30 軍神ゲリラ
9月26日、22時20分。
武田家本陣四天王、馬場信春が落ちたその時、
無念の敗北を確信した武田家に起死回生の奇策の告知が流れた。
謙信ゲリラ!!
上杉軍総大将、自ら毘沙門天の生まれ変わりと称し、戦国最強と謳われ、
軍神と呼ばれし戦国大名…
上杉謙信にゲリラ戦を仕掛ける!!

戦場にはこのあまりに無謀な特攻の告知が流され、
その作戦内容が練られていく。
数瞬前のゲリラで敵武将にたどり着けなかった私も一足早く本営に戻り、
馬に騎乗して出撃の準備を行った。
この日のために用意していた天狗の兜巾に七条袈裟。
トレードマークの眼帯と黒の染抜長絹の代わりにこの格好になったのは意味がある。
そう、謙信ゲリラは意味のないものかもしれない、
だがこのときの私には意味があった。
”連続で合戦に出るのはこの日が最後”
そう思っていたからこそ、今回の合戦にはできるだけ長時間出るようにした。
そして、最後となったこの陣の、本当に最後に「謙信ゲリラ」という奇天烈な特攻が行われようとしているとは、
まさに御仏のお導きであったのかもしれない。
そして、天狗の兜巾と七条袈裟は自分への餞である。

続々と集まってくる勇士たち。
その数はすでに尋常ではない。
周囲では馬が配られ、出撃前の最後の修理・装備点検が行われている。
みな、かの戦国最強と謳われる上杉謙信に一太刀浴びせようという傾奇者ばかりである!
次第に高まってくる昂揚感と緊張感…。
作戦は陣終了五分前に出発し、謙信に取り付き、戦う。
戦神と戦うことで自分たちの心意気を見せるのだ!

そして出撃直前、
無意味であるともいえる特攻に命をかける者はこのとき三十騎以上!!
異様なまでの熱気が本営内を包む…。
中には丹を飲むものまで現れた。
私も六王と知王、神仙丹を飲む。
自分にとってもこれはまさに最後の賭けであるッ。
そしてそれは、他の人たちにとっても同じであったかもしれない…。

…それは死亡フラグ確定!

いよいよ出撃、この陣最後のカウントが響き、0とともに全員が上杉本陣目指して突撃を開始!!
侵攻ルートは門→勝頼陣→小山田陣→土屋陣→松本陣→村上陣→小荷駄裏→本陣。
このうち、もっとも危険なのが村上陣と小荷駄の間の狭い道。
ここを抜ければ、とりあえず本陣には突入できる。
いかにNPCをかわして本陣へ突入できるか…謙信に取り付くにはそれにかかっている。

周囲のNPCたちを蹴散らし、怒声が飛ぶ!
いよいよ村上陣、次々NPCに止められていく戦友(とも)たち!!
私は無我夢中で走り、ついに本陣内に突入した!!

ついに本陣、上杉謙信の目の前!!
だが謙信がどこにいるのか、凄まじい数の馬群でまったく見えない!
必死にターゲットをずらし、ついに謙信の居所を探し当てた!
懸命に連打!!
だが、入れない!!
すでに謙信は戦闘中、周囲では漏れた者たちが次々本陣NPCや本陣武将に襲われ、
まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。
守備兵が、力士衆が、上級陰陽が、柿崎が、斎藤が、色部が、
地獄と化した本陣内で突入した仲間たちを血祭りに上げていく!
どうするべきか、私は一瞬迷った。
だが、もう戻れない。引き返すわけにはいかない!
その時、
画面が暗転し、
あの荘厳なクレジット曲が流れ出した!!

上杉謙信戦にイン!!

紛うことなきそこにいるのは軍神と呼ばれた男・上杉謙信!!

謙信直属の武将・上杉景勝の一撃が旗の武士道さんを襲う!!
地獄からさらなる地獄へ飛び込んだ私は…


自分に極楽浄土→大往生のコンボを狙っていた!!
本営で準備しているときから、
もし自分が謙信との戦闘に入ったら大往生を決めて散ろうと思っていた私。
この最後の戦い、毘沙門天の目前で僧の最大奥義・大往生を決めることができれば……
できれば…………。
だが!! しかし!!

あああどこまでもおとぼけ!!
通常でも謙信の一撃を喰らえばそこで即死!
他の者でも、往生の準備中に攻撃を喰らえば往生が止まるどころかほぼ即死に…。

そのとき、謙信の僧兵連撃・改が旗の武士道さんに襲い掛かった!!

だが、これを受け止める武士道さん!!
そうだ、ここで諦めてはいけない、たった一度のチャンスにかけるんだ!!


ノウマク サンマンダ ボダナン バーク!!

だが一人づつ倒されていく戦友たち!
金剛が切れた旗の武士道さんも力尽き、ついに旗折れ、
謙信との勝敗も決した!!

敗北後のこの一瞬の勝負にすべてをかけるッ!!


直後、直江兼続の全体術で燃え尽きる尼僧…。

謙信ゲリラ終了とともに陣も終わった…。
敗北の底で私の大願も果たされ、すべては荒涼たる大地に横たわるのみ。
再び立ち上がり、歩き出すそのときまで、
おやすみなさい〜〜〜ノシ
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