武満徹 (Takemitsu, Toru)

武満徹(1930年〜1996年)日本の作曲家。10月8日東京生まれ。独学で作曲を学んだため評価に苦しめられながらも、27歳の時に書いた「レクイエム」のスコアを見たストラビンスキーが賞賛したことで認知される。後、生涯にわたりオーケストラを中心に多くの作品を残す。


ドビュッシーがそうであったように、アカデミックと大衆、東洋と西洋の架け橋となった作曲家です。作曲をする時には、委嘱者や演奏家との繋がりに意味を感じることで仕事をし、また、芸術のためではなく、日常生活の中から音楽を必要と感じていたようです。

アメリカなどでは、映画音楽を作曲するとコンサートホール(芸術音楽)からは締め出されるそうですが、日本では特に枠が無いこともあり、篠田正浩、大島渚、小林正樹、黒澤明などをはじめ、数多くの作品で書いています。
映画音楽に初めて参加したのは佐藤勝との「狂った果実」で、嫌がる石原裕次郎を歌わせた張本人ということです。

日本の伝統楽器にも造詣が深く、琵琶は自ら習っていました。そして映画「切腹」(小林正樹監督1962年松竹)では、琵琶を用いた革新的な表現をしています。自作「エクリプス」(1966年)では尺八と薩摩琵琶の作曲をし、小沢征爾がニューヨークフィルのバーンスタインに聴かせ、「ノベンバーステップス」(1967年)の委嘱となりました。

雅楽の楽器は「ディスタンス」(1972年)という、オーボエと笙の曲が最初で、翌年には雅楽「秋庭歌」を発表しています。やがて秋庭歌は「秋庭歌一具」となり、管弦楽曲「セレモニアル」ではその素材が用いられ、笙が前奏、後奏に独奏楽器として登場します。

エピソード

私は、ファンの一人として武満さんとお話したことがあります。1994年4月4日、荘村清志さん(ギタリスト)のデビュー25周年記念リサイタルで、場所はサントリーホールでした。記念の委嘱作品「エキノクス」の演奏初演がありました(先にCD録音済み)。
2階席で舞台脇から観ていた私は「初演で記念公演なら作曲者本人も立会いに来ているはず」と思い、客席を見渡しました。すると、中央やや後方にあの特徴的な「頭」を発見し、演奏を聴くのも忘れ何を話そうかと、急にそわそわしたのを覚えています。
そして休憩時間に、比較的小振りだったため所持していた「レクイエム」のスコアを持って一気に階段を駆け下り、バーで歓談する武満さんを見つけました。
スコアにサイン、そして握手もしていただきました。「レクイエム」のスコアを差し出した時に、少しばつが悪いような表情をされていた気がします。きっと、自分では処女作と称するほど若い頃の作品だったからでしょう。

ちなみに、このコンサートには、その年にノーベル賞を受賞する大江健三郎さん、映画監督の伊丹十三さん、女優の宮本信子さん夫妻他、その年のドキュメンタリー映画「Music for the Movies−Toru Takemitsu」制作関係者、ピーター・グリリさんなども来場されて、とても華やかでした。


サイン入りスコア
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Sho-window 〜笙窓〜
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