五十肩とマウス
2005年1月3日
一昨年の夏に、ホームページを開始しようと想っていたのだが、
その矢先に強烈な痛みを伴う五十肩を右肩に患い、キーボードを打つことができなくなってしまった。
それから、2年を経た今でも、常時激痛に苦しむことは、なくなったものの完治せずにいる。
いくらかは、キーボードに向かっていても痛みに顔をしかめるということが少なくなり、
生業としているパソコンの仕事を何時間か続けられるというまでに落ち着いてきた。
人によっては、四十肩とも呼ばれる五十肩だが、通常、早い人で半年、
遅い人で2年を待たなければ、回復しない病気と言われている。
私の場合は、40代の半ばに左肩をやって、治るまでに1年かかった。
左肩は、この病気の特徴そのままにある日いきなり治った。
あの激痛は、何だったんだと、いうように朝起きたら、その前日まで痛んでいた肩が、なんともなく劇的に治ったが、
右肩は、おそらくこのまま一生付き合わなくてはならないことを覚悟するくらい慢性的になってしまった。
四十年、五十年と使ってきた肩の関節と筋肉が衰えて、
いわば油が切れた状態になり炎症を起こすのが五十肩と言われているが、
その原因は、本当のところは、判っていないというし、治療法も、まだ確立されていない。
腕を上げると痛みが出るので、自分で服を着ることが非常に困難になったり、
電車のつり革につかまれないとかの症状が一般的である。
ある程度の時間さえ経過すれば、必ず治ることや、別段命にかかわる病気ではないので、
治療法などの研究に医療関係者が本気で取り組んでこなかったのではないかと、想われる。
痛みが発生している本人にとっては、日常生活に支障をきたす非常に不愉快な病気である。
(患っている人が不快にならない病気というのも聞いたことがないが...)
しかし、もちろん病気の常とはいえ、この病気ほど他人から同情されない病気もない。
しかも、時には、電車がゆれた時につり革につかまれないでよろけたりしようものなら、
見た目には、正常人なので、嘲笑されたりする不愉快な病気である。
私の場合は、この五十肩にマウス肘とキーボード腱鞘炎が、トリプルで発症したからたまらない。
一番症状が悪化したときには、うつ伏せになっても、仰向けになっても肩に圧力がかかるので、
正常なほうの肩を下にして寝ることしかできない状態になり、明け方に激痛でほとんど眠れない状態になった。
仕事中でも間断なく、わいて来る痛みに耐えられず、キーボードも数分しか打てない状態が、続いた。
簡単なメールの返事ぐらいは何とか打てたが、長い文章や、企画書などは、まったくまさしくお手上げの状態であった。
手をあげられないので、お手上げではなく、お手下げというのが正解ではある。
病気になり、初めて他人の痛みが解るようになるとは、昔から言い古されてきた言葉であるが、
私の場合は、この五十肩のおかげでいくつかの大きな発見をすることができた。
現在、世界で数億人の人が毎日使っているであろうマウスもキーボードもモニタもパソコン・ラックも
すべて若い、健常者が使うことを前提で設計されていて、
何らかのハンディを持つ人が使うような設計になっていないということである。
はたして、五十肩をハンディキャップと呼ぶのが正しいかどうかは、問題であるし、
本当のハンディキャップを持っている人に言わせれば、そんなのハンディのうちに入らない。
との誹りが来そうだが、少しでも心情が理解できるということで、敢えてこうした表現を許してもらいたい。
とにかく、普通の人が余り意識をせずに毎日使っているマウス、キーボード、モニタ、パソコン・ラックは、
人間の身体に非常に悪い影響を与える設計になっているということである。
当然、身体に悪い影響を与えるものなら、精神に良いはずがない。
時々新聞、雑誌に、OA症候群とか、テクノストレスとかの記事などが掲載されているので見ることがあるが、
その影響と発生する障害などが大きく取り上げられ社会問題にまでなったという例は、
電磁波障害と妊婦の例ぐらいで、五十肩の心身へのストレスの障害が、
どれだけの大きな生産性への障害になるのか、生活の障害になるのかという取り上げられ方は、見たことがない。
また、真剣な研究の末、こうした悪影響を解消するように改良された機器が発売されているという例も、非常に少ない。
パソコン・ラックの中に電磁波障害を対策したとか、テクノストレスを溜めない、使いやすい設計とうたった商品があるくらいで、
五十肩の一番の原因発生源であるマウスやキーボードにいたっては、ほとんどない。
この文章を書いている私の装備は、傍目から見たらこっけいで、
とてもじゃないがパソコンを職業としていますなんて言えそうも無い。
手元には、多間接のアームレスト(腕乗せ)があって、それに右腕を乗せて腕の重さが肩にかからないようにしている。
そして、マウスではなく親指でトラックボールを操作している。
五十肩とマウス肘の最大の根源は、マウスとマウスの置き場所に問題があったという発見から到達したのが、
トラックボールで操作することにより、右手を動かさないという解決策であった。
トラックボールそのものは、ロジクール社の光学式のトラックボールだから一般に市販されているものである。
妙ちくりんな使い方であるが、まだ100%完治していない五十肩にとって最良の使い方である。
なにしろ、こうして長い時間キーボードとマウスを使用できるのだから結果が証明している。
普通のマウスにすると、どうしても手を伸ばして使用することになるので、
肩の筋肉が重たい手を吊り上げた状態で仕事をすることになり、20分も操作していると、肩が悲鳴を挙げ始める。
年齢を重ねるのは、必ずしも嫌な事ばかりではないのだけれど、
フィジカルには、こうした煩わしさが出てくるものである。
しかし、そのおかげで新しいマウスやキーボードの製品アイデアがいくつも考案できたので、
やはり人生は、塞翁が馬といえるのかもしれない。
しかも、それらの商品が、こうした悩みを持つ人々に恩恵をもたらすのであれば、私の五十肩も
意義があった?といえるだろう。