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スカワティのグンデル・ワヤンの巨匠、イ・ワヤン・ロチェン氏を悼む
An Homage to I Wayan Loceng

増野亜子Ako Mashino

数多くの録音、演奏活動、そして数度の日本公演を通して日本でも多くの弟子や ファンをもつスカワティ村のグンデル・ワヤン演奏家、イ・ワヤン・ロチェン氏 が10月17日(火)朝、病院で亡くなられました。

ロチェンさんは1933年、代々影絵芝居の人形師やグンデル演奏者を数多く生んで きたスカワティ村ババカン集落に生まれました(ただしこの年代の方によくある ように、正確な年齢はわかりません)。マドラ、ウィジャ、ナルタといった歴代 の人気ダランの伴奏をつとめながら、ASTI(のちにSTSI)でも指導され、また海外 からも数多くの弟子や研究者が訪れたことで知られています。

卓越した演奏技術の持ち主であっただけでなく、若い頃からさまざまな新しい演 奏法を試み、伝統的なレパートリーを大胆に編曲し続けた音楽家でもありました。 またワヤンの物語世界にも精通しておられ、若いダランを育てたり、さまざまな 内外の研究者に協力したりした知識人でもありました。

さらに、グンデルを教えることにも非常に情熱を注いでおられました。

厳しいけれども温かい、そして弟子のことを家族のように思いやり、叱ってくれ る師匠でした。彼の薫陶を受けた「ロチェンさんの子供たち」は世界中に 散らばっています。時折奇抜な英語や日本語、ときにはイタリア語や ドイツ語までが飛び出すユニークなレッスンは一度受けたら忘れられないもので した。

2-3年前に体調を崩され、いったん入院、癌の疑いがあると診断されたものの その後、順調に復調され、薬を飲みながらも、 この夏まで精力的にグンデル・ワヤンを指導なさっていました。 この8月にお会いした際には、時々呼吸困難をおこされたり、 疲労を訴えたりしながらも、調子のよいときには訪ねてきた生徒たちと グンデルを演奏なさっていました。
ここ数週間体調を崩されており、月曜日に入院なさったものの、火曜日の朝に (おそらく心臓発作により)お亡くなりになったそうです。
お葬式は10月22日(日)に予定されています。

私たちはた多くの人々に愛された貴重な音楽家、そして多くの音楽家を育てた稀 有な師匠を失いました。しかしロチェンさんの人柄に魅了され、彼の音楽に圧倒さ れた経験をもっていること、彼から音楽だけでなく、バリに付いて、 人生に付いてさまざまなことを学ぶことができた私たちは幸福だったと思います。 これから天国に向かうロチェンさんの魂に、心から感謝のことばを捧げ、 ご冥福をお祈りしたいと思います。



Pak Loceng in 2002©2006 Ako Mashino
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2006年10月19日更新:当ページの文章および写真の著作権は増野亜子に属します。