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タイ>BTS新型車両

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▲中国長春軌道客車製の新型BTS車両。

 

オリジナルのBTS車両は、独逸ポルシェ・デザインと独逸シーメンスが作り上げた2M1Tの車両だ。最大6両編成(2M1T+2M1T)による運用が可能。

1999年12月の開通以来、その路線上を独占してきた。しかし、2010年になって状況が一変した。シーロム線(サナーム・キーラー・ヘン・チャーットッ駅=国立競技場駅〜ウォンウィアン・ヤイ駅=ウォンウェン・ヤイ駅)の運用から外されることとなったのだ。

それは同線に中国長春軌道客車製の新型車両が投入されたからである。これによってオリジナルのBTS車両はすべてがシーロム線から引き上げられ、スクムヴィット線(モーチット駅〜オンヌット駅)に回されることとなった。

新型編成は非動力車が1両追加された4両構成(2M2T)となっている。電源は、オリジナルのBTS車両と同じく第三軌条から供給されるDC750ボルト。空港鉄道(=ARL)のAC25000ボルトとは比較にならない。BTSとは一般鉄道というよりも、専用軌道が与えられたLRTに限りなく近い存在と考えた方が自然だろう。

同社はシーメンスやアルストームに次ぐ鉄道車両メーカーである、ボンバルディア・トランスポーテーションとのライセンス生産契約を交わしていることでも知られている。

同社とボンバルディア・トランスポーテーションの間には主従関係がある。同社はボンバルディアが開発した車両のノックダウン生産、またはベースとした開発・製造を担当している。

※ボンバルディア・トランスポーテーションは、青蔵鉄道で使用される余圧客車や深セン地下鉄用車両の開発なども担当している。

中国長春軌道客車製の新型BTS車両は、かなり個性的なおもむきを与えられたデザインとなっている。これは同社が製造するボンバルディア・デザインの深セン地下鉄車両(MOVIA)を流用しながら、オリジナルBTS車両のイメージを継承するデザインへと仕上げる無理に起因しているのではないかと思える。

現在、新型BTS車両はシーロム線専用車両として運用されている。ただし、問題は当然の如く起こった。同車両の導入直後より現在にいたるまで、信号システムがダウンするという怪現象が繰り返されているのだ。

原因はすぐに特定された。同車両が発生するノイズがBTSを集中制御するCTCの通信を妨害していたのだ。この問題は地元メディアでも大きく扱われた。

※ボンバルディア・トランスポーテーションの手によるMOVIA車両系の姉妹達はインド・デリーや英国・ロンドンなどでも採用されている。ベースは決して悪い物ではないはずだ。

 


▲四両編成による輸送量の増加が期待されている。

 

期待の中国長春軌道客車製新型車両だが、続報がある。2011年7月1日現在、すでに一部車両の自動開閉式乗降扉に不具合が出ている。例えば2840号車の場合、故障状況は『開閉不可』。その対処方法は豪快にも『開閉部の完全固定』。両開き式の乗降扉は警告ランプが常時点灯状態、扉可動部は内側と外側の両方から完全に警告シールで固定されている。

乗客がいち早く乗車しようと列を作って並んでいるというのに、ホームに入線したBTSの乗降扉が開かないのは印象的に最悪だ。乗り込もうとキチンと列を作っている乗客に巨大な失望感を与えてしまう。

客室内からこの不運な乗車位置で並んでいた人々を観察すると・・・「信じられない!」という表情をしてから我に戻って、諦めて最寄りの乗降扉へ急いでいる。しかし、時遅しだ。彼らの目前には、その乗車位置にキチンと並んでいた人達によってバリケードが築かれている。当然ながら座席への乗車という夢が潰えた瞬間でもある。

このままではタイ人は・・・長い時間をかけてやっと習得した『行列乗車』という文化を、中進国に相応しい大都市化生活マナーを失ってしまうかも知れない(実はBTSが開通した頃の一般的なタイ人は行列を作らなかった)。まだ、納入後一年も経っていないというのに・・・安かろう悪かろうとはまさにこの事である。溜息。

 


▲乗降扉の故障を伝えるシール(外側)。

 

 


▲乗降扉の故障を伝えるシール(中側)。

 

 


▲乗降扉の故障を伝えるシール(拡大)。

 

 

 







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