|
■トップページ>>コラムアーカイブ >>>サメ研究最前線を求めて Haieの不定期コラム2015年11月1日 (日)サメ研究最前線の現場へ国際水産資源研究所一般公開イベントレポート
![]() ▲年に一度の一般公開日でにぎわう国際水産資源研究所 ◆サメの研究所はここです 「日本でサメの研究をしている場所はどこですか?」 こんな質問をされたら、皆さんはどんな施設が思い浮かぶでしょう。 サメの研究というとどうしても水族館や大学の研究室などがメディアの露出も多く脚光を浴びますが、いわゆる行政の研究施設も私たちが抱くごく普通のイメージのサメたち…外洋で積極的に魚を襲うような強くかっこいいサメの研究をされておられます。 静岡県清水区折戸にある「国立研究開発法人水産総合研究センター 国際水産資源研究所」もそんな大型のサメ類を資源としてアプローチされている研究施設です。(※旧 水産庁遠洋水産研究所) そちらで去る2015年10月31日、普段は入ることのできない研究所を無料で一般公開し、研究内容への理解を深めてもらう機会を設けられました。 毎年一回の頻度でこういったイベントを催されるそうです。そして今回のテーマは 鮫私はこちらでのイベントをシャークジャーナリスト沼口麻子さんのブログ(沼口麻子のシャーキビリティ向上のススメ)で知りました。で、ご本人に問い合わせると別のイベントにお出になるとのことで「Haieさん、レポートよろしく」 のありがたいお言葉を頂戴し、京都から単騎出陣と相成ったわけです。 毎度無理くりのスケジュール調整を行い、当日は正午過ぎに現地入りしました。デジカメと聞き取りノート(サメ閻魔帳)を忘れる大失態をおかしながらも体だけは無事清水へ来れ、ほっとしました。(画像はケータイのカメラによるもの) 深海ザメなどの研究で有名な田中彰先生がおられる東海大学海洋学部を尻目に、同じ並びで北隣にあるのが、本日の会場となる「国際水産資源研究所」です。 ![]() ▲東海大学海洋学部キャンパス 今回こちらに用事はないのです。 ◆4mマオナガのお出迎え 沿道に「一般公開」の幟が翻る中、奥まった敷地に歩みを進めていきますと、さっそく今回のイベントの目玉となる4mのマオナガ(Common thresher)さまが、テントの中に鎮座ましましておりました。 その奥にある受付の手前で回れ右をして、マオナガの観察を始めてしまいました。(先に受付行かんかい!) 第一印象は「でかい」 小学生並みの感想ですが、見た瞬間圧倒されます。水族館で泳ぐ大型のサメ類もジンベエ以外は大きくてもせいぜい3mほどなので、迫力満点です。 実際、このような大型の海洋生物がこちらの研究所の対象魚種ということですね。オナガザメ科の仲間は、ほかにもニタリ、ハチワレというものがいて、私は勝手に「オナガ三兄弟」と言い為しています。マオナガはこれらの中では、最も大きくなる種類だそうです。 ![]() ▲マオナガ[Alopias vulpinus] の成熟したメス。ダイナマイトボディがたまらんですなぁ。 (…ド変態発言失礼) この個体は、今年の5月東北沖の漁場で捕れたもので冷凍保存されたのち、こちらに置かれたそうです。大きさは4mで体重は200kg。成熟したメスで、一説には最大体長は5.7m! まだ1.5倍もでかくなるの? 見れば見るほど、私たちが見ている海にこの魅力的な生き物が泳ぎ回っていることを想像できてワクワクしますよね。 腹側などは血が回って真っ赤になっていますが、本来はぶちっぽい白いおなかで、三兄弟でもマオナガの特徴として挙げられるようです。 頭部だけみるとスーパーマリオに登場する敵キャラ「キラー」のような砲弾型で実にしっかりした造りです。 この砲弾型の頭部は、頭全体から見ても顎の小ささが際立つものだと思います。 その理由ともなるものとして、オナガザメの特徴が書かれたパネルに某サメ図鑑の引用で図解がありました。 彼らは外洋で魚の群れに遭遇すると、体と同じぐらい長い尾ビレで群れを追い立て、群れの密度を上げたのち強烈な打撃をその尾ビレでかまし、気絶した魚をパクリとやるとの捕食方法をとるそうです。 普通のサメが顎と歯でエサに致命的なダメージを与えることを考えても、この尾ビレがいかに危険かつ有用な武器であるかがわかるでしょう。 この採餌方法だけでもこのオナガザメ達のおもしろさが伝わると思います。 尾ビレに注目すると、普通のサメが華奢な付け根であることに対し、かなり太くしかも上下にかなり動くであろう構造が見て取れました。 普通のサメが尾ビレを主に左右にしか触れないことを考えても尾ビレをしなるムチのようにスナップを利かせる意味があるのだと思います。ひねりの利いたハイキックを喰らわせる、マゾっ気たっぷりのサメなのでしょうね。(ちなみに英名の「thresher」は、麦の脱穀に使うヌンチャク状のムチ(唐竿)を意味します。なぜ「whip」でないのでしょうね。) ![]() ▲マオナガの尾柄(びへい)。尾ビレの付け根の間隔が非常に広く太い。 ところでこの解説パネルやパンフレットにオナガザメと思しき萌えキャラが描かれています。 どなたが描いたのか、なかなか可愛らしく、すでにいる同センターの「おさかな天国」風のゆるキャラよりインパクトが強いですね。 名前などはないようなので、非公式キャラクターのような感じでしょうか。 ![]() せっかくなので、オナガ三姉妹として「マオたん」「ハッチャン」「ニタリー」みたいな感じで展開しても面白いと思ったりします。 着ぐるみを作ってこちらで参加される国際会議で出張すれば、日本の「萌え」もPRできるかもしれないなどという勝手な発想がもたげてきます。 こういったことを考え出すと、また某ジャーナリストに「病気…?」と突っ込まれるのでこのぐらいにしておきます。 観察に話を戻すと、尾部の発達ぶりもさることながら各ヒレも特徴的で、特に第一背ビレも小ぶりに見えますし、第二背ビレや臀ビレなんかはおまけのような存在です。 まるでステータスを尾ビレに全部吸い取られたかのような構造です。 尾ビレの大きさもさることながら、胸ビレも大きさがあり、グライダーの両翼のような広さを有しています。胸ビレはサメにとって浮力と舵の役目があると聞いたことがありますが、この2点はマオナガにとって生存競争のキモなのかもしれません。 見れば見るほど気になるサメです。コーナーを担当されている係の方に触っていいですよと言われ、体をなでましたが割と細かいサメ肌で高速遊泳型の鱗のように思えました。 先ほどの捕食習性にならって尾ビレに引っかかって取れたとのお話ですが、尾ビレに傷らしきものはありませんでした。あり? ところでこのマオナガ、マグロはえなわ漁では混獲物、いわゆる外道扱いであまり利用されないようです。伊勢名物サメのタレはこの子が原料なので、特定の地域では重宝されているのかもしれません。結構おいしい方のサメだと思うのですが…。 やたらマオナガの前で粘る人がいるなぁ、と思われたに違いありません。写真も撮りまくっていたのでかなりヘビーなサメ好きに思われたはず。他の来客にご迷惑にならないようにいつも気を遣います。 マオナガだけでこれだけ尺を取ってしまい、その後のコーナーや講演などは次回以降のコラムにて。 ていうか受付もまだ済ませていないでしょ!アンタ オナガ3兄弟■マオナガの紹介回(古い記事です) 関連リンク: 国際水産資源研究所 公式サイト http://fsf.fra.affrc.go.jp/ (外部リンク) PLOS(a Peer Reviewed, Open Access Journal)の記事 オナガザメの仲間、ニタリの捕食行動図解 注:海外サイト |