とにかく先生もすわって下さい。 2005年8月
REVOLUTION
上司から渡された診断書には、そう書いてあった。医学的な予備知識はまったくないのでわからないが、いわゆる鬱病ではないと思う。
僕はただ先生と1時間程度会話を交わしただけだったし、それ以降その先生のところにも、職場にも顔を出していないから、先生と僕の診断結果を受け取りに行ってくれた上司の間にどんな会話があったのかは知らない。だから以降、職場がどうなったかも、周りの人たちがどう思っているかも、そして自分がどうして逃げ出してきたのかもわからなかった。
最後にあそこへ行った日−その時はすでに平日の昼間(要するに普通に仕事する時間帯)に自分の席に座っていることができず、なるべく席を外すために他部署や他機関へ出向くような仕事をするようにし、通常業務は主に夜中や週末にするようになっていた−誰もいない職場で、僕の中にあった陳腐な責任感みたいなものを振り絞って最後の仕事と、退職願と、世話になった上司に対する電子メールだけを残した。というより、そうしなければならないのだと思っていた。僕がいることで周りに迷惑をかけるのなら、いない方がずっとマシなのだ、と。だが、せめて目の前にあるそれだけは終えて逃げだそう、とそれだけしか頭にはなかった。
考えてみれば無責任な話だ。結局僕はやるべきことをしなかっただけなのだ。それ以上でも以下でもない。救われる必要もないし、そんなつもりもない。そんな資格がそもそもない。でも、自分の存在は消せないし、死ぬ勇気もない。希望はないくせに、過去の記憶はなくならない。ただただダメな自分を無理に見つめ直させるだけの膨大な時間があった。めんどくさい。力も出ない。惨めな気分。何もしたくない。いなくなりたい。でもそうはならない。どうすればいい。どうすることもできない。どうにかしてくれ。なんとかしてくれ。
そう、誰かが僕を殺してくれればいい。
仕事を休んだ(というよりもう二度と行く気はなかった)翌日、上司から電話があった。電話を受けようか受けまいか迷ったが、いずれは話をしなければいけないだろうし、メールと書き置きだけで、仕事が辞められるとは思ってなかったから、仕方なく電話を受けた。
気づいてあげられなくてすまなかったな、と上司が言った。
それから長い時間をかけて、職場に残るように説得された。気が遠くなるような話だった。人間の話し声、電話の音、イス、自分はそこにいてはいけないという圧迫感、そのすべてが辞職以外の選択肢を消し去っていた。休職という制度はあれど、周囲の人間はきっとそれを許さないし、休職を選ぶことで、周りのひとたちには余計に迷惑がかかるのだ。
けれど上司は僕のネガティブな思考に根負けすることなく、「今は少し休んで、まず体の調子を整えろ。それから考えても遅くはない。」と繰り返し言ってくれた。
幸い有給休暇が丸々残っていたから、結局僕はこれを消化することにした。少なくとも、毎朝ベッドから起きあがろうという苦痛を感じなくてもすむし、スーツに着替えたり、ネクタイを締めたりする何気ない動作がうまく進まなくて悩むこともない。なにより嫌悪するあのイスに僕は座っていなくてもいいのだ。電話の音に震えなくてもすむのだ。
ひさしぶりに職場へ行ってみようと思ったその日、知らないうちに仕事ではなくて職場という場所・建物・雰囲気それらすべてに嫌悪感を感じるようになっていた僕は、何週間ぶりかに目にする職場風景に吐き気を覚えた。足が進まない。そのうち背筋がすっと冷たくなって、冷や汗が出た。建物を遠目に眺めるだけで、電話の鳴る音が聞こえる。鮮明に記憶が蘇る。逃げ出したくなるほどの圧迫感。心拍数がぐんぐん上昇しているのが手に取るようにわかる。
自己嫌悪。
もう何も残ってないはずの自分なのに
自尊心の最後の欠片が砕けるのがわかる。
けれども思う。
ダメなのは今始まったわけじゃない。
僕は元々ダメ人間で、勝手に僕が勘違いしていただけだ。
そもそも僕以外の人間も言うほど優れちゃいない。
気負う必要なんかまるでない。
俺はハゲてません。(マジレス)
金銭感覚の麻痺
借金
=お金を借りている
=返さなければならない
=オマケ付きで
状況把握能力の欠落
最低限の理性に欠陥
その場しのぎの自転車操業
簡単にお金が借りられる世の中
借金に対する後ろめたさへのごまかし
内容を伴わないコマーシャル
禁煙を呼びかけるたばこ広告
ご利用は計画的に
完済後の勧誘
表裏一体
それらはすべて一つの方向へ向かう
当人の意識するしないに関わらず
そして気が付くと首に縄がかかる
踏み台を蹴る
そうだ、やっぱ男は顔じゃねぇ!
キモくても大丈夫ぽいし!