男はつらいよ

男はつらいよ (日本映画・松竹 1969年〜1995年)

山田洋次監督、渥美清主演の「寅さん」で親しまれた人気映画。1968年のテレビ番組が映画化され、全48作のシリーズとなる。
東京の下町、葛飾柴又の団子屋を舞台とした人間劇。渥美清演じるテキヤの車寅次郎が巡る日本の原風景も見逃せない魅力。

寅さんの恋愛遍歴が大きな売りの一つになりがちですが、人格形成、心理などをとても深く突いて作られたキャラクターが映画の核となり、一度では終わらない世界を確立しギネスに載るほどの長期シリーズへ導いたのでしょう。


寅さんの人格は、恵まれない幼少時代に形成されているようです。崩壊した家庭で育ったことが、人間の本能的で恋愛を望みながらも、上手くいきそうになると怖くなって逃げ出したくなる心理に苛まれる原因となり、また、旅暮らしをすることは、不在になることで人から懐かしく思ってもらい、自分の価値を高めるための苦肉の策でもある・・

笑えるシーンと同様に、家庭内でのいがみ合い(喧嘩)がよく観られますが、これは人間の性質である、自分の内側にあるフラストレーションや悪の部分を、物ではなく他者にぶつけることでしかコントロール出来ないという悲しい「さが」が描かれています。

チャップリンによれば、コメディーというのは、真面目なこと、悲しいこと、痛いことが要素になります。例えば、転んだ人を遠くから見れば、その動きが滑稽に見えます。もちろん、転んだ本人は、怪我をしているかもしれず、痛いわけです。

「男はつらいよ」は、山田監督自身が寅さんを「負け組み」と呼び、下町、テキヤなどの設定も高尚な趣とは対極にあるように思えますが、実は、人間社会、心理などを深く鋭く描いた傑作です。また、美しい日本の何気ない風景を描いたロードムービーでもあります。


P.S:
寅さんのしぐさは、どことなくチャップリンを彷彿とさせますね。帽子をかぶった格好、旅をしていること、美人に弱く直ぐ恋愛をすることも似ていますが・・






     



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