
訴 状
平成18年8月31日
青森地方裁判所 御中
〒038−1304
青森市浪岡大字高屋敷字宅社元2番地1(送達場所)
(電話・FAX)0172−62−4504
原告選定当事者 古 村 一 雄
青森市浪岡大字浪岡字稲村184番地5
原告選定当事者 坪 田 左 近
選 定 者 別紙選定者目録記載のとおり
〒038−8555
青森市中央一丁目22番5号
被 告 青森市長 佐 々 木 誠 造
損害賠償代位請求事件(住民訴訟)
訴訟物の価額 1,600,000円
貼用印紙額 13,000円
請 求 の 趣 旨
1、被告は、訴外佐々木誠造に対し、金162,750,000円を支払えとの請求をせよ。
2、被告は、訴外株式会社ソフトアカデミーあおもりに対し、金37,275,000円を支払えとの請求をせよ。
3、訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
請 求 の 原 因
第1、当事者
1、原告は、青森市に居住する住民である。
2、被告は、青森市の執行機関であり、青森市が有する損害賠償請求権及び不当利得返還請求権等を行使する権限を有している。
3、訴外佐々木誠造は、平成元年5月7日から青森市長の職にあり、合併後の平成17年4月1日から市長職務執行者を経、平成17年4月24日実施の合併後最初の市長選挙において当選し、現在もその職にある。
4、訴外株式会社ソフトアカデミーあおもり(以下「アカデミー社」という。)は、平成3年4月、本店を青森市に置き、情報推進機構
、青森市、青森県、その他地元金融機関・マスコミ等が出資設立したいわゆる第3セクターであり、コンピュータや情報通信関連機器の賃貸、コンピュータ及び情報システムの開発、斡旋、販売、受委託業務などを営む株式会社である。
第2、監査請求前置
原告は、青森市監査委員に対して、青森市長の違法な契約締結及び公金支出により青森市が被った損害を賠償すること及びアカデミー社との間で締結されていた業務委託契約解除に伴い相手方から違約金及び損害賠償金を徴収すべきことを求める住民監査請求をしたが、青森市監査委員は、平成18年8月1日、この監査請求を棄却した。(甲第1号証)
第3、違法な職務行為
1、業務委託契約の経緯は以下のとおりである。
@平成16年12月28日
青森市とアカデミー社が「合併に伴うシステム統合に係るデータ移行等業務委託契約」(以下「原契約」という。)を締結した。(委託料372,750,000円、委託期限は平成17年3月31日)
A平成17年3月28日
契約期間内の履行が不能に陥ったため、委託期限延長の変更契約を締結した。(変更後の委託期限5月30日、委託料は全額事故繰越処分)
B同年4月1日
新設合併により旧青森市、旧浪岡町が消滅
C同年5月30日
2回目の変更契約を締結した。(委託期限を8月31日に変更、部分払い条項の追加)
D同年6月9日
市が契約代金の内、部分払いとして162,750,000円を支払い。
E同年8月30日
3回目の変更契約を締結した。 (委託期限を10月31日に変更)
F同年10月24日
アカデミー社から市に対し、再委託先撤退のため「住民記録システム導入作業中断のお詫び」の文書が提出される。
F同年10月28日
双方協議の上、原契約を解除した。
G平成18年2月22日
青森市長が記者会見で、ア)システム統合の基本ソフトを変更すること。イ)その結果、開発経費総額が当初計画の21億5千万円から2・7倍に増え、57億3千万円に増額になると発表した。
2、以上のとおり、新電算システムは試験段階で不具合が発生し、3回にわたって延期を繰り返した末に、ついに契約解除になった。結局、市は、当初構想した「リナックス」をベースとしたオープンシステム開発計画が失敗したことから、基本ソフトを「ウインドーズ」変更し、システム開発の再構築を図ることに転換したが、事業費の膨張は納得できるものではない。
さて、青森市長はたびたび稼動延期を繰り返し、原契約の不履行の恐れが十分予想されたにもかかわらず、相手側の資金繰り救済のため、部分払いの支払いを強行した。
さらには、アカデミー社の責めに帰すべき理由により債務不履行に陥ったのに、契約解除の際には違約金の徴収も放棄する重大な違法行為を行った。
そもそも、10月28日における契約の解除は、ア)債務不履行はアカデミー社に責められるべき事情があること イ)17年4月1日新統合システムの稼動予定が大幅に遅れたことにより市及び市民に多大の損失を与えていること ウ)基本ソフト転換により それまでの委託業務成果品が全て無価値、水泡に帰する結果となったこと などからすれば、本来、市長は契約解除権を行使しなければならなかったのである。 すなわち、
@債務不履行が明確になった時点では、解約ではなく契約解除をすべきであること。
A契約解除の遡及効により、既支払の部分払い代金の返還を求めるべきであること。
B原契約第11条に基づき、契約金の1割の違約金を徴すべきであること。
であったにもかかわらず、市長は前記事情を無視し、既支払い代金の返還も求めず、違約金の徴収も放棄する「合意解約」を締結した。
これは、地方自治法第138条の2(執行機関の義務)及び同法第240条(債権管理)に違反し、裁量権の乱用であり、背任に等しい重大な違法行為である。
3、以上要するに、部分払いは、「工事若しくは製造の既済部分又は物件の既納部分」に限られており(地方自治法第234条の2)、これを支払いすべきでなかったこと及び徴収すべき違約金の請求を怠っていることから、請求の趣旨記載の判決を求めるものである。
4、予算執行手続きの違法性
本委託契約は、予算執行の手続き面においても、公会計を規制する関係法令に違反し、自治体の予算執行の適正確保の見地からすれば看過し得ない重大な瑕疵を有している。
1)先ず、平成17年6月の契約代金一部支払いは、平成17年度青森市一般会計予算に措置されていないのに支払手続きをした違法な公金支出である。
前記監査結果によれば、原契約について平成17年3月28日に委託期限延長の変更契約を締結し(甲第3号証)、平成16年度予算に計上した委託料を翌年度に事故繰越して支払いしたので違法ではないとしているが、これら変更契約及び事故繰越手続きこそ違法なのである。
2)3月の変更契約締結について
この変更契約では、委託期間を平成17年5月30日まで延長する内容となっている。
地方公共団体が翌年度以降の支払い義務を負う契約を締結する場合は、地方自治法第214条(債務負担行為)の規制があるが、旧青森市の平成16年度一般会計予算においては、原契約に関する債務負担行為、継続費、明許繰越費などの予算措置がないので変更契約締結は不可能であり、従って、3月に締結した変更契約は違法である。
3)事故繰越手続きについて
@ 平成17年4月1日、新設合併により新青森市が誕生した。この合併により旧青森市は消滅し、予算、条例、規則等は失効した。従って、新青森市において予算執行する場合は17年度予算に計上措置して執行すべきところ、16年度予算を事故繰越しして予算執行をした。その根拠とされるのが地方自治法施行令第5条第1項の「普通地方公共団体の配置分合があった場合においては、その地域が新たに属した普通地方公共団体がその事務を承継する。」であり、市長は事故繰越処分を合併による承継事務に含めて解釈適用したものである。
A合併に伴い「承継」されるべき事務には契約関係による債権債務が当然に含まれるが、新設合併の場合は予算自体は合併によって失効するから承継の対象たり得ない。また、事故繰越処分は、市長の予算執行権行使における一態様に過ぎず、事務承継の対象とはならないのである。
事故繰越の根拠法令は地方自治法第220条第3項ただし書であるが、当該規定は自治体の存続を前提にした規定であり、編入合併(吸収合併)により他の町村を編入した場合はともかく、合併により消滅する自治体には適用されず違法である。
第4、本件提訴の意義
南朝の雄・北畠氏の末裔が拠った中世城館である史跡浪岡城跡の城下町として発展してきた浪岡町は、「中世の里」を標榜し、地勢的に「津軽の要」を自負してきた。これに対し、合併相手
の青森市は、外ケ浜と称された地域に位置し、弘前藩の湊町(商人町)として造られ、明治以降、県庁所在地として発展してきた近世・近代の街である。
また、青森市と浪岡町の境界には、梵珠山から八甲田山へ走る分水嶺が横たわっており、天水は交わることがない。
これら歴史的、地理的な背景もあって、青森市との唐突な合併は、浪岡町を異常事態に陥れた。その始まりは、住民の抵抗によって解職された合併推進派の町長に現れている。彼は、リコール投票にあたって、劣勢を跳ね返すために現金買収に手を染め、解職された町長と20名議員の半数が「地方自治法違反」の容疑で逮捕されるという前代未聞の汚点を浪岡町の歴史に残し、民意を無視して強引に進められた合併であったことをものの見事に証明した。
しかし、民意の最後の拠り所であった住民投票での圧倒的多数の合併反対の意思も無視され、合併特例法で定められた告示も欠落したまま、平成17年4月1日に合併が強行された。
合併から1年半、被告・青森市長は、「融和を図ることが私の使命」との公約をかなぐり捨てた強引な合併劇と同様、独断・専制の極みであり、合併協定を破って議員定数を一方的に削減するなど、自治の衰退・崩壊への道をひたすらに走っていると言っても過言ではない。
さらには、独立した執行機関である監査委員も主体性を喪失し形骸化している現状では、新設された青森市に「説明責任」をいくら訴えても馬耳東風である。
原告は、一地域住民であるが、違法・不当な行政の是正を求め、最後の砦として司法において公正な判断が下されることを期待し、青森市勢の興隆発展を願いここに提訴する。
証 拠 方 法
1、甲第1号証(住民監査請求に係る監査結果通知書)
2、甲第2号証(合併に伴うシステム統合に係るデータ移行等業務委託契約書)
3、甲第3号証(上記の一部変更契約書)
付 属 書 類
1、訴状副本 1通
2、甲号証の写し 各1通
3、訴訟当事者選定書 1通
(別紙)
選 定 当 事 者 目 録
1、青森市浪岡大字高屋敷字宅社元2番地1
選定者 古 村 一 雄
2、青森市浪岡大字浪岡字稲村184番地5
選定者 坪 田 左 近
3、青森市浪岡大字女鹿沢字東種本50番地2
選定者 海老名 徳太郎
4、青森市浪岡大字女鹿沢字西種本8番地
選定者 海老名 鉄 芳
5、青森市浪岡大字浪岡字平野172番地13
選定者 工 藤 良 信
6、青森市浪岡大字浪岡字稲村12番地2
選定者 福 士 芳 巳
7、青森市浪岡大字浪岡字稲村164番地6
選定者 工 藤 た か
8、青森市浪岡大字浪岡字稲村188番地4
選定者 山 内 正 昭
9、青森市浪岡大字大釈迦字沢田74番地9
選定者 猪 股 操
10、青森市浪岡大字長沼字北藤巻17番地5
選定者 工 藤 祥 三
11、青森市浪岡大字浪岡字平野206番地18
選定者 溝 江 吉 真
12、青森市原別4丁目2番地29
選定者 藤 原 浩 平
13、青森市浪館前田4丁目34番地28
選定者 村 川 節 子
14、青森市茶屋町11番地13
選定者 大 沢 研
15、青森市筒井字八ツ橋938番地2
選定者 布 施 一 夫
16、青森市油川字中道36番地45
選定者 館 田 瑠美子
訴訟当事者選定書
原告 古 村 一 雄
外15名
被告 青森市長 佐々木誠造
上記当事者間の御庁平成18年( )第 号損害賠償請求事件につき、原告らは民事訴訟法第30条により原告ら総員のための訴訟追行者として下記の者を選定する。
記
青森市浪岡大字高屋敷字宅社元2番地1
古 村 一 雄
青森市浪岡大字浪岡字稲村
坪 田 左 近
平成18年8月 日
青森市
選定者(原告) 印
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