| やっぱりクは先発デソン 2001 年 9 月 テレビ映像や、見たこともない大きさの新聞の見出し が頭に焼き付いて離れない。さすがに、スタジアムに向かう気持ちも、無邪気ではない。最新ニュースも気になる。しかし、足早にゲートをくぐり、いつもどおりの「グラウンドの緑の直撃」を全身で味わえば、やっと落ち着いて深い呼吸ができたのである。世界ではとんでもないことが始まろうとしているのかもしれないが、今、目の前のかぐわしいフィールドには、いつもどおりの野球の光景がある。そのデティールに身をゆだねることが、どんなときでも私の習性だ。これは不変だ。どうでもいいけど、ペナントに影響する試合なのにスタンドが”がらがら”なのは、社会状況とはまったく関係ない。 |
■ク・デソンの遠投ショー
今日は先発のク・デソンをじっくり見ようと、ちょっとお高い一塁側B指定席だ。
もちろん指定された席になんか座らない。A指定席に限りなく近づいて。。
赤信号でも平気で横断する私であるからして。
試合開始15分前。
一塁側ファールグラウンドで、ク・デソンがキャッチボールを開始。
ブルペンキャッチャーを相手に、最初はまぁ、ノーマルなキャッチボール。。
投げるたびに、二人はだんだん後ずさりして、距離が開いていく。
開いていく。。
開いて い く。。
ど、どこまで開いていくんや?
もうク・デソンの姿は、ライトの定位置あたり。
彼は平気な顔だが、受ける相手の顔が歪んでくる。
と、”長縄跳び” にひょいっと途中参加するように、
ちょうど真ん中に、「もう一人のキャッチャー」が入る。手順どおりってかんじで。
ク・デソンは涼しーい顔で、その頭越しに球を返す。。
つまり、
キャッチャー@→キャッチャーA→ク・デソン
↑←←←←←←←←←←←←↓
というキャッチボールになったわけ。
わかるかな?
わっかんねーだろーなー(それくらいわかるわ、と”突っ込みプリーズ”)
最後はライトポールまで後退したク・デソンだが。
ほとんど水平の球を、もう本塁近くまで達した「キャッチャー@」に返す!
わーいイチローだ!イチローだ!
延々キャッチボールをひとりで見ている私は、
向こうから見れば、「テニスの観客」のようだったろう。
■やっぱりクは先発デソン
序盤こそ球筋が定まらず点を取られたが、ちゃんと打たれたのは井口くらい。
2回なんかは、「田口の守備範囲を測定する実験」のようなポテンヒットばかりで不運。
次第に調子を上げるク・デソンは、やっぱり先発タイプである。
3回からはホークス打線を翻弄。
・キャッチャーからボールを受け取り
・ボールを鋭く見つめて
・内股で両腕だらーん
・優雅に体を起こし
・びゅっと腕を振る
この動作の繰り返しが、実に小気味いい。小鹿ミキ。
堂々たるマウンドさばきで、8回まで3点に抑え込むのだ。
彼は堂々としていることで誤解を受けやすいが、それがプライドってもんだろ。
■やっぱりキャッチャーは三輪
「勝つ試合は、三輪ばかりやな」
監督の言うとおり、「何を今さら左腕王国」の誕生の陰には、三輪がいる。
やっぱりキャッチャーとしては一日の長があり、リード面でもいいみたい。
日高みたいに”がばっ”と構えるのじゃなく、地面を這うように構える三輪。
動きの少ない三輪の方が、投げやすいしストライクとコールされやすいんだってね。
日高は”がばっ”と見えやすいだけだと思うが。。
■やっぱり葛城はクリーンアップ
シャーっという音をさせて浅い飛球をスライディングキャッチ!
相手が左でも立派に打ち返した、逆転タイムリー!
前コラムで誉めた?ばかりの葛城が5番で大活躍。
スタンドからの声援に応えるのも、”さま”になってきたぞよ。
■やっぱり五島は太りすぎ
ライナーで飛び出し、帰塁の際に腰を ゴキッ。
ウシガエルのように地面で腹ばいになっちゃった、私のイチオシ、ゴッシー五島。
久しぶりのスタメンで、彼らしい打球の2塁打を見せてくれた直後の惨事である。
私が目をつけた非凡な長打力は、あの太い腰まわりがあるこそかもしれないが。
なんか若くして「門田博光」というか、守備や走塁でのドテッとした動きはやっぱり。。
ぎっくり腰で今シーズン終了か?
いかにも私好みの選手なのであるのな。
■ブルペンの誘惑
今日座っていたのは、ブルーウェーブのブルペンのまん前。
試合中でも、BWの控え投手が順番に登場するので、気になって仕方がない。
注目のティラノザウルス・北川はなにやら独り言を言いながら、すごい慎重なウォームアップ。
深刻な顔と、「猫になった池野めだか」のような手の曲げ方との珍妙なギャップ!
頭の中では空気抵抗や半重力、量子力学や学研科学と学習などがフル回転であろうか?
しかし、どうみても、やっぱり彼の腕は、短い。
卵から孵ったのか、北川。
その隣では、あまりに対照的な山口の「でたらめ」ウォーム・アップ!
試合中なのにベンチ上にまで暴投を投げたり、隣のキャッチャーの方に投げたり。。
初めてボーリングやった おばはんか。。
しかし球が「ひゅるひゅる」言うほど速いから大騒ぎ。
一度など、投手の溜まり場のネットに”ばっしーん”とぶつけて、山崎や田村が逃げ惑う。。
お年寄は大切に。
そのブルペンを、試合そっちのけで見つめる一人の観客の男。
スーツ姿で日焼けした、「土建屋の社長」風のおっさんなのだが、
「ううむ」とうなずきながら、各投手を見つめる視線は真剣そのもの。
なんか、馬主になろうとする馬を品定めしているような。。
誰かを「購入する」つもりか?
ちょうどこちら向きになる嘉勢は、”メンチ”を返していた。
■気になる鳥越
派手なエラーをして、気の毒なほど がっくり。
2塁打を打って、よくわからない方向を向いて大声で咆える。
ハーフスイングを取られて、「振ってないっスヨー」と、バットを投げる。
とにかく声が甲高いので、スタンドに聞こえてくるのだ。
ひとりで大立ち回りしたわりには、やっぱり打率は身長。。。
■やっぱり抑えは、大久保
「最近眠たそう」とか書いてしまった大久保だが、間近で見ると「きりっ」としてる。
なんか上り調子の若者が発する特有のオーラが、ある。
ペドロ・マルチネスのように、長い腕をムチのようにしならせる投球フォームは、
ティラノ北川と同じ人類のものとは、思えない。
ついでに言えば山口は、現代の人類に見えない。
最終回開始時、ブルペンで一人で投げていた大久保に、別府コーチが合図を送る。
8回裏に進藤がダメ押しタイムリーを打って、6−3とリード。
願ってもないセーブチャンスだ。
私は階段を駆け下り、「がんばれよー」と声をかけようとするが、
おととい打たれて、気合が入っているのであろう。
グラウンドに向かう、若武者のような横顔を見ると、なぜか声が出なかった。
これは恋?
山口がブルペンのドアを開けて、ドアボーイのように押さえている。
先輩投手総出の激励を受けて、大久保がブルペンから小走りに駆け出していく!
背番号35が光り輝いて見えた。
そして難なく優勝を狙うホークスを抑えるのだ。
11セーブ。
ライオンに続いて鷹にも勝ち越し!ひゃひゃひゃ。
■遅いっちうねん、とは言うまい
ク・デソンやヤーナルを加えて充実の先発陣、中継ぎも豊富で抑えは大久保。
谷は打って盗塁を決め、長打はなくとも連打で得点。
外人もたまには打つ。
葛城、五島など若い力を活かしながら、ベテランをうまくブレンド。
守備にも穴はなし。
9月に完成しましたっ。ニューブルーウェーブ!
さぁっ。張り切っていきましょう仰木さん、仰 木 さ ん
あれ?
記者会見?
■応援団非主流派
GS神戸1塁側2階席には、こじんまりした応援団がいる。
ほんの数人で、ではあるが、ハッピを着てタイコを叩いて、なかなか威勢はよい。
ライトスタンドの主流派(とは言ってもゆるーい団結力だが)とはどういう関係?
なぜ2つあるかよくわかりませんが。
この非主流派の特徴は、みんなで合わせて「かっとばせー」とかじゃなく、
「リーダーが気分次第で大声で叫んでる」というところにある。
「田口君、よう見ていこーぜー」
「谷君、ほうりこめー」
「葛城君、向かっていけー」
なぜか「君付け」。
かわいい。
しかし、事あるごとに、ホークスのライトに向かって
「秋山ー、もっと前やー」と叫ぶのが、よくわからない。
そのおかげ?で、秋山はポテンヒット性の当たりを好捕していたが。。
アリアス、ビティエロなど、外人が打席に入ったとき。
彼が叫ぶ言葉で、今日のコラムを終えたい。
「アメリカー、がんばれー」