|
年中青々とした野菜に恵まれている沖縄だが、太陽の力が強い夏の野菜は格別に美味しい。代表的なゴーヤーやナーベラー(ヘチマ)も、春秋でも採れるが、夏と比べるとちょっと味が弱い。また、強い日差しはクレソンやホウレンソウなどの葉野菜も美味しく育てる。本当南部は特に豊富で、東の海に面した南城市玉城にある農産物直売店『たまぐすく花野果村』は、在来野菜も多いと人気だ。
自らも農家である代表の大城浩明さんが、5年前に近隣の農家たちと立ち上げた直売店。生産者は700人に及ぶ。専業農家のほかにも、地元のおじいやおばあがふらりと野菜を持って来るので、この人数になるという。規格はなく、無農薬で伸び伸びと育った野菜がほとんどだ。畑で収穫して数時間以内に店頭に並べられる。
「ここの野菜を食べると、県内の人でも”島野菜ってこんなに美味しいんだ”と感動してくれます」
これから一番美味しい時期だと、大城さんが勧めてくれたのは「ガンジューナー(アフリカホウレンソウ)」。ガンジューナーとは”頑丈”つまり「頑丈になる野菜」という意味で、昔から健胃薬として重宝されているが、畑で栽培されることはまだ少ないという。芝地や道端などでも見られる野草の一種で、身近な野草を摘んで料理に取り入れてきた、沖縄ならではの島野菜だ。葉は厚く、火を通すとモロヘイヤのようなぬめりが出る。沖縄ではポピュラーな夏野菜「ジービン(つるむらさき)と特徴が似ている。ともに熱帯地原産で、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富。抗酸化力が強く、栄養価はホウレンソウ以上という。
「ガンジューナーは海の近くに野生するので、この辺りは産地として最適です。苗を持っていっても本土では育たないんですよ」
玉城は神の島・久高島を望み、世界遺産の斎場御嶽もある。山海を併せ持つ恵み豊かな土地。
「野菜もヤギも海の近くが美味しい、と昔から言います。塩を含んだ風がミネラルを運ぶんでしょう。なんといっても、気持ちのいい景色と風はストレスを溜めません。だから、おじい、おばあも元気です」と、ネギを持ってきた老夫婦を見ながら大城さんは言った。
大城さんは、ここではまだまだ若手の農家だ。 全日空「翼の王国」2008年7月号より抜粋
|