五十肩とキーボード,モニター

 

                 200515

 

              右肩の慢性五十肩は、2,3時間も真面目に仕事すると、肩が痛み出す。

              おおかたの人なら、「体が休息を求めて警告を発しているのですよ」

              と、いうありきたりな世間話が似合うのだが、

              2,3時間では、本当に何時間も真面目に仕事をしている人に申し訳がないほどの軟弱さだ。

 

              マウスをトラックボールに変えて、手元に持ってきてから、上腕部全体にあった痛みは、ずいぶん楽になった。

              しかし、肩部分と手首部分の腱鞘炎は、まだ少し長引くものと思われる。

              特に手首部分の腱鞘炎は、今のキーボードを使っている限り避けて通れないと思う。

 

              私が使っているキーボードは、ごく標準的なパソコンのキ−ボードで、

              とりあえずは、両手を使ってタイピングをしている。

              “とりあえず”と但し書きが付くのは、正式な両手の原則通りのタイピングをしていないからである。

              つまり、私のタイピングは、担当する指のキーの受け持ちが、

              その時々によって変化する自己流のタイピング方法である。

 

              以前は、このことを他人に話すのにためらいがあった。

              たいしたことではないが、まがりなりにもパソコン入門書を書き、

              いくつかのパソコン入門に関する連載記事を執筆したことがある人間が、

              正式な両手タイピングをしていないとは、ちょっと恥ずかしいと、思うからである。

              現在では、羞恥心が年齢とともに薄れてきたのか、または、生来の厚顔が出てきただけなのか、

              他人の前でも変な打ち方のまま入力している。

              別に開き直っているわけではないが、理由もある。

              小学生の頃、左手の薬指の腱を鎌で切って、

              通常のスピードで指が動かないので、どうしても他の指との調和が取れないのだ。

              その結果、バラバラな指使いになってしまうので、それを理由として勝手気ままな指使いでタイピングしている。

              一応は、十本の指で打っているし、そんなに不便を感じたことはないので、

              このまま自己流タイピングをしていくことだろう。

 

              パソコンで糊口を塗している私だが、理解できない不思議な商品が、“タイピング練習ソフト”だ。

              まったく初めてキーボードに触る人が、購入したくなる気も解らないではない。

              パソコンは、難しく、キーボードに慣れるのは、時間がかかると、いう予備知識が、

              あまりにも誇張されて、喧伝されているので売れるのであろうが、

              ホームポジションさえ最初に指に覚えさせれば、後は、経験する絶対時間だけの問題で、

              ほとんどの人が、キ−ボード入力は、短時間で習得できる。

              プログラマやデータ入力を仕事としている人でない限り、

              速いキー入力で入力しなければならないという必然性はあまりない。

              遅いよりは速いにこしたことはない、しかもできれば、綺麗な指運びのほうがかっこいいといった程度の事である。

 

              他人が真面目に取り組んでいる姿を揶揄するような言い方になるが、

              このタイピング練習ソフトで練習することを日課にしている年配の女性を知っているが、

              朝起きてから何分間、夜寝る前に何分間と決めて練習して、

              「パソコンは肩が凝るのよね」といっては、一生懸命打っている。

              パソコンはまだまだ、一生懸命取り組むものらしい。

              この障壁がなくなった時が、パソコンが完全に社会に溶け込んだ時と、いえるのかもしれない。

 

              キ−ボードのキー配列が、その昔のタイプライタの配列をそのまま踏襲してできている

              と、いうことを案外多くの人が知らないで使っている。

              タイプライタが世の中に登場した当初は、いくつかのキー配列があったらしい。

              職業としてのタイピストが登場すると、一般の人たちより特別速いスピードで、

              タイピングすることが、プロの証となるようになった。

              昔のタイプライタは、金属部品だけで作られている純粋なメカニカル構造であった。

              人間の指の速度によってタイプされる字数のスピードが増していくというあたりまえの構造から、

              職業人としてのタイピスト達が速く打てば速く打つほど、メカニカルがついていかなくて、絡み合うという現象が発生する。

              そこで、絡み合わないように考案されたのが、現在の配列で、

              タイピストが速く打てないような配列を採用したとの話がある。

              つまり、わざわざ速く打てないような配列にしていたということである。

              もともと速く打てないように工夫?してあるその配列をローマ字変換というアルファベッドからひらがなへの

              ダブルプロセスで入力する我々日本人は、余計に効率の悪いキーボード配列でタイピングしていることになる。

              実際、一番良く使う{あいうえお}の母音のあの指が左手の小指になっているのは、不合理なアサインである。

              このキー配列の不合理さというのがキーボードの最大の欠点である。

 

              その次に形状の欠点がある。

              この文を読んでいる大方の人の手元には、キーボードがあると思うので見て欲しいが、

              各キーの横配列は、直線状になっている。

              ところが、両手を自分の前に突き出して自然にキーボードの上に持っていくと、意識しない限り、

              両手の指は、直線状ではなく、\ / のカタカナのハ字の逆になるはずである。

              〔自然な形が、一番ストレスがない形〕と、いう自然界の法則に従えば、

              キーボードの配列形状は、左右それぞれ、この逆ハの形が一番望ましいということになる

             

              人間工学の研究からこの形をしたキーボードが作られて、販売されたこともある。

              しかし、不合理なキー配列すら問題として受けとめていない人が、大多数だから

              その形状にかえって違和感を覚えるのか売れたためしがない。

              NEC社が一時期、この配列と形状の2つの欠点を解消した森田式キーボードというものを発売していたが、

              いつの間にか忘れさられ、現在では、見る事が無い。

              いいものはいいのだから、もっと長い年月を掛けて啓蒙普及活動をして欲しかった。

              メーカーも短期的な採算性だけで商品を作るのではなく、もっと地道な姿勢も必要ではないだろうか。

              理想的なキーボードとしては、キー配列と形状の2つを一挙に改良したものが望ましいものには違いないが、

              一度に変えてしまうと保守的な日本人は敬遠するので、最初にキー配列の形状だけを変え、キー配列は、

              そのままのキーボ−ドを普及させ、その次にキー配列を変えたモデルを普及させる。

              と、いう2段階でいけば、受け入れられそうな気がする。

 

              そして、仕上げは、マウスを一体化することである。

              私の五十肩の体験からマウスの操作のために右手をキーボードから離して手を伸ばすことが肘にとって、

              かなり負担になることが判ったので、逆ハの字の真ん中にトラックボールを持ってくる。

              ノートパソコンに採用されているタッチパッドでも良いが、

              慣れるとトラックボールの操作性が一番快適、かつ快速である。

 

              そして、インターネットの操作が多くなった現在では、スクロールボタンも手元に持ってきて、

              比較的自由度の利く親指に担当させれば、理想的なキーボードの完成である。

              この理想的なキーボードは、私の個人的な考案であるが、

              そうした人たちのためにもいつかは、発売したいと考えている。

              たぶん売れないだろうが...

 

              パソコン人口も底辺の広がりをみせて、かなりのシニア世代の人も多くキーボードを打つようになっている。

              いまこそ、ストレスのない、五十肩を発生させないようなキーボードが必要となる時期にきていると思う。

              そして、たまたま、私の五十肩の体験談から「理想的なキーボードとは」

              と、いう私見を述べたが、若い人の中でもOAストレス症候群で悩んでいる人たちが、かなり潜在する。

              特に若い女性で長時間キーボードを扱う人たちの間で、確固とした理由付けのないまま、

              疲れや生理痛などに苦しんでいる人が居るが、案外こうした症状の多くは、

              OAストレス症候群が引き金になっていると確信している。

 

              キーボードやマウスなどの使い勝手が、人間の身体にストレスを与えるが、

              パソコン製品で一番人間に影響を与えるのは、なんと言ってもモニターである。

              急速に液晶型が伸びてきているが、使われている比率では、まだ圧倒的にブラウン管モニターだ。

              ブラウン管モニターは、構造原理が電磁波発生装置そのものといえる。

              電子ビームを後部から発射し、その電子ビームが、前面ガラスの蛍光物質に当たり、発光するという原理である。

              発光した光は、色となって私たちの眼に映り、その結果モニターに絵や文字となって表現される。

              後部から発射された電子ビームは、一部は、こうした可視光として情報を伝えてくれるが、

              一部は、前面のガラスを突き抜け、電磁波として私たちの身体に照射される。

              いわば、周波数こそ違うが、非常に力の弱いレントゲンを浴びていることになる。

              レントゲンの照射なら人間の身体に悪影響があることぐらい小学生でも知っている。

              しかし、パソコン・モニターの電磁波がどれぐらい人間の身体に悪影響を与えるかは、知られていない。

              労働環境に非常に厳しい数値を指標として制定しているドイツなどでは、その方面の研究が進んでいて、

              具体的な環境数値が提言されているが、日本では、パソコン・モニターが、

              身体に及ぼす悪影響すら一般的に認知されていない。

 

              別に自分が他人よりセンシティブであるというつもりは、無いが、

              私は、狭い空間に多数のモニターが設置されているショールームやパソコン教室に入ると、

              途端に気分の変調をきたし、吐き気がしてくる。

              自分で勝手に〔電磁波酔い〕という造語をつけているが、

              あきらかに眩暈がしだすので、まるで人間電磁波センサーだ。

              たくさんのモニターが並ぶ環境で仕事をしている人は、かなり居るはずだが、

              「会社にモニターが多いので病気になりました」と、いう話を聞かないのは、

              他の人は、意識しないと気が付かない程度かなあと考えてしまう。

 

              モニターの電磁波の強度は、距離の二乗に反比例する。

              (つまり、距離が倍離れると、強度は4倍に弱まる)

              と、いう物理学の常識があるので、離れて使用できる大きいモニターがいいかというと、

              大きいモニターは、電磁波の放出強度が強いので結局同じことになる。

              これから逃れ、問題を解決するには液晶ディスプレィにすれば良いのが解っているのだが、

              フォントの汚さの方が精神衛生上いらつくのでブラウン管モニターで我慢をしている。

 

              電磁波から連想したので、ついでに放射線についてトリビアの泉を。

              我々が生活している自然界には、自然放射線というものが存在する。

              自然放射線で一番強い放射線は、宇宙から降り注ぐ宇宙放射線であるという。

              もちろん、レントゲンのような強度ではないので、

              宇宙放射線がガンを誘発したりするほどの影響力はないのであるが、

              まったく影響が無いのかどうかは、判っていないという。

              では、二番目に強い自然放射線は、なにかというと、

              これが何と人間そのものが身体から放射している放射線だとのことで驚きだ。

              と、いうことは、先ほどの距離の二乗に反比例するという物理学の法則からすると、

              ベッドで身体を寄せ合っている男女のカップルは、

              お互いが、それぞれの自然放射線を被爆していることになるのである。

             

              この時の放射線の影響は、お互いの愛を高めあうように作用するのであろうか