日本人は糖尿病になり易い!

「肥満遺伝子」、この言葉を聞いたのは数年前のことである。
「やっぱり」と云う思いであった。
30歳を過ぎてから毎年、人間ドッグに入り、検査してきたが、中性脂肪は何時も高かった。
40才を過ぎると中性脂肪値が驚意的数値になり、検査後の医師や食事指導員との面談では、
「我が先祖は窮乏時代が長く、食うや食わず、樹の根、草の実を食べて生きてきたのでしょう。それ故、人並みのものを食べても脂肪として取り込む体質となり、それを遺伝的に受け継いだのだろうと思いますよ」
などと言い訳してきたのだが、満更、間違ってはなかったと。
「肥満遺伝子」のことを聞いた時、ネーミングが可笑しいと感じ、その後、調べてみると「倹約遺伝子」と云う呼び方もあることが分かった。
民族的に見ると肥満遺伝子を多く保有している民族はイヌイット、ピマインディアン、日本人の順である。
これらの民族に共通していることは氷河期時代(2〜3万年前)に獲物を追い求め、ユーラシア大陸から氷結したベーリング海峡や日本海溝を超え、アメリカ大陸、日本列島に渡ったモンゴロイドだと云うことです。
そして、1〜2万年も続く氷河期の飢餓的環境に耐える体質をそれぞれの民族が獲得したのであろう。
「肥満遺伝子とは」
獲物がとれず飢餓に陥っても、脂肪という蓄積したエネルギーを消費する生理的なメカニズムがあったから、人類は氷河期を生き延びることが出来た。
その中でも更に過酷な飢餓に順応すべく、摂取した栄養を少しでも脂肪として蓄えようとする体質を獲得した種族がいた。
皮肉な事により少量の食料でも生命保持に足ることになると、摂取した栄養をエネルギーに転化するインスリンの分泌量もより少量で足りることになり、インスリン分泌量の少ない体質も併せて獲得したようである。
アメリカ人アラン・ショルディナ−博士はその種族の半数以上が肥満症、糖尿病、等に罹っているアリゾナ州のピマインディアンを研究し、1995年にピマインディアンのある遺伝子に変異が見られる確率が、他の民族より高いことを発見した。
その遺伝子は、脂肪分解などの働きをするが、その遺伝子に変異が有る場合、変異がない人に比べると脂肪分解が抑えられ、消費カロリーが少なくて済む。(飢餓に備え、脂肪を体内に長く取り込もうとする)
その変異遺伝子が肥満遺伝子である。
食料が乏しい時代には肥満遺伝子体質は省エネ的で有利であったが、高脂肪・運動不足の現代では肥満症等になり易く、極めて不利な体質と云える。
更に厄介なことに、この遺伝子は優性遺伝で出てくるので、両親の何れかが保有していれば必ずと云って良いほど出てくる。
日本人は、3人に1人がこの肥満遺伝子の所有者である。
因みにビマインディアンは2人に1人が肥満遺伝子の所有者ですが、同じピマインディアンでもメキシコで質素な食生活と農作業など肉体労働に従事しているインディアンは平均体重が26Kg少なく、肥満症、糖尿病等は見られないと云うことである。
日本人と糖尿病
現代、その予備軍も含めると6人に1人が糖尿病と云われています。
5年後には4人に1人が糖尿病との予測もあります。
その原因の一つには日本民族が遠き先祖から受け継いだ体質にも原因があります。
糖尿病は、血液中のブドウ糖を細胞に取込んでエネルギーとして利用するのを助けるインスリンの作用が低下するのが原因ですが、日本人は欧米人に比べてインスリンの分泌が半分程度しかありません。
欧米人は肉食の長い歴史の中でインスリンを多く分泌する体質を獲得しました。
ところが、日本人は飢餓の時代が長く、食べたものをエネルギーとして消費せず、脂肪として蓄積する体質を獲得したのです。
インスリン分泌量の多い欧米人は少々太っていても糖尿病になり難いですが、
インスリン分泌が少ない日本人は小太りになると糖尿病になり易いと云うことです。
肉親に糖尿病の人が居れば、その子供はその遺伝子を受け継いでいると考えて生活することが必要でしょう。
それぞれの民族には長い歴史に支えられた伝統的食生活の上に形成された体質があります。
日本人が飢えから開放されて僅か、瞬く間に世界の経済大国に、糖尿病大国に!
以前は糖尿病と云えば、中高年の病であったが、今は子供にも広がっている。
人類は戦後60年の間に25億人から60億人と膨張した、未だに餓死と隣り合わせの人間が何億人もいる。
時に学校給食等の残パンが我が家の鶏舎に届けられる。
やはり、現代の日本人は飽食!
万年の時間をかけて獲得した日本人の体質はたった1世代、2世代の数十年で変わる道理がない。
健康である為には、長い歴史の中で獲得した日本人体質を理解した上で食生活することが大事!
(2005.06)

