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とにかく、いったんは会社には行くのだ。
このへんが小市民なところだ(どこが?)。
今さら家に帰って家人の不安をあおるのがめんどくさいだけだが。
問題は「いつ会社を抜けるか?」。
なんといっても私は「開門と同時に走り込む」、ちょっと”あれ系”な人である。
定時は問題外として、3時?3時半?
甘い!(誰に言ってる?)
こういう場合は「昼休みの”どさくさ”に消えちゃう」のだ。
これが一番スムーズ。
誰も追いかけてこないし、補導もされない。
大人でよかったー。
なんか間違ってる?
■平日の悦楽
さて、スタジアムに行くには、ちと時間が早い。
こういうときこそ、ひとりで平日の空いてる街の散策だ。
歩くテンポをゆるーくしてな。
神戸一のカツ丼屋で至福の時を過ごし、
パソコン屋で新iBookにケチをつけ、プラモ屋で物欲と戦い、楽器屋で遊ぶ。
いい気分である。
それにしても、平日なのに、街は若い奴、おばちゃん、老人で、あふれかえっているぞ。
日本では、ひーひー働いてるのはおっさんだけか!
そうなのか!(自分のことはon the 棚)
■今日、試合あるんですよね?
開門時間に合わせて、電車でGS神戸に到着だ。
最寄の「総合運動公園」駅で降りる人は数名、スタジアムの周りは「がらーん」である。
いよいよ阪急ブレーブスの域に達するブルーウェーブ。。
マンデー・パリーグにまったく貢献していない。
リーグからお咎めはないのだろうか。。
私は慣れているが、そうじゃない家族連れが、あまりの閑散さに驚いて、思わず
「今日、試合あるんですよね?」。
しかも、聞いた相手はバルボン!
■ファイターズな人たち
今日はがらがらなので、3塁側内野スタンドに陣取る。
なぜ3塁側なのかは、下記関連記事参照だ。
ファイターズのブルペン前では、ギャオス顔の新人・佐々木などがストレッチ中。
なかなか、なごやかムードである。
相変わらずおどけながら、「まいど」岩本が、外野から走って来る。
それだけで「どっ」と盛り上がる投手陣。
いつも思うが、ファイターズって明るいな。BWよりよく声出てるし。
チームが低迷してても、そのチームの選手が暗いってことはない。
そういうことは、試合前によくわかる。
ミラバルは、延々と佐々木と格闘技ごっこしてるぞ。
しつこすぎて、最後には佐々木が逃げる。
スタンドには、ファイターズファンの女性グループがぽつりぽつり。
失礼ながら皆さん、それほど若くはなく、20代後半くらいかな?
昔は西崎でも追いかけていたのでしょうか。
大声で応援したりするのではなく、高そうなカメラで選手を撮ったり、おしゃべりに興じたり、すごくリラックスしてて、いいかんじだった。
岩本は、子供らが「まいど」と声をかけると必ず「おうっ」と返事をするし、サインに気軽に応じたあと、「学校行ってるか?」とかフレンドリーこの上なし。
どこまでが確信犯かよくわからない彼のキャラは、実はかなり複雑なのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。
いずれにしても、好きだわ。
しかし、「まいど」と呼ばれて「まいど」と答える光景なんて、ここにしかないよな。
■お元気でしたか、佐竹
スタンド後方の空がオレンジに染まっている(あとで思えばこれはファイターズカラーだったのだ)。
オレンジとブルーのグラデーションを背景に、スタジアムの輪郭がくっきり浮かび上がる。
美しい光景である。
そんな中、ブルーウェーブ選手たちがキャッチボールを開始。
「ぱしーん」「ぱしーん」という音がさわやかな空気に響き、ほとんど人のいないスタンドにこだまする。
こういう光景を五感に感じながら、
私の体は、徐々にのんびりした野球モードに変わっていくのだ。
グラウンドには見慣れない背番号、25が!
佐竹だ。
何年か前、サードに定着し損なってすっかりサーパス神戸のベテラン選手になってしまった佐竹。
今日、上がってきたんだな。
監督の傾向として、必ずいきなり使うだろうと思ってたら、試合ではやっぱり途中出場して、見事2安打の活躍。
さすが、ベテランの意地だよな。
それにしても、ちゃんと応援団が佐竹のプレートを持っていたのには驚いた。
■試合?試合ねぇ
二度も満塁で打てなかったビティエロの放心した顔が、ベンチの片隅に浮かび上がっている。
この試合を象徴している光景だ。
チャンスはあるのにタイムリーが出ず、相手には簡単に点を取られるパターンで7-2の完敗。
最後に出てきた平井の球が速くなっていたように感じたのと、
セカンド・アリアス、ショート・福留、サード・佐竹
という斬新な守備体形を見れた事くらいが本日の収穫ですかな?
どちらのチームも投手を代えまくるし、BWファンに取っては、長いだけで何も起こらない最悪の展開かもしれない。
しかし、いいのである。
スタジアムは涼しいし、頭は空っぽだ。
野球というスポーツの持つ、恐ろしく効率の悪い仕組み。
そのなんとも言えないテンポが、私の心にはヒーリングなのだな。
お安い心、なのである。
■今日のBWファンなおともだち (息子と”おかん”編)
まずは私の左前の、たぶん母と大きい息子。
息子のほうは、年齢がわかりにくいが、ひょっとしたらまだ二十歳前かもしれない。
野球の応援としては、妙といえば妙な、取り合わせだ。
このにいちゃん。
終始大声で叫んでいるのだが、まぁ発言内容はオーソドックス。
「今のがストライクかー」
とか
「こら、ビティエロもう帰れ、おまーは」
程度のもの。
おもしろいのは、息子が叫ぶたびに母親が、
「そんな大きな声でいわんでも。迷惑やで。ほれ、この”から揚げ”はよお食べ」
と弁当箱を差し出したりして、”おかん”を炸裂させること。
息子もそれが「いや」、というわけでもないようで、不思議なコンビ感なのだ。
敗戦の瞬間、彼は「あー」と頭を抱えたあと、
「お疲れでしたっ」と叫ぶや否や、ぴょこんっと速攻で席を立ってしまった。
残された”おかん”はあわてて弁当箱を片付けたりゴミをまとめたり。
待ったれよ君。
■本日のBWファンなおともだち(あほらし編)
私の右前に一人で座っておられる、おじいちゃん。
とにかく怒ってる。
怒りまくり、である。
見た目は、中坊公平をしょぼくれさせたかんじ。
この日のふがいない試合展開もあったのだろうが、
BW選手が打たれるたびに「こらーっ」、凡退するたびに「こらーっ」である。
選手も「こらーっ」と言われてもな。
BWのチャンスともなれば、落ち着かないのであろうか、貧乏ゆすりがこちらにまで伝わる。
そして、その揺れと連動してメガホンを32分音符で椅子に打ち付けるのが、うるさいのなんの。
その痙攣している様子は、はっきし言ってオカルト。
なんか「泡吹きそう」というか、「癲癇って書ける?」というか。。
そしてチャンスが消えるたびに「ん”あ”あ”あ”あ”あ”」と絶叫するのだわ。
でもイニング間にはけろっとした顔して、
カバンの中身をぜんぶ出したり、入れたり、出したり、入れたり。。確認恐怖?
やば。
いわゆる、「閉じた応援」系の人ですな。
「開けた」系の人ってのは、ひとりで叫んでても、
「こらーっ」のあと、周りの客に「なぁ?」みたいな視線を投げかける人。
そんなおじいちゃんだが、敗戦の瞬間の叫びは、素晴らしかった。
吐き捨てるように、
「あほらしっ」
偶然にも(というか、人が少ないからか。。)このおじいちゃんと帰りの駅のホームで一緒になった。
私の「興味本位の炎」と化した視線を知ってか知らずか、おじいちゃんはいきなりゴミ箱に手を突っ込み、スポーツ新聞をゲットー。
電車ではわざわざ向かいに座り、おじいちゃんチェックを続ける私(ヒマでもっとバカな若いころなら、家まで尾行したかも)。
おじいちゃんはゲットした新聞を少し読んだあと、大事そうに「4つに折りたたんで」カバンにしまった。
そして突然、遠い目をして斜め上を見つめるモードに入ってしまったのだ。
ぴくりともしない。
その表情が、ぞっとするほど寂しそうなのだ。
カバンから突き出したメガホンの端っこが哀しい。
不意を突かれた私は、思わず胸を詰まらせてしまう。
おじいちゃんの頭の中を去来するものはなんなのか?
過ぎ去った人生か?今現在の心の空洞か?
電車は三宮駅に到着。
「はっ」と我に帰ったおじいちゃんは、またぞろカバンの中身を調べて、降りる準備だ。
そして、席を立つ刹那、こう言い放ったのである。
「あほらしっ」