デコポン

デコポン デコポンの系譜



デコポンなるものを賞味したのは帰島してからのことである。
それまでにも色んな柑橘を味わっていたが、米国出張時の朝食で飲むオレンジジュースが一番美味いと思っていた。
初めて賞味したデコポンは糖度が高く、酸度との調和も取れており、果実を包む袋も軟らかく、その食感も抵抗もなく、過去の柑橘に対する想いを一新するものであった。
デコポンは将に柑橘の女王と呼ぶに相応しい柑橘であった。

その時、賞味したデコポンは町の中でも美味しいとの評価を得ているY農家のものであった。
これならば島外に推奨・紹介するに値すると想った。
そう想っていた処に「販売してみたら」との勧めがあり、販売に着手することにした。
会社時代の友人・知人に紹介した処、予想以上の評価を頂戴し、その後、口コミも手伝って販売は年々順調に推移している。

デコポンの美味しさを評価する基準は糖度酸度袋の軟らかさ・薄さ(食べ易さ)の組合せにある。
糖度が高くても酸抜けが進んでいないものは甘さよりも酸っぱさが勝って美味しく感じられない。
糖度と酸度のバランスが取れていても袋が硬く、厚いと口の中に残り、食感が落ちてしまう。
それらのバランスがほど良く取れているものが美味しいと云うことになる。
糖度が13度以下だとデコポンらしくない。少なくても13.5度は欲しい。
Y農家のデコポンは2月初めからの出荷予定であるが、その時点での糖度は13.5度程度だ。
時間経過と共に糖度は14〜16度と高くなり、また、酸抜けも進んで、一段と美味しさが増してくる。

同じ島でも地区により土壌質が違う。この島や近隣の島々の畑の土壌質は大別すると粘土質砂土質に分かれる。
この町の土壌は砂土質であるが、その利点は水はけが良く粘土質のものに比べると酸抜けがスムーズに進むと云う点にある。
砂土質での栽培だからといって全ての畑で同じ様に酸抜けが進む訳ではない。
酸抜けを良くする為には、夏季の潅水が重大なポイントとなる。
或る年のことであるが、3月末だと云うのに他農家だけでなく、他県のデコポンも酸抜けが進まず、市場に出荷することがままならない年があった。
その年でもY農家のデコポンは酸抜けが幾分かは遅れてはいたが、予定通り2月から出荷することが出来た。
それは旱魃の夏期にもY農家が潅水を欠かすことがなく、デコポンを栽培してきたからである。
(2010.09)

デコポンの系譜
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