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インド>ニルギリ登山鉄道概要

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▲ロウワー・エリア担当のラック式蒸気機関車。

 

  ニルギリ登山鉄道は、インド南部のタミル・ナドゥー州に1899年に施設されたラック式鉄道だ。英語名は「Nilgiris Mountain Railways」、過去には「Blue Mountain Ralways」を名乗っていた時期もあった。なお、略称は「NMR」となっている。

  開通時は英国人のマドラス鉄道が運営していたが、独立後は南インド国鉄の一部門として統合された。

  同鉄道は世界遺産「インドの山岳鉄道」に2005年に登録されたことだけでなく、インドに最後に残された定期的な蒸気機関車の運行が行わている「蒸機の聖地」としても広く知られてる。

  鉄道の施設計画は英国植民地時代の1845年に開始されている。しかし、ダージリンヒマラヤン鉄道と異なり、馬車道などすでに測量がほとんど完了しただけでなく高度差などが証明されたルートに鉄道を施設できなかった。それが施設時には大きな問題となり、完全開業まで約半世紀を要したわけだ。

  そのため、現在でも自動車道がほとんど併走しない独立ルートが採られている。16箇所のトンネル、250カ所の橋梁、80パーミルを超える急勾配区間など乗客を引きつける要素が詰まっている。ただし不思議なことにループ橋やスイッチ・バック(リバース・ステーション)などの施設は採用されていない。

 


▲アッパー・エリア担当のディーゼル機関車。


  ニルギリ登山鉄道の路線全長は約46km、始発駅はメットパラヤム駅、中継駅はクーヌール駅、終着駅はウータマランド(ウッティ)駅。最低標高地点は始発駅のメットパラヤム駅で326m、最高標高地点はラヴデイル駅の2345m。標高差は2019mとなっている。

  蒸気機関車が客車の牽引を担当するメットパラヤム駅〜クーヌール駅のロウアー・エリア(1899年開通)とディーゼル機関車が担当するクーヌール駅〜ウータマランド(ウッティ)駅のアッパー・エリア(1908年開通)に二分されている。

  運賃は一等と二等から選べる。全線を通しで走る列車は「ニルギリ・パッセンジャー」と呼ばれ、1日に1本しか運行されていない。ただし、ロウワー・エリアでは大人の言葉で語るところの「技術的な問題」による運休が極めて多い。筆者も実は3回訪れているにもかかわらず、特にロウワー・エリアでは1.3往復しか乗車できていない。

  ロウアー・エリアはラック式となっている。始発駅メットパラヤム駅〜カーラー駅の約8kmの区間、クーヌール駅手前の踏切から約100mを除く約20kmには全て第三軌条としてラック・レールが施設されている。このため、ピニオンを搭載する専用蒸気機関車「X級(X形)」でなければこの区間で旅客列車を牽引できない。

  ロウアー・エリアでは、始発駅メットパラヤム駅、カーラー駅、中継駅クーヌール駅以外の駅から乗り込む客はいない。何故なら同区間の複数の駅へのアクセスは自動車などでは不可能だからだ。アッダーリー駅やヒル・グローヴ駅などでは列車が停車するが、目的はあくまで給水と乗客の休憩である。また、ケテリ駅は駅舎もどきは残されているがすでに通過駅扱いとあっている。この区間は1日1往復の列車運行がある。

  アッパー・エリアは通常の粘着式となっている。中継駅クーヌール駅〜終着駅ウータマランド(ウッティ)駅の約18kmの区間はディーゼル機関車が担当する。この区間に同鉄道の最高標高地点はラヴデイル駅(2345m)が存在する。こちらはロウアー・エリアと違って自動車でアクセスできる駅が多いので客扱いは期待できる。また、リタイアリング・ルームを併せ持つ駅もいくつか擁している。この区間は1日4往復の列車運行がある。

  始発駅への鉄道によるアクセスは容易ではない。チェンナイ・セントラル駅始発のニルギリ・エクスプレス以外では、ジャンクション駅であるコンバトール駅〜始発駅メットパラヤム駅はほぼ存在しない。ニルギリ・エクスプレスの回送列車が普通列車となるが、それを使用してしまうと往復に2日ほどかかる。もし、自力で始発駅メットパラヤム駅へ向かうのであれば短・中距離を結ぶローカル・バスやタクシーなどの使用が望ましい。

  始発駅はメットパラヤム駅は、インドでは一般的なブロード・ゲージ(軌間1676mm)とナロー・ゲエージ(軌間1000mm)が混在する。リタイヤリング・ルームはないが、暖かいコーヒーが飲める小売店と水シャワーを浴びられるアッパー・クラス・ウエイティング・ルームの利用は可能だ。また、徒歩5分の所にバス・ターミナルを見つけられる。

 


▲NMRのラック・レール。


  

  








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