| Disk Review Site HAND IN GLOVE*** |
![]() |
| since 2006/01/15 |
![]() |
|
| Child's View | |
| Nobukazu Takemura (竹村延和) |
|
| 1994/JPN 【bellissima!】 | |
| 竹村延和(竹村ノブカズ)氏は、僕が世界中で最も敬愛するアーティストです。個人的に、氏の最高傑作と位置づけている1stソロ・アルバム『Child's
View』は、すなわち、あらゆる音楽作品の中で最高傑作ということになります。この1枚だけは僕にとって、ザ・スミスでもコルトレーンでも凌駕することが出来ない、特別で大切なものなのです。 そのストイックかつイノセントな作風で、今や世界中が評価する竹村氏も、もともとはコレクター気質なDJでもありました。そんな豊富な知識を持つ氏でしたが、東京で陥りがちな“過多な情報に左右される”制作スタイルに疑問を感じて、スタンスを一変させていくわけです。ソロ活動をスタートする以前から、氏が提供する作品には音楽への愛情とも言うべきピュアネスが底流してはいましたが、より子供目線に近い、飾らない作風にシフトする直前の「知性(=豊富な音楽的素養と、それを実現するためのプロフェッショナルな方法論)」と「感性(=アルバム・タイトルに顕著な、純真さへの憧れと自らの開放)」とが奇跡的なバランスを保ちながら、あまりに美しく融合した、まさにこのタイミングでしか生まれ得なかった1枚が、『Child's View』なのです。大袈裟な表現に辟易する方もいらっしゃるでしょうが、事実この作品によって人格に多大な影響を受けた人間もいるくらいですから(僕です!)、ちょっとアツくなるのもご勘弁頂ければと思います。 さて、具体的にはどんな音楽かと言いますと、ベースとなっているのは当時の氏が傾倒していたであろうジャズ、ブラジル、ヒップホップ、現代音楽らをミックスしたものでして、知的でストレンジな構造美が次々と展開されていく様は圧巻です。アコースティカルな音色がサンプル素材として神経質に厳選され、氏が目指したという「10年後も聴ける音」という目論見は十分に果たされたと言えるでしょう(例えオーガニックなサンプルでも流行り廃りはあるもので、人によってはスネアやベースに経年劣化を感じるコトもあるかも知れませんが、そこを云々言うのは本質を欠いていますしね)。A-DAT(当時主流だった、テープ式デジタルMTRです)のやりとりを中心に、ロンドンやパリでのセッションも敢行し、Dee-C-LeeやハウイーBといった多くのフィーチャリング・ゲストやスタッフが参加しており、竹村氏が後にプライベートな作風を中心にしていくことを思えば、こうした“人”を数多く介在させている点が、今日との最も大きな差異かも知れませんね。このロンドン&パリ・セッションは結果的に、作品にヨーロッパ色と立体感を付加し、『Child's View』の品格そのものを向上させたのだと僕は思います。 ジョン・コルトレーン、ファラオ・サンダース、マッコイ・タイナー、アーチー・シェップ、川崎燎といった偉大なる才人たちへのリスペクトの念を明らかにしながら、これまでにどこにもなかった、信じ難いクオリティとイノセンスとを両立させた芸術作品を作り出した竹村氏。その凄さは僕のような凡人では到底表現し切れませんが、生涯に渡ってアツく語り続けることだけは間違いなさそうです。この出会いに感謝しながら。 (Nov 2007) ( →その他のNobukazu Takemuraレビューページ) |
|