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事件番号 事件名 裁判年月日・裁判所名 主文の一部
昭和22(れ)73 不敬 昭和23年05月26日  最高裁判所大法廷  棄却 被告人A及び弁護人正木・同布施辰治同福田力之助同森長英三郎同青柳盛雄の各上告趣意は後記の通りである。本件は、昭和二十一年五月十九日、被告人Aに公判請求書 記載の如き「プラカード」携行等の所為あり、右は改正前刑法第七十四条第一項にいわゆる天皇に対する不敬の行為にあたるものとして、昭和二十一年六月二十二日起訴せられ、同年十一月二日東京刑事地方裁判所において、被告 人に対し、有罪の判決が言渡されたが、其翌十一月三日、昭和二十一年勅令第五一一号大赦令が公布施行せられ、同日前に前示刑法第七十四条の罪を犯したものは、同令により、赦免せられることとなつたのである
昭和23(れ)567 窃盗、準強盗傷人、強盗傷人、有毒飲食物取締令違反 昭和23年10月16日  最高裁判所第二小法廷  棄却 弁護人布施辰治の上告趣意第一点について。朝鮮人は、連合国人に属せず、日本在住の朝鮮人は日本刑法の適用を受け、日本の裁判権に服するものであることは、昭和二 一年六月一三日、勅令第三百十一号、及び一九四五年一月三十一日附連合国最高司令部発日本帝国政府宛「連合国、中立国及び敵国ノ定義ニ関スル覚書」並びに刑法第一条第八条の趣旨に徴し明瞭である。
昭和23(れ)1049 窃盜 昭和23年11月15日  最高裁判所大法廷  棄却 原判決は、所論生産管理の主体が労働組合であつたことを認定してはいるが、判示鉄板の搬出領得の実行々為を担当した者は被告人等であつたと認定しているのであるから、他の 組合員等にもその行為の責任を負わせるべきか否かは別として、少くとも被告人等がその行為の責任を負うべきことは当然である。従つて原判決には所論のような違法はない。同第四点について。 論旨の理由なきことは、上村、 牧野両弁護人の上告趣意第二点以下について説明したとおりである。 弁護人森長英三郎、同布施辰治上告趣意第一点第二点及び第三点について。 論旨の採用できないことは、上村、牧野両弁護人の上告趣意第二点乃至第 五点について説明したとおりである。
昭和23(れ)1984 銃砲等所持禁止令違反 昭和 24年04月05日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意は末尾に添付した別紙書面記載の通りである。 上告趣意第一点について。 所論の如く、拳銃の構造様式等について、、詳細に判示することは望ましいこと ではあるが、それをしないからとて違法とはいえない。けだし拳銃と言えば、社会 通念上、弾丸発射の機能を有する装薬銃砲であることがわかるのであるから、銃砲 等所持禁止令に所謂銃砲に該当するものであることを窺い知ることができるし、ま た原判決挙示の証拠物によつて、同法の所謂銃砲に該当することを認め得るから、 所論の如き違法はない。従つて論旨は理由がない。
昭和24(れ)232 強盗殺人、死体遺棄 昭和24年07月19日  最高裁判所大法廷  棄却  被告人B弁護人布施辰治上告趣意第一点について。所論は、刑法六八条による法定の減刑の方法につき原判決に違法があると主張する。しかしながら、法律上刑の減軽 をする場合において、本件のように二個以上の刑名があるときは、先ず適用すべき刑を定め、然る後その選択した刑を減軽すべきものであることは、刑法六九条の明定するところである。原判決は、強盗殺人の所定二個の刑名の中 死刑を選択し、然る後心神耗弱による法律上の減軽をし無期懲役刑に処したものであるから、その法律適用については何等の違法はない。所論は、理由がない。
昭和24(れ)933 強姦致傷、不法監禁 昭和24年07月12日  最高裁判所第三小法廷  破棄自判(※) 弁護人橋本順同布施辰治の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。弁護人橋本順上告趣意第一点及び弁護人布施辰治上告 趣旨第二点、同第四点について。論旨は多岐にわたるから、便宜上区分して説明する。(一)強姦に際し婦女に傷害の結果を与えれば、姦淫が未遂であつても強姦致傷罪の既遂となり、強姦致傷罪の未遂という観念を容れることは できない。原判決の認定した事実によれば、被告人等はFを強姦することを共謀して同女を強姦し、且つ強姦をなすに際して同女に傷害を与えたというのであるから、共謀者全員強姦致傷罪の共同正犯として責を負わなければならな い。原審相被告人Eは、同女を姦淫しようとしたが同女が哀願するので姦淫を中止したのである。しかし他の共犯者と同女を強姦することを共謀し、他の共犯者が強姦をなし且つ強姦に際して同女に傷害の結果を与えた以上、他の共 犯者と同様共同正犯の責をまぬかれることはできないから中止未遂の問題のおきるわけはない。従つて所論未遂に関する論旨は採用できない。 
昭和24(れ)1301 昭和二三年政令第二〇一号違反教唆 昭和28年06月03日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所 被告人の教 唆に応じたA、B、C等二十数名のした職場離脱がいずれもこのような危険性ある ものであることは明らかなところであるから、論旨は理由がない。弁護人布施辰治の上告趣意書は期間経過後に推出されたので判断を示さない。
昭和24(れ)1302 昭和二三年政令第二〇一号違反教唆、同幇助 昭和28年06月03日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所 被告人の所為が幇助犯となることは言うまでもない。また旅費又は 鉄道乗車券を給与することが本件の場合に幇助となることも多言を要しない。され ば、論旨は理由がない。弁護人布施辰治の上告趣意書は期間経過後に提出されたので判断を示さない。
昭和24(れ)1303 昭和二三年政令第二〇一号違反 昭和28年06月03日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所 原判決摘示の事実はその挙示の証拠で十分認めることができる。そして右の事実 は正に被告人がA等と、本件政令第二〇一号二条一項に違反する罪の実行を共謀し、 右A外六名においてこれを現実に実行したものであるから論旨は理由がない。弁護人布施辰治の上告趣意書は期間経過後に提出されたので判断を示さない。
昭和24(れ)1509 公文書偽造行使、詐欺、物価想定令違反 昭和24年09月01日  最高裁判所第一小法廷  棄却 弁護人布施辰治上告趣意第一点について。しかし原判決はその冒頭において「被告人は、、、、、Aと相談の上転出証明書を偽造行使して主食を編取、、、、ことを企て 」と判示し、判示第一事実として所論前段の摘示に続いて「同月一〇日頃埼玉県a町b町c番地被告人方でAと共に行使の目的で被告人が使用していないB等九〇数名の名簿を提供しAが右転出証明書用紙二〇枚の表面、、、、所 要記入欄にペンで右B外九七名の氏名共の他の所要事項を書入れ被告人が裏面配給物資記入欄の、、、、、、項に「昭和二三年二月一五日」というゴム印を押し味噌、醤油、塩の欄にペンで、、、「二」の字を入れ次で同月一四日 頃千葉県館山市内C旅館で転出先欄に「千葉県安房郡a村」という文字を書入れ、、、、右東京都中野区長Dの作成すべき転出証明書二〇通(昭和二三年押第三二六二号の一)の偽造を順次完成し」と判示しているのであるから、 右第一事実の判示は原審が被告人と原審相被告人Aとは転出証明書の偽造を共謀し偽造文書の素材に供する目的で氏名住所不詳の朝鮮人から判示の転出証明書用紙を買受けこれに判示のように年月日、氏名、数量、転出先等を記載 して本件転出証明書の偽造を完成したものと認定判示したものであることは明白である
昭和24(れ)1622 監禁 昭和28年06月17日  最高裁判所大法廷  棄却 被告人Fの弁護人布施辰治上告趣意第一、二点について。日本国民は、法律に定めた裁判官以外の裁判を受けることのないことは、憲法に保障されている国民の権利であ る。本件、労働組合員等大衆を裁判官とする人民裁判において、B、Cが敗訴の判決を受けたのに、これに服しなかつたため退去を許されず、又その判決の履行を、迫まられたもので被告人等に不法監禁罪は成立しないという所論 は、法治国の精神に反し、憲法を無視する所論であつて採るを得ない。又労働組合の要求が正当か否かを判断する必要のないことは、弁護人岡林辰雄、同青柳盛雄、同小沢茂、同藤井英男、同牧野芳夫の上告趣意第三点に説明した とおりである。論旨は理由がない。
昭和24(れ)1798 昭和二三年政令第二〇一号違反 昭和28年06月03日  最高裁判所大法廷  棄却  被告人A外四名の弁護人布施辰治の上告趣意について。昭和二〇年勅令第五四二号が日本国憲法にかゝわりなく、憲法外において法的効力を有することは、前記本件弁 護人小沢茂外六名の上告趣意第一点において判示したとおりであり、右勅令の要件を充して制定された昭和二三年政令第二〇一号も亦同様法的効力を有すること当然である。そして右政令第二〇一号が右勅令の要件を充しているこ とも亦右弁護人小沢茂外六名の上告趣意第二点及び第四点について判示したとおりであるから、論旨はいずれも理由がない。
昭和24(れ)2465 強要 昭和25年02月07日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 高松高等裁判所 弁護人神道寛次、同青柳盛雄、同上村進及び同布施辰治の上告趣意第一点につい て。人に脅迫を加えその脅迫状態を利用して義務なき事を行わしめれば、刑法第二二 三条第一項のいわゆる強要罪が成立する。
昭和24(れ)3067 騒擾、銃砲等所持禁止違反、脅迫、傷害、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反 昭和27年12月25日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 被告人H、M、Nの弁護人布施辰治、神道寛治の上告趣意第一点について 原判決が被告人Hに対し、第一審判決の認定した犯罪中銃砲等所持禁止令違反の 罪につき無罪を言渡したこと並びに同被告人に対し第一審同様懲役三年を言渡した ことは、所論のとおりである。しかし、本件のような旧刑訴法における控訴審は純 然たる覆審であつて、事後審ではないから、原判決が事実の認定、刑の量定につき 第一審判決と一致しないことのあるのは訴訟法上当然である。
昭和25(あ)612 恐喝未遂 昭和26年10月11 日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 名古屋高等裁判所 弁護人中沢信雄及び同布施辰治の各上告趣意は、結局量刑不当、単なる訴訟法違 反の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を精査しても同四 一一条を適用すべきものとは認められない。
昭和25(あ)761 昭和二一年政令第三二号違反・外国為替管理法違反等 昭和26年06月01日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 弁護人布施辰治の上告趣意(後記)は、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。ま た記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
昭和25(あ)870 酒税法違反 昭和26年03月 06日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 弁護人布施辰治の上告趣旨は末尾添附別紙記載の通りであるがその第一点は憲法 違反の語を使用して居るが、実質は事実審たる原審の証拠の取捨判断を攻撃するも のたるに過ぎず、上告適法の理由とならないものである。同第二点は量刑不当の主 張に過ぎずこれまた上告適法の理由とならない。
昭和25(あ)2386 強盗 昭和26年06月14日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 被告人Cの弁護人布施辰治上告趣意について。刑の執行猶予の言渡をするか否かは刑の言渡をなす裁判所が当該事件にあらわれ た諸般の事情を斟酌して裁定するところに委ねられている。所論はいずれも結局事 実審である原審の裁量である原審の裁量権に属する刑の量定を非難するに帰着し刑 訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。
昭和25(あ)2614 窃盗 昭和26年04月10日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意第一点及び第二点はいずれも量刑不当第三点は法令違 反の各主張であり、被告人の上告趣意は結局事実誤認量刑不当の主張であつて、い ずれも明らかに刑訴四〇五条所定の上告理由にあたらないし、本件について同四一 一条を適用すべき事由は認められないから同四一四条三八六条一項三号一八一条刑 法二一条を適用し全裁判官一致の意見により主文のとおり決定する。
昭和25(オ)238 行政処分取消請求 昭和27年10月31日  最高裁判所第二小法廷  棄却 上告代理人布施辰治、上村進、神道寛次、青柳盛雄、福田力之助、高木右門、蓬田武、小沢茂、上山重徳、谷村直雄、藤井英男、岡林辰雄、牧野芳夫、森長英三郎の上告 理由第二点、第三点、第四点及び上告代理人高木右門の第一点、第二点、第三点について本訴は上告人において昭和二三年政令第二〇一号「昭和二三年七月二二日附内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基く臨時措置に関する政 令」は形式的にも実質的にも憲法に違反するものであつてその制定行為によつて上告人等の憲法上保障せられている団結権、団体交渉権及び団体行動を行う権利の如き基本的人権が侵害せられたと主張した政令制定行為を以て行政 庁の違法なる処分として行政事件訴訟特例法に基きその取消を求めるものであることは一審以来の上告人等の主張によつて明らかである。
昭和25(オ)327 建物収去土地明渡請求  昭和26年10月09日  最高裁判所第三小法廷  棄却 上告人等代理人弁護士大山菊治、野町康正の上告理由第二点中には「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律第一三八号)は憲法 第七七条に違反するとの論旨を包含するが、上告理由は、原判決の法令違反を理由とすべきものであるから、右法律の憲法違反を主張する論旨は、上告理由として認めることはできない(昭和二三年(れ)第二一一八号昭和二二年 勅令第一号違反等被告事件、同二四年六月一三日大法廷判決参照)。 その他の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律第一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、 又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。上告人等代理人弁護士布施辰治提出の緊急上告理由の追加と題する書面は、上告理由書提出期間経過後の提出にかかるものであるから、同書 面記載の論旨については判断すべき限りでない。
昭和25(れ)853 建造物侵入 昭和25年12月 01日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所 被告人A弁護人布施辰治の上告趣意第一点について。原判決は被告人は「国有鉄道B機関区の同機関区長Cの看守する建造物である庫 内手詰所に、故なく侵入した」と判示していて、所論のように単に機関区長Cの看 守する機関区内庫内手詰所に侵入したとは判示していないし、又漫然と右Cの看守 する庫内手詰所に被告人が侵入したとも判示していないことは原判文自体で明であ るから所論のような違法はない。論旨は理由がない。
昭和25(れ)1505 公務執行妨害教唆 昭和26年 02月02日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 被告人A、B、C、D、Eの弁護人布施辰治の上告趣意第一点について。しかし原審における被告人及び弁護人等の所論の主張を排斥した原審の判断が正 当であることは弁護人岡崎一夫の上告趣意第五点乃至第九点について説明したとお りであるから論旨は理由がない。
昭和25(れ)1689 不法監禁等 昭和26年03月 13日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 被告人等の原審弁護人布施辰治提出の上告申立書の記載によれば、原審は審理の 結果本件について無罪の心証を得たにかかわらず日本官憲等を守護し朝鮮人に対す る民族的偏見に基いて政策的に有罪判決をしたものであるから原判決は違法である というのであるが本件記録を精査しても右のような事実は到底認め難いから論旨は 理由がない。
昭和25(れ)1902 建造物侵入、業務妨害  昭和27年02月22日  最高裁判所第二小法廷  棄却 被告人Aの弁護人布施辰治の上告趣意第一点について所論は原判決の事実認定を非離するに帰する。しかし原判決の判示事実はその挙示の証拠で充分に認めることができ るばかりでなく、その採証には経験則に反する点はないから論旨は採用できない。 同第二点について所論は本件組合がしたいわゆる生産管理は会社の業務の正常な運営を阻害しないから労働関係調整法七条にいう「阻害」にあた らないと主張する。しかし右法条は争議行為の定義を掲げただけであつて、争議行為又はそれに伴う諸々の行為がすべて適法又は正当であるといつているのではないこと、そして具体的の争議行為の適法性の限界については、別個 の観点から判断されなければならないことは当裁判所の判例とするところである。
昭和24(れ)1918 昭和二三年政令第二〇一号違反教唆、昭和二一年直営第三一号違反、威力業務妨害教唆、業務妨害教唆 昭和30年10月26日  最高裁判所大法廷  破棄自判(※) 弁護人布施辰治の上告趣意について。 論旨はいずれも理由のないことは、弁護人青柳盛雄、同森長英三郎、同小沢茂、同岡林辰雄の上告趣意について述べたところより おのずから明らかである。次に職権により調査するに、原判決の確定した、判示第一の事実は、被告人等三名は、いずれも鉄道職員であつたが、昭和二三年八月二九日福知山市所在鉄道青年寮で、大阪鉄道局福知山機関助手C外一 〇数名の同機関区鉄道職員に対し、多数の鉄道職員共同して夫々職場を放棄し鉄道業務に支障を来たさせ多数の威力を以て公務員法改正に対する反対運動を展開しなくてはならねとの趣旨を示唆慫慂し、さらに被告人Dは同月三一 日同寮で同機関区機関士Eに対し、右同趣旨の勧誘をなし、右C、E外一〇数名の機関士及び機関助手をしてその旨の決意をなさしめた結果、同人等をして共同して同年八月三一日頃から九月六日頃までの間に於て夫々無断欠勤す ることにより各自その職場を放棄し列車運行に関する計画にそごを来たさせたというのである。そして原判決は右事実につき被告人三名を一面国の業務たる鉄道の運営能率を阻害する争議行為をとらせたものとして昭和二三年政令 第二〇一号三条の罪の教唆犯にあたると共に、他面大阪鉄道局福知山管理部長の管理する鉄道業務を妨害させたものとして刑法二三四条の業務妨害罪の教唆犯にあたるとして処断しているのである。
昭和25(れ)1948 銃砲等所持禁止令違反、傷害 昭和26年04月17日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意第一点についで。原判決挙示の証拠によれば、被告人は判示拳銃一挺並びにその附属の実包等をA から取り上げたのみならず、その後も引き続きこれ等の物を携えたまたま一旦自宅 に帰り、更らにA方に乗り込んでこれ等の物を使用したのである。拳銃等をAから 取り上げるについては、仮りに所論のような理由があつたとしても、そのことはそ の後右の如くA方においてこれ等の物を所持したことを正当つける理由とはならな い。
昭和26(あ)125 酒税法違反、同幇助 昭和27年 01月24日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意(後記)はいずれも単なる訴訟法違反の主張を出でな いものであり刑訴四〇五条所定の上告理由に該当しない。(原審の是認した第一審 判決における判示第一の事実摘示には、濁酒密造幇助罪の具体的判示として何等欠 くるところはない。
昭和26(あ)295 賍物故買 昭和27年11月25 日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 弁護人布施辰治の上告趣意(後記)は、憲法違反を主張するけれども原審におい て主張、判断されていない上に記録に徴してもそのような強制等の事実は認められ ず結局憲法違反の前提を欠いており、上告適法の理由になちない。
昭和26(あ)1688 電車顛覆致死、偽証 昭和30年06月22日  最高裁判所大法廷  棄却 被告人Aの弁護人布施辰治の上告趣意第三点、同上村進の上告趣意第一点、同吉田三市郎外四三名の上告趣意第二点について論旨は、原判決は被告人Aの自白のみによつ て有罪を認定した違憲違法があると主張するのであるが、原判決は同被告人の本件犯罪事実を肯認するに当つて、第一審判決挙示の同被告人の自白その他多くの証拠を綜合して有罪を認定しているものであることは、原判決の判文 上明らかである。ただ右自白以外の証拠によつては、本件電車の発進が同被告人の作為に出でたものであるという点につき、これを直接証拠だてるもののないことは所論のとおりである。しかし同被告人の自白以外の証拠によれば 、右事実の肯認を含めた同被告人の本件犯行の自白(同被告人は控訴趣意で、第一審判決の同被告人の自白どおりの事実認定は正しいものであると述べているところである)については、その自白の真実性を裏付けるに足る補強証 拠を認め得られるのであつて、従つて被告人が犯罪の実行者であると推断するに足る直接の補強証拠が欠けていても、その他の点について補強証拠が備わり、それと被告人の自白とを綜合して本件犯罪事実を認定するに足る以上、 憲法三八条三項の違反があるものということはできない。論旨は理由がない。
昭和26(あ)1891 公職選挙法違反 昭和26年 10月04日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 布施弁護人の上告趣意第一点並びに植松弁護人の上告趣意は、いずれも量刑不当 の主張であり、また、布施弁護人の上告趣意第二点、第三点は、ともに、独自の単 なる訴訟法違反の主張すなわち判決書に判示すべき必要のない量刑に関する理由が 不備であるとの主張に帰するから、すべて刑訴四〇五条の上告理由ではない。
昭和26(あ)1895 酒税法違反、公務執行妨害、恐喝 昭和28年03月18日  最高裁判所第二小法廷  棄却 被告人Bの弁護人布施辰治の上告趣意について。論 旨第一点乃至第三点はいずれも刑訴四〇五条に定める上告理由に該当しない。のみならず同四一一条を適用すべき場合とは考えられない。 被告人A、同Bの弁護人川田政四郎の上告趣意第一点について。しかし酒税法二条は「本 法ニ於テ酒類トハアルコール分一度以上ノ飲料ヲ謂フ。」と定めているが、醪即ち原料に対して醗酵を営ましめているもので未だ酒類として熟成するに至つていないものについてはアルコール含有度につき何等規定するところがな いのである。従つて原判決の維持する第一審判決には所論のような違法はない。論旨は理由がない。 
昭和26(あ)2357 団体等規制令違反、犯人藏匿 昭和27年04月09日  最高裁判所大法廷  棄却 被告人A弁護人布施辰治の上告趣意第四点、被告人A弁護人岡崎一夫の上告趣意第一、二点、被告人Aの上告趣意第二、三点について。 団体等規正令(以下規正令と略 称する)一〇条による法務総裁の出頭要求命令の効力についての争訟は日本の裁判所が裁判権を有しないと解すべきことは昭和二五年(オ)一四七号同年七月五日大法廷判決(民事判例集四巻七号二六四頁以下)及び昭和二三年( れ)一八六二号昭和二四年六月一三日大法廷判決(刑事判例集三巻七号九七四頁以下)の趣旨に徴して明らかなところであるから、被告人Aに対する本件出頭要求命令を無効なりと主張する各論旨(青柳弁護人等上告趣意第三点、 岡崎弁護人上告趣意第二点、A上告趣意第三点)は採用することができない。
昭和26(あ)2401 酒税法違反 昭和28年02月 03日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 被告人A弁護人布施辰治の上告趣意は後記書面のとおりである。 同上告趣意について。 論旨第一点は量刑不当の主張であり、第二点及び第三点は法令違反の主張であつ て、いずれも刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
昭和26(あ)2407 酒税法違反 昭和28年02月 03日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意第一点は、結局量刑不当の主張であり、同第二点及び 第三点は、単なる法令違反の主張で、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
昭和26(あ)2461 酒税法違反 昭和28年03月 05日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意は、量刑不当、事実誤認及び単なる法令違反の主張で あつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
昭和26(あ)2761 酒税法違反 昭和28年03月 26日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 被告人D、同E、同Fの弁護人布施辰治の上告趣意第一、 二点は、単なる訴訟法違反の主張であり、同第三点は、違憲をいうが所論のごとき 差別待遇をした事実が認められないからその前提を欠くものであり、同第四乃至第 六点は、単なる訴訟法違反、事実誤認、量刑不当の主張を出でないし、被告人A、 同Bの弁護人三町恒久の被告人Aに関する上告趣意は、心神耗弱の主張に対する判 断遺脱を前提とする違法違憲を主張するがその前提たる主張事実を認め難く、従つ てその前提を欠くものであり、同被告人Bに関する上告趣意は、押収物品目録の違 法を前提とする違憲の主張で、その前提を欠くものであり、被告人Bの上告趣意は、 寛大な処置を求めるものである。
昭和26(あ)3185 強盗殺人 昭和26年12月 07日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 弁護人布施辰治の上告趣意について、所論第一、第二、第五点はいずれも事実誤認の主張に帰し、第三点は原審におい て控訴趣意として主張せず且つ原判決の判断しなかつた事項について第一審判決の 憲法違反を主張するものであり、第四点は刑訴法違反の主張に過ぎないものであつ て、いずれも刑訴四〇五条所定の上告理由に該らない。
昭和26(あ)4530 酒税法違反 昭和28年03月 12日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 仙台高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意第一点は、原審で主張も判断もなき事項について新た に主張するものであるから不適法なばかりでなく、本件は焼酎密造未遂罪で処罰し たことは明らかであつて、趣旨は採るを得ない。第二点は事実誤認、単なる訴訟法 違反の主張を出でないものであり第三点は量刑不当の主張で、適法な上告理由に該 当しない。
昭和26う174 公務執行妨害、昭和二三年政令第二三八号違反被告事件 昭和26年12月26日  仙台高等裁判所第二刑事部  破棄自判(※) 弁護人布施辰治の各控訴趣意は記録編綴の各控訴趣意書の記載と同一であるので茲に引用する。検察官の控訴趣意は要するに原判決は被告人に対する昭和二十三年政令第 二百三十八号違反の公訴事実につき法令の解釈適用を誤り此の点を無罪と断じたのは判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の適用の誤りであるから原判決は破棄を免れないというのであり弁護人の控訴趣意第一ないし第三点は要す るに原判決は被告人に対する公務執行妨害の公訴事実につき事実を誤認し有罪と断じて判決を言渡したが該判決は理由にくいちがいがあり且法の下の平等と裁判の公正に関する憲法違反の不法判決であるから破棄さるべきものであ るというのである。
昭和26う744 労働関係調整法違反被告事件 昭和26年11月13日  仙台高等裁判所第三刑事部  棄却  弁護人布施辰治の控訴趣意及び被告人Aの控訴趣意はそれぞれ刷紙記載の通りである。 同弁護人の控訴趣意第一点について。しかし、刑事訴訟法第三百三十五条第二項 に所謂犯罪の成立を妨げる理由となる事実の主張とは、犯罪構成要件以外の事実であつて法律上犯罪の不成立帰すべき理由である事実上の主張の意義に解すべきものであるから、本件に於て、所論のB労働組合C本部D支部E分会 が労働関係調整法(以下単に労調法と略称する)第三十九条第一項の「労働者の団体」に該当しないとの主張は、右のいわゆる犯罪の成立を妨げる理由となる事実上の主張に該当しないこと明かであるのみでなく、原判決の所論説 示は、不完全ではあるがB労組E分会が労調法第三十九条第一項の「労働者の団体」に該当するとの趣旨であると認められないこともないから、原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない
昭和26う6011 国民医療法違反被告事件 昭和27年08月04日  東京高等裁判所第六刑事部  棄却  本件控訴の趣旨は末尾に添付した弁護人斎藤俊平、寺田四郎、布施辰治名義の控訴趣意書記載の通りで、これに対し当裁判所は次のように判断する。控訴趣意第二点及び 第四点について。 原判決は被告人が原判示の所為によつて報酬を得た事実まで認定していないことは所論のとおりである。しかし国民医療法にいわゆる医業とは常業として医行為を為すことをいうのであつて、これにより報酬を 受けとり、生活を維持していた事実を必要とするのではないから原判決が所論のような判示をしなかつたことは理由の不備があるとは認められない。
昭和26(れ)242 公務執行妨害、酒税法違反 昭和26年09月27日  最高裁判所第一小法廷  棄却 弁護人布施辰治の上告趣意第一点について。原判決判示第一の判旨は、所論前段の説示においてまず被告人Aの犯行目的意図を示し後段の説示と相俟つて同被告人が判示 暴行を加えて判示公務員等の酒税法違反被疑事件のためにする捜査を妨げたとの一個の公務執行妨害罪を認定したものであること原判文上明らかである。されば原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由なきものである。
昭和26(れ)338 麻薬取締規則違反 昭和26年 05月11日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 被告人Gの弁護人布施辰治の上告趣意第一点について。 論旨は要するに量刑不当の主張であるから上告適法の理由にならない。
昭和26(れ)965 強盗 昭和26年08月09日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意について。 所論は結局事実誤認の主張に帰するのであつて、上告適法の理由にならない。な お原審認定事実は、その挙示する証拠からこれを認めることができるのであつて、 所論のような経験則違反の点も理由不備の点も存しない。
昭和26(れ)2336 公務執行妨害、酒税法違反 昭和27年02月05日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意(後記)は、いずれも訴訟法違背の主張であつて刑訴 四〇五条に該当しない。また記録を精査しても、同四一一条を適用すべきものとは 認められない。
昭和27(あ)1098 公務執行妨害、昭和二三年政令第二三八号違反 昭和29年01月14日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 弁護人布施辰治の上告趣意第一点は、判決があつた後に刑の廃止があつたとの主 張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
昭和27(あ)3400 酒税法違反 昭和28年12月 01日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意は、当裁判所の判例(昭和二六年(あ)四三八二号同 二八年五月二九日第二小法廷決定判例集七巻五号一一四六頁)と相反する見解の下 に酒税法の解釈を争うものの外は、訴訟法違反、事実誤認、量刑不当の主張であつ て、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用す べきものとは認められない。
昭和27(あ)5229 酒税法違反 昭和28年04月 30日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意第一点は、判例違反をいうが、その判例を具体的に示 さないばかりでなく、その実質は第一審判決の判示に副わない(第一審判決は、判 示第二の罪に併合罪の加重をしているから、これを重しとしていることは明らかで ある)単なる訴訟法違反の主張であり、同第二点は、量刑不当、同第三点は、単な る手続違背又は量刑不当の主張であつて、すべて、刑訴四〇五条の上告理由に当ら ない。
昭和27(あ)6332 賍物運搬教唆、恐喝、脅迫 昭和29年06月02日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 弁護人布施辰治の上告趣意第一点は判例違反を主張するがその判例を具体的に示 していないから論旨自体において不適法であるばかりでなく原判決を熟読すれば、 本件賍物運搬教唆罪は本犯たる窃盗罪が成立した後、被教唆者に対し賍物運搬罪が 成立したときに成立する趣旨であること疑いのないところであるから所論は理由が なく、同第二点は単なる訴訟法違反事実誤認の主張を出でないものでいずれも刑訴 四〇五条の上告理由に当らない。
昭和27(あ)6728 国民醫療法違反 昭和29年08月20日  最高裁判所第二小法廷  棄却 弁護人布施辰治同寺田四郎及び同斎藤俊平の上告趣意第一点について。 論旨は法令違反の主張であつて刑訴四〇五条所定の上告理由にあたらない。なお本件は医師でな い被告人が医業をしたかどうかという問題であつて、第一審判決判示によれば、被告人は「アトウン」の外に「ボフトニン」の皮下注射もして居るし、診断、薬物の塗布等もして居る。而もその期間は長期、回数も多く、患者の数 も多いのであるから、たとえ右「アウトン」が有効無害であり、また被告人が営利を目的とせず特殊な希望者だけを対象として行つたとしても国民医療法八条一項にいわゆる医業をしたことにあたると見るべきである。従つてこの 点に関する原判決は正当であつて法令違反は存しない。
昭和27(あ)6748 食糧管理法違反 昭和29年 10月19日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 被告人等の弁護人布施辰治の上告趣意は、結局食糧管理法の解釈に関する単なる 法令違反の主張に帰し刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
昭和27う2626 名誉毀損被告事件 昭和28年02月21日  東京高等裁判所第八刑事部  棄却  弁護人布施辰治の控訴趣意第三点ないし第七点について。右論旨は要するに原審は刑法第二百三十条の二の解釈適用を誤つた違法があるというのである。(イ)第四点に ついて。刑法第二百三十条の二にいわゆる公共の利害に関する事実と認むべきか否かの判断は、当該記事の内容その発表の範囲、その表現の方法等諸般の事情を斟酌し、又一方においてこれにより毀損される虞ある人の名誉の侵害 の程度をも比較考量した上右事実を摘示公表することが公益上必要又は有益と認められるか否かによつてこれを決定すべきものであることは、前示神道弁護人の控訴趣意第九点に対する判断において判示したとおりであつて、所論 の各事実において公表された事実は、その記事の内容発表の範囲並びにその表現の方法等諸般の事情を斟酌し又これにより侵害さるべき各被害者の名誉の侵害の程度とを比較考量するときは、右各記事を摘示公表することが公益上 必要又は有益であると認められる場合には該当しない。従つて原審がこれらの記事をいずれも公共の利害に関するものと認めなかつたことは相当である。「H」発行の目的が原判示認定のとおりであること、又は所論の各記事が私 怨又は悪感情に出たものかどうかは、被告人等の本件所為が公共の利害に関するものと認むべきか否かの判断を左右するものではない。
昭和27う3448 通貨偽造詐欺横領等被告事件 昭和29年03月26日  東京高等裁判所第八刑事部  破棄自判(※)  弁護人布施辰治及び被告人A10、同A16の弁護人森長英三郎(連名)、並びに被告人A2、同A4、同A5、同A6、同A9、同A16、同A17、同A19ことA 19各本人提出の控訴趣意書に記載されたとおりであるから、いずれもこれをここに引用する。これに対する当裁判所の判断は以下のとおりである。 二十 被告人A15の弁護人藤田馨の控訴趣意について 一乃至四(事実誤認 及び理由のくいちがい)について、 よつてまず、原判決の被告人A15に対する通貨偽造被告事件に関する犯罪事実認定の当否を検討するに、原判決は同被告人は行使の目的を以て被告人A3、同A2等と共謀の上千円札の偽造 を完成したものと認定判示し、これを通貨偽造罪の共同正犯に問擬しているのであるところ、一件記録に徴すると、被告人A15は昭和二十五年五月上旬頃被告人A11から被告人A3、同A2に紹介され、その際同人等から千円 札を偽造するにつき刷版を作る必要があるから、真正の千円札を写真撮影し、その拡大原画を製作して貰いたい旨の依頼を受け、同人等が行使の目的を以て千円札偽造を共謀している情を知り乍ら直ちにこれを承諾し、その頃右A 2の依頼を受け写真器及び附属薬品等を買い整え、同人等の指示に従い原判示被告人A2方居宅で新しい千円札を復写撮影した上、分色引伸をなし、同年八月中千円札の表三枚、裏二枚の分色拡大原画を製作し、その後仕事場を原 判示被告人A15方に移し、右原画の修正に従事し、同年九月頃一応依頼を受けた仕事をなし終えて右原画五枚を偽造の一味である被告人A11に引き渡したが、その後は被告人A3からその他被告人A18を除く原判示第一の被 告人等が右被告人A15から受け取つた右原画を基礎として諸般の工程を進め、原判示第一のとおり千円札の偽造を完成したもので、被告人A15は前記のとおり原画を引き渡してからは、右の被告人等とは交渉を断ち、その後の 偽造工程には全く関係せず、要するに被告人A2等からの依頼を受け、偽造の準備行為としての拡大原画の作成に当つたものであることが認められるのであつて、いまだ被告人A2等と共謀の上本件通貨を偽造したものとは認めら れない。
昭和28(あ)223 窃盗 昭和28年07月17日  最高裁判所第二小法廷  破棄自判(※) 弁護人布施辰治の上告趣意について。所論は、量刑の不当を主張するに帰するもので、刑訴四〇五条所定の適法な上告の理由とならない。しかしながら、戦権を以て審査 するに、本件第一審判決は、被告人は昭和二四年二月一日名古屋高等裁判所金沢支部において、常習賭博罪により懲役四月、五年間執行猶予の判決を受け、その後、昭和二七年政令第一一八号減刑令により懲役三月、三年九月の執 行猶予に変更せられ、その猶予期間中に本件犯行を犯した事実を認定しながら、同人には右前科があるからとして刑法五六条、五七条を適用して累犯加重の上被告人をその所定刑期範囲内において懲役八月に処したのは刑法五六条 の解釈を誤つた違法ありというの外なく、右の違法は被告人に対する科刑に影響を及ぼすことは勿論であるから刑訴四一一条一号を適用して、原判決並びに第一審判決を破棄すべきものとする。
昭和28(あ)1660 恐喝 昭和30年02月01日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 弁護人布施辰治の上告趣意第一点について。 所論は、刑訴四〇五条が検事の起訴した公訴事実の誤認を上告理由としなかつた ことは、憲法三二条に違反するという趣旨であるが、しかし単に上告理由に関する 手続規定の違憲の主張は、上告理由として不適法であるとするのは当裁判所の判例 とするところであるから、採用のかぎりでない。
昭和28(あ)2473 出入国管理令違反 昭和28年09月01日  最高裁判所第三小法廷  棄却 被告人は逮捕されて以来警察においても検察庁においても、間断なく電波拷問により迫害強制されたのであるから、本件公訴も原審判決も憲法三六条三八条に違反するというので あるが、記録を具さに調べて見ても、所論のような電波拷問又は自白強要の事実は認められない。従つて所論違憲の主張は前提たる事実を欠くことに帰し、適法な上告理由にあたらない。弁護人布施辰治の上告趣意(後記) 第一点について。勾留中の被告人につき刑訴一六七条により鑑定留置状が発せられ、その執行により被告人を出監せしめこれを他の個所例えば病院に移す場合は、既存の勾留の効力は消滅することなく当然その執行を停止されるも のと解するを相当とする。従つて所論が鑑定留置状の執行により既存の勾留は当然効力を失うという独自の見解に基き、被告人に対する勾留が憲法三四条同三一条に違反するという主張は前提を欠くことに帰し、論旨は適法な上告 理由と認められない。
                               ※破棄自判とは上級裁判所が、下級裁判所の下した原判決を破棄して自ら原裁判所にかわって審理をやり直すことをいう。


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