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∴∴ 森林閑話 ξ
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森と林の違いってな〜に?
国語辞典では、森 = 大きな木がたくさん茂っていて、薄暗くなっている所。
林 = 広い範囲に木が多数生えた所。
広辞苑では、 森 = 樹木が茂り立つ所。
林 = 樹木の群がり生えた所。
大辞林では、 森 = 樹木が多くこんもりと生い茂っている所。
林 = 樹木がたくさん群がって生えている所。 とあります。
また、自然に生えているのが「森」、人の手が入ったのが「林」。 という説があります。
つまり、「森」は「盛り」。自然にモリモリ盛り上がったもの。
「林」は「生やし」。人が生やしたもの。 という考えです。
森林学や林業の現場では、自然に生えたものは「天然林」、人が生やしたものは「人工林」と言っています。
(参考:庄内拓明 知の関節技 http://homepage3.nifty.com/tak-shonai/intelvt/intelvt_015.htm)
森林はなぜ大切なのですか?
森林は、水を育む、災害を防ぐ、二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防ぐ、生活に彩りを添えるなど、私たちにとって欠かせないものです。

(引用:岡山県広報紙2008年6月)
【森林の面積】
日本は国土面積の約7割が森林で、世界でも有数の森林国です。森林のうち約4割は、スギやヒノキなど、人の手によって育てられた人工林です。
国土面積 3779万ha 森林面積 2512万ha(66%)(うち天然林
1477万ha 人工林 1035万ha)
岡山県土面積 71万ha 森林面積 48万ha(68%)(うち天然林
27万ha 人工林 21万ha)
【森林の蓄積】
蓄積とは、森林にどれくらいの木が生えているかを、体積によって表わしたものです。
森林の面積はあまり変化しませんが、蓄積は着実に増えています。これは、木が年々成熟してきていることを示します。
全国 3930百万立方メートル (うち天然林
1689百万立方メートル 人工林 2241百万立方メートル)
岡山県 74百万立方メートル (うち天然林
32百万立方メートル 人工林 42百万立方メートル)
全国の蓄積の推移
1966年 1887百万立方メートル(うち天然林
1329百万立方メートル 人工林 558百万立方メートル)
1976年 2186百万立方メートル(うち天然林
1388百万立方メートル 人工林 798百万立方メートル)
1986年 2862百万立方メートル(うち天然林
1502百万立方メートル 人工林 1386百万立方メートル)
1995年 3483百万立方メートル(うち天然林
1591百万立方メートル 人工林 1892百万立方メートル)
2000年 3930百万立方メートル(うち天然林
1689百万立方メートル 人工林 2241百万立方メートル)
【森林の働きをお金に換算すると】
日本学術会議は、暮らしを支える森林の働きの一部を金額によって評価・試算しています。
年間約70兆円です。(日本の国家予算(2007年度は約83兆円)にも迫るたいへんな額なのです。)
この他にも、きれいな景色や心の安らぎ、野生動物の棲家など、お金では計れない大切な働きがたくさんあります。
水を蓄える 8兆7407億円
洪水を緩和する 6兆4686億円
水質を浄化する 14兆6361億円
土壌の表面侵食を防ぐ 28兆2565億円
土壌の表層崩壊を防ぐ 8兆4421億円
二酸化炭素を吸収する 1兆2391億円
木造住宅による化石燃料代替効果 2261億円
保養健康効果 2兆2546億円
計 70兆2638億円
【二酸化炭素を吸収する森林】
スギの二酸化炭素吸収量に換算すると
人間1人が呼吸で排出する二酸化炭素は年間約320kg =スギ
23本 分
自家用車1台から排出される二酸化炭素は年間約2300kg
= 160本 分
1世帯の家庭から電気・ガスなどの使用による二酸化炭素排出量は年間約6500kg =
460本 分
(参考 :(社)全国林業改良普及協会「森林づくりボランティア手帳」. 「岡山県の森林資源」(2008年))
森林の水源かん養機能ってなんですか?
かん養(涵養)という言葉は、ふだんあまり言わない、ちょっとむずかしい言葉ですよね。
辞書を開くと、「自然に水がしみこむように徐々に養い育てること。」とあります。
つまり、「森林が水を育み、蓄え、守っている働き」ということです。
工学の計算と設計で、コンクリートとプラスチックで作られた都会は、降った雨は、土にしみこまず、管(下水道)→川→海に流れ出てしまいます。
森林は、土が“ふわふわ”なので、降った雨はまるでスポンジにしみこむように、ゆっくりと森の土の中にしみこんで、地下水に蓄えられます。そして、少しずつ川に流れていきます。大雨が降ってもすぐに川があふれないし、日照りが続いても川の水がすぐになくならないのは、このためです。
また、雨水は、森林にしみこむ間に、自然の力でろ過されると同時に、自然のミネラルが溶けこんで、きれいなおいしい水になるのです。雨水をそのままコップに受けて飲んでも、なんだか変な味で、ちっともおいしくないでしょう?
飲み水をはじめ、農業用水や工業用水に、きれいで豊かな水は人間の暮らしに欠かすことはできません。
森林は、自然の「緑のダム」なのです。
岡山県は、豊かな森林を源に、高梁川、旭川、吉井川の3つの立派な川が流れて瀬戸内海に注いでいます。
水は人間にどれくらい必要なのでしょう?
飲み水だけをみると。
生まれて100歳まで毎日1リットル飲むと、
1リットル×365日×100年=36500リットル=36.5立法メートル。
3.3メートルのサイコロひとつ、うちのお風呂の200杯分、近所の幼稚園のプールの1杯で、
川に流れる水の0.000*秒(少なすぎて計れない)くらいの量です。
しかし、人は、飲み水だけでなく、
上流の森林がよいと海の魚もよく育つって本当ですか?
本当です。
はるか上流の森林の養分は、川から海に注いでいます。また、運ばれた植物性プランクトンを動物性プランクトンが食べ、それを小さな魚が食べ、それを大きな魚が食べて… というように、上流の森林と海は自然のシステムでつながってます。
岡山県の下津井はタコ漁が有名ですが、梅雨の時期に川から海に注ぐ水量が多くなると、タコの栄養も増えるのでタコがおいしくなるといわれています。
また、備前市や瀬戸内市、浅口市では牡蠣の養殖が盛んですが、漁師のみなさんで協力して上流の山火事跡地に植林をしました。土砂が流れ込むのを防ぎ海水がにごらず牡蠣の成育がよいそうです。
なぜ木は太く高くなるのですか?
木は動物と違い、自分で歩くことができません。なん10年でもなん100年でも、じっとそこに立ち続けています。
しかし、木も生き物ですから、呼吸(酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す)もしますし、水や養分も必要です。
そして、これらを使って自分の体を作るには太陽の光が必要なのです。
光は上から注ぎますから、ほかの植物よりも背丈を高くして、光を受ける葉っぱを上に出すほうが有利です。
そのためには、枝や葉を支える幹は丈夫にしなければなりません。
そのようにしてほかの植物と競争した結果、太く高くなる樹木が生まれたと考えられています。
どうやって木は大きくなるのですか?
木が大きくなるのは、空気中の二酸化炭素(CO2)を葉から吸って、炭素(C)を幹や枝に蓄えていくからです。
そのメカニズムをお話しましょう。
まず水。たいていの木は枝を斜め上向きに広げています。降った雨水は枝から幹の表面を伝って、できるだけ自分の根の近くに集まり土にしみ込みます。
枝には葉っぱがあり、日光を効率よく受けようと広がっています。葉は日光で温まり小さな穴(気孔)から水が蒸発します。蒸発すると木の中の水圧が低くなり、ストローで吸い上げるように根から水を吸い上げます。
水には養分(窒素N、リンP、カリKなど)が溶けています。これらの養分はもとはといえば、葉っぱが落ちて微生物に分解されて土になったものです。
ある種類の木は、自分で空気中の窒素を吸って根に蓄える働きをもつものもあります。
さて、では、本題の炭素。
葉っぱには葉緑素(クロロフィル)という光エネルギーを吸収して化学エネルギーに変換する物質があり、日光と水の作用で空気中の二酸化炭素(CO2)を吸って炭素(C)を体内に蓄え、酸素(O2)を吐き出します。
木は自然のクリーンな化学工場です。これほどの精密な酸素製造工場を作ろうとすれば、莫大なお金と設備が必要でしょう。
木が大きくなり続けているということは、空気中から葉っぱを通して幹や枝に炭素を蓄え続けているということであり、二酸化炭素を吸い酸素を吐き出し続けている、ということなのです。

「地球温暖化」のニュースの中で「資源の循環」といっていましたが、「資源の循環」ってなんですか?
樹木にかぎらず植物は、葉っぱの葉緑素と日光と水のはたらきで、空気中の二酸化炭素(CO2)を吸って、体内に炭素(C)を蓄えて酸素(O2)を吐き出します。
森林は空気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵する自然の巨大な化学工場のようなものです。
木が大きくなると、資源として人は伐り倒して家を建てたり、紙にして利用します。家や紙は炭素の保管倉庫のようなものなのです。
やがて家や紙は傷んで、建て替えられたり、再生・再利用されて、最後には燃やされます。
燃えるということは、炭素(C)と酸素(O2)がくっつくということですから(C+O2=CO2)、元の二酸化炭素(CO2)に戻ります。
つまり、森林を仲立ちとするCとO2とCO2は、形を変えながら増えもせず減りもせず、ぐるぐる循環しています。これが「炭素の循環」、「資源の循環」です。
「地球温暖化」という言葉をよく聞きますが、どんなことですか?また、温暖化を防ぐにはどうすればよいですか?
地球上の空気は、主に約80%が窒素、約20%が酸素でできています。二酸化炭素は0.037%でわずかなのですが、増え続けて地球を覆っていて、困ったことになっているのです。
二酸化炭素は赤外線を吸収し熱を外に逃がさない性質があります。地球の二酸化炭素がほどよい量なら、地球の熱は適当に宇宙に逃げて行き、暖かくなり過ぎはしませんが、二酸化炭素が増え過ぎて地球を取り囲むとまるで温室の中にいるように、熱がたまり過ぎになります。(「温室効果」といいます。)
地球を人に例えるなら、厚着して暑苦しくなっている状態です。
これが、「地球温暖化」です。温暖化が進むとと、南極や北極の氷やヒマラヤの氷河が溶け、海の水が増えて海面が上がり、陸地が海に沈む…という大変なことになります。
「地球温暖化」の原因は、石油や石炭を自動車や工場の燃料や化学製品の原料として大量に使っているからです。
石油や石炭は、約6500万年前に絶滅した恐竜の死骸やジャングルが地下の奥深くに長い時間閉じ込められてできたもので「化石燃料」ともいい、主な成分は木と同じ炭素です。
人間は化石燃料を約280年前から使い始めました。もともとは18世紀のイギリスで、燃料としていた木炭の消費が激しくなり森林破壊が進んでいたために、森林を守るために木炭から石炭へと燃料が切り替えられたのです。(「燃料革命」、「産業革命」)
しかし、考えてみてください。地上にある森林の分量の炭素は燃やしても循環しますが、地下から掘り出した化石燃料を燃やして出る二酸化炭素の分量は、今の森林が吸収できる量を超えるので、増えるばかりで減らないのです。ちなみに280年前の濃度は0.028%だったことが南極の氷の観測などでわかっています。
これを防ぐ手立ては、2つしかありません。まず、二酸化炭素を出す量を減らすこと、そして出してしまった二酸化炭素は、森林を増やし、整備して吸収させることです。
今、世界中が真剣にこれに取り組んでいるのです。

森林はCO2をどのくらい吸収するの? 地球温暖化防止の
森林の効果って?
一例で林齢50年のスギの人工林で試算します。
1ヘクタールあたりの本数は900本で、蓄えられている炭素の量は約170トン。CO2に換算すると、1本が1年に取り込む量は約14キログラムになります。
1人の人が呼吸で吐き出すCO2は年間320キログラムでスギ23本分の年間吸収量に、また、1つの世帯が排出する量は年間6500キログラムで460本分にあたります。
樹種によっても違いがあります。スギ、ヒノキなど成長が早い針葉樹は固定するCO2の量も多く、ブナなどの広葉樹は比較的少なくなります。
また、成長するにしたがって1年に固定する量は減り、樹齢80年のスギは20年に比べて4分の1以下に低下します。(参考:毎日新聞2002.05.14.)

木を伐り倒す基本動作という「きまり」はありますか?
あります。どんな仕事でもスポーツでも楽器でも、基本動作がありす。
それは、普通の道を、安全に無理・無駄なくラクに動くのと同じです。
木の伐倒は、次の手順が基本です。
@倒す方向を決め、倒す側に直径の1/3〜1/4を水平に切り込む。
A斜め上方から30°〜45°のクサビ形に切り込む。これを「受け口」といいます。
B反対側、受け口の高さの2/3程度のところに水平に伐り込みます。これを「追い口」といいます。
C「受け口」と「追い口」の間(「つる」といいます)が直径の1/10くらいのタイミングで木は自重と重心の移動でめりめり…とゆっくり倒れはじめていきます。
チェンソーは、無理に力を入れて押しつけなくてもよろしい。また、ノコギリのように前後にゴリゴリ動かしてはいけません。刃の回転でひとりでに木に食い込んでいきます。

ちなみに、
チェンソーは、カッターナイフのような鋭い刃が鎖状につながって、時速100キロくらいの猛スピードで回転します。
油断すると大怪我をする、たいへん危険な道具です。安全が第一です。
森林作業専用のヘルメットがあります。頭だけでなく顔面や耳を守る防具が付いています。
また、誤って足や手に当たっても、怪我を最小限にとどめる特殊な繊維でてきた靴やグローブ、ジャケットがあります。
これらの防具はヨーロッパでは法律で義務づけられていますが、ゆるゆるの日本にはありません。
日本の林業技術(特に安全対策技術)は、ヨーロッパに50年以上遅れています。


(タウン情報誌「岡山プラザ」2007.10表紙)
高性能林業機械とはどのようなものですか?
おそらく、多くの人は、山から木がどのように伐られ運び出されるかといた現場を見たことはないのだろうと思います。
まさか!オノやノコギリで伐って、人の力で運び出すんだ、と思っている人も、やはりいて、、、
今は、機械を使います。それは、
土木・建築の現場で働くバックホーやクレーンに似た機械で、林業専用に作られたもので、
木を伐り倒し、枝を切り払い、丸太を作り、運ぶ機械です。
林業の人の力による仕事から効率・安全が飛躍的に高まりました。
ヨーロッパで早くから開発され、日本では1990年(平成のはじめ)ごろから普及し始めました。


(引用:林野庁PR資料)
このページの文と絵は、わたし(ふくの同居人)が岡山県林業試験場のHP(2007年版)の原稿に書いたものの一部です。
データの出典・参考・引用などは、明記しています。