ひとりごと


◇気の向くまま、徒然に記した”ひとりごと”です。

       CONTENTS

 設計者と施主が語る、家づくりのワンポイント 
1. 試行錯誤のプロセスを楽しもう!
2. 計画・設計について
3. 着工準備、現場工事中
4. リフォームのすすめ
5. その他・・・
 
 こんな家を建てたい・・・ 
あなたの住まいの可能性は、無限にありますよ・・・
設計事務所は、どんな仕事をするの?

 「健康住宅」って何?  
1. 「健康住宅」というキャッチコピーの意味は?
2. シックハウス症候群について
3. 温水床暖房について

 
 ■ 街並みの景観と保存について
 

  モデルハウスは住まいづくりの参考になるか? 
 
 南ヨーロッパ鉄道の旅 
 
 
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  設計者と施主が語る、家づくりのワンポイント

1. 試行錯誤のプロセスを楽しもう!


これから家づくりをする方には、設計に十分な時間をかけて試行錯誤のプロセス(=過程)を楽しみながら、ああでもない、こうでもない、とあれこれ悩むことをお勧めします。施主が積極的に設計に参加することによって、世界に一つしかない自分のための住まい(城)を創ることができます。

家づくりにおいて、デザインやプランをあれこれ考える熟成期間が最も楽しく大切なことで、こだわればこだわるほど、苦労すればするほど、完成したときの達成感も大きくなるでしょう。
どんな住宅のスタイルが良いかは、敷地や周辺環境・家族構成・暮らし方・趣味嗜好 ・価値観が人それぞれ違うのと同じで、物件ごとにまったく異なります。

住む人のライフスタイルや好き嫌いは十人十色であり、設計者が思いもつかないアイデアを出してくる施主もいて、他愛のない話しをするプロセスはとても楽しいものです。設計者は住み手とのコミュニケーションを十分に取り、住み手の本音を聞き出すことが「いい家づくり」のために大事な作業です。

但し、時間がない若しくは面倒なことを考えたくない場合は、手っ取り早いハウスメーカーの標準住宅か、建売住宅を選ぶとよいでしょう。家電製品や乗用車を買うのと同じで、モデルハウスやカタログの中から気に入ったものを選べます。その代わり、家づくりの一番楽しいところを捨ててしまっています。モッタイナイ・・・

ここでは、こだわりのある家づくりをするために、ちょっとした楽しみ方を紹介したいと思います。 

2. 計画・設計について

■条件の悪い土地は、お買い得?


最低限10坪の土地さえあれば、家を建てることはできます。狭小・変形敷地や傾斜地など、条件の悪い土地であればあるほど工夫の甲斐があるので、設計者はヤル気に燃えてきます。

東西に長く東南角の日当たりの良い敷地ばかり探しても、そうは見つからないでしょう。逆転の発想で、条件の悪い土地は価格も割安で、プランを工夫すれば世界に一つしかないこだわりの家ができてお買い得です。

例えば傾斜地で基礎工事費が高くなるとしても、傾斜地を利用した眺望のよい個性的なプランが可能で、しかも土地購入費を含めた総予算は低く抑えることが可能です。

■ローコスト住宅/コストダウンの工夫

先立つものはお金。お金がまったく無しでは家を建てられませんが、限られた予算の中でも、満足する住まいを追求することは十分可能です。

予算に応じて、ある程度の要求を割り切ることもコストダウンのひとつの方法ですが、ハウスメーカーの標準住宅にある余計な装飾や設備を排除して、その分、家族がこだわりたい所にお金をかけて、1点豪華主義のローコストで趣味性のある個性的な住まいを実現できます。

また、一気完結型の家づくりでなく、仕上や間仕切り壁など未完成部分を残しておくことによって、工事費を抑え、将来の楽しみ(暇なときにDIYする等)にとっておく方法もあります。素人でも、塗り壁を自分でやってみると、少しくらい失敗しても愛着が湧いてきます。
 
■間取りは単純に!

子供部屋や応接間・書斎など、用途を限定する小部屋を作っても、しばらくすると、せっかくの個室が物入になってしまうことが多いでしょう。

部屋数が多ければいい、という訳ではなく、多目的な空間を家具などで仕切って用途別のコーナーとして使った方が、ライフスタイルや子供の独立などの変化に柔軟に対応できるでしょう。日本住宅の特徴である取り外し自在の障子やフスマ(洋風住宅にもアレンジ可能)を使えば、例えば二間続きの部屋をフスマで仕切り、必要に応じて倍の広さに使うことが可能です。

また、モジュール(尺またはメートル)を考えて、上下階の柱や筋違を通して間崩れのないバランスのよい間取りとすれば、地震に対して安全で、部材を無駄なく有効に使えてローコストになり、増改築などの将来対応も容易になります。
 
■子供部屋は必要か?

子供部屋のような個室をたくさん作れる大邸宅ならば問題ないのですが、全体の面積と予算が限られている場合、使用目的の限定される個室はできる限り作らない方がよいでしょう。まして、子供が独立すればムダな空間になってしまいます。

独立した個室をいくつも作ると、必然的に廊下が必要になり、ますます生活空間が狭くなってしまうという悪循環に陥ってしまいます。

個室の分を家族みんなで集まる大空間に割り当てれば、限られた面積の中でも広い生活空間を実現することができて、家族間のコミュニケーションが多くなります。

夫婦の寝室にプライバシーは必要ですが、家族のつながりを考えると、子供部屋はできるだけ個室にしないで、大部屋の一部を仕切って使い回す方がよいのではないでしょうか。子供が独立した後のことも、考えておくべきです。

子供部屋を作る場合でも、玄関から子供部屋へ直接出入りするのではなく、大部屋を通って出入りする方がよい(たとえ来客中であっても、顔を合わせて挨拶することが大切)と思いませんか?

■エコ住宅のすすめ

地球温暖化の環境問題が明らかになって、今までのエネルギー浪費型の生活を見直そうとする人達が増えてきています。いきなり、快適な生活を昔の生活に戻そうとするのではなく、少しずつでもできることから始めていけば、快適な生活と環境に配慮したエコ生活は両立すると思います。

太陽光発電、風力発電、燃料電池、コンデンシングボイラー、コージェネレーションなど、日本のエネルギー技術は非常に優れています。

日本の住宅は、コタツ時代が長かったせいもあり、暖房機器については余り追求されてきませんでした。エコキュートやハイブリット機器など、これからは環境にやさしいエコ機器が開発されて、補助金制度とともに普及していくことでしょう。

3. 着工準備、現場工事中

■施工業者をどうやって選ぶか?


設計図書が完成すると、次に施工業者を選ぶことになります。

施工業者の選び方には、大きく分けて次の2通りの方法があります。

@ 『特命』といい、信頼できる施工業者1社に絞って見積依頼をして、その業者と見積合わせにより決定する方法。
A 『相見積』といい、複数の施工業者に同じ条件で設計図書の見積依頼をして、各社の見積内容を査定して1社に決定する方法。

『特命』と『相見積』のどちらがいいか、といってもどちらも一長一短です。

信頼関係が築かれているウマの合う施工業者が既にいる場合は、『特命』で発注すればいいでしょう。云いたい事が言え、施主の趣味や嗜好を理解していれば、工事もスムーズに進むことでしょう。予算に合せていろいろ工夫してもらえたり、将来のメンテナンスもよく面倒を見てもらえそうです。

評判のいい施工業者を2,3社探して『相見積』を前提に見積依頼する場合、見積書と同時に減額案(VE提案)を出してもらえば、後の減額交渉に有効です。無料で見積してもらえますが、たとえ契約に至らなかった場合でも、業者に対して感謝の気持ちとして簡単な御礼をしましょう。

いずれにしても、見積の内訳がしっかり書かれていて、減額交渉や追加・変更交渉に親身に応じてくれる施工業者を選ぶことが重要です。ただし、実際の交渉は設計事務所が『施主の立場』になって一緒に行いますので、あまり心配しないでください。

■減額交渉を徹底的にやり、値引要求はやらない。

施工業者から見積書を受取り、見積金額と予算が合わない(予算オーバー)場合、見積を査定して予算に合わせていく作業(見積合わせ=減額交渉)を行います。まず、見積書の内容が設計図書に合っているかをみて、仕様・単価・数量や拾い洩れのチェックをします。

同等の品質で安く手に入る建材や工法に変更したり、より低価格でもセンスの良い仕上材を探したり、いろいろ工夫することによって見積合わせを行います。コストパフォーマンスのよい住宅を作るためには、仕上材料や設備方式の選定など、見積段階での詳細な検討が非常に重要です。

良心的な施工業者かどうか、見積書をみれば一目瞭然です。最も安い見積が良い、と考えるのは大きな間違いで、見積の間違いや拾い洩れがあれば追加請求されることもあります。工事請負契約書には、仕様書・設計図書・見積書が添付されています。


何でも工事一式の金額で仕様・数量・単価が書かれていない場合、見積合わせどころか追加・変更が出ても対応できないので、そんな見積書を作る施工業者は選ばない方がよいでしょう。

また、仕様・単価・数量・VE提案から減額交渉はできますが、根拠なしに値引を要求することは、「手抜きをしてください」と言っている様なものなので、ご注意を!

 
■「工事請負契約書および約款」をしっかり読もう!

一般に難しい文章で理解しにくい「工事請負契約書および約款」ですが、しっかり読んでいますか?

瑕疵担保期間・遅延違約金・火災保険・紛争処理の方法・特約条項などについて、施主に不利な契約でないか確認し、必要であれば追加修正を行います。

トラブルは無いに越したことはないですが、万が一のトラブル発生時に対処するためにも、契約日当日に初めて契約書を見るのではなく、契約書は事前に入手して十分に確認しましょう。

発注者と施工者の間で工事請負契約を締結しますが、設計監理者は設計の意図した品質を説明し、工事の過程の中で指示・確認・承認するため、監理者の立場として契約書に押印します。
 
■できるだけ建築現場に出よう!

現場工事が始まれば、できるだけ建築現場を足を運びましょう。建築現場に実際に立ってみると、設計図書では分からなかった空間のイメージを肌で感じることができます。

別荘のように、遠方でちょくちょく見に来ることができない場合、設計事務所が工事の進捗状況をデジタルカメラで撮影してすぐにメールで送ることもできます。しかし、実際に現場を見ることによって、写真では分からない空間体験をすることができるでしょう。

工程の後戻りにならなければ、玄関にニッチを追加したり、階段下のデッドスペースを収納にする等、ちょっとした工夫もわずかな追加金額で対応できます。時には現場の職人から、いいアイデアをもらうこともあるので、コミュニケーションを大切にしましょう。
 

4. リフォームのすすめ

■究極の選択: 建て替えか? リフォームか?

いったい、建て替えた方がいいのか? それとも リフォームした方がいいのか?

住み心地のいい住まいを手入れしながら長く大切に使うことが、建築に携わる人間としては本来の在り方だと思いますが、機能的にも社会的にも耐久寿命に達して建て替えかリフォームかの選択に迫られることがあります。

今住んでいる家に想い出や愛着があればあるほど、リフォームして古い家の面影を残したまま住み続けたいと思うのでしょう。住み慣れた家を壊してしまうと、同時にその家の歴史や記憶も失われてしまいます。

建物全体を診断して、基礎・土台・柱の構造躯体がしっかりしていれば、リフォームした方がコスト的に有利でしょう。リフォームの範囲や方法によって、住みながらリフォームすることも十分可能です。

ひとつの判断方法として、リフォームする場合の工事費が、新しく建て替えする場合の工事費(土地購入や引越しなどの費用も含めて)の半分以下であれば、リフォームの方がよいでしょう。
 
■何のためのリフォームか?

我が国では、築15年の住宅といえば「住宅の財産価値はゼロ、スクラップ同然」と言われるのが当たり前です。ところが欧米では、手入れの行き届いた住宅は財産価値が評価されて、築年の高い住宅でも人気があり、売買も多いそうです。これからは、リフォームにより住環境が良くなれば、財産価値も評価されるように変わってくるでしょう。

リフォームの目的は、単に経年劣化に対する維持管理のためだけでなく、家族形態の変化による拡張(二世帯住宅など)や、もっと居住環境や使い勝手をよくするための改造(窓・壁・屋根の断熱材設置、高齢者・障害者対応、太陽光発電や冷暖房給湯設備の導入など)だったりします。

また、基礎コンクリートがひび割れていたり、風や地震による家の揺れが気になる場合は耐震診断を行なうとよいでしょう。リフォームと併せて耐震補強をすると、低コストで耐震性能を向上することができ、人と住まい・財産を大地震から守ります。

リフォームの目的がはっきりしていれば、予算(バリアフリー化や太陽光発電などの融資・補助金を利用する検討も含めて)に応じて、いろいろな提案や可能性を見つけるお手伝いをさせていただきます。企画力・デザイン力は設計事務所の強みですので、ぜひ一度、ご相談ください。

  
■DIY(Do It Yourself)をやってみよう!

最近は、ホームセンターなどで、いろいろな工具や建材が簡単に購入できるようになりました。そこで、簡単な家のリフォームはDIYしてみませんか?

いきなり本格的な大工仕事をするのは無理だとしても、たとえば下地までをプロにまかせて、塗装やレンガ貼りなど、DIYできそうな一部の仕上だけを家族全員でやれば、自分達で作ったという充実感と愛着が生まれてくるでしょう。
もちろん、その分工事費も安くなり一石二鳥です。

 
■塗る断熱材?

米国航空宇宙局(NASA)で研究開発された、遮熱性の高い中空セラミックを利用している驚異の断熱材がある。わずか1mmの厚みで発泡スチロール約100mm相当の遮熱効果、防水シートと同性能の防水性、10db低下の防音性を発揮するそうだ。

屋根や外壁の補修に使用すると外断熱と同様で冷暖房効率が格段に良くなり、耐用年数も一般塗料より長い(15年以上)ため、冷暖房費用と塗り替え費用を低減することができ、コストパフォーマンスは高い。

使用できる場所は屋根・外壁・内壁・防水トップコートなど、いろいろな可能性があり(キャンピングカーに使用している例もある)、ぜひ使ってみたい材料です。詳しくは、「遮熱塗料」で検索してみてください。


5. その他・・・

■ドアは内開き? 外開き?

映画などをみると欧米の玄関ドアは内開きが多い。内開きの玄関ドアは、お客を招き入れるためによく、逆に招きたくない人を押し返す防犯のためにもよいでしょう。

それに対して、日本の玄関ドアは玄関が狭いせいか外開きが一般的で、避難するため、雨仕舞のためにはよいが、お客を招き入れる扉としてはどうでしょうか?玄関ドアは内開きがよいか、外開きがよいか、室内ドアの場合も同じ様に、つい悩んでしまいます。

また、トイレの扉は、内部空間が狭いと必然的に外開きになってしまいますが、トイレの内部が丸見えになってしまいます。内部空間に余裕があれば、トイレの扉を内開きにできますが、内部で人が倒れたときに扉が開けられなくなってしまう恐れがあります。

ユニバーサルデザインとして、引込戸・2枚折戸・3枚連動引戸など、狭いスペースでも出入りがラクになる扉が考案されています。
 
■住宅で最も危険な場所はどこ?

住宅で最も危険な場所は、階段です。階段での滑落事故は、事故例が多いだけでなく、大きな障害を負ってしまう危険な場所です。

最近はバリアフリー基準が周知されていますが、階段を設ける場合は「直線階段」をできるだけ避けて「折れ階段」とし、スペースの許す限り、勾配や幅員を基準よりゆったり取るとよいでしょう。やむを得ず「廻り階段」とする場合は、安全性確保のため廻り部分を直下に床または踊場のある場所に設けます。

当初、手摺を片側だけに設置しても、様々な障害や部分麻痺などにも対応可能とするため、手摺を両側に取り付けられる様に下地処理をしておきます。

段鼻ノンスリップの材質・形状にも気を使い、センサー付き足元灯で万全を期します。


また、乗用車並の値段に安くなった、ホームエレベーターの採用を検討してみる価値もあります。


  こんな家を建てたい・・・


住まいを創ることって、何だろうか?
 

”願いは叶う”
という思考のエネルギーは、確かに存在すると思います。まず、「こんな家を建てたい・・・」と自由に想像してみてください。次に、そのイメージを言葉に出して、紙の端切れにでも書いてみましょう。

ガーデニングが趣味ならば、日当たりのよい中庭を囲むようにリビングを設けて、ピクチャーウィンドウから植物の成長を眺めつつ、いつでも好きなガーデニングの手入れを楽しめる居間を想像しましょう。

環境問題に憂慮してスローライフを望むならば、風の通り道がある夏型の住まい、災害に強い頑丈な架構、木質バイオマスエネルギーを使ったストーブ、太陽光発電、雨水利用など、エコロジー住宅もいいですね。

ご先祖様が残してくれた古い家を改築するのであれば、梁や床材、柱などの「古材」を再利用するのもよいでしょう。 昔の民家の太い骨組は、伐採して数百年たってもまだ生きています。自然のままに曲がった太い梁を見せて、骨組の力強さをアピールできます。


料理を作って食べることが好きならば、住まいの特等席に明るく広いオープンキッチンを配置して、みんなで思う存分に料理を楽しみましょう。キッチンに隣接した中庭などの外部空間に、バーベキュー炉やピザ釜をD.I.Yで手造りするのも面白いでしょう。

映画鑑賞が趣味ならば、壁一面をスクリーンにして防音壁で立体音響のシネマルームなんてどうですか?最近普及してきた大画面薄型テレビを壁に吊るしたり自由に移動させて、好きな格好で鑑賞するのもいいですね。

夜空の星を天体望遠鏡で眺めながら好きなビールを飲みたいならば、誰にも邪魔されずに自分だけの夜空を楽しめるペントハウスを作るなんていう計画は、どうですか?

このように、イメージを言葉にすることで、住まいを創るという現実に一歩近づいたと思いませんか? 私たち建築士が家を設計することも、イメージを言葉にすることと全く同じ作業で、建築主の思考の現実化を手伝っているに過ぎません。


あなたの住まいの可能性は、無限にありますよ・・・

ほとんどの施主にとって、住まいを創ることは一生に何度もない経験でしょう。設計事務所はその手助けをするために存在します。モデルハウスやカタログの中からお仕着せのプランを選ぶのではなく、施主のライフスタイルを考えたデザインや住まい方を提案します。いい住まいとは、施主の夢や想いが詰まっていて、コストの多寡に拘わらず、愛着が持てる住まいのことだと考えます。

「坪30万円・・・」といったチラシ広告が巷にばら撒かれています。オプション(別途工事)を追加して総予算を出したら、2倍になってしまうこともよくあります。本体工事費と総予算(設計監理費+本体工事費+付帯工事費+その他の費用)は別物です。チラシ広告の坪単価は最低仕様の本体工事費のみの金額ですから、それだけで家を建てることはできません。


考えてみれば明らかですが、ハウスメーカーの広告宣伝費は膨大です。住宅展示場の建設維持費やチラシ広告費、営業マンの人件費も当然、経費に組み込まれています。住宅営業マンの販売目標は、1ヶ月1棟とのこと。設計料が無料と書いてあっても、設計と施工が一体となって表に出ていないだけのことです。

これから何十年も暮らしていく住宅を、営業マンの人柄やカタログを選ぶ感覚で決めてしまってよいのでしょうか? 画一の工業製品であれば、確かに大量生産による価格メリットは大きいでしょう。しかし、一品注文生産の住まいを創ることは、大量生産の乗用車を購入することとは訳が違います。

住宅を建てようと思い立ったとき、依頼先として設計事務所・ハウスメーカー・施工会社などがあります。「設計事務所に依頼すると高くつく」というのは、全くの誤解です。 限られた総予算を有効に使うために、専門家の立場でデザイン・性能・コストのバランスを考えたリーズナブルな住宅を提案することができます。

どんな住宅が良いかは、敷地や周辺環境・家族構成・暮らし方・趣味 ・価値観がそれぞれ異なるのと同じで、判断基準は物件ごとにまったく違うものです。そのために設計事務所を徹底的に活用して、住む人のライフスタイルや趣味に合ったデザインや住まい方を共に考え、世界に一つしかないあなただけの住まいを実現しましょう。



設計事務所は、どんな仕事をするの?

設計と施工が一体の場合、施工段階での監理が適正に行なわれているか、 公正な立場の現場チェックが必要です。 設計と施工が分離の場合、設計者の第三者監理によって品質を守り、施工ミスやクレームを未然に防ぐことができます。管理(施工の立場)と監理(設計の立場)は全く異なります。設計者には、「住まいへの思い」があります。

設計事務所は、設計業務が終わってからは監理業務として見積チェック(仕様・単価・数量は適切か?工事一式の見積ばかりで単価・数量が書かれていないのは問題外。)や業者選択(数社の見積比較と施工実績の確認)の助言を行い、施主と施工会社の工事請負契約に監理者として立会います。

設計見積と業者見積を比較することにより、業者見積の明細(重層下請構造の専門工事ごとの実質の工事単価、元請業者の現場管理費や経費など)が明らかになります。業者見積の内容を分析・検討した上で、総予算とのすり合わせが可能になり、グレードの見直しや変更を行ないます。

設計監理の役割として、
着工してからも、設計意図の説明、施工方法・材料の確認やディテールの指示、定例会議の運営、色彩計画の立案、変更項目の見積チェック、各種検査、引渡しなどを行ないます。いい家にするためには、設計と共に第三者監理がとても重要になります。

設計監理者は、建築主の利益を守るための代理人であり、弁護士と同様に依頼人(施主)の味方です。ハウスメーカーのように設計・監理を共に請け負う場合、公正な立場の第三者監理ができるのか、疑問です。

統計によれば、日本の木造住宅の平均建替え寿命は凡そ30年(中古住宅の場合も、築30年の住宅の不動産価値はゼロ)といいます。住宅ローンの返済期間よりも寿命が短いなんて、おかしいと思いませんか? 今までの日本の住宅は、使い捨て感覚で建てられていました。欧米では手入れの行き届いた優良な中古住宅が資産価値として認められて、古い住宅でも適正な価格で売買されています。これからは良質の住宅を維持管理(手入れ)しながら長く使い続けるように、フローからストックへ考え方を変えるべきです。

平成20年改正建築士法により、建築士事務所は設計・工事監理契約を結ぶ前に、建築主に対して建築士免許証を提示して書面により重要事項の説明を行なうことが義務付けられました。契約の前によく内容(下記の項目)を確認して「重要事項説明書」を大切に保管してください。
 (1)作成する設計図書の種類。
 (2)工事と設計図書の照合の方法。
 (3)工事監理の実施状況の報告の方法。
 (4)担当する建築士の氏名。
 (5)報酬額及および支払い時期。
 (6)契約の解除に関する事項等。

地場産の木材を使い、木の香りのする家を建ててみませんか? 

長野県佐久地方はカラマツ(落葉松)の産地として有名ですが、かつて木杭として使われていたカラマツも、脱脂処理をすることによって内装材として使用できるようになりました。また、地場産の木材を使う場合の補助金制度もあり、その地域で手に入る木材を安く使うメリットがあります。内装に木材を使用することにより調湿作用や空気洗浄作用のメリットがあり、風邪疾患率も低くなるそうです。地域の木材を使うことは、風土に合った家造りである上に、循環型社会として地球環境にやさしい家造りになります。

木造在来軸組工法をもっと利用しませんか? 

木造在来軸組工法の良さは、地元大工の技術で施工でき、増改築に容易に対応できることです。木造在来軸組工法であれば、50年・100年後であっても技術は継承されているでしょう。地球環境や限りある資源を考えると、200年住宅構想のように高耐久住宅が要求されると思います。できれば特殊な工法を使わないで、耐震性能や断熱性能が優れている工法をお薦めします。また、大工といっても昔のような、気難しい大工ばかりではありません。その間を取り持つのが、設計事務所の 監理という役割です。

住宅を建ててから、家族の構成や趣味が変わったり、様々な要因によってリフォームの要望も出てくるでしょう。そんなときに気安く相談できる町医者のような建築士でありたいと思っています。「ホームセンターで建材を買ってDIYしたい」とか、リフォームのお手伝いなど、遠慮しないで何でもご相談ください。

施主と設計者の出会いは、まさに一期一会だと思います。設計事務所の敷居は高くないので(特に当社は\(^o^)/両手を広げてお待ちしています!)、ぜひ、軽く声を掛けてみてください。

設計事務所をもっと活用して、夢とこだわりがある住宅を建ててみませんか!



  「健康住宅」って何?
 

1. 「健康住宅」というキャッチコピーの意味は? 

シックハウス症候群が社会問題となり、シックハウス対策を施して、より健康的な住まいを追求しているとの意味で、健康住宅と言うことが多いようだ。しかし、健康住宅といっても決まった定義はなく、住宅メーカーのイメージ戦略のキャッチコピーとして使用されている例が多い。

ビニルクロスや複合フローリングを使わず、無垢の木材や炭・漆喰・珪藻土・和紙・竹・藤・コルク・月桃などの調湿性のある自然素材を使うことを健康住宅と言うのか?

冷暖房空調設備(エアコン、換気扇)によって作られた、高気密・高断熱の密閉された魔法ビンの様な室内環境に住むことを、健康住宅と言えるのか?

冷暖房空調設備や断熱性能は必要最低限でも、自然の風通しを配慮した開放型の住宅の方が健康住宅と言えるのではないか?

また、窓ガラスなどの目に見える結露にはすぐに気が付きますが、実はもっと怖い結露があります。それは壁の中や床下、小屋裏などの目に見えない所に発生する結露(壁体内結露と呼ぶ)で、柱や筋違いの根元が腐ったり釘や鉄筋が錆びてしまうことにより、建物の耐震性能を低下させて危険な状態になってしまいます。

健康住宅をどう考えるか、設計者によっても定義は十人十色だと思います。私なりに健康住宅について、いろいろ考えてみました。

私が考える健康住宅の必須条件は次の通り。

@ 機械換気だけに頼らず、自然の風通しが良い空間(間取り、窓配置、換気方法)であること。
A シックハウスの原因となる化学物質(ホルムアルデヒド、VOC類)を含まない建材や自然素材(和紙、竹、柿渋など)を使用すること。
B 調湿作用のある仕上げ材(無垢の木材、漆喰、珪藻土など)をできるだけ使用すること。
C ダニ・カビの発生を抑える工夫(内装材、掃除方法)と、設備機器を選ぶこと。
D 壁体内結露(目に見えない部分の結露)を防止する断熱工法を採用して、正しい施工をすること。
E 室内換気について、住まい手が正確な情報を持つこと(「寒くなるので換気しない」は、室内空気汚染の原因)。
F 家具の接着剤や衣類防虫剤、ダニ・カビ・シロアリ駆除剤などの成分に注意すること。


2. シックハウス症候群について
 

新築の部屋に入ると、目がチクチクしたり喉がゼーゼーしたことはありませんか? 

シックハウス症候群とか、化学物質過敏症と言われる症状で、最近は内装材の法的規制によってかなり被害は減少してきています。それでも、まだ問題が発生して止まないのは、有害化学物質が身体に与える影響に個人差があることや、持込む新しい家具やカーテン 、衣類防虫剤などが影響していることもあるようです。

シックハウス症候群を十分に意識して設計・施工された筈の小学校や診療所においてさえ、引渡し時に基準値を超える濃度の汚染物質が検出されて入居できないというトラブルが発生しています。

最近の高気密・高断熱住宅においては、住まい方が隙間風の通る従来の開放型住宅と異なることを住み手に理解されず(設計者が住み手によく説明すべきことですが・・・)、室内の換気不足によって健康被害を増大させる原因になっています。

対策としては、使用する内装材や接着剤によって室内汚染を予測できるので、有害化学物質の放散量を考慮した換気設備を採用する必要があります。

特に化学物質に過敏な方は、設計の段階から使用する建材を厳しくチェックしなくてはならないでしょう。最近では有害化学物質を吸着・分解する建材なども製品化されていますので、採用してはどうでしょうか。

また、ダニ・カビによるアレルギーやアトピー、花粉症を持つ方も、設計の段階で対策を考えなくてはいけません。ダニ・カビ・シロアリの駆除に薬剤を使用したために、シックハウスになってしまうという本末転倒の恐れもあります。 適切な断熱工法により結露を防止し、風通しを良くしたり消臭・調湿作用のある内装材を使用して、カーペットや畳の使用を避ける等の対策を考えるべきでしょう。

すでに入居してシックハウス症候群の疑いのある場合、有害化学物質の総量をチェック(行政でも測定器具を貸出し中)して室内汚染の基準を超えている場合は、換気を十分に行ない、汚染物質の除去工事も検討する必要があるでしょう。

【参考】建築基準法のシックハウス対策関連法案(平成15年7月施行)では、「ホルムアルデヒドを含有する建材の使用制限、クロルピリホスを添加した建材の使用禁止、機械換気設備の設置の義務化」が国土交通省から公表されています。

【参考】経済産業省よりシックハウス対策のための環境JISの制定・改正−試験方法(小形チャンバー法)及び建材関連JIS平成15年1月20日付)が公表され、『個別建材のJISでは、ホルムアルデヒドの放散量による等級区分及びその表示記号として、
F☆☆☆☆(放散量が小さく使用規制が必要ない建材)、
F☆☆☆及びF☆☆(放散量はある程度あるが、使用面積を一定割合にすることで建材として使えるもの)
を規定することとしており、これらの表示を確認することにより適切な建材の選択ができることになる。これらのJISが整備されることによって、本年7月からの建築基準法改正によるシックハウス対策の実施がスムーズに行われ、更に促進されることが期待できる。』とのこと。





3. 温水床暖房について
 

空気を汚さず衛生的、低い室内温度で暖房できるため維持費が安い、お子様やお年寄りにやさしい日なたぼっこのように快適で安全な温水床暖房を提案します!

オンドルという言葉を聞いたことはありませんか?隣の国、韓国にはオンドル(温突)という伝統的な床暖房があり、ほとんどの住宅にはオンドルが備え付けられ、非常に快適なものです。伝統的なオンドルの仕組みは、かまどで煮炊きに使った余熱を、床下に石を並べ固めて作った坑道に通して部屋全体を暖めます。

床暖房は、コストとメンテナンスを考えると灯油ボイラーによる温水式床暖房が現在最も優れていると思います。オール電化住宅の場合、深夜電力を使うヒートポンプ温水式暖房も経済的です。昔は温水管に銅管を利用して漏水などの故障が多かったのですが、現在は改良されて高温に強く、継ぎ目のない架橋ポリエチレン管を使用しますので、漏水の心配はほとんどありません。また、家全体を快適な環境にできる蓄熱式の温水床暖房をおすすめします。

<床暖房のしくみ>           輻射熱が多ければ室温は低くても暖房感が高い、つまり十分に「暖かさ」を感じることができるという人間の生理感覚をうまく利用した暖房方法です。 30℃前後の物体から放射される赤外線の波長は、太陽光線と同じ7〜10μ程度の波長で非常に心地よいとされています。

<床暖房の特長>              頭寒足熱の理想的な快適暖房です。床面を30℃前後に保ち、そこから発生する赤外線が足の裏に密集している温点を刺激して温かさを感じさせます。維持費が安い省エネ暖房です。室温が16℃〜17℃と低くても暖房感が高く、経済的な灯油(または深夜電力)を使用するので維持費も安く、配管の継ぎ目がないので故障の少ない、省エネ耐久性暖房です。クリーンで健康的な暖房です。燃焼ガス、ほこりの出ない衛生暖房であり、アトピーのお子さまやお年寄りのいるご家庭でも安心です。低い室温でも快適な暖房感が得られますので室内が高温多湿にならず、お肌やのどにやさしい暖房です。

<床暖房の施工方法>       新築・改築時はもちろん、現在のお住まいに暮らしながら、リフォーム工事も容易です。専用リモコンでON,OFF予約や必要な部屋のみ暖房することもできます。別荘の場合、電話回線でON,OFFも可能。あと付け工事の場合でも現状の床高さのまま断熱材と一体施工できますので、安全かつ省エネになります。フローリング、カーペット、コルクタイル、畳などの床仕上げ材に対応できます。(但し、既存床の上に床暖房パネルを敷込む工法の場合、床レベルが既存の床より30mm程度高くなるため、他の部屋・廊下との取合いに段差が生じ、台所ではキッチンカウンターの高さも相対的に30mm程度低くなります。)

<工事費のめやす>          洋室10帖(1系統)の場合、標準工事費は約60万円程度です。居間10帖、洋室8帖、ダイニングキッチン8.5帖(3系統)の場合、約120万円程度です(温水ボイラー、オイルタンク、床暖房用フローリング材を含みます) 。


  街並みの景観と保存について


日本の街並みは、ヨーロッパの街並みに比べてどうして美しくないのか? 漠然と考えたことがある。ウィーン(オーストリア)やベルン(スイス)の街を歩いてみると、その街並みの美しさに唖然としてしまう。石造と木造の違い、看板や電信柱の秩序の有無、建物高さ・屋根や外壁の色彩の統一性など、様々な理由が挙げられているが、やはり、住み手の美意識(美的感受性)の違いが大きいのだろう。

例えば、パリのエッフェル塔と東京タワーを単純に比較してみると、美しさの差は明らかだ。大阪の御堂筋など、建物高さを揃えた街並みは秩序があって美しいと思うが、日本のほとんどの街並みは周辺との調和など考えず、経済合理主義のみ追求する建物が如何に多いことか。全国どこに行っても変わらない雑然とした没個性の街なみばかりに思える。

個人住宅においても、スイスでは道路に面した窓の回りに花を飾ったり、道路との境界柵のない芝生の庭を開放したりする。自分の住まいだけでなく、街全体を美しく見せたいという共同体意識があるのだろう。公園の美しさや一人当たりの面積でも、日本は先進国の中でかなり劣っているらしい。

ここ小諸は、旧北国街道小諸宿(江戸時代の建物16件や国重要文化財の本陣など)があり、江戸時代の宿場は大名の参勤交代を上から覗くことを避けるために2階の窓の位置は低く、箱階段や四角錐形の天窓が多くの家に設けてある。また、明治後期〜大正時代には全国にも名を馳せた問屋商人の街であった。

平成12年度より小諸市の街なみ環境整備事業として小諸宿修理修景事業(300〜500万円の補助金)が行われている。昭和初期以前の歴史的な建物の修復や復元、それ以降の建物等を歴史的なものに模したり景観に調和したものにする事業である。当社も9件ほど設計・監理させていただき、そのうち土蔵を修理改築した物件で、「小諸町並み賞」(北国街道小諸宿の会、小諸市共催)をいただいた。

このように町並みの景観を良くしようと努力していても、道路拡張のために軒先を切り取られてしまったり、保存したいと思う立派な土蔵が何棟も取り壊されて現代建築に建替えられたりして、歴史的な街並みとして残っているものは少なくなってしまった。現在も店舗や住居として使われている歴史的な建物が多いので難しい面もあるが、もっと住宅内部や中庭を見れるように公開できれば、人が集まる楽しい街になるのではないか。

因みにお隣りの北国街道海野宿(長野県東御市、「重要伝統的建造物群保存地区」指定)は、早くから保存運動があったため、北国街道の宿場町の家並みがよく保存されている。道の中央を用水が流れ、卯立や海野格子、出桁などの江戸時代の旅籠屋造り、明治以降の養蚕に利用された「気抜き」などが美しい。

近代建築では、豊郷小学校(ヴォーリズ設計、1937年築、滋賀県)や皇后陛下の実家である旧正田邸(清水組設計、1933年築、品川区)などの保存運動がマスコミに騒がれた。記憶に残る建築は、いろいろな思い出と一緒で貴重なものだ。文化財的価値の有無も重要だが、街並みとしての記憶が消されてしまうのも馴染んだ風景であるほど、その人にとって残念なことだろう。

“軽井沢の良質な別荘環境は日本の貴重な財産”とする「マンション軽井沢メソッド宣言」が平成13年12月に宣言された。欧米の都市計画では共同住宅と専用住宅の区分がはっきりしているのに対し、日本の第1種住居専用地域では共同住宅と専用住宅が同一に扱われている。そのため、別荘地にリゾートマンションが建設されて景観が一変してしまった。軽井沢町はマンションの建設を一時凍結して対抗しているようだが・・・

経済大国と云われる日本でも、生活面での本当の豊かさはまだ遅れていると思う。現代の日本では隣人との付き合い方も希薄になり、以前より地域のコミュニティ意識が作られにくくなっている。時間に追われて職場と住宅の往復ばかりで、自宅や近隣のコミュニティを見渡す余裕がないのかも知れない。

イタリア人のように、経済的に豊かでなくても自由時間が多く、友人と自宅で陽気にパーティを楽しんだり、築数百年の建物を大事に修理しながら暮らしている方が、本当の豊かさを感じると思う。木造と石造の違いもあるが、現代の日本の木造住宅は約30年で建替えられているのだから、話にならない。

ヨーロッパの美しい個性的な街並みや暮らしぶりをただ真似ればいいと云う訳ではないが、これからの街づくりにおいて、住み手は豊かさの意味をもっと考える必要があるのではないか。


モデルハウスは住まいづくりの参考になるか?


住宅を建てようとする場合、大多数の人はとりあえずモデルハウスを見学に行くのではないか? 住宅メーカー数社の住宅展示場があちらこちらにあるので、住まいづくりの参考になるかと思い何ヶ所か素人のフリをして嫁さんとモデルハウス見学をしてみた。そこで、何となく感じさせられたことは・・・

愛想のいい営業マン(恋愛じゃないが、第一印象が重要!信頼できるかどうか、とっさに判断するが、営業マンからも見込み客かどうか値踏みされているのだろう)に迎えられて、まずリビングルームに通される。イタリア製高級ソファ(もちろん販売する住宅には無縁の小道具だが、これで全体の雰囲気が決まる)が中央に置かれ、高級カーテンや洗練された照明器具(これらも当然オプション)がさらに豪華さを演出する。

営業マン(住宅メーカーの社員半数は営業らしい)は、他社と比較して如何に自社の仕様(構法や納まりなどの標準仕様は変えようがなく、自由設計にすると住宅メーカーの大量生産・規格化のメリットがない。つまり、選択の余地はないので、見学者に疑問を持たせてはいけない。)が優れているか、豪華なパンフレットを見せて饒舌な説明をしてくれる。

モデルハウスは建築基準法において仮設建築物(3〜5年で取り壊される)であり、トイレやユニットバスは実際には使えない飾り物である。見学者はキレイに掃除され、生活感がまったくない商品として家を見ることになる。見せる側としては、見学者に夢と希望を感じてもらうことが大切で、間違っても坪30万でモデルハウスのようなオプション仕様の広い家は建てられないと気付かせてはいけない。お客様に提示する坪単価は見せ掛けの基本料金であって、外構工事、設備配管、オプション仕様、軟弱地盤対策などは含まれないことに注意する。

見学者は小道具の演出に気を取られ、標準仕様のビニルクロス壁やクッションフロア床などより、オプションのオーブン付システムキッチンや無関係な高級インテリアを住宅の記憶に置換えて帰ることになる。貰ったパンフレットでは、幸せな笑顔を浮かべる美男美女(モデルだから当たり前・・・)の家族が団欒を楽しみ、住宅を買うことがすべての幸せを手に入れることと同じ様に錯覚してしまう。

モデルハウスをどんなに洒落て豪華にみせても、現実は住宅購入予定者と住宅メーカー営業マンの出会いの場を提供しているに過ぎない。アンケートに見学者の住所氏名を書いてもらえれば、営業の場として第一の目的は達成されたことになる。

住まいづくりの参考にするなら、完成住宅の見学会の方がまだ現実に近いだろう。それにしても、高級家具や絵画、観葉植物、フロアスタンドなどを見学会用に持ち込んだり、内装・外装のオプションを含めた坪単価は特別仕様になっているに違いない。やはり、住宅展示場はお客様(住宅購入予定者)へ演出する晴れ舞台なのだから・・・

このようなモデルハウスの存在意義から言って、間取りや動線は住まい作りの参考にはならない。広すぎる玄関や階段ホール、見学させるための部屋続き、住宅購入者の中で最大決定権限者である奥様にアピールする最高級システムキッチン(オプション)、標準仕様住宅と無関係でアンバランスな高級インテリアと照明器具etc.・・・ まあ、インテリア雑誌を立ち読みする軽い気持ちで見学するには、最近のインテリアの流行やアイデアを知るのにちょうどいいかも知れない。


南ヨーロッパ鉄道の旅
 1996年秋、東京の設計事務所を退職して自由な時間ができたため、EURAILPASSを使ってヨーロッパ鉄道の気まぐれ旅を計画した。以下、そのときの鉄道経路を覚え書きする。
 「Thomas Cook ヨーロッパ鉄道時刻表」により、計画した鉄道経路は次の通り。 96/9/18成田→金浦、9/27金浦→ROME、10/16ROME→金浦、10/29金浦→関西。
 駅名、出着時刻、列車番号、テーブルaA
赤字及び鉄道路線図印は宿泊した最寄り駅。

Roma Termini  1115 IC710 t370、バス
Firenze SMN  1309
Bologna Cent. 1420 途中下車
Venezia Santa Lucia 1610 2035 EN239 t88、水上バス
Wien Sudbahnhof  0623 SAN MARCO、路面電車
Wien Westbahnhof  2125 EN466 t86
Salzburg Hbf 1031 EC160  t86
バス、Wolfgangsee湖船、Schafberg登山鉄道
Zurich Hbf  1626 Wiener Walzer 0801 1957 t295 乗換え
Luzern  0924 2464 t285
Bern 途中下車

Interlaken Ost
 1121 1132 t287,288 往復119.6SF
×Jungfraujoch  1353 1500

Interlaken Ost  1040 t280 1727
Spiez  1102 1108 t276
Zweisimmen  1155 1443 t275 Panoramic Express(大窓の展望列車)
Montreux  1707 t270 1630
Lausanne  1727、バス
Geneve 1814 1045 t81 TGV868/9 乗換え
Lyon 乗換え

Avignon

×Nimes
×Montpellier  1458 1510 70 t81
×Barcerona Sants  1239 72 t47 1924
×Mediterraneo targo
×Montpellier  1710 1735 t163
×Nimes  1802 1422 t163
×Marseille St. Charles
Nice Ville  1000 IC343 t82 1812
Monaco 各駅停車、バス(F1コース)

Menton 各駅停車
Genova Piazza p.  1322
Milano Centrale  1450 1100 IC547 t82、バス
Roma Termini  1555
  Milano Centrale Station(Frank Lloyd Wrightが世界で最も美しい駅と言ったらしい・・・)  

 
 次の宿泊場所を決めずに、乗れる列車に跳び乗り、好きな駅に降りてから『地球の歩き方』を片手にリーズナブルな宿を探す(深夜になってやっと泊まる部屋が見つかる日もあった)行き当たりばったり気まぐれ旅だったため、実際の経路は次の鉄道路線図(赤線)のようになった(VeneziaからWienまでのEuroCity乗車時間は8時間)。パック旅行と違って、何をするのも自由である代わりに何があっても全て自己責任になってしまうところが、気まぐれ旅の醍醐味だろう。学生のときに読んだ小田実著『何でも見てやろう』のような放浪旅に憧れていたこともある。

 当初の計画では、ローマを起点にして北イタリア、オーストリア、ドイツ(回廊列車で通過)、スイス、南フランス、スペイン(Barcerona)を周るつもり(かなり無謀な計画?)だったが、残念ながらスペインまで足を延ばす(長距離寝台列車に乗る)ことはできなかった。もっと欲をいえば、ヴェネツィア、フィレンツェとともに「ヨーロッパの三粒の真珠」と云われたブダペスト(ウィーンからドナウ川の船旅)へも行ってみたかったが、いつか機会があれば訪れてみたい。
 
 
 この鉄道の旅で初めて出逢った人たちのことを、今でも時々思い出す。

 ローマ、フィレンツエ、ヴェネツィアでは、古い歴史的な建物を修復・改装しながら、現在でも大切に使用している。一方で、ミラノのファッションのように斬新で粋なデザインが次々と生まれてくる不思議な国だ。イタリアを旅して、「飲んで、歌って、恋をして」陽気に人生をエンジョイするイタリア人の国民性を垣間見ることができた。ローマに到着したのが夜のため、4つ星ホテルの贅沢な部屋(屋上テラス付)を予約していたが、築数百年の古い建物だけあってシャワーはチョロチョロ、壁の酸っぱい臭いが鼻についてなかなか寝れなかった。
 
 ローマ市街でピザとカプチーノを買ったとき、イタリア語が分からないと知ってワザと釣銭を間違えた振りをしたバールのズルイ兄ちゃん。釣銭が足りないと手振りで指摘すると、バツの悪い顔をしながら即座に足りない分を返してくれたが・・・・・ それからイタリアでは駅の雑踏の中に可愛いスリが多いので、子供が近寄ってくると気をつけなければいけない。
 
 フィレンツエは「花の都」。ルネッサンスの栄光に輝いた建築や絵画が数多く残っている。花の聖母教会の円天蓋は街中どこからでも見ることができるシンボルで、バラ色の屋根が中世の歴史を感じさせる。ここの美術館は、ルネッサンス美術の宝庫だ。小さな路地に入ると、洗濯紐に並んでかけられたシャツが風に揺れている風景ですら、何となくさまになっている。旅人が多い街は、バックパッカーが交渉すると宿賃を安くしてくれるので嬉しい。

 ヴェネツィアは「アドリア海の真珠」、「祝祭都市」、「「快楽の都」などと呼ばれ、干潟に築かれた水の都である。交通は水上タクシーと徒歩のみで、海上を走って島の端につながる鉄道駅からサンマルコ広場まで迷路のような石畳の路地や小広場を徘徊するすると、都市空間でありながら歩く速さで時が流れている不思議な気分になる。かつて海軍国家として栄華を誇った13〜16世紀築の華麗な建物が運河に面して建ち並び、水上バスからは建築博物館を見て回るようだ。ヴェネツィアの魚貝スープとアスパラピッツァは恐ろしく美味かった。サンマルコ広場で運河の風景画を購入する。

 ウィーンは世紀末文化が花開いた都市。アールヌーボーの曲線的な装飾を見たり、あちこちにあるカフェでトルテを食べたり、青空市場で見たことのない野菜や食材を売っていたり、赤い路面電車に乗って町をうろうろするだけで楽しくなってくる。ゴシック様式の尖塔がそびえるシュテファン寺院やヴェネチア式ルネッサンス様式の国立オペラ座、華麗なシェーンブルン宮殿と広大なロココ式庭園に、ただただ圧倒されてしまう。

 ザルツブルク(塩の城)は、神童Mozartを生んだ音楽の都。ライトアップされた中世の城塞にケーブルカーで登り、若い音楽家たちの演奏で優美な室内楽を聴くことが出来た。6歳からヨーロッパ各都市を演奏旅行してウィーンで35歳の短い生涯を終えたMozartにとって、彼の奇蹟の音楽とザルツブルクの風土とは精神的に深く結びついていたのだろう。ザルツブルク郊外の湖水地帯にあるハルシュタットは世界一美しい湖岸の村。バスと湖船と登山鉄道を乗り継いで万年雪の山歩きを楽しんだ。
 
 スイスの美しい首都ベルンへ向かう列車の同じ1等車のコンパートメント(6人室)に乗り合わせたので話しかけられてチョコレートをもらい、孫娘の自慢話を聞き、インタラーケンへ行くための列車の乗換え方法を教えてもらった裕福そうな80才のおばあさん。高齢者でも、こんなに知的でセンスよくお洒落な服装をするのか、と驚いた。インタラーケンに泊まり、ユングフラウを間近に見ようと晴天の時期を待ったが、曇りのため頂上を眺めることはできなかった。
 
 ローザンヌは、レマン湖のほとりにある「オリンピックの首都」と云われる街。案内所でもらった建築ガイドがよく出来ていて、ローザンヌ大聖堂や旧市街を見て歩くのに便利だ。屋根裏部屋にドーマー窓がついている建物が多く、ちょうど銅板葺き屋根の改修工事をやっていた。日の出と同時に起きてレマン湖の岸辺の散策路を歩くと、白鳥が気持ちよさそうに泳いでいた。

 アヴィニョンは14世紀に教皇庁がおかれ、城壁に囲まれて大聖堂・教会・美術館がある世界遺産の街だ。教皇庁宮殿に繋がる岩をくり抜いた石畳の小路を歩くと、教皇のアヴィニョン捕囚時代の面影を感じさせられる。アヴィニョンまで高速鉄道TGVを乗り継ぎ、マルセイユからイタリア国境までは地中海沿いの眩しい景色を見ながら各駅停車で移動して、ニースとマントンに宿泊した。

 ニースから、F1レースの開催されるモナコ公国へ向かう各駅停車の列車で、5才の可愛い息子を連れた背丈180cm程の肉体労働者風の若いお父さんと向かい合わせに座った。日本から来たと言うと何度も「ムンガ」と言い、何のことか分からなかったが、あとで「漫画」のことだったと分かった。彼のイメージでは、日本=漫画なのか。母親がいないので息子をしつけないといけない、と言っていた。海水浴で賑やかな海岸を見ていると、数日前のスイスの雪景色が嘘のようだ。

 マントンは「私の街は庭園」と公言するイタリア国境に近い小さな街。ヨット港と斜面に繋がる旧市街の街並みが絵に描いたように美しい。レモン祭が有名で、海辺の中世の要塞跡を改造したコクトー美術館がある。地中海の温暖な気候で環境も人々も気に入った街だったので、少し贅沢をして海沿いのホテルに泊まり、ホテルの廊下で偶然出会った東京から来た母息子2人連れと夜中に旧市街のレストランを探し歩いた。このことが縁で、後に別荘の設計をさせてもらうことになった。
 
 ミラノでは、壮大なゴシック様式とレース細工のような繊細さを併せ持つドゥオーモ(大聖堂)を見た。大理石の彫刻や135本の尖塔を持つドゥオーモは、500年の歳月をかけて完成した。ドゥオーモ広場に面して、鉄骨とガラス天井とフレスコ画のガッレリア、ネオクラシック様式の王宮が建ち並ぶ。見事なモザイク床があるガッレリアは、オペラの殿堂スカラ座のあるスカラ広場とドゥオーモ広場を結んでいる。イタリアでは広場(Piazza)の空間と建築とのバランスが絶妙であり、芸術とも言える建築美をより際立たせているようだ。
 
 ローマに戻ると細い路地を歩き突如広場の正面にオベリスクとパンテオンが現われる感動を味わい、頂上の直径9mの穴から降り注ぐ自然光に照らされる列柱群と格間と大理石床のドーム空間に魅入ってしまう。ドームは無筋の古代コンクリートで造られ、壁厚は6m、直径と高さは43mあるという。パンテオンからトレヴィの泉まで歩き、ローマを再び訪れることができるよう肩越しにコインを泉に投げ入れた。バチカン美術館も1日では見きれなかったし、サンピエトロ大聖堂と広場、コロッセオ、フォロロマーノ、カンピドリオ広場など、ローマの散策に飽きることはない。路線バスが便利だが、時間があればゆっくり歩いた方が楽しい。

 あのとき旅をしたイタリア、オーストリア、ドイツ(列車で通過)、スイス、フランスは、近い国同士でも外見だけでなく話す言葉も違えば文化や人生に対する考え方も驚くほど違っているようだ。また、日本の「木の文化」とイタリアの「石の文化」の違いが、物質面だけでなく精神面の違いになっていることを改めて感じさせられた。そういえば、バチカン市国は世界最小の主権国家で、世界で2番目に小さいモナコ公国と、アジア発着の起点となった韓国も合わせて8ヶ国を回った事になる。

 旅で出逢ったあの人たちは、今この瞬間どうしているだろうか?
 

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