
先生方に寄せていただいた、学生に向けてのメッセージを紹介します。
松永友有先生(群馬大学教育学部社会科教育講座)
「改憲へ向け、大きな勢いがついている現在の状況においては、従来と同じやり 方で の護憲には大きな限界が生じていることは事実だと思います。多様な考えの人達を新たに結集していけるような、新しい護憲のあり方というものを、若い世代ならで はの 視点で切り開いていってくださることを期待しています。」
瀬山士郎先生(群馬大学教育学部数学教室)「いま、憲法九条と教育基本法は改憲勢力の圧力で、戦後60年をしてなくなるかもしれないという危機に直面しています。もう2度と戦争はしない、そのためには軍隊を持たない。そう、誓ってから60年、どうしてこんな状況になってしまったのか。私たちの世代(私は本年度還暦です)が力足らずしてそうなってしまったのなら、いまからでもなんとしてでも、平和で戦争のない世界を10代、20代の皆さんに残していく責務があると感じております。できるところから、憲法への関心を高めていきたいとささやかな活動を起こします。皆様も状況はきびしいですが、希望をすてないで、進んで下さい。」
三上紘一先生(群馬大学社会情報学部環境科学研究室)
世界に誇れる私たちの平和憲法-そのことを保証する「9条」こそがその根幹で す。ところが今、国際貢献の立場から、現状に合うような憲法にしなければと、 その 実は戦争への道が開けるように、「9条」の本質を完全に変質させようとの動き が急 展開しつつあります。すでに、「有事法」関係が国会を通っており、外堀はほと んど 埋められました。最後の砦であるこの平和憲法、これはなんとしても改悪させて はい けません。
私たちは、現在のような平和憲法を持っていることを、胸を張って内外に発信 する ことが、今、緊急に求められています。
平和に暮らすこと以外に何が大切でしょうか?これこそ人類の共通の願いです 。
そのために改憲を断固阻止するための活動を展開しましょう。
私も、「九条科学者の会」の活動への賛同を呼びかけています。 「『9条の会@群大』を立ち上げる学生の会」の素晴らしい活動に敬意を表し ます。
ともに、頑張りましょう。
中野尚彦先生(群馬大学教育学部障害児教育講座)
日本はもう二度と戦争をしない、だから軍備を持たない、軍備は戦争をするためのものだから、小学生1年生の時にそう教えられ、そう信じて、それから60年増強し続ける軍備を、日本が戦争に向かう緩やかな下り坂だと感じてきました。それでも、私の学生時代、海外派兵や徴兵制は非現実的な遠い将来の心配でした。しかし今、とうとう海外派兵が実現しました。徴兵制も杞憂ではなくその実現の筋道も見えていると思います。九条が守れるか否か、それはあなた方のこどもが戦地に送られるか否かの分かれ道だと思います。
齋藤隆夫先生 (群馬大学社会情報学部)
憲法改正が目指すものは日本を戦争をできる国にすることです。若者の中で戦争に賛成する人はいてもほんのわずかでしょう。改正に賛成するのは改正の真のねらいに気付かないからです。知の力でポピュリズムを打破しましょう。
豊泉周治先生 (群馬大学教育学部社会科学教育講座)
「地球は親から譲り受けたものではなく、子供たちから借りているもの」、というデンマーク人の好きなことわざがあるそうです。子供を大切にし、地球環境を大切にするデンマーク人の心が伝わってきます。9条も、本当にそうだと思います。「9条、そして戦争をしない日本は親から譲り受けたものではなく、子供たちから借りているもの」。
一方、子供を傷つけ、若者に犠牲を強いる今の日本の文化は、どこかで9条改定の動きとつながっている気がしてなりません。「うっかり無くしてしまった」では、未来の子供たちは許してくれないでしょう。まずは若い皆さんたちに、そして皆さんとともに次の子供たちに、9条を返したいと強く思います。そのために、小さくてもできることをしようと思います。
小渕忠秋先生 (群馬大学文化人類学講師)
世界に誇る日本の「平和憲法」…ですが、私自身を含めて、あまりにその憲法を知らなさ過ぎる…知らないのに賛成・反対を口から泡を飛ばして言い合っているんじゃないか、と危惧しています。
9.11テロ以後の数年間、講義の中で戦争に言及してきました。そして多くの若い学生が戦争を否定し、拒否していることを知り、大いに勇気づけられました。しかし一方、動物として生理的に拒否反応しているに過ぎないのかな、と感じることもありました。生理的に拒否することも重要な「感覚」でしょう。でも時に動物は錯覚に陥りますから、若い諸君は理論や理念をしっかり築いて「戦争」や「暴力」(心理的暴力も含めて)が絶対的「悪」であることを堂々と説明できなくてはなりません。でないと、政治権力や経済的権力の悪賢い論理やプロパガンダ、デマゴーグにイチコロなってしまいかねません。
9条ができた頃、幣原国務大臣や吉田首相は「近代戦争の多くが自衛のための戦争」を理由に行われてきたこと、「自衛のため」と言って合理化された武力行使が泥沼の悲劇を生み、国民を苦しめてきたことを理解していました。「一切の武力行使」を私たちの日本国憲法は認めていません。条文を厳密に解釈すると私たち日本国民は自衛のための戦争もやってはいけないし、政府は戦争を行うことができる法的主体性を持っていないのです。
自衛のための戦争さえ拒否する…少し怖い気持ちにもなりますが、これは大変勇気の要る叡智に満ちた決断です。歴史上画期的な出来事です。この決断を保ち続けるために私たちは不断に権力を監視し、政府に憲法9条を守らせることを怠ってはなりません。「憲法改正」が叫ばれる中、「9条の会」が増殖して、やがて国民一人ひとりの心の中にしっかり刻み込まれること、この誇らしい気持ちが民族・国境を越えて根付いていくことを心の底から願っています。
「文明がすみやかに戦争を全滅しなければ、戦争がまず文明を全滅することになるでありましょう」(幣原喜重郎 1946年8月27日、貴族院本会議)
伊藤賢一先生(群馬大学社会情報学部)
この運動を始めた学生諸君に敬意を表します。
教育学部の松永先生もご指摘しておられますが、いままでのよう に「護憲」を訴えるだけでは、多くの人々の同意を取り付けられな いように思います。 真の国際貢献とは何なのか、真の人道支援とは何なのか、問題を 深く掘り下げ、多くの人々を巻き込むような運動に成長することを 願っています。