国会やマスコミで議論されている問題
               
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   5000万件の納付者不明納付金
 一方納付の記憶があっても、証拠がないとして年金が減額されたり支給されない人が多数。民主党は国会で全調査を要求したが
柳沢厚労大臣はイエスとは言わなかった。しかしさすがにこの問題は参院選に響くと考えた安倍総理は、請求期間の時効の撤廃と全調査の方向を、自民党提案として実施すると変更した

   1 未納問題         2004年5月20日

 3閣僚の国民年金未納問題が発覚して以後、議会でもマスコミでも、未加入未納問題が入り乱れている。この議論は、始まって以来論点は動き、混乱を極めている。何がどのように問題になっているのか整理しないと、論議は上滑りのまま、いつのまにか政党間の取引でうやむやになる可能性がある。現時点(5月19日)までの論点を整理しておく。

 小泉総理の未納問題は、当人の言によれば、1986年以前の任意加入期間のことであり問題ない、ということである。

 (任意加入)
 1985年改定以前は、共済年金、厚生年金、議員年金などの公的年金に加入しておれば、国民年金への加入は任意であった。そうした年金加入者の配偶者も同じく任意であった。また20歳以上の学生(主に大学生)も加入する必要はなかった。したがってそれ以外の国民年金加入義務者以外はほとんど加入していなかった。1985年の改定は、いわゆる二階建て方式といわれるものの採用で、全ての20歳になった国民は、65歳になるまでに、25年以上40年まで年金保険税を払い込むことが義務付けられた。45年間で25年から40年という払い込み期間の幅が設けられたのは、無収入や低収入者の払い込みに猶予を与えるためである。

 1985年改定以後の未納については、正当な理由で納付猶予が社会保険事務所から認められていないかぎり、国民としての義務違反であることは間違いない。しかし、任意加入期間であれば、小泉氏の答弁自体は間違いではない。

 論点はここから動き始める。うっかりしていた。制度が複雑でわかりにくい。一般国民であればそうした言い訳は認められるが、制度を審議し国会で成立させた議員にはそのような言い訳は認められない。つまり1986年以後の未納が正当な理由でないかぎり、議員たるもの、責任を問われるのは、うっかりであろうと、免れない。一般国民の中には、20年以上も前から、国民年金はいずれ行き詰る、僅かな給付で生活は出来ないなどの理由で、強制加入以後も払い込みしていない人は多い。強制加入だから、未加入ではない。不払いであるから、義務違反である。しかし彼らには、年金は受け取らないのだから問題ないだろう、という意識がある。未納の議員が、そのような意識で納付しなかったのではない、という証明は出来ないのである。

 整理すれば、任意期間は、「任意」の資格があったか、加入していたか未加入であったかとして取り扱われるべきである。強制期間は、合法的未納か非合法的未納かで本人の責任が検討されなければならない。それが十把一絡げで未納として取り扱われ、行きがかり上マスコミは、義務期間の未納探しにやっきとなっている。それをするなら、全ての議員の義務違反の疑いのある未納を国民に開示し、弁明を引き出すという対応でないと、混乱を増大させるだけである。

 次の論点は、未納問題が国民の国会や年金制度に対する不信を著しく高めたことへの道義的責任がある、というものである。立法や行政の最高の地位にある議員が、制度を理解していなかったというのは確かに議員としての資格を疑われて当然である。しかしこれは、実証のしようがない。むしろ、制度の欠陥などにすり替えて、政治家自身はけして責任をとらない性格の問題である。

 さらに進むと、3閣僚の未納が発覚し、菅代表の未納も露見した段階で何故多くの議員の未納問題をあきらかにしなかったのか。年金改革の政府与党案が衆議院を通過してから発表するのは汚い手だ、ということになる。また、自分にはそうした問題は無いと言っていたのに未加入期間があったのは嘘を言ったことになる(小泉氏が)という批判になる。実際公明党は改革案立案の中心となり、その改革を成し遂げたという実績を作りたいために、公表を遅らせたと思われても仕方ない対応であった。

 菅氏は、3閣僚未納問題を、政府与党案の衆議院通過阻止のチャンスと見て攻撃に出た。しかし自らの未納発覚でこの攻撃は不発に終わり、その時点で3閣僚と刺し違えるという対応をせず、言い訳したかことで辞任に追い込まれた。菅は辞任すべきだと主張した小沢氏は、その真意は3党合意を潰すことにあったかもしれないが、菅の未納問題に対する発言として行ったので、自らの未納があきらかになり、民主党代表への立候補を辞退するはめに陥った。民主党はこの間幾つもの対応のミスをした。
 菅が3閣僚の未納を追及するとき、自分のことを調べてやればよかったが、それをしなかったので、自分の問題をを棚に上げて、という印象をもたれ、集中砲火を浴びる結果となった。さらにそのごの対応の拙さがあった。そして3党合意を巡る党内不一致。小沢の立候補辞退。マスコミは小泉との刺し違えを狙ったとされるが、国民には民主党の不甲斐なさだけが目立った。

 未納問題の発覚で、何が証明可能なかたちであきらかになったかといえば、国民年金制度の欠陥と、今回の改革案にはそれが盛りこまれていない、ということである。これにたいしては、早速いくつかの提案が行われている。
 現在さかのぼって納付できる期間が2年であるのを5年にする。
 3年ほどの期間を限って、過去の未納分を一括納付する特例を設置する。
 社会保険庁による周知の強化。
 罰則等、取立ての強化など。

 強制加入の建前上、完納達成のための措置を行うことは理念的には正しい。しかし、未納期間に比例した給付削減額と、完納の場合の給付額を比較すると、総納付額と総給付額の差は完納、完全給付のほうが大きい。つまり完全納付されるほうが財政の破たんは早いと言う結果になる。

 過去の未納分の一括納付を認めるとすると、納付金額をどうするのか。未納時期の金額で行えば、貨幣価値、所得との比較において、今回まとめて払い込む人は、継続して払い込んできた人よりはるかに得することになる。負担の重さからすれば、現行の一ヶ月13300円x未納期間のほうが公正である。ただしそれはかなり纏まった金額になるので抵抗は多いだろうし、納付できない人も多いだろう。また、現在給付を受けている人で、未納期間があるため減額給付を受けている人にも不満が生まれるだろう。

 そしてこうした問題は、世代間扶養の理念が実際には働かず、積み立て意識が現行の制度の、実際の思想的根拠となっていることから発生する問題である。
 

      民主党案の、最低保障年金財源を消費税とすることにたいする政府与党の批判「年金保険料の2重取り」論批判     2004年5月24日


 民主党年金制度改革案では、現行の国民年金(基礎年金)に該当する部分を最低保証年金として財源を100%税金とすることになっています。その税は間接税(消費税)を充てるとしてあります。これに対し政府与党は年金保険料の二重取りになると批判しています。その問題を検討してみます。

 現行制度では、老齢年金受給年齢に達し、年金を給付を受け始めると、年金保険料納付はなくなります。それに対し消費税方式では、年金受給者も買い物をするので消費税を払います。ここのところを二重取りというわけです。もう一つは、現行制度からの移行期間に年金保険料を払ってきた人が、現行制度のままでは払う必要の無い保険料を消費税として取られるので二重取りというわけです。

 民主党は最低保障年金を全額税で運営することで、現行の一律年金の持つ低所得者ほど負担が重いという問題と、無年金者が発生するという欠陥が解消される、とのべています。社会保険方式の年金制度は決められた最低基準以上の期間、直接年金保険料を払い込まないと年金が受けられません。不足すれば納付した年金保険料は没収され、無年金者となります。最も現行制度では、基礎年金を減額されて(満額でも)受給するより生活保護を受けたほうが受け取る金額は多いのですが。

 厚生労働省の説明によると、社会情勢の変化にともない、家族構成がかわって、高齢者世帯が増えたとき、高齢者がその子に頼ることなく独立した生計を営めるための(補助?)収入を保証するためにつくられたのが公的年金制度です。しかし年金保険料が納められない低所得者は無年金者となりこの制度によっては守られない、そうした欠陥をなくそうという民主党案には合理性があります。負担能力の如何にかかわらず、最低所得保障が得られる、それが公的年金制度の本来の目的に合致するものです。

 問題はその財源である税を直接税とするか間接税とするかです。そこで直接税方式と間接税方式についてまず検討しておきます。

 直接税は一般に所得に対して比率でかけられます。それでも低所得者の負担感は大きいので、累進税率が用いられます。厚生年金や共済年金はこの直接税方式です。所得に比例して保険料が変ります。また払い込んだ年金保険料に比例して給付金額が変ります。これらは、給与所得者にたいして、源泉徴収で行われるので、負担の公平さが保たれるし、負担と給付の金額的関係も明確です。しかし自営業者などの所得の捕捉は大変難しく複雑です。実際には脱税なども多く、現在の所得税制度において、税の不公平性は明白であるにもかかわらず、手の打ちようがないのが現実です。そのうえ、年金目的税が直接税方式で実施されるとすれば、不公平性は一層大きくなります。したがって、直接税方式による年金財源確保という手段は社会制度全体の変更なしには不可能です。たとえば脱税に対する罪をはるかに重くするとか、一切の取引における金銭のやりとりを、現金取引を禁止し、銀行や公的金融機関をとおして行うようにするとか。

 したがって民主党提案の最低保障年金財源としての税は、間接税、すなわち消費税とならざるをえません。

 最低保証年金の財源を消費税にすると、年金受給者も年金保険料を、結果として納付することになります。現行制度と比較すれば確かに給付された中から保険料を取られるという形になりおかしいように見えます。しかし医療保険や介護保険などは現在でも給付を受ける人も保険料を支払っています。それらはその上に一部自己負担金まで払っているのです。勿論年金は医療保険や介護保険とは違うので、自己負担などという仕組みが生まれる要素は全くありません。ただ社会保障全体としてみると、負担能力に応じて負担するわけで、年金受給者でも、負担能力があれば、負担するのは当然なわけです。

 二重取りのもう一つの要素、今まで年金保険料を払ってきて、受給者になってまた取られる、ということについて。厚労省は年金制度を「世代間扶養」としています。それは、将来のために積み立てるのでなく、今の高齢者を扶養するために拠出するという意味です。将来のための積み立てであれば、それは任意加入としてしか成り立ちません。強制加入というからには、世代間扶養の原則が守られなければならないのです。そのことでのみ強制取立ての根拠が生まれます。実際は未納者や非加入者は、世代間扶養の義務をはたしていないのです。一般市民は、自分の受給のことだけ考えて、「給付を受けないのだからいいではないか」と考えがちですが、そうではなく、加入し真面目に納付している人に世代間扶養を押し付けているわけです。ここに現行制度が、財政破綻に陥るという以上に、制度としての信頼を無くす、不公平の問題があります。そして受給者が既に払い込んだ年金保険料は、そのときの高齢者扶養のための資金です。彼はそれを貯め込んで分割して受け取るのでなく、そうした社会的貢献にたいして、高齢化して所得がなくなったとき、年金を受け取るのです。したがって彼が今、年金保険料を払い込み、将来新たなシステムのもとで年金を受け取っても、年金の二重負担ではないのです。

 受給者の側からすれば、負担は軽く給付は多く、が望ましいことは事実です。しかし実際にはそうはいきません。公平な負担と、実現可能な税制度が、最低保障年金の財源としては望ましいわけです。

 消費税については、逆進税制であるという批判があります。消費者にとって、購入金額に一定比率の税率が課されます。その比率は高所得者も低所得者も同じです。また一人の人間が生活するのに必要な消費は所得格差と比べれば、その差は小さいと思われます。ただしそれは一定水準以下の所得水準の人には当てはまるが、特別の高所得者には当てはまらないように思います。一般のサラリーマンが飲むワインは一本高くても千数百円の筈です。1万円もするワインを日常飲む人はいません。ところがテレビでその生活ぶりを披露する芸能人たちにとって、一本一万円は普通の世界であり、ゴルフのジャンボ尾崎などは一本10万円のワインを飲むそうです。逆進税制というだけでは正しい把握とは言えません。

 しかし、一定水準以下の人たちにとっては逆進性は確かにあります。消費税が上乗せされたぶん、家計にたいする負担は重くなります。

 例えば新社会党の年金改革案?は、最低保証年金を10万円程度としています。それは生活保護費より上に設定されており、老齢年金の思想、高齢者が子や孫に直接負担をかけることなく生計を営める水準に合致しています。しかし新社会党は消費税の逆進性を理由に民主党案に反対します。財源については、不公平税制を正すとしています。詳しくはわかりませんが、直接税の累進率の高累進化を行い、福祉目的直接税などを新設する、というようなことではないかと想像します。

 問題は、累進率をいかに変えても、直接税の捕捉率の問題は解決されないということです。直接税においてごまかしや脱税を防ぎ、税負担の公平性を保つには、国民背番号制などを導入し、個人情報を国家が掌握する必要があります。つまり社会主義的国民管理が無い限り、直接税の公平な完全実施は不可能なのです。中国ですら脱税などの経済班の罪が極めて重いにもかかわらず、それはなくなりません。

 消費税は、全ての国民の個人情報を管理する必要がありません。納税義務者である販売業者だけを管理すればよいわけです。勿論販売業者が脱税をする場合はあります。ただ現状でも、消費税は販売業者の預かり金という考え方で、その脱税に対する罪は、一般の脱税より重くなっています。そうした運用上の条件を改善することで脱税率をさらに下げることは可能で、ごまかしや脱税による不公平の是正は、直接税とは比較にならないほど簡単なのです。

 捕捉率が高いという理由で税制が消費税一本化が可能かといえば、そうではありません。金融取引などは手数料には消費税がつきますが、利息などにはつきません。また給料にも消費税はつきません。所得税は必要なのです。そして、消費税の逆進性は、所得税の課税最低限の引き上げ、障害者などの控除、そしてさらに低所得者には、年金受給年齢に達しない人には生活保護の給付などで、救済すればよいわけです。

 直接税の不公平は是正されなばなりません。しかしそのことと、消費税を最低保証年金の財源とするという問題は全く関係ないわけです。共産党も消費税財源論に反対します。おそらく、直接税の完全実施が、社会主義社会への接近という捉え方があるのかもしれません。しかしそれは、個人情報の国家管理と連動するわけです。それが、現在の政府からすれば反体制運動と見なされている、共産党や新社会党に好都合なはずがありません。

 私は消費税方式に賛成します。そして共産党や新社会党は、政府与党案を廃案に追い込み、民主党案を基本にした年金改革の実現と、社会的弱者、低所得者の救済のための制度確立へ向けて政治的努力をすべきです。


         3 平成15年度国民年金納付率の発表の欺瞞  2004年7月29日

 社会保険庁の発表によると平成15年度の国民保険料納付率は前年度に比べ0.6%改善して63.4%になったという。しかしこれは、保険料免除、部分免除などの新たな認定で納付義務者が減った結果である。納付義務者を前年と同じ水準にすると、0.8%マイナスになるそうだ。つまり納付者総数、納付金額は減少していることになる。0.6%改善が徴収努力によって事態が改善したどころか、あれだけの騒ぎにもかかわらず悪化したということである。
 そのうえ納付率は若年者ほど低く、高年者ほど高い。これは、高年者ほど受給年齢が近づき、関心が高いというだけではない。高年者の場合、満65歳になったとき納付期間が25年に満たないと、無年金者つまり受給資格が得られない。したがって納付義務者から排除される。つまり分母が同年齢層全てでなく、無年金者を差し引いた人数になる。だから納付率は高くなる。一方若年者特に40歳未満は100%納付義務者(障害者を除く)である。したがって納付率は低くなる。その部分の納付率が低いのは意識の高低だけでなく失業率の高さ、不正規雇用の増大による収入の低さが影響している。
 
 制度の破綻は、少子化以前の問題であることが明確である。あたかも少子化こそが問題であるように説明した、前国会成立の年金改革提案者、厚生労働省と公明党の大嘘を見抜かねばならない。

 ついでに、私は少子化は悪いことではないと思っている。人口=生産力の社会では人口増大は即国力増大になる。その結果余剰人口処分のため、満州国を捏造し、関東軍を送り込んで原住民を追い出し、日本人開拓民を送り込んだ。苦労したとはいえ南米やアメリカへの出稼ぎにはまだ条件があったが、満蒙への入植はあきらかに軍事力による原住民追いお払いによって行われた。つまり資源の少ない狭い国土で生きていける人口は限りがある。それは明日の地球の運命を先取りしている。日本がその問題をどう解決するかは、人類の進路におおきな指針を示すだろう。
 産業構造の高度化はたしかにその時点での人口の生命を維持する方法を世界に示した。アジア諸国はそれに追随している。しかし次元は次の段階に達している。


          4 偽装脱退                                  2004年9月24日

 厚生年金は民間企業に雇用される従業員が加入する公的年金制度である。保険金は雇用される本人と雇用する企業が折半で負担することになっている。ところがこの使用者負担が、経営状態がわるくなると、企業の経理に重くのしかかる。したがって従業員4人未満の個人事業には厚生年金制度への加入は義務化されていない。
 ただでさえ不況で苦しくなっている上に、年金改革法の成立で、年金保険料率が毎年上げられる。したがって経営者はなんとか厚生年金から脱退したいと考えている。パートタイマーやアルバイトへの切り替えにより正規雇用を減らすのも、厚生年金や社会保険の使用者負担を減らすためだ。そのほか、偽装の廃業や法人の偽装解散で年金脱退が増えているそうだ。報道によると、今年8月までで4万件の厚生年金脱退があるという。そのなかにはかなりの数の偽装脱退があるらしい。こともあろうに新宿社会保険事務所は脱退書類の雛形まで作って便宜を計っていたそうだ。ようするに今回の年金改革は一層自らの首を絞める改革である。
 元来、折半という制度が悪い。いかにも経営者が恩着せがましく負担してやっているように見えるが、それは儲けのなかから出すのであって、従業員が稼ぎ出した金にほかならない。であれば、全額従業員負担にし、給与明細書に書き込むべきである。そうすることで国民の関心は格段に高くなるし、儲けがなくなったから脱退するという経営者のかっては許されない。

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