about Austro. & Simpso.

 

=Austrolebias属=

 

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Austrolebias

Simpsonichtys

その他の南米年魚

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黒の大地>

私たちの仲間内ではいつの頃からかこのグループの魚を「」と呼ぶようになりました。確かに、黒というか、ダークブルーというか、深緑というか、・・・やっぱり黒いのです。
しかし、その黒の基調色に点在するメタリックスポットの輝き、そして墨絵のように流れる横縞の流れは、何というかし・ぶ・い!のです。Aphyosemion属やNothobranchius属のカラフルな世界を「フリフリネエチャン」とか、こき下ろして、シックな男の黒を一途に邁進?するのです。(注:以前のCynolebias属やMegalebias属は新しく分類し直されて、ほとんどがAustrolebias属になっています。)

alexandri Feliciano El Bulin

 bellottii のビオトープGualeguaychu

 採集中のMartinさんたち

    上の右2枚の写真はアルゼンチンのMartin Forcadeさんからいただいたものですが、現地の環境がよくわかります。雨季に氾濫した川が、乾季に取り残されてできるビオトープが「黒」達の住み家になります。水深は50cmまで、水底は草などの堆積、流れはない、など水槽での飼育上で必要な情報が読み取れます。
 また、とても重要なことですが、乾季は現地の冬にあたります。このため、雨季の訪れる時期、すなわち休眠卵が孵化する時期はとても寒くて水温も低いのです。熱帯卵生メダカとして取り扱われるAustrolebias属ですが、立派な「温帯魚」なのです。
 

黒の故郷・アルゼンチンとウルグアイ>
 
次の表に示したようにAustrolebias属はアルゼンチンとウルグアイに分布しています。よく見てみると、両国の間を流れる大河・ラプラタ河がつくっている広大な水系に分布しているようです。

アルゼンチンで採集される年魚

ウルグアイで採集される年魚

bellottii,  elongatus,  monstrosus, nonoiuliensis,  patriciae, robustus,

toba, vandenbergi

affinis,  arachan,  charrua,  cheradophilus,

cinereus, duraznensis, gymnoventris, juanlangi,

luteoflammulatus, lizardoi,  melanoolus,  nioni,

prognatus,  reicherti,  salviai,  univentripinnis,

vazferreirai,  viarius,  wolterstorffi

alexandrii, nigripinnis, apaii, elongatusは両国に共通

 圧倒的にウルグアイに種類が多く分布しています。そして、これらは「ウルグアイもの」と呼ばれることがあり、アルゼンチン産に比べて低水温で飼育することが常とされます。ベリースライダーを防止する冷水浸水マニュアル(下記)などが有効なグループです。体側の深緑色の地色に出る黒いバンドがキ・レ・イなのが共通しています。
これに対して、「アルゼンチン産」は、いわゆるアルゼンチンパール・フィッシュで有名なbellotii nigripinnisとよく間違われる)のように、体側にメタリック・ブルーのスポットが出るのが特徴でしょうか。いずれにしても、アルゼンチンの中央部のパンパと呼ばれる地方に多く分布していますのでウルグアイものほど低水温に保つ必要はありません。
 いずれにしても、地図をごらんになればおわかりのように、これらの魚達は日本と同じような緯度である温帯にあります。ウルグアイは一部亜寒帯にも属するほどなので、何度も繰り返しますが、このグループの飼育に際しては「熱帯魚」のイメージは完全に捨て、睡蓮鉢で飼う日本のメダカと同じ飼い方でよいのです。

ウルグアイのビオトープ

かなり浅い水深で採集

こんな所にアレキが!

 

ピートダイバー>
 南米産の年魚全般に共通してみられる習性ですが、繁殖に際して、これらのグループの魚たちは雄がピートモスなどの産卵床に深くもぐります。アフリカ産のNothobranchius属が産卵床にこすりつけるようにして卵を産みつけるのに対して、自分の体長ほどは潜って完全に姿が見えなくなるような位置に卵を産みつけます。まず、雄が産卵床の上部で定位し、雌を誘います。雌が近寄ってくると、雄はピートの中に飛び込み、雌がこれに続いて潜り込み産卵行動をするのです。往々にして雄が先に出てきますが、雌はかなり遅れて出てきたり、しばらく潜ったままのこともあります。

このような性質のためピートダイバーと呼ばれるわけですが、これに合わせるために産卵床のピートモスは壺のような深い容器に入れてやる必要があります。初めて産卵行動を見ると非常に神秘的なシーンに思われ、黒の世界に引きずり込まれた方も多いでしょう。

 

飼育の仕方>

セットアップ:setup
 
10cmを越すelongatusprognatusを除いて、ほとんどの魚が5cm前後のサイズなので、S水槽(30cm)で十分飼育できます。基本的にはその他のメダカと同じセッティングでよいのですが、ピートダイバーであるため、産卵床として底の深い容器を入れてやる必要があります。また、ピートに潜るときには、ものすごくピートをまき散らすことが多いので、水草などはすぐに汚れるので、ベアーなタンクで飼われている方がほとんでしょう。ま、かといって殺風景が嫌いな方は、マツモなどを適当に入れてやると良いでしょう。
 elongatusやprognatusなど旧メガレビアス属は10cmを軽く越しますから、もちろん60cm水槽が必要です。

ピート中で発眼した休眠卵

メンテナンス:maintenance
 
水質は中性から弱酸性側に少し傾いていることがベターのようですが、ピートを産卵床に用いますから自然にそのようになるはずです。ですからpHには全く気を遣う必要はありません。水温は、アルゼンチン物で23℃前後、ウルグアイ物で20℃前後がベターですが、戸外で飼育されている方などは冬は数℃にもなります。氷の張った睡蓮鉢に中で生きていた!などと聞きますが嘘ではありません。冬が近づいてくるほど、キレイになってくるし、本来の黒の美しさが出てきます。
 問題は、夏場の高温です。27℃までなら何とかなりますが、それ以上は実際は難しいでしょう。年魚であるため、餌も結構たべますので、非年魚のように餌を切って夏を乗り切ることはできません。冷房時のエアコンが消費する電力は馬鹿になりませんので、やはり、卵で夏は乗り切るのがベストでしょう。それか、思い切って庭の木陰に水槽を少し埋める状態でしのいでいる方もおいでます。
 水換えは、1週間に3〜4分の1程度、意外と成魚で歳をとってくるほど急激な水質の変化には弱く、とつぜんスラーイダーになったりすることがあります。餌は冷凍赤虫で十分です。かなり食べますので、少しセーブしながら与えて「メタボ」を防ぎましょう。

繁殖:breeding
 
非年魚などに比べて、成長スピードはかなり早く、1ヶ月もして3pサイズを越す頃から体色が出始めるのと同時に、雄同士のけんかが始まったり、早いものは雌をさそいます。そろそろ産卵床をセットしてやりましょう。写真のような容器を準備して、長毛タイプでしなやかなピートモスを5cm程度、ふわりと入れてやります。ピートに潜るため、しなやかなピートモスが望ましく、粉状ピートもまき散らかされるのでだめです。ピートは事前に水に漬けておいて色出ししたもの(ピートにもよるが一ヶ月以上)か、軽く湯立てて(数分)色出ししたものがよいでしょう。ピートの散乱を防ぐために、口のすぼまった容器を使う場合は、内部の水が腐りやすいので、早めに取り出すほうがよいでしょう。
ただ、10cmを越えるタイプには容器など通用しませんから、水槽の奥にプラスチック板などで仕切りをつくって、ピートを深く敷き詰めます。卵の採卵はリセットするか、ホースでピートごと吸い取ります。

受精卵の休眠:incubation
 
受精卵の休眠は、ピートに混ざったままの袋の状態で保管します。高温で保管(30℃前後)しますと確かに休眠期間は1月程度と短くなりますが、これを繰り返しているとどうもトラブルが多いようです。まず、ベリースライダーが多いこと。そして、魚が殖えすぎること(処分に困る)。そして、最近感じていることですが、代が進む(F値が進む)と、急に扱いにくくなってきます。孵化率が急激に低下したり、病気が出やすくなったり、原因不明で全滅したり、・・・。マンネリ化することによる手抜き!なのかもわかりませんが。
 やはり、20℃以下の涼しい状態で保管した方が、長い目で見た場合に好結果を産むでしょう。発砲スチロールの箱に入れて、床の上などの最も室温の低いところで、暗くして保管してください。

発砲スチロールの保管箱

採卵日などきちんと書く!

プラケや稚魚水槽


儀式:wet, hatching, pu in the water

 儀式については、ノトの飼育編を参考にしてください。

 

※冷水浸水マニュアル※
 
この方法を私たちの先輩が思いつくまでは、漬けても漬けてもスライダー!の繰り返しでした。現地の状況がわからず通常の熱帯魚飼育をやっていたのです。
  その後、少しずつ改良を進めてきて、ほぼ安定してきた方法をまとめますが、これとて完璧ではないので各自が工夫されることをお奨めします。特に、輸入した卵はごく小さな袋に少しのピートで送られてきます。ウルグアイものなどは、現地で採集した魚が産んだばかりの卵を送ってくるので、アクアリウムになじんでおらず、まだまだ、て・ご・わ・い!のです。

  まず、発眼を確認したら、はやる気持ちを抑えて、さらに2週間待ちます

 金環はもちろん背骨ができ、色素粒もしっかり確認できたら、儀式に取りかかります。
  ↓
 新しい水をペットボトルに入れ(1種類に付き200mlほど)、冷蔵庫で数時間以上は冷やします。

  ↓

 水温が、10℃以下になったら、取り出して、儀式します。
  ↓ 

  ここからが重要で、とにかく低温の状態を1昼夜は保ち、それから、ゆーっくりと水温を上げます
 このため、縦長の発砲スチロールの箱や釣りのクーラーボックスに入れておいてもよいでしょう。
 低水温の場合は、稚魚は底の方にかたまっていますが、しっかり泳いでいれば、OK。
  ↓ 

あとは、低い場所に置いてやる程度で、通常の飼育と同じです。


稚魚の育成:
 稚魚の飼育については、ノトの飼育編を参考にしてください。
 

 成魚の育成:
 成魚の飼育については、基本的にはノトの飼育編を参考にしてください。若干酸性がかったほうがよいようですが、ピートを産卵床に使いますし、さほど気にすることはありません。ただ、稚魚よりも成魚の方が水質の急変には弱いので、大きいからといって半分も水換えをすると、突然にスラることがあります。
 また、ウルグアイ物に関しては、15〜20℃の範囲で飼うようにすると青や黒に深みが出て、本来の美しさが楽しめます。
 旧メガレビアス属については、特殊なので、特記します。  

 

代表的なAustrolebias属

代表的なSimpsonichtys属

 代表的なその他の属

 

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