「ストーンズ・スロウ」のコンピで耳にして以来気になっていたアロエ・ブラック、その1stソロ・アルバムはかなりヤバイ1枚です。
まず、楽曲の幅が広い点が素晴らしい。いや、実際は広ければいいってものじゃないんですが、決して散漫になることもなく、「ストーンズ・スロウ」らしい先進的なビートからフォーキーなサウンド、オーガニックなラテン〜アフロ・ミュージックまで自由に行き来しています。これらを、(2曲を除いて)アロエ・ブラック自らが手掛けていることが驚きです。彼は、このジャンルには珍しい“ミュージシャン”としての素養を強くもったMC/トラックメイカーなのです。
そして、全編に渡ってとにかく美しいです。エマノン(DJエグザイルとのユニット)名義の作品でも度々披露されてきた自慢のハイトーン・ヴォイスによる、唄の数々。そう、本作はラップよりも圧倒的に歌モノが多いアルバムになっています。上手いというよりは、歌心=ソウルを感じさせる彼のヴォーカル、これが何とも美しいのです。じわじわ「来る」感じをぜひ堪能してみて下さい。トラックも同様で、マッドリブ、オー・ノーが手掛けたスモーキー/アンダーグラウンドなトラックがカッコイイのは言うまでもないんですが、アロエ・プロデュースによるトラックの個性的な美しさは、注目に値すると思います。特に、ブラジルの地平へとフワリと連れて行かれるかの様な『Nascimento
(Birth) - Scene II』での感激といったら、ちょっと言葉では説明できません。
さて、大変なのはショップの店員さん達でしょうか。純然たるヒップホップでもなければ、まんまソウルでもR&Bでも、ましてやラテンでもない。でも、そのどれをも内包しているのですから。どの棚に置いたらいいやらと迷うことになるでしょう。僕個人の意見としては、どの棚に飾られたとしても、多分その中で2006年一番素晴らしかったレコードだと断言したいと思います。 (Jan
2007) |