ブラインド・ウィリー・マクテルが1927年から35年までに録音した音源の中から選ばれた、現行のベスト盤。戦前ブルーズ作品の大概はこうして編集盤で楽しむことしか出来ないので、選曲や音質が重要になります。「Yazoo」レコードが編纂したこの『The
Best of』は、そのどちらをも満たしているのが嬉しいですね。
個人的な彼との出会いは、戦前ブルーズの入門編(?)として有名な『Blues 1927-1946(RCAブルースの古典)』を聴いたときです。50トラック近くが収められたコンピレーション盤の中で、たった2曲だけ収録されていたマクテルの歌声に感銘を受け、彼のことを調べてみました。すると、ジョージア州アトランタのブルーズ・シーンを担った一人であったけれど、戦後の“再発掘”ムーブメントの頃には亡くなっていた盲目のシンガーだということがわかりました。
鼻にかかった高くて甘い歌声、丸みを帯びた12弦ギターの音色は、どこか切ないものを感じさせます。その繊細なサウンドがノイズ混じりにプレイヤーから立ち昇ってくると、古きアメリカの情景そのものが想像出来たりして、そんな瞬間が何とも好きなのです。
『Broke Down Engine Blues』、『Statesboro Blues』、『Travelin' Blues』、『Dark Night
Blues』、『Atlanta Strut』など、時空を超えて胸に響く名作が目白押し。ラグ・タイム風など意外と曲調にも幅がありますね。大好きな1枚です。 (Oct
2007) |