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カンボジア>カンボジア鉄道とお金

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▲自称クメール・ルージュたち。見覚えのある黒衣が嫌。

 

 ここではカンボジア鉄道が赤字経営なのでお金に困っているとか、ありきたりのことを書くつもりは毛頭ない。カンボジア鉄道乗車料金の支払いと乗車中の買い物の方法について書きたいのである。

 カンボジア鉄道の暫定的な最北の駅であるシソポンで列車に乗車してバッタムバンまでの約4時間の汽車旅を楽しんだとすると、カンボジア人は1500リエルの請求を駅の切符売り場か列車内の車掌から受けることになる。そして外国人の旅行者の場合は、2001年よりめでたく「外国人料金」なるものが誕生してしまったので、3090リエル(カンボジア人の約2倍)の請求を受けることになる。

 何とも世知辛い世の中の事情を反映して、カンボジアでのボクたち外国人を取り囲む経済状況は年々厳しくなっている。違う意味で「Time is Money.」である。もっと高くなる前に乗車しに行くべきだ。もうすぐヴィエトナム鉄道でも悪名高い「外国人料金」が廃止されるご時世だというのに……。

 で、この乗車料金をカンボジアにいる外国人たちはどうやって支払ったら良いのだろうか? 答えは乗車駅によって多少の違いあるが、外国人はまず乗車してから支払方法を考えればいい、というところだろう。なぜなら列車上でのすべての支払いにはカンボジア通貨であるリエル以外に「米ドル」と「タイバーツ」が使用できるからだ。

 カンボジアでは外貨の「米ドル」と「タイバーツ」が国内通貨のリエルと平行して流通しているので、米ドルやタイバーツがお釣りで帰ってくることすらある。また各通貨間の換金レートが「1米ドル」=「40タイバーツ」=「4000リエル」でほぼ固定されているので、財布の中は常に3種類の通貨が同居するという不思議なインターナショナルさを醸し出してしまう。

 カンボジアでは「米ドル」も「タイバーツ」も外貨ではありえないのだ(もちろん造幣権がないので厳密に言えば外貨なのだろうが)。そうでありながら不用意に米ドルばかりで支払い続けると財布の中が少額のリエル紙幣でパンパンに膨らんでしまうことになる。それを解決する方法は今までの常識を捨てることだ。具体的にはリエルと少額のタイ紙幣をカンボジアの小銭と考えるのだ。そして高額のタイ紙幣と米ドル紙幣をお札として考えるのだ。こう考えるとお金の勘定がし易い。カンボジアに滞在した際はどうぞお試しアレ。

 ただ喜ばれる外貨の種類が地域によって多少異なるのでTPOをわきまえるのがスマートである。それを説明すると左記のようになる。 シソポン〜バッタムバン〜プルサトの間で乗車料金を支払う場合は、「タイバーツ紙幣」、「タイバーツ硬貨」、「リエル」、「米ドル」の順番で歓迎される。これはタイとの国境が近いことから生じている。

 タイ商人は99.9%の確率で買い物の際に「リエル」を受け取らない。それでカンボジア人がタイから輸出されてくる品物を買うときには「タイバーツ紙幣」または「タイバーツ硬貨」が必要になってくるのだ。そんな事情でシソポン〜バッタムバン〜プルサトの付近の人々は「タイバーツ紙幣」または「タイバーツ硬貨」を喜ぶのだ。

 プルサト〜プノム・ペン〜カムポットの間で乗車料金となるとまた変わってくる。タイ国境(通過ポイント)が遠くなり、プノム・ペンから仕入れられた商品が多くなる。そこで「米ドル」、「リエル」、「タイバーツ紙幣」の順番で歓迎されることなる。このあたりでは「タイバーツ硬貨」はすでにアウトである。

 カムポット〜シハヌークヴィル(コンポン・ソム)の間で乗車料金を支払う場合はまた再びタイとの国境が近くなってくるので「タイバーツ紙幣」、「リエル」、「米ドル」に戻る。ただ「タイバーツ硬貨」はカムポットやシハヌークヴィル周辺では流通していない。それはコンポン・ソムからカンボジア・タイ国境までは高速船で4時間の距離があるからだ。

 この乗車料金の支払い方法は右記の地域で下車して宿泊する場合の支払いなどにも応用ができる。ただしカンボジア鉄道に乗車中に水や食料を購入する場合は、少額のリエルで支払うことをおすすめする。それは高額の米ドルを差し出すとボラれるからではなく、売り子さんには十分なお釣りがない場合が多いからである。

 もし貴方が500リエルの飲料水を購入する場合に100タイバーツ札や1米ドル札で支払おうとすれば、売り子さんは泣きたくなるような困った顔をするだろう。それは500リエルの飲料水に対して100タイバーツ札ならお釣りは9500リエル(100リエル札でなら95枚!)もの高額になるからだ。誓ってもいいが、ほとんどの売り子さんはそれほどの大金の持ち合わせはないはずだ。

 以前にこんなことがあった。ボクがカムポット駅で反対方向からやってくる列車の交換を待っていたときのことだ。ボクは少年から1本の飲料水を購入した。そのときボクは不用意にも米1ドルを手渡した。少年は黙ってその場から立ち去った。「ああ、ボラれてしまったんだな。まあこれであの少年の夕食が豪華になるのも悪くない」などと邪推して、余裕をこいていた。

 ボクはカンボジア国軍の兵士をいつになったら列車は出発するんだと愚痴を言い合って暇を潰していたので、米1ドルのことなんか忘れてしまっていた。でもそれから2時間以上経過してから、その少年が戻ってきた。手には他の乗客に飲料水を販売して手にしたと思われるたくさんの少額リエル紙幣が握られていた

 。少年はそれをボクに手渡すとまた黙って消えてしまった。予想外の出来事にあっけにとられたボクは、しばらくしてから手渡されたお金の意味に気づいた。それは「2時間前の飲料水のおつり」だったのだ。しかも金額はピッタリ3500リエルあった。これはいつまでも忘れられない失敗として今でも胸にしっかりと刻み込まれている。

 という訳でボクたち外国人旅行者は、まず100タイバーツ紙幣や1米ドル紙幣で乗車料金を支払って、乗車中はそのお釣りで必要なものを購入するボランティア精神が必要に思える。100タイバーツ紙幣はバンコクでならはした金でしかならない。しかしタイの首都を遠く離れた隣国の地方都市ではちょっとした金額になるのだ。これはまさに国家間の所得と物価の差というダブルパンチから生じる問題なのだ

。 このようにカンボジアのような発展途上国では飲料水1本購入するのにも、計画的に小額紙幣を集めてからにしなくてはならないという面倒くささがある。しかしカンボジア人たちも同様に経済活動を行っているので、ボクたち先進国の人間にできないはずがない。

 なお首都プノム・ペンやアンコール・ワットのあるシエム・リアプではまた別の問題が生じる場合がある。500リエルの飲料水も2500リエルのうどん(クィティアオとかフォー=ビーフン麺)もすべて米1ドルになってしまい、カンボジアを出国するまでにリエルを目にする機会がないという人に出会うことがあるのだ。それは単にボラれているだけなのだが、お金の計算は簡単だ。さてどちらを選択するかは貴方の旅のスタイル次第である。



【乗車料金表(〜2001年頃)】

・バッタムバン〜マウン     2250Rh

・バッタムバン〜プルサト    4860Rh

・バッタムバン〜プノム・ペン 12330Rh

・バッタムバン〜シソポン    3090Rh



【物価表(〜2001年頃)】

・飲料水(ボトル)       500Rh

・ソフトドリンク(缶)     1500Rh

・ビール(缶)         2000Rh

・うどん(汁ビーフン)     2000Rh

・砂糖椰子ジュース(杯)    200Rh

・フランスパン         500Rh

・サンドウィッチ        1500Rh

・ガム             500Rh※

※表記はブランドやトッピング、大きさによって価格が変動することを表します

※Rh=カンボジアリエル








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