
谷正雄
フランスのブラックユーモア作家、ギィ・フォワシイの戯曲ばかりを上演する
「ギィ・フォワシイ・シアター」を主宰して今年で30年。
上演回数は70回、上演作品は37本になる。
ギィ・フォワシイの「相寄る魂」(COEUR A DEUX)が、コメディ・フランセーズで
上演された1971年に、アヴァン・セーヌ誌(L'AVANT SCENE)に掲載され、
その頃、師として慕っていた放送作家、故・梅田晴夫氏による翻訳を読ませて頂いたのだが、
それが私とギィ・フォワシイとの最初の出会いである。
昼休み。公演で知り会った若い男女が、次第に打ち解け、
ベンチでお互いの夢を募らせるのだが…昼休みが終わり、二人は、それぞれの職場に
戻るという話である。
俳優への夢を仲間たちと語り合いながら、一方で劇団に残るか、
芝居をあきらめるかという現実的な問題を抱えていた
当時の私の気持ちを描いたようにとれる戯曲だった。
私の一目ぼれである。
どうしてギィ・フォワシイの上演活動を30年間も続けてこれたのか?
それは、第一に彼の戯曲の主人公が私たちと同じ、どこにでもいる庶民だからと思う。
彼の大きなテーマである「夢と現実」は洋の東西を問わない普遍的なもので、
そして何よりも、新作を書きあげるたびに送ってくれる作者の友情に負うところが大きい。
彼は「私にとって演劇とは、何よりも友情のアヴァンチュールである」
という文章を書いていた。
私にとっても同じこと。作者をはじめ。俳優、演出家、スタッフ、そして観客、
このアヴァンチュールに骨身を削って参加して下さる人たちとの出会いが、
ギィ・フォワシイ・シアターの活動を支えている。
〈ギィ・フォワシイ・シアター 主宰〉