活字本について ここでは、萩藩に関連する実名情報を得たい場合、比較的容易に利用できる活字化された本について、ご紹介します。 ●その他、主要な活字本 1.『萩藩閥閲録』 (ばつえつろくと読みます) 山口県文書館編 発行者: 昭和42年発行 全5巻 後にマツノ書店が復刻 萩藩の歴史学者の永田政純が藩主毛利吉元の命を受け、藩内の諸家が所蔵している文書や系譜を調査、掲載した古文書集です。調査は享保5(1720)年から6年間をかけて行われました。諸家が所蔵している文書とは?多くは「判物(はんもつ)」といわれるもので、例えば、毛利家に仕える前に、武田家に使えていて、その時の戦功に対する感謝状であったり、どこそこの領地を授ける、というような、今で言えば辞令のようなものです。よって、判物はその家が誰に仕え、どのような功績を挙げたかということが判る家の履歴書であり、宝です。江戸時代中期に藩によってその所在調査が行われ、現在に残っていることになります。今はその家が判物を紛失してしまっていても、閥閲録編纂の調査で確認されていた場合は、現在、活字化された閥閲録で見ることができます。また、今でも判物をお持ちの家があったとしたら、それは今から約290年前に編纂された閥閲録の一次史料ということになります。 ここに掲載されているのは藩士に限らず、陪臣や社寺、農商家も含まれています。「戦国時代は○○氏に仕えていたが、江戸時代は庄屋になった」という家で、当時判物を伝えていた場合は、閥閲録で調べられることになります。 2.『防長風土注進案』 山口県文書館編 発行者:山口県立山口図書館 昭和40年発行 全21巻 後にマツノ書店が復刻 天保13(1842)年に藩主毛利敬親(たかちか)が近藤芳樹に命じて編纂させたもので、萩藩領全域の村別の地誌(風土記)です。調査は天保末年(1840頃)から嘉永4(1851)に行われ、一つ一つの村について事細かに当時の状況の他、由来や風土などが記載されています。 ただし、当時の調査の限界や言い伝えを書いたところもあり、「注進案に書いてあるから、絶対に...」といえるものでは無いと考えます。 実名情報として興味深いのは、それぞれの村に住んでいた藩士や陪臣についての記載があることです。 この情報をデジタル化し、検索できるようにしたのが、 本ホームページの「在郷諸士/陪臣データベース」です。 3.『近世防長人名辞典』 吉田祥朔編 山口県教育委員会発行 昭和32年発行 萩藩成立前後から明治初年までの防長(山口県)出身の著名人について解説した辞典です。どこまでの著名人が対象にされたのか、そのあたりは判りませんが、思わぬ人が載っていたり、思わぬ事実があったりして、結構楽しめます(私みたいな人には)。 4.『山口県史』 現在、刊行中! 山口県の県史編さん室による古代から現代までの県史の集大成で、毎年数冊が刊行されています。 現在は資料編が続々刊行されていますが、諸隊の名簿や中世の判物、幕末の諸士の動向など、実名情報はあちこちに見られます。丹念に目を通していくと、目的の人物に出会えるかも。 5.『もりのしげり』 時山弥八著 大正5年発行 これは実名情報が書かれた本ではありませんが、毛利一族の系譜や藩内の階級、歴史年表、諸隊の名前など、多くの萩藩の情報が掲載されています。ただし、鵜呑みは禁物。「もりのしげりにあるから」といっても、そのまま信用できないと思えることは結構あります。 6.『山口県近世史研究要覧』 石川卓美編 マツノ書店発行 昭和51年発行 339頁 巻末に、在郷諸士や給領主の情報がありますが、近世の萩藩に関わる用語の意味を知るには便利な一冊です。ただし、鵜呑みは禁物。実態を細かく調べると、テーマによっては「ん?」というものもあります。しかし、便利な一冊。
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