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インド>ダージリン>DHRを取り囲む状況

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▲DHRは唯一無二の景勝地。全天に広がる真っ青な空、真っ白な万年雪を称えた世界第二の高峰カンチェンジュンガ、そして車歴100年を超える蒸気機関車達が世界中から訪れた旅行者を迎えてくれる。

 

  ダージリン・ヒマラヤン鉄道は、インド洋を囲むタライ平原の端に位置する「シリグリー」とヒマラヤ山脈の尾根に広がるヒルステーション「ダージリン」を結ぶ山岳鉄道である。

全線88kmがインド西ベンガル州内に施設されているが、地理的な事情で同州に本社を持つインド東鉄道(通称E.R.)ではなく、アッサム州グワハティーの本社があるインド北東辺境鉄道(通称N.F.)を構成するローカル線として登録されている。

アッサム・ベンガル鉄道、アッサム鉄道商会、東ベンガル鉄道※※を核として発足された鉄道組織。

※※東ベンガル鉄道はハルディバリ〜シリグリー、バルソイ〜キシャンガンジ、マニハッリ〜カティハル〜カサバなどを施設した。続いてハシマラ〜アリプルデュアル、ジッタルダハ・バマンハット、ゴラクガンジ〜アミンガオン、ランジーヤ〜ランガパラとドゥブーリの施設も行っている。

 

▲標高2257mに位置するループ橋『バタシア・ループ』。ここはDHRを世界でもっとも有名な鉄道に仕立て上げた景色地。


  物流を支えるインフラ的な重要度から語れば、ダージリン・ヒマラヤン鉄道は取るに足らないローカル線であることは間違い合い。しかし、たった88kmの路線が保有する世界に対する影響力は、1000kmを遙かに超えるインド北東辺境鉄道のそれを遙かに凌駕する。

それは同鉄道が唯一無二の景勝地だからである。

世界広しと言えども、万年雪を頂上に称えた8000m級の高峰を・・・蒸気機関車牽引による通年定期の一般旅客列車の車窓から楽しめるという場所はダージリンを置いて他にはありない。

同鉄道の実体は観光列車ではなく、二等車の大人初乗り約5ルピー(=約12円)という安価な乗車券で利用可能な地元住民用ローカル列車である。

  同鉄道は蒸気機関車にとって地上に残された最後の楽園の一つでもある。?? 世界に鉄道はありふれているが、車歴100年を超える多数のタンク式蒸気機関車の定期運用の維持に成功している組織は他には見あたらない。

同鉄道の代表的な支援団体は「ダージリン・ヒマラヤン・ソサエティー」なる英国人を中心とする文化団体だ。ダージリンの名門ホテル「ウィンダメア」敷地内に専用の展示室の運営や機関誌の発行など、幅広い支援活動を世界的に展開している。

それらがユネスコによって高く評価され、1999年になって同鉄道はオーストリアのゼンメリング鉄道に続いて「世界遺産」に登録されるという栄誉を送られる幸運に恵まれた。

しかし、残念なことにダージリン・ヒマラヤン鉄道を取り囲む話題は明るいものばかりではない。実は経済的にはギリギリのところまで追い詰められている。実は慢性的な赤字に陥っているだけでなく、収支の改善の見込みは皆無という状態が継続中となっているのだ。

かつてはドル箱だった貨物輸送は途絶えて久しい。観光旅客輸送はほとんどのシェアを自動車に奪われて久しい。そして地元旅客輸送は9割9分9厘まで無賃乗車なので収益性は皆無だ。

つまり、列車を走らせれば走らせるほど赤字が膨らむという悪循環に陥って久しいのだ。

世界遺産に登録される栄誉ある山岳鉄道の実情は、インド北東辺境鉄道本社が送ってくれる補填予算なしでは施設の維持はおろか、比較的安価な人件費の支払いすら不可能なのである。

  

  

  

  








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