| Disk Review Site HAND IN GLOVE*** |
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| The Smiths | |
| The Smiths | |
| 1984/UK | |
| スミスのバンド名を冠した1枚が店頭に並んだ1984年2月は、ロック・カルチャーにおける重要な瞬間だったと言えるでしょう。デビュー・シングル『Hand
In Glove』でのチャート・アクションが華々しいとは言えなかったバンドの門出を思えば、9ヶ月後に全英2位にランクインしたこの1stアルバムのリリースは大成功であったとも考えられました。 しかし、当時のメディアやリスナーの声と言えば、酷評ばかりだった様です。それはそうでしょう。『This Charming Man』の様なフックは皆無。じめじめとした歌詞に平坦なメロディ・ライン。全編通して山場らしい山場もなく、淡々と経過していく10曲に重要性をいきなり見出すことなど、大概不可能だったはずです。 しかし、この『The Smiths』がそっと聴衆の心に残した傷跡は、後々になって効いて来るのです。僕たちの心の中で、いつの間にか、一番大切な1枚になってしまっているのです。 3分ポップスへのシンパシーを誰より声高に叫んでいるにも関わらず、モリッシーとジョニー・マーの表現方法がこんなに歪(いびつ)であったことは、今もって衝撃だとしか言い様がありません。「音楽の専門的なスキルのなかったモリッシーが、若さと才能を無鉄砲に振りまわし、こんな特異な作風にしてしまったのだ」。そんな風に解釈すれば説明こそつきますが、結果として「歪でありながらも歴史的な名作」に仕上げてしまったのですから、そうそう他に例が見当たりません。そして、その歪さこそが、スミスを愛さずにはいられない衝動を共振させるのです。 この1枚があるからこそ、スミスは文学なのであり、アートなのであると思います。僕個人の感覚で言えば、「スミスが好きで、この1stが好きでない」人を、僕は信用できないのです。 ( →『The Smiths』全曲レビュー) |
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| Hatful of Hollow | |
| The Smiths | |
| 1984/UK | |
| モリッシーやマー、「ラフ・トレード」レーベル、それにファンにとっても、ザ・スミスの1stアルバムはもっと別格のモンスターでなければいけませんでした。その想いが、この1枚を『The
Smiths』から僅か9ヶ月という短いインターバルでのリリースに踏み切らせた様です。シングルの収録作品や、既成曲のライヴ音源(ラジオ用の録音)で構成された「編集アルバム」であるにも関わらず、その内容が実に優れていたがために、『Hatful
of Hollow』は正式な2ndアルバムであるかの様に扱われています。かくしてスミスの“格”は、1stに落胆した人々にとっても、すぐさま高い位置へと再修正されたのでした。 全16曲の内、ラジオ用のヴァージョンが実に9曲にも及んでいます。今もなお、貴重音源の正式リリースがないことを考えても、ファンにはとても嬉しい構成だと言えるでしょう。1stアルバムの価値が再考されている現在でも、この『Hatful of Hollow』が重要視されているのは、やはりラジオ・セッションに尽きるかと思います。少ない音数での不自由なアレンジ、それでいかに効果を上げるかというテーマに挑むマーとロークの手腕も聴きどころです。 アルバムとしての整合性で言えば一歩譲らざるを得ませんが、曲順はなかなかに味わい深いです。A面を『Still ill』が、B面を『Please Please Please Let Me Get What I Want』がシメる辺り、唸るものがありますし、傑作シングルのひとつである『William, It Was Really Nothing』で幕を開けるのも、このアルバムの大きなインパクトとなっています。 ちなみに現行のジャケットは、モデルの男性が拡大されたものに差し替わっているのですが、僕は断然ライトブルーのバックが好きなので、敢えて写真も古いヴァージョンをスキャンしました。音は絶対、現行品の方がいいんですけどね。 ( →『Hatful of Hollow』全曲レビュー) |
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