限りなく生と死を繰り返すことを“輪廻”と言います。
どんな人にもその人な
りの苦しみがあるように、
いかなる存在に生まれ変わっても、苦しみが絶えることはありません。
平安時代末期の地震、疫病、飢饉、戦乱といった災厄に慄く社会にあって、
苦しみの輪廻を超越する道として極楽浄土への往生が強く打ち出されました。
源信の「往生要集」は不安な時代に生きる人々の心をとらえました。
浄土往生を願う者がまさに死を迎える時、
阿弥陀如来が観音菩薩や勢至菩薩をはじめ聖衆たちを引き連れ、
この世を去る人のもとを訪れます。
そして亡くなった人を観音菩薩の手にする蓮台に乗せ、極楽浄土に連れ帰ります。
極楽浄土に迎えられると、法を説く阿弥陀如来の眼前に広がる蓮池の蓮花の上に化生ます。
そして
阿弥陀如来から直接教えを聞くことができると考えられました。

故仏師の西村公朝さんは、平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩の様を次のように表現しています。

「さてこの菩薩たちは、どのような楽器を持ち、どのような妙音を奏でているのでしょうか。
筝(琴)を弾くもの、琵琶を持つもの、排簫(ハーモニカのようなもの)を吹くもの、
鐃(どら)をばちで打つもの、拍板(拍子をとる板)を持つもの、(…等の楽器類を持つ
菩薩多数)そして幡(はた・のぼり)を持つもの、柄つきの天蓋(仏像・僧などにさしかけて
吊るす笠)を持つもの、それこそにぎやかな音響となるでしょう。しかし、この西方の極楽国
は、歓楽街ではありません。善行を積み重ねた人たちが心静かに暮らしているところです。
美しい小鳥や虫の声を楽しんでいるのです。そのような所に、どこからともなく爽やかな
風と共に、七色の雲に乗った菩薩たちが、阿弥陀如来を礼賛し供養にこられたのです。
これを見た二十五菩薩たちも同じ楽人の来客に、喜びの曲を奏でました。この両オ-ケストラ
の合奏は、それこそ優雅な大妙音となっているに違いありません。それにあわせて天地の菩薩
たちが舞い始めました。堂内でそれを見上げている私たちに、華籠をもった菩薩が蓮華の
花びらを散華してくれるのです。なんと美しいム-ドではありませんか。」

この度の特別展示「来迎 二十五菩薩」は、仏師凡海先生の指導のもと5年余の歳月をかけ、阿弥陀如来と二十五菩薩を門下生20名が力を合わせて完成させました。
皆様のお耳に極楽の大妙音が届きますやら…。
ごゆっくりご鑑賞ください。

氏名

菩薩名

持物

仏師凡海先生 

阿弥陀如来

1.藤沢有 

聖観音菩薩

蓮台

2.栗永照彦

勢至菩薩

合掌

3.多田哲

大自在王菩薩

4.徳善美枝 

虚空蔵菩薩

太鼓

5.伊賀さとみ

普賢菩薩

天蓋

6.永峰修吾

衆宝王菩薩

鐃鈑(ニヨウハチ)

7.河野和子

薬上菩薩

8.山下幸男

法自在王菩薩

柏板

9.金子敏広

金剛蔵菩薩

排簫(ハイショウ)

10.藤井雪雄

宝蔵菩薩

横笛

11.鎌田秀雄

白象王菩薩

縦笛

12.西野泰司

無辺身菩薩

焼香

13.加藤勤

大威徳王菩薩

鈴(リン)

14.中西知治

徳蔵菩薩

笙笛(ショウブエ)

15.宮武丈嗣

三昧王菩薩

華籠(ケコ)

16.細川隆義

華厳王菩薩

磐(ケイ)

17.吉岡琢郎

月光王菩薩

振鼓・トウ

18.丹生谷武志    

光明王菩薩

琵琶

19.永峰修吾

陀羅尼菩薩

20.道永新一

獅子吼菩薩

鼓(コ)

21.今田敞子

定自在王菩薩

鉦鼓

22.宮松敏

金蔵菩薩

23. 藤沢有

日照王菩薩

羯鼓

24.丹生谷武志

山海慧菩薩

箜篌(クゴ)

25.植松秀則

薬王菩薩

憧幡(ドウバン)

.

第28回現代仏像彫刻展

特別展示「来迎 二十五菩薩」によせて

二十五菩薩制作担当者一覧表 









特別展示「来迎 二十五菩薩」