黒き牙の3









「うちはイタチを暗部に任命する。…いろいろと難しいこともあろうが、何かあればすぐに相談しなさい」
「ありがとうございます」


 与えられたものに特に感動は覚えない。
 でも、それによって近づけると思えば、それはとても強い高揚感を自分に与えてくれる。










 そこに、何の迷いも、恐れも、存在しない。
 あるのは、甘美な感情のみ。
 それが憧憬と共に、執着という想いだとしても。














 今までは何の意味も持たなかった橋の脇の木。
それに手をついて見上げる。


イタチは眉を顰めた。



「……いない」



ここにいなければ、あとは自宅か、果てまた任務で里にいないのか。
それとも……

 イタチは木から離れると橋を渡った。
















「あんたがここにいるなんて珍しいじゃない?」


ちょうど空いていた一番奥の席に座ると、自分の湯呑みを持って向かいに馴染みの女性が座った。
彼女に続いて他にも同じテーブルにつく者が数人。


「いや、だって上忍は任務ない時ここに待機だってばよ?」


ナルトがきょとん、と言うと、脇に座ったカカシがお約束の本を広げながら笑った。


「暇さえあれば修業に行くようなやつがんな事言うなっての」
「そうよ。私なんてあんたに会うの半月ぶりよ」
「紅までー。顔出してなかったのは任務だったからだってばよ」


ぶー、と膨れるナルトの前に三色団子の乗った皿をコトン、と置かれた。
ナルトが瞬きをして顔を上げると、すでに一本口にくわえたアンコが笑っていた。


「疲れてる時は甘いもんが一番よー」
「お前は三食団子だろーが」


ずーー、とお茶を啜って言うゲンマにアンコは無言でうるさい、と唸る。
その横で青白い顔をしたハヤテがお茶を淹れていた。


「でも最近のナルトさんは少々働き過ぎですよ。はい、お茶です」
「ありがとうだってば。んんーー、そうかなー? あんま実感ないってばよ」
「自覚症状ないのが一番恐いんだよ。お前睡眠時間とってるか? マジに過労死するぞ」


テーブルに肘をついてアスマは目を細めた。
くわえた煙草から煙が上がっている。
ナルトはついっと手を伸ばすとそれを取り去った。


「アスマこそ。煙草は身体に毒だってばよ」
「全くよ」


紅にも釘をさされ、アスマはすまん、と呟いて灰皿を差し出した。
そこにナルトは持っていた煙草を押し当てる。


 いつも、ここに来るとこんな感じだ。
同期の彼らがそばに来て、あれこれと世話を焼いてくれる。


(…家族って、こんな感じだったってばよ)


微かに残る思い出と比べて、そんな風に漠然とそう思う。
だから、自然と顔に笑顔が浮かんだ。







「あっらーん?」


ふいにカカシが本から顔を上げてつぶやいたのにナルトは顔を上げた。
そして満面に笑みを浮かべる。

 『人生色々』の暖簾の所から光を吸う闇のような髪が覗いていた。
ナルトがぱっと立ち上がった。


「イタチ!」
「ナルトさん」


明るい、眩いばかりの笑顔で迎えてくれたその人に、自然と笑みを返す。
ぱたぱたと小走りに暖簾のところまで来てくれて、どうした? と小首を傾げる様子に、思わず瞬きした。


「あの、ナルトさん…」
「ん?」
「俺、暗部入隊が決まりました」


そう告げたとき、微かにナルトの表情が曇った。
けれどそれは本当に一瞬だったが、どこか寂しげな色を浮かべた瞳に激しく動揺した。
とにかく何か話さなければと口が勝手に動く。


「その…、修業に付き合っていただいたりしましたから、ナルトさんにお礼を言いたくて」
「あ、いや…。お礼なんていいってばよ! もともとイタチは優秀なんだしさ!」
「ナルト、ここじゃ騒がしいからどっか他へ行って話聞いたげなさいよ」


ついつい、っと服を引っ張って、いつの間にかそばに来ていた紅が促した。
上忍の待機場である『人生色々』はただでさえ人の出入りが多い。
無論上忍のだ。
イタチは上忍ではない。
またその年齢からも目立つのだ。
ナルトは頷いた。


「あ、そうだってばね。じゃイタチ、ちょっと向こうに行こうか」
「はい」


そのままナルトはイタチを連れて店を出て行った。












まるで蜻蛉返りのその様子に残った面々は冷めた表情を浮かべていた。



「彼ですよね。ナルトさんの多忙の原因のひとつ」


ごほごほと咳をしつつも、隙のない眼差しでイタチの後ろ姿を見つめるハヤテにカカシが頷く。


「護衛の任務で知り合ってからあんな調子だ。なんか初対面の時から妙にナルトに懐いてたからおかしいとは思ってたけど…今じゃべったり。俺だってナルトと マンツーマンでいろんな事したいのに……ッ」
「あんたの私情なんて知らないわよ。けど、暇さえあればナルトに修業頼んでるんでしょ? 懐くにしても、ちょっと…ね」


懸念する紅にゲンマが含みを持って返す。


「ありゃあナルトに恋してるな」
「おーおー、若いねー」


一度消した煙草に再び火を付けてアスマは煙を上げた。
今度は紅も誰も止めない。
向かいでパタン、と本を閉じたカカシが口を開く。


「まあ説明するまでもないけど…。うちはイタチ、11歳。さっきの会話の通り、つい最近暗部への入隊が決まった…今里でも有望視されてる新人中忍だ。すで に写輪眼も開眼。親父さんは一族の代表兼、木の葉警務部隊の隊長。…フガクさんの息子さんだ」
「……なかなか難しいところね」

嫌そうにアンコは顔を歪めた。
ゲンマも同じような顔をしている。


「フガクさんは良いにしても…このままあんな状態が続けば、他のうちは一族の奴らが黙っちゃいない」
「一度騒ぎが起こると同調する輩も出てくるでしょう。厄介ですね」


素知らぬ動作で湯呑みを口に運んでいたハヤテだったが、その声音は幾分か低い。


「……ナルトがああいう性分だからな。自分にできることはなんでもしちゃうから。うちはのガキじゃなけりゃまだ楽な話なんだけどねー」


ため息をつくカカシをアンコが食べ終わった串で差す。


「ナルトが可愛くて綺麗だからってのもあるんじゃない? 彼自身そこそこ綺麗な顔してたから、何て言うの、こう親近感みたいなもの感じてるとか」
「ナルトさんが美人なのは理解できますが、アンコさん、それは違う気が……」


ごほごほと咳混じりの否定に、アンコは無言でうるさい、と睨む。
 ぎし、と音を立てるテーブルに頬杖をついて、カカシはすでに2人の姿のない人混みを見つめた。


「あいつにとって親しい奴が増えるってのは一番幸せな事だろうから…、ま、何も起こらなきゃいいけどね」
「……そうね。けどもしうちはが動いたら……」


同じ方を見て、紅は眉を顰めた。


「俺たちがそばにいてもあいつを守ってやれないかもしてない」


苦々しく言うゲンマに、誰も言葉を返す事ができなかった。




























 透き通る水の中を、鱗を煌めかせながら川魚が泳いでいる。
風の細波の下で留まる彼らを目に端にとめ、ナルトはよく乾いて白くなっている河原に腰を下ろした。
イタチもならって少し離れた所に腰を下ろす。

空高くで鳶が鳴いている。










 助けられたあの日から、2週間。

意識すればこの人に会う事は容易かった。
そもそもこんなに容姿が目立つ人を今まで知らなかった事のほうがおかしいと思う。
ともあれ、名前を知ってもらい、そして適当な理由を作って修業に付き合ってもらった。
 暗部に所属しているほどだから、当然といえばそれまでだが、この人は今まで会ってきた忍の中でも、とても長けた人だった。
小柄な体躯を感じさせないほどの衝撃と、逆にそれを生かした俊敏な動きは見た目も美しかった。

とにかく無駄がないのだ。

体術だけでなく、剣術、忍術に至るまで目を見張る技術を兼ね備えた人だった。



 修行に付き合ってほしいと言った時、この人はまず頑に断った。
暗に自分とは関わらないほうが良いという言葉にすっきりとしないものを感じたが、はっきりとした理由を言われないのならば、と自分でもしつこいと思うくら いに姿を探して頼み込んだ。
結果了承してくれたその人は、引き受けたからには、と自分の休息の時間を惜しんでまで修業の相手をしてくれた。
指摘も適切で、実戦経験を交えた説明はわかりやすかった。
自分にあった体重移動の仕方、印を切るタイミング…。


そして、何より純粋に、親身に自分の事を考えてくれている言葉ひとつひとつが。
そこに何の飾りもないことが、本当に心を震わせた。















(本当に、なんて綺麗な人なんだろう)










そっと川を見つめるその横顔を見つめる。
はらはらと頬に落ちる髪が靡いて、光の加減できらきらと輝いている。










はじめはその容姿に惹かれた。
太陽のような鮮やかさと、月のような静けさを持ったその雰囲気。
しかし今は内面に惹かれている。
自分が接してきた誰よりも儚くて美しいものをこの人は持っている。




















「イタチは…さ」


唐突にナルトが口を開いたので、イタチは微かに慌てると目をそらした。
元々視線に気づいてなかったのか、ナルトはそのまま話し出す。


「暗部入りの話があったとき、迷わなかった?」
「…え? ええ、そうですね…少しは考えましたが、悩みはしませんでした」
「そうなの?」
「はい」


だって。


こちらを向いた、澄んだ空色の瞳を見つめる。


(あなたが、いるから)


あなたに近づけると思ったら、何を迷う必要があるのか。
その想いを、ただ言葉にするのは躊躇われて、イタチは言葉にならない息を舌の上で転がした。
 ナルトは静かに、「そっか」とつぶやき、ふっと眉尻を下げた。
それは先ほど自分に向けられた、どこか寂しさを含んだ笑みだった。


「暗部にいる私が言うのもあれだけど、暗部は、里のためであればどんなことでもしなくちゃいけない部隊だってばよ。まあ三代目はあまり無茶な命令はしない けど、それでも…殺しに関わる任務はたくさんある」
「それは、…承知の上です。ナルトさんだってそうでしょう? そういう暗部の働きが里を支えていると思うから、暗部にいらっしゃるのではないですか?」


光のように、音のように、優しくて大きなあなたが、何故人を殺す立場にいるのか。
 自分の問いに、彼女は驚いたような顔をして、そしてまた同じ笑みを浮かべた。


「そうだね。確かに、そうだってばよ。…影で木の葉を支えられると思ったから…」


そこで彼女は視線をそらすと、ごろりと後ろに寝転がった。
無防備に上半身をのばして、絹糸のように広がった金色の髪の中から、温かい笑みで自分を見上げて来る。
それにどきりとしているうちに、彼女が自分に言った。


「なかなか同じ任務にはなれないかもしれないけど、私にできることがあれば遠慮なく頼ってくれれば良い。イタチは優秀だから、すぐに私なんか追い越しちゃ うだろうなあ。まあ、そのときは遠慮なく頼るけど」
「ナルトさん…」


お互いがんばろう。
そう晴れやかな笑みで言ったナルトの言葉が、心から嬉しくて、イタチは笑みを浮かべた。
 今ここに流れる空気が本当に心地よくて、ずっと続けばよいのに、とナルトの方へと身体をわずかに寄せた。



と、後方から声がした。


「兄さーん!!」
「…! サスケ?」


聞き覚えのある声に振り返れば、河原づたいに土手になっているそこに、小さな腕を千切れんばかりに振る少年の姿があった。
彼は振り返ったイタチをみとめると、ぱたぱたと走って来る。
ようやくアカデミーに入ったくらいだろうか。
まだまだ小さい身体で転がるように土手をおりてきたのをイタチは立ち上がって迎えると、どーん、とぶつかるように少年が抱きついて来た。
身体を起こしてそれを見ていたナルトは、「危ないだろう」と嗜めているイタチとその少年を見比べる。


「えっと…、イタチの弟?」
「はい、サスケといいます」
「へえー、イタチによく似てるってばね」


ナルトは立ち上がり、ちらちらと自分を見て来るイタチの弟のサスケに笑みを向けた。
少し屈んで目線を合わせてさらににこにこと笑みを深める。


「はじめまして。うずまきナルトだってばよ。お兄さんとは…んー、修行仲間かな」
「っ…う、うちはサスケです」
「……」


心なしか頬を赤く染めた弟が辿々しく名乗った様子に、イタチはなぜか気持ちがひっかかって目を細めた。
何かざわりとしたものが胸に一瞬だけ起こった。
ただそれだけだったのですぐにナルトへと自分も微笑むことができたのだが、見つめた先の彼女は、土手のほうを見てはっとしたような顔をしていた。


「ナルト…、さん?」


様子の一変したナルトにイタチは眉を顰め、そして自分も土手のほうを見て、呟いた。


「母さん?」


土手の、サスケが走って来たあたりに母がいた。
買い物帰りなのかその手には買い物籠がある。
サスケをつれて買い物に行く事はよくあるし、アカデミー帰りのサスケと一緒に帰省する事も珍しくない。
ただ、いつもと違うのはその表情だ。
普段は温厚な、いつもにこにこと笑っているような明るいその人が、今にも崩れ落ちそうな苦しげな顔でこちらを見ていた。
 否、ナルトをみていた。
そして、ナルトも、次第にその顔を、泣きそうな悲痛なものへと変えていった。
なぜ、そんな顔をするんですか?
そう言葉が出る前に、ナルトが自分の視線に気がついて顔をこちらに向けた。
そして、儚く笑った。


「そうか…。イタチは、ミコトさんの…」
「ナルトさん?」


なぜ?
なぜこの人は母のことを…?
わからないことが多くなっていくうちに、ナルトは自分とサスケのところから離れて、土手を上がっていった。
そして母のところに行ったと思うと、深々と頭を下げた。
 訳が分からなかった。
イタチはサスケから身を離すと、慌てて土手を上がった。
その途中、ナルトと母の話している声が聞こえた。


「ミコトさん…。あの…ごめんなさい。…」
「やっぱり…ナルトちゃん…っ」


なぜナルトが母に謝るのだ?
母もナルトのことを知っている?
初対面には思えない雰囲気にイタチは2人のそばまで来て息をとめる。
そんな自分に一瞬だけ2人は視線をくれると、再びお互いを見た。
先に口を開いたのはナルトだった。


「…私なんかが関わってはいけないとわかってはいたんですが…その…、何回かイタチと修行をしました。本当にそれだけです。だから…イタチを怒らないでく ださいってば。って、私が言えることでもないのかもしれないけど…えっと…っ」
「…私は何も怒ってないわ。怒るつもりもないし。ごめんなさい、少し驚いただけよ。…そう、あなたがイタチに…」


深く頷いて、母ーーーミコトはいつものように笑った。
だが辺りをきょろきょろと見回してから、そっとナルトの肩に手を置いた。


「ここでは誰かに見られるかもしれない。イタチがあなたと知り合いなら、また会えるわね」
「…っえ…?」
「…今度、ゆっくり話しましょう。今更言い訳にしかならないけど…ずっと心配してたの。でも、あの日から”うちは”は木の葉の中でも難しい立場になってし まって…。私も夫も、自分だけの思いであなたの後見が叶わなくなってしまったから…。クシナに怒られてしまうだろうけど…ごめんなさい」
「そんな…っ」


なんだか深刻な会話になっている。
ただならぬ様子の人に慌てたものの、母がナルトに対して何やら気遣う言葉をかけているのにイタチは肩の力を抜いた。
と、後を追いかけて来たサスケが母のそばへと寄って行った。


「母さん?」
「ああ、サスケ、ごめんなさいね。…じゃあナルトちゃん、またね。イタチ、邪魔してごめんなさい。でも、今日はこのまま一緒に帰るわよ」
「? 母さん」
「ミコトさん、ありがとう。じゃあイタチ、また」


困惑する自分にナルトもにこりと笑ったかと思うと姿を消した。
瞬く間に気配のなくなった相手と、その状況に呆然としていると、隣からくすくすと笑う声がした。
母だ。


「久々にあなたの驚いた顔を見たわ。ナルトちゃんのおかげね」
「っ…。母さん、ナルトさんと知り合いなのか?」


未だにおかしそうに笑う母に、イタチは眉を顰めながらも聞きたかった事を問えば、彼女は笑うのをやめた。
代わりに、悲しそうな目をした。


「…私の…一番の親友の、大切な娘さんよ」


母はそれだけを言って微笑むと、歩き出した。







 朧な風体で、微かにその身を欠けさせた月が空に浮かんでいる。
さわさわと揺れる庭の木々の下、草花にその葉の影が落ち、その青の異様さが目を引いた。


 夕食後、縁側に座って、イタチは昼間のことを考えていた。


(ナルトさんと母さんが知り合いだった…)


というか、ナルトの両親と知り合いだった。
それも、母が親友と呼ぶほどの仲だった。
当然気になって、帰宅後母に詰め寄ったが、「いつかね」と笑顔で流されてしまった。
そうなれば、と母の親友であれば父ならば知っているだろうと夕食時にタイミングを計っていたら、母に「ナルトちゃんのことは、聞いちゃだめよ。聞いたら彼 女も、それにお父さんも困るだろうから」と言われてしまい、結局何もわからなかった。


一体どういう事なんだ。
と知らず大きなため息をついていると、ぺたぺたと廊下を歩いて来る音がした。


「兄さん、どうしたの? ため息なんて珍しい」


サスケだ。
サスケは縁側に座り、ただ静かに視線をくれる自分へと近づいてくる。


「珍しいか?」
「珍しい」


サスケは答えると自分も縁側に腰を下ろした。
地面につかない足をぶらぶらと揺らす。
と、にっと笑ってこっちを見た。


「ねえねえ兄さん」
「ん?」

目線だけくれた兄にサスケは腰を捻ると、口に手を添えて顔を兄の耳へと近づけた。


「……あの人って兄さんの恋人?」


ごにょごにょと言われた事に、イタチは弾かれたようにサスケの身体を引き剥がした。

あの人ーーーとは、ナルトのことか?

ばちばちと音がしそうなほど瞬きをして、首を横に振る。


「違う。あの人と俺はそんな関係じゃない!」


そんな事考えた事も無くて、イタチは自分でも驚くほど大きな声で否定していた。
それに驚いたのか、それとも答えに驚いたのか、サスケは大きく首を傾げた。


「そうなの? ものすごく仲良さそうに見えたよ?」
「俺の修業相手をしてくれてるんだ。…そう言っていただろう?」


自分を修行仲間だと言ったのはあの人だ。
あの人は、何ら自分に特別な感情を抱いてくれてはいない。
あの人が優しいのは元々で、自分だから特別甘いというわけではないのだ。
 ふーん、とつまらなそうにサスケは頷くと、ふっと顔を赤くして言う。


「でもでも、あの人、ものすんごく綺麗だよね! 髪とか目とかきらきらしてて…。俺なんかどきどきした」
「……そうか」


イタチははしゃぐサスケに目を細めた。
そういえば顔を赤くしていたな、と思い出す。


 そう、あの人は綺麗だ。

心も、身体も、なにもかも極上品。
見ているだけで気持ちが高揚する。


(ナルトさん…)


気兼ねなく頼ってくれと。
自分も頼るからと。
そして、「また」と言ってくれた。


また会える。


そう思えるだけで、今は十分だった。