手放す場合を別にすれば、いくら持っていても、何の利益ももたらさないという結構な代物。 教養の印、また、社交界への入場券。持っていても苦にならない財産。
【く】
悔い改めた(penitent) 刑罰を受けつつある、または待ち受けている。
悔い改めぬ(impenient) 時間の点から言って、罪と罰との中間に位置する心の状態。
空気(air) 気前のいい神様が、貧乏な藻のを太らせようとの思し召しから、支給される滋養分豊かな物質。
偶然(accident) 不変の自然法則の働きによって起こる不可避的な出来事。
偶像崇拝者(idolater) 我々が信仰していない宗教を、我々のそれとは違った像を掲げて奉ずる者。貨幣に刻まれた像より上のほうの数字を重く考える者。
寓話(fable) 何かある重要な真実を例証するように意図された短い嘘
口(mouth) 男にあっては魂への入口。女にあっては心の出口。
苦痛 (pain) 不愉快な気持ちの一つで、体に対して何事かが加えられるという肉体的根拠を持つ場合もあれば、完全に精神的なもので、他人の幸運が原因という場合もある。
苦悩(afflicition) 魂に対して、悩み多いいま一つの世界を迎える心の準備をさせる馴化作用。⇒心痛
クラリネット(clarionet) 人が自分の耳に綿を詰め込んで操作する責め道具。
クリスマス(Christmass) 暴飲暴食、涙もろい感情、贈り物を頂戴する日。世間一般の怠惰、および家庭における行事に捧げられている。
訓戒(expostulation) 愚かな人々が好き好んで友人を失う数ある方法のうちの一つ。
君主(monarch) 君臨という仕事にたずさわっている人。
群集(multitude) 政治上の英知ならびに美徳の源。
君主政治(monarchical government) 君主のいない政府。⇒貴族政治、金権政治。
軍隊(army) 祖国を防衛すると称して、敵を攻撃する気持ちを起こさせそうなものをことごとく食い尽くしてしまう非生産者の一集団。
【け】
計画(plan) 偶然の結果を達成する最善の方法について頭を悩ますこと。
経験(experience) すでに抱きしめている愚行が、望まれない古い馴染みであると、認める事を可能にさせる英知。
経済8economy) 要りもしない一樽のウィスキーを買う余裕のない牛一頭の値段を払って買うこと。
警察(police) 保護と関与を目的とした軍隊の一つ。
刑事(detective) 罪が犯された後になってから犯罪を探り出す役人。
軽蔑(contempt) 下手に抵抗すると、ただでは済みそうもない手ごわい相手に対して、慎重なものが心に抱く感情。
刑務所(prison) いい宿に入れる金銭上の余裕がない場合に、一時的な精神異常者を収容する粗末な宿屋。
結果(effect) つるに同じ順序で一緒に起こる二つの現象の第二のもの。
結婚(marriage) 共同生活隊の一つで、一人の男と一人の女と、その他からなり、それでいて全部会わせて二人にしかなららない状態、もしくは境遇。
結婚式(wedding) 二人の人間が一個の人間になろうと企て、そのうちの一人が無も等しい存在になろうと企て、無も等しい存在が一緒にいても苦にならないものになろうと企てる儀式。
決闘(duel) 二人の仇同士を和解させるにあたり、その準備段階としてとりおこなわれる型どおりの儀式。
言語(language) われわれがそれを使って、他人の宝物の番をしている蛇たちを、うまくてなづける音楽。
現在(present) 永遠の時間の流れの中で、失望の領域と希望の世界とを分けている部分。⇒過去、昨日、翌日
建築家(architect) あなたの家の設計図を書くと同時に、あなたのお金を引き出す設計図を書く技術者。
健忘症(foretfulness) 良心を欠く埋め合わせとして、神が債務者に授けてくださる才能。
権利(right) あるものである、あることをする、あるいはあるものを持つ正当な機能。
【こ】
乞う(beg) 同じ熱心さでも、頼んでみてもくれっこない、という確信に比例する熱心さをもって、何かをくれと頼む。
講演者(lecturer) 一方の手をあなたのポケットに突っ込むと同時に、舌をあなたの耳に差し入れながら、あなたの辛抱強さを固く信じて疑おうとしない者。
絞首台(gallows) 主役が天国に移されることになっている奇跡劇を演ずるための舞台。
幸福(happiness) 他人の不幸を眺めることから生ずる気持ちの良い感覚。
合法的な(lawful) 司法権を持つ裁判官の意志と両立し得る。
拷問台(rack) とかく論議の多い道具であって、かつては、誤った信仰を熱狂的に報じようとする者を説得して、生きた真実を抱かせようとするのに盛んに用いられたものである。
強欲(repacity) 勤勉を欠いた先を見越しての倹約。
合理的な(rational) 観察、経験、反省、この3つの妄想は別として、他のあらゆる妄想を欠いている。
極悪人(miscreant) いちばん無価値な者。
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国王(king) 冠をかぶることがなければ、とくに取り立てて言うほどではないのに、「冠をいただいた」という言い方で一般に知られている者・
告発者(accuser) かつての友人。
孤児(orphan) この世に生きていながら、両親に死なれたために、親不孝をする機会を完全に奪い取られたもの。
乞食(begger) 友人たちの助力にすがって生きている人。
国会(congress) 法律を廃止するために会合を持つ人びとの集団。
国境(boundary) 政治関係で、一つの国家の持つ想像上の権利と、いま一つの国家の持つこれまた想像上の権利とを分かつ、二つの国家の間に引かれた想像上の線。
子供時代(childhood) 人間の生涯で、幼年時代と青年時代の中間に位置し、罪多き壮年時代からは二段階、悔い多き老年時代からは三段階、それぞれ隔たっている一時期。
好み(preference) 一つのものが他の一つのものより優れているという、誤った信念から生ずる感情、もしくは気分。
娯楽(pastime) 失意をいよいよ増大させる一つの工夫。
殺す(kill) 後継者の指名を行うことなく、空席を生じさせる。

【さ】
再考(reconsider) すでに行った決定を正当化する理由を探し求めること。
財産(property) ウィスキーを飲む貧乏者とシャンペンをかぶ飲みする金持ちとを区別するもの。
財政(finance) 歳入と資源を、管理者自信の利益になるように管理する技術ないし理論。
災難(calamity) この世のことは何事によらず人間の定め得るところではないということを、並外れて、明瞭勝つ明白に、改めておしえてくれるもの。
サーカス(circus) 老若男女の別なく、人間が道化役を演ずるさまを、馬やライオンや象たちが見物することを許されている場所。
搾取(defraud) 人を信じやすい者に教訓と経験を授けること。
殺人(homicide) 一人の人が他の一人の人のために殺されること。だが、殺される側にとっては大きな問題ではなく、もっぱら法律家の便宜となる。
裁き(justice) 忠誠、税金、報酬など、政府が国民に売りつける商品。
錆びついた(rusty) 正義の女神の剣。
さらし台(pllory) 個人的名声という刑罰を科する機械装置。
賛美者(encomiast) 特定のとまでは行かない種類の嘘つき。
【し】
市会議員(alderman) 頭のいい犯罪人で、公然と略奪を行うと見せかけながら、自分が密かに行う盗みを覆い隠す。
死刑執行人(executioner) 老衰から来る災禍を軽減させ、溺死する機会を減少させようと、能う限りのことをする人。
地獄(hell) いまは亡き辞書作りノア・ウェブスター博士の住い。
辞典(dictionary) ある一つの言葉の自由な成長を妨げ、弾力なく固定しようとして案出された、悪意に満ちた文筆関係の仕組み。ただし、本辞典に限り、きわめて有用な製作物。
自尊(self-esteem) 誤った評価。
実在(reality) 気のふれた哲学者が見る夢。
嫉妬心(envy) きわめて乏しい能力向けに調節した競争心。
慈悲(mercy) 犯した罪を見つけ出された物が愛好する一つの特質。
自明の(self-evidence) 他のすべてのものを除き、自分自身にとってのみ明白な。
謝罪(apologize) 将来犯すはずの罪に対して基礎をおくこと。
赦免する(pardon) 刑罰を免除して、再び犯罪の世界へ戻してやる。犯罪の魅力に忘恩の誘惑を付加する。
自由(liberty) 想像力の所有物の中で最も貴重なものの一つ。
習慣(habit) 身の自由を束縛する足かせ手かせ。
宗教(religion) 「希望」と「恐怖」を両親とし、「無知」に対して「不可知」の本質を説明する娘。
主義(principle) あまりにも多くの人々が元金ならぬ利息と混同する代物。
祝賀(congratulation) 嫉妬心から生まれる礼儀正しい行為。
熟慮(deliberation) バターが塗ってあるのは果たしてどちらの側であろうかと、自分のパンを仔細に点検してみる行為。
首都(capital) 悪政の府。
殉教者(martyr) 最少抵抗線ならぬ最少不本意線をたどって、おのれの渇望する死に行き着こうとする者。
上院議員(senate) 有権者の競売で運の良かった入札者。⇒下院議員
正気(sanity) 殺人の直前と直後に見られる精神状態。
賞賛(admiration) 他の者がれわれ自身に類似していることを如才なく認めること。
小説(novel) 水増しをした短編小説。作文の一種で、その文学における関係は、パノラマと美術との関係に等しい。
象徴(symbol) 何かある他のものを代表する、あるいは表すと考えられているもの。その多くは単なる遺物。
女王(queen) 一国の統治を、国王がいるときには国王によって、国王がいない時には国王を通じて行う女性。
贖罪(redemption) 罪を犯した者が、自分たちがその命に背いた神を殺害することによって、犯した罪の報いを免れること。
食人種(cannibal) 素朴な好みを失わず、豚肉以前の時代に特有な天然の食べ物を固守し続けている旧派に属する美食家。
食用(edible) 例えば、蛙にとっては蛆虫が、蛆虫にとっては蛇が、豚にとっては蛇が、人間にとっては豚が、蛆虫にとっては人間が、それぞれそうであるように、食べるに適し、消化して健康を増進させるもの。
食欲(appetite) 労働問題に対する一解決策として、神さまが思慮深く植えつけられておかれた本能。
女性(female) 男性と対立関係にある、美しくあるいは不実な性に属する一人。⇒男性
知合い(acruaintance) 先方の金は借りるという程度には知っていても、こちらから貸してやるというところまでは行っていない間柄の人。
白(white) 黒
信仰(faith) 見たことも聞いたこともない物事について、知ったように語る者の言うことを、証拠もないのに正しいと信ずること。
親切(kidness) 十巻からなる苛酷な要求に付せられた簡単な序文。
心臓(heart) この有用な器官は感情と情緒が宿るところと、なかなかもって結構な空想で言われていたが、今日では、感情と情緒は胃にあって、胃液の化学作用によって食べた物から発生することがわかっている。
診断(diagnosis) 医者が、患者の脈拍と財布の重さによって、病気に対して行う予測。
心痛(distress) 友人の繁栄が原因でかかる病気。⇒苦悩
人道主義者(humanitrrian) 救世主は人間であった、そして当の自分は神である、と信じている者。
真理(truth) 願望と見かけとを巧みに合成して作り出すもの。
侵略(invasion) 愛国者が、おのれの抱く祖国愛を立証するために用いる、最も広く世に認められている方法。
人類(humanity) 人間なる種族を意味する集合名詞。ただし、サルに似た詩人たちは除く。
神話(mythology) 原始の人々が、のちに作り上げるもろもろの真実の話とは別に、自分たちの起源、昔の歴史、英雄、神々について抱いている信仰の総和。
【す】
推理(reason) 欲望の秤にかけて確立の目方を計ること。
崇敬(reverence) 人間の神に対する、また、犬の人間に対する精神の態度。
ずうずうしい(immodest) 自分自身の長所については、これを強く意識し、他人の価値については、弱々しい観念しか持っていないこと。
鋤(plow) ふだんペンばかり握っている(キーボードばかりたたいている)手を、しきりと呼び求めている道具。
【せ】
正確さ(accuracy) 人間の供述からは慎重に除外されている、ある種の面白くもおかしくもない特質。
成功(success) 自分と同輩のものに対して犯す、ただ一つの許すべからざる罪。
政治(politics) 主義主張の争いという美名の影に正体を隠している利害関係の衝突。私の利益のために国事を運営すること。
生命・人生(life) 肉体を貯蔵して、腐敗しないようにしておく精神的な漬け汁。
西洋(Occident) 地球の一部分で、東洋の西(もしくは東)
責任(responsibility) 自分の肩から下ろして、神なり運命なり宿命なり巡り合わせなり、あるいは隣人なりの肩へ容易に移すことのできる重荷。
節制家(absatiner) 快楽に対して事故の欲望を抑えようという誘惑に打ち勝てないで屈服してしまう心弱き者。とくに、絶対禁酒家。
絶対禁酒家(teetotaler) 時には文字通り絶対に、時にはほどほど絶対に、酒類を慎もうとする人。
絶対の(absolute9 自主的な、無責任な。
窃盗狂(kleptomaniac) 裕福な盗人。
背中8back) あなたが逆境に陥った際、つくづくと眺めることを許される友人の体の一部分。
責める(accuse) 他の者を罪ありと、あるいは無価値だと断言する。その者を不当に扱ったことに対して、自己を正当化しようとする場合が最も普通。
戦争(war) 平和の策略が生み出す副産物。
戦闘(battle) 口で言っても言うことを聞こうとしない政治関係の結び目を、歯で解いてみせる方法。
煽動家(agitator) 害虫を振るい落とすのだと言って、他人の所有する果樹をゆさぶる政治家。
善良な(good) 女性の読者について言えば、この辞典の編者の価値をご存知の。男性の読者について言えば、この辞典の編者に下手に干渉しないことの利点に気づいている。
【そ】
憎悪(abhorrence) 十分に理解できないものを非とする度合いはいろいろとあるが、そのうちの一つ。
騒音(noice) 耳に踊りこんでくる悪臭。野育ちのままの状態にある音楽。
早熟の(precocious) 姉の人形と駆け落ちをする4歳の男の子。
想像(imagination) 事実がしまいこんである倉庫。詩人と嘘つきの両者が共有する。
相談する(consult) すでに自分で決意したことに対して、改めて他人の賛意を得ようとする。
訴訟(litigation) あなたがその中に入っていく時には一党の豚だったはずなのに、出てきた時にはソーセージに形を変えているという一種の機械。
その場にいない(absent) 友人や知人からの攻撃にさらされている。中傷されている。悪口を言われている。
背く(disobey) ある一つの命令が成熟期に達したことで、それにふさわしい儀式を行って祝う。

【た】
大学一年生(freshman) 苦悩とお馴染みになった学生。
大権(prerogative) 一国の元首が非道を行い得る権利。
怠惰(idleness) 悪魔が新しい罪なる種でさまざまな実験を試み、かつ主要な作物である悪徳の成長を促進させる模範農園。
大胆不敵(daring) 安全無事な立場にある人に見られる最も著しい特質の一つ。
大砲(cannon) 国境を修正するために用いられる道具。
妥協(compromise) 敵対しあう者の各々に、元来自分のものとすべきでないものを手に入れたと考える一方、当然自分のものであったはずのものを別にすれば、奪い取られたものといっては、何一つとしてなかった、と考える満足感を与え得るような具合に、相反する利害関係を調整すること。
立ち聞きする(eavesdrop) 他人あるいはあなた自身が犯した、また持っている罪悪および悪徳のリストを密かに耳にする。
堕落(degradation) 在野の身分から抜擢されて政界の高官になるまでの道徳的および社会的進歩に見られる諸段階の一つ。
たわごと(nonsense) すばらしい出来栄えの本辞典に対して唱える異議の数々。
誕生8birth) 数ある災難の中で、最初に訪れる最も恐ろしい災難。
男性(male) 取るに足らない、またはそれほど重要でない性を構成する一員。
【ち】
蓄音機(phonograph) 死んでいる雑音に生命を蘇らせる苛立たしい玩具。
忠告8advice) 現在流通している最小単位の貨幣。
忠実(fidelity) いままさに裏切られようとしている人びとに特有の美徳。
中傷する(defame) 他人について偽りを言う。他人について真実を語る。
弔慰する(condole) 人から寄せられる同情に比べれば、いとしい人に死なれた悲しみなど小さい災いにすぎないと、教え示す。
長命(longevity) 死に対する恐れが、異常なほど長期にわたって引き延ばされること。
忠誠(allegiance) 税金を課する者と化せられる物との間に取り交わされている伝統的な義務の契約。ただし、利用者の関係は逆にすることができない。
懲罰(punishment) 正義に女神がその用い方をほとんど忘れてしまっている武器。
地理学者(geographer) 世界の外側と内側との違いを即座に告げることができる者。
【つ】
追従者(sycophant) 向こうを向けと言われ、言われたとおりにすると、後ろから足蹴にされる、といったことがないようにと、腹這いになったまま、おえら方に近づいて行こうとする者。
追伸(postscript) 手紙の中で、急いでいる時はそこだけ読めばいい部分。
常に真実を語る(truthfil) 口がきけず、読み書きができない。
罪の意識(guilt) 無分別なことをしでかしてしまったことを、世間に知られている者の心の状態。自分の行為の跡を隠しおおせた者の気持ちとは区別される。
【て】
提督(admiral) 同じ軍艦の一部でありながら、船首像が思考を行うのに対し、もっぱらお喋り役を引き受けている部分。
低脳(imbecility) 本辞典に難癖をつける批評家に襲いかかる、一種の天与の霊感ないし聖なる炎。
敵意(hostilitiy) この地球上の人口が過剰であることを、とくに痛感、かつことのほか実感すること。
哲学(philosophy) どこからともなく始まり、どこへ行き着くこともない、多くの道からなる一つのルート。
鉄道(railroad) 現在いる場所から一向に代わり映えのしない場所へと、移動を可能にさせる機械仕掛けが数多くある中でその最たるもの。
電気(electricity) 他の何らかの原因によるものであることが明らかにされていない、あらゆる自然現象を生ぜしめる力。
天啓(revelation) 自分は愚か者であると、人生の黄昏時になって発見すること。
天国(heaven) 悪しき者が一身上のことを語ってあなたを悩ませるといったをやめ、あなたがご自身のことをくどくど語るのを、良き者が゜熱心に聞いてくれる場所。
電話(telephone) いやな者を寄せ付けないでおく便宜の一部を放棄せざるを得ない悪魔の発明品。
【と】
投稿者(contributor) ジャーナリズム界では、屑篭のお得意さま。
道徳的な(moral) 特定の地域に限られた、変化しやすいものの是非の基準に順応しようとする。大方の場合に便宜であるという特質を備えた。
動物(animal) 自らの生命を維持していくには、おびただしい数の他の動物を必要とすることから言って、神が自ら作り出されたみのの生命を守護していこうとなさる、そのみ恵みの深さをきわめて明瞭に例証する有機体の一つ。
同盟(alliance) 国際政治において、お互いに自分の手を相手のポケットに深く差し入れているため、単独では第三者のものを盗むことができないようになっている二人の盗人の結びつき。
道理にかなった((reasonable) 自分自身の見解の悪しき影響を受け易い。
道路(road) そこを通ることによって、なにぶんにも退屈なのでそんな所にはいられないと思う地点から、そんなところへしょうがない地点へと、行くことのできる細長い一片の土地。
度胸(sand) 匿名で投書する者が持っていないもの。
時計(clock) 自分にいかい多くの時間が残されているかを教え示すことによって、未来に対する不安な気持ちを和らげてくれる、人間にとってきわめて大きな道徳的価値を持っている機械。
富(riches) 神からの授かりもので我がいつくしむ子我がよろこぶもの−ジョン・D・ロックフェラー/辛苦と徳行に対する報酬−J・P・モーガン/一人の者の手に帰した多数の者の貯蓄−ユージーン・デプス
これらすぐれた定義に対しては、いかに本辞典の編者といえども、もはやこれ以上、価値ある定義を付け加えることができそうにない気がする。
取る(take) しばしば腕づくで、だが、できればこっそりと、わがものにする。

【な】
内閣(cabinet) 誤った政治を行うように委託されたきわめて重要な組織。だか、その委託には十分な根拠があるのが普通である。
長話(monologue) 聞く耳を持たない舌の活発な働き。
慰め(consolation) 自分よりすぐれた者が、実は自分より不幸せでいる、と知ること。
成行き(outcome) ある特定の種類の失望。
縄(rope) 暗殺者たちに彼らもまた死を恐れ得ないことを思い出させる、今日では次第に使われなくなりだした用具。
【に】
二回(twice) 回数が一回だけ多すぎる。
握り屋の(close-fisted) 報いられてしかるべき価値ある多くの人々がぜひとも手に入れたいと願っているものを、いつまでも自分のものにしておきたいと、あくまでも熱望する。
贋の(counterfeit) 見たところは同じだが、価値の種類を異にする。
日記(diary) 自分の生活の中で、自分に対して恥ずかしくなく語ることのできる部分についての日々の記録。
入浴(bath) 宗教上の礼拝の代用をする一種の神秘的な儀式。ただし、魂にどのような効き目があるか、現在までのところ決定を見ていない。
人間((human) 自分の心に描く自分の姿に、恍惚として眺め入っているために、当然あるべき自分の姿が目に入らない生き物。
忍耐(patience) 小型の種類の絶望。ただし、美徳に偽装している。
【ぬ】
【ね】
猫(cat) 人が蹴飛ばすために悪しき神が用意した、柔らかくて、けっして壊れることのない自動人形。[重要な注釈:うちのふくは蹴飛ばされない。]
熱狂(enthusiasm) 青年がかかりやすい病気で、経験という外用薬と後悔という内服薬を少量ずつ処方すれば、治る。
熱心(zeal) 年が若くて世間知らずの者を悩ますある種の病気。
涅槃(nirvana) 仏教において、賢者たち、とくにこの状態を理解できるほど賢明な人々に捧げられるこの上なく快い寂滅の状態。
【の】
ノアの大洪水(Deluge) 洗礼の注目すべき最初の実験で、これによってこの世の罪(および罪人)はすべて洗い流されてしまった。
脳(brain) われわれが、それを用いて思考すると考えている器械装置。
喉仏(Adam's apple) 絞首索が外れないようにと、造物主が思慮深く用意してくださった、男性の喉に見られる突起。

【は】
陪臣(jury) 法廷が任命する若干名からなる人々で、弁護士たちに手を貸して、法が公正に堕することを防ぐ。
墓(tomb) 無関心の住み家。
博愛主義者(philanthropist) 自分自身を訓練した結果、良心がポケットの中のものを掏り取っているのに、作り笑いを浮かべて我慢していられるようになった金持ちの老紳士。
博識(erudition) 中身が空っぽの頭蓋骨の中に振るい落とした書物の埃。⇒学識
パズル(puzzle) 法の網。
発射物(projectile) 国際間の紛争を調停する最後のもの。
発明家(inventor) 歯車とテコとゼンマイを巧みに組み合わせ、そうすることによって出来上がったものを文明と信ずる者。
花嫁(bride) 幸福になり得るすばらしい前途の見込みを後ろにしてしまった女。
はにかみ(coyness) 不承不承の一種。
罵詈雑言(abuse) 反芻不能の機知。
反逆者(rebel) 新しい悪政を主唱しながら、これを敷くことに失敗した者。
汎神論(pantheism) 神は万物なりとする教義とは対照的に、万物は神なりとする教義。
反省(reflection) 自分と昨日の物事との関係を一層明瞭に見て取り、二度と再び出会うことのない危険を避けることを可能にしてくれる心の働きの一つ。
反乱(insurrection) 失敗に終わった革命。
【ひ】
日(day) その大部分は浪費に終わるのが常である24時間からなる一期間。
卑屈(abasement) 富ないし権力を前にしてとる礼儀にかなった習慣的な心の姿勢。
美徳(virtues) あるいくつかの責任回避。
人差し指(forefinger) 通常、二人の悪人を指し示すのに用いる指。
人前に出せ.る(presentable) その時その場所の慣わしに従って、醜悪な服装をした。
批評家(critic) 自分の機嫌を取ってくれる者が一人もいないので、おれは気難しい男なのだと自負している者。
病院(hospital) 病人が、通常、二種類の処置を受ける場所−医者による治療と管理者による虐待と。
平等(equality) 政治では、想像上の一つの状況を指して言うが、その状況の下では、脳ではなく頭蓋骨が重要視され、功績はクジで決定され、昇進という形で罰せられる。
拾い子゜(foundling) 自分の現在の状態や将来への期待にふさわしくない両親を厄介払いしてしまった子供。
疲労(fatigue) 哲学者が人間の知恵と徳について考察した後で陥る体の状態。
貧乏(poverty) 改革を企てる鼠どもの羽野ために用意されたヤスリ。
【ふ】
風刺(satire) 作者の敵どもが犯す悪徳と愚考のことを、不十分な憐れみの心をもって詳述する、現在では一般に行われなくなった種類の文学作品。
封筒(envelope) 書類を納めておく棺桶。
フォーク(fork) 主として死んだ生き物を口の中へ入れるのに使う道具。
不公平(injustice) 他人には背負わせ、自分は手に持って運ぶあらゆる荷物の中で、手に持って運べはとても軽く、背負わされればとても思い荷物。
不条理(absurdity) 自分の見解と明らかに両立しない言説ないし信念。
不誠実(dishonesty) 商業で成功を収めるさいの重要な要素。
武勇(valor) 虚栄心と義務感と賭博者の希望とからなる、軍人に特有の混合物。
文法(grammar) 腕一本でたたき上げた者が落っこちるように、そこここに親切に設けてある落とし穴を体系化したもの。
【へ】
兵舎(barack) 兵隊たちがその本分に従い、他人から奪い取ることになっているものの一部分を享受する建物。
兵卒(private) リュックの中に陸軍大臣の指令状を入れて持っている一方、その希望には妨害物が入っている陸軍の紳士。
平和(peace) 国際関係について、二つの戦争の時期の間に介在するだまし合いの時期を指して言う。
隔たり(distance) 貧しい人々がこれこそ我が物とするだけでなく、そのまま保ち続けても、金持ちが一向に文句を言わない唯一のもの。
ベッド(bed) 悪しき者を苦しめる拷問台。自責の念を防ぐすべのない無防備の城砦。
ぺてん師(impostor) 社会的名声を得たいと願うあなたの競争相手。
ベラドンナ(belladonna) イタリア語では「美しい婦人」の意、英語では「猛毒」の意。この二つの国語が本質的には同一であることを物語る顕著な一例。
偏愛(predilection) 幻滅への準備段階。
返還(restitutiou) 贈与ないし遺贈によって、大学や公共図書館を設立したり基金を寄付したりすること。
偏見(prejudice) 浮浪者に似た考え。したがって、浮浪者に衣食の道がないのと同様、これを裏書する明白な手段は一つもない。
返礼(recompense) 忘恩。
【ほ】
保安官(sheriff) アメリカでは郡の最高行政官を指して言い、その最も特有の任務は、西部および南部の一部の州にあっては、無頼漢を捕らえてこれを縛り首にすることにある。
忘恩(ingrtitude) 他人から恩恵を受け入れることと相容れないでもない自尊心の一形態。⇒恩知らず
ほうき星(comet) 夜外出して遅くなったり、酔っ払って朝帰りしたりする時の口実。
忘却(oblivion) 悪しき者が悪あがきをやめ、退屈で面白みのない連中が安息を得る状態もしくは状況。
暴動(riot) 悪気など少しもない見物人が、軍隊のために開いてみせる庶民的な催しもの。
放蕩者(debauchee) 快楽を追いかけるあまり、ついに不幸にも追いついてしまった者のこと。
報復(retaliation) 法律の殿堂の土台になっている自然岩。
法律家(lawyer) 法律の裏をかく技術に熟練している者。
ポーカー(poker) ある目的があってトランプを使ってやる勝負事だそうだが、その目的がどのようなものであるのか、本辞典の編者は一向に知らない。
牧師(clergyman) 自分自身の世俗的な生活を向上させる一つの手段として、われわれの信仰生活の管理を買って出る男。
ポケット(pocket) 動機の揺りかご。両親の墓場。
保険(insurance) わたしは胴元を破産産させつつあるのだ、という気持ちのいい確信を参加者に抱かせてくれる、独創的で近代的な運任せの勝負事。
保守主義者(conservative) 現存する弊害を新たな弊害によって代えたいと願う自由主義者に対して、現存する弊害に見せられている政治家。
補償(reparation) 不当な処置に対するものでありながら、それを犯す時に覚える満足感からその一部分を差し引かれた償い。
没落(ruin) 政治家や億万長者が、税金を納めなければならないことになったら、陥るに違いない状態。

【ま】
埋葬所(grave) 死者を葬り、医学生がやってくるまで待たせておく場所。
マカロニ(macaroni) イタリアの食べ物で二つの部分、つまり、管と穴の部分から成っているが、消化されるのは後者。
魔術((majic) 迷信を金銭に変化させる技術。
魔女(witch) 悪魔と邪悪な盟約を結んでいる醜い老婆、あるいははるかにその上を行く、美しく若い女性。
貧しい(poor) 税金を払うことのできない。
マヨネーズ(mayonnaise) フランス人にとって、国教の代用をしてくれるソースの一種類。
【み】
見栄(vanity) 愚かな者が一番身近にいる愚かな物に対して示す敬意のしるし。
みじめな(abject) 収入がぜんぜんない。
見捨てる(abandon) 身を誤った友人をたしなめる、あるいは、食うに困っている友人に教え諭す。
港(harbor) 船が嵐から難を避けたとたん、荒れ狂う税関の波をかぶらざるを得ない場所。
未亡人(widow) まだ死なない人。
未来(future) われわれの仕事がうまくいき、友人がつねに忠実で、幸福が確実なものとなる時の流れの中の一時期。
民主国家(commonweaith) 論理上は活動しているはずであるが、実はたまたま有能な、多くの政治的寄生によって運営されている行政上の統一体。
【む】
無学者(ignoramus) あなたがよく知っているある種の知識を欠いている反面、あなたのまったく知らない他のある種の知識を持っている人。
無宗教(irreligion) あらゆる偉大な信仰の中で最も重要な信仰。
無情な(caiious) 自分以外の者に災いがふりかかってきても、それに耐え得るほど偉大な強い精神に恵まれた。
無謀な(rash) 他人の与える忠告の価値に無頓着な。
【め】
メダル(medal) 多少ともまっとうなと考えられる徳行、功労、業績に対して与えられる小さな金属の円盤。
【も】
妄想(delusion) 熱狂・愛情・克服・信仰・希望・その他多くの立派な息子と娘を擁している、きわめて身分の高い一家の父親。
黙示録(Revelation) 使徒ヨハネが自分の知っていることは全部隠してしまって、何一つ書いていない有名な書物。
物語(story) 一つの話。ただし、通常、真実ではないとされている。
ものぐさ(laziness) 身分の卑しいものが、その態度に見せる不当な落書き。

【や】
野外(out-of-doors) いかなる政府も昔から税金を取り立てることができないでいる部分。
やくざ(rascal) 愚か者。
約束(promise) これと良い忠告とは、申し分ない贈り物となり、この二つならば、われわれは誰しも無理をしないで貧しい人々に与えることができる。
野心(ambition) 生きている間は敵から悪しざまに言われ、死んでからは味方から物笑いにされたいという、抑えようにも抑えることのできない激しい欲望。
【ゆ】
憂鬱(depression) バライティ番組を見て、あるいは他人の成功を眺めることから生ずる心の状態。⇒気鬱
有権者(elector) 他人の選んだ人のために賛成投票するという神聖な特権に恵まれた者。
優柔不断(indecision) 成功の最も重要な要素。正しい方法は疑いもなくただ一つと決めて突進していくより、道を誤る危険が少ない。
友情(friendship) 天気のよい時には二人乗せることができるが、天気の悪い時には一人しか乗せることができないくらいの大きさの船。
雄弁(eloquence) 白とは白であるように見える色をいうと言って、愚かな者にそう思い込ませる技術。
有名な(famous) 目に見えて悲惨な。
幽霊(ghost) 内なる恐怖が外に現れた、目に見える印。
揺りかご(cradle) いつも新鮮な状態に保っておこうと、人間の幼児を入れて揺り動かすこね鉢。
【よ】
夜明け(dawn) 思慮分別をそなえた者が床につく時刻。
容赦(forgiveness) 罪を犯したものを油断させておき、後で現行犯で捕まえてしばいてやろうとする策略。
用心深い(prudent) 聞くことの10%、読むものの25%、見ることの50%しか信じない。
要約(abridgement) 誰かある他人の文章の簡潔な概要。ただし、要約する者が抱いている確信と異なる部分は省略される。
翌日(morrow) 良い行いと悔い改めた生活の見られる日。仕合せの始まり。⇒過去、昨日、現在
予言(prophecy) 配達は先のことになると言って、自分の真実性を売る技術ならびに商売。
予定(predestination) あらゆる物事は一定の計画に従って起こるとする教説。

【ら】
楽天観(optimism) 醜いものをも含めて、あらゆるものを美しいと見、あらゆるもの、とくに悪しきものを善なりとし、誤っているものをすべて正しいとする主義ないし信念。
楽天主義者(optimist 黒を白なりとする主義主張を奉ずる者。
裸体(nudity) 好色な者にとってこの上なく苦痛な、美術に見られるかの特質。
【り】
離婚(divorce) 戦闘中の二人を引き離して、遠距離から戦いを続けさせる吹矢の一吹き。
理神論者(deist) 神の存在を信じながらも、なおかつ悪魔を崇める権利を保留している者。
理性(reason) 偏見に対する偏った好み。
略奪(plunder) 窃盗に普通に見られる慎みのある沈黙を守らないで、人の財産を頂戴する。
竜(dragon) 古代の人々の想像力が生み出した見世物の動物園で主役をつとめた呼び物で、その後檻から逃げ出した。
流行(fashion) 賢者が嘲笑しながらも、その命に従う暴君。
量(quantity) 腹をすかせている時には、立派に質の代用をしてくれるもの。
良心(conscience) 脳の灰白質を冒し、精神に軋轢を生じさせる、胃の病める状態。
良心のとがめ(scruple) もはや存在していない考えを表わすとして、すたれ始めている言葉。
隣人(neighbor) 私たちの方では、命令に従って、我を愛するように愛そうとしているのに、あらゆる手を尽くしてその命令に背かせようとする人。
【る】
【れ】
例外(exception) 正直な男とか、嘘を言わない女とか、その他、同一種類の他のものから、あえておのれを異にしようとするもの。
礼儀正しい(politeness) (1)最も歓迎すべき種類の偽善。 (2) 相手が他の者を狙って撃った弾丸があなたに当たった際、お邪魔をしてすみませんでしたと、撃った相手に対して謝罪すること。
霊柩車(hearse) 死者の乳母車。
霊魂(soul) 一つの精神的実在で、それについては、昔から派手な議論が行われてきた。
冷笑家(cynic) その視力が不完全であるために、物事を、あるべきようにではなく、あるがままに見る。たちの悪い奴。
歴史(history) 大抵は悪者である支配者と、大抵は愚か者である兵士とによって惹き起こされる、大抵は重要でない出来事に関する、大抵は間違っている記述。
歴史家(historian) 広範囲にわたって噂話をするやから。
恋愛(love) 一時的な精神異常だが、結婚するか、あるいは、この病気の原因になった影響力から患者を遠ざけるかすれば、簡単に治る。
【ろ】
労働(labor) A者がB者のために財産を獲得してやる方法の一つ。
老齢(age) すでに犯すだけの冒険心が持てなくなっている悪徳を悪しざまに言うことによって、いまだに失わずに持っている悪徳を棒引きにしようとする人生の一時期。
ロマンス(romance) 「あるがままの人生なる神」に対して、何ら忠誠の義務を負うところのないフィクション。
論理学(logic) 人間の誤解力の限界に厳密に従って思考し、推論していく技術。

【わ】
賄賂の効く(corrupt) 政治関係で、責任のある、地位の高い、利益のある官職に就いている。
和解(reconciliation) 戦争の一時停止。戦死者の死体を掘り出すための間。
わがまま(selfish) 他人のわがままに対して思いやりを欠いた状態。
笑い(laughter) 体内で起こる痙攣で、顔の造作を歪めるとともに不明瞭な騒音を伴う。伝染しやすく、断続的に起こるが、治療の方法がない。