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OST / Mondo / Lounge Review 01
since 2006/01/15

Il Suo Complesso
Alessandro Alessandroni
2005/ITA
幼なじみ(!)エンニオ・モリコーネらとの仕事でも知られる、イタリア音楽界を代表するミュージシャン/作曲家、アレッサンドロ・アレッサンドローニ。彼の作品中でも“幻”とまで言われた激レア音源が2005年にめでたくリイシューされました。それこそが本作『Il Suo Complesso』です。この再発でアレッサンドロ・ファンはもちろんのこと、コレクターやDJらも色めき立ちました。いわゆるライブラリーものという事もあって、オリジナル盤の入手は本当に困難だったのです。騒ぎになるのも頷けようと言うものですね。
しかもレアというだけではなく、内容の充実っぷりも特筆に価します。洒脱でムーディな極上ラウンジ・ジャズの宝庫。中でもベース・ラインが痺れる高速キラー・ジャズ『Introverso』や、ダンディズム溢れるジャズ・チュ−ン『Hammurabi』はカッコ良過ぎでしょう!他にも女声スキャット、オルガンもの、サンドロ自身の口笛によるマカロニ・ウエスタン風などなど、1トラックにつき2分そこそこの気持ちいいテンポで贅沢にシーンが移り変わっていく、噂に違わぬ幻の名盤です。
リイシュー主は、出ました「Dejavu」!さすがという他ありません。 (Jan 2006)
Black Sound From White People
Augusto Martelli
1972/ITA
72年に「フィリップス」からリリースされたアウグスト・マルテッリの『Black Sound From White People』は、ラウンジ・ミュージックやジャズのファンから再評価を受け、90年代に人気が高騰した1枚です。先進的でスタイリッシュなサウンドやジャケットも人気の秘密ですが、好コンピ『Easy Tempo』や、日本国内で言うとサバービア等で取り上げられたことも大きな追い風になりました。
多くの映画音楽を手掛けていただけあって、どこかサウンドトラックっぽい感触を感じます。そのことが端的に表れているのが、キラー・トラックとして多くのDJにスピンされる『Loco Love Motor』。敢えて主役を立てていない感じがして、その辺りもサウンドトラックっぽいイメージを抱かせる理由かも知れませんね。この『Loco Love Motor』で注目したいポイントは、その構造です。ドラムス、ベース、ギター、フルート、女性スキャットなどの各トラックを、まるでサンプルをループさせるかの様に構成していく作りは、今日のクラブ・ミュージックさながらです。当時のマルテッリがいかに独創的かつ先進的なセンスを持っていたかが窺い知れるのです。
『Loco Love Motor』だけでなく、全てのトラックが素晴らしい出来栄えです。ラウンジィなジャズをベースにしながら、ラテン・フレイヴァーやアーシーなアプローチを大胆に取り込んで、実に個性的なアルバムに仕上げています。そして、全編に渡って洒脱でクールなのが、いかにもイタリア産の作品らしいところ。いい感じでフェイクも利いてますしね。
ちなみに、「ブラック・ミュージック」を標榜してはいますが、僕には黒っぽさはほとんど感じられませんでした。 (Oct 2008)
Whisky a Go Go
Capiozzo & Mecco
2003/ITA
「Suonaphone」レーベルからリリースされた、70年代の香り漂う何とも洒脱な1枚。その正体はドラマー&ハモンドからなる現行バンドの新作アルバムです。実は「Suonaphone」は「Irma」傘下のレーベルでして、このカクテル・ラウンジ・バーっぽい雰囲気はまさにレーベルカラーにピッタリですよね。
ラウンジ・ジャズっぽい味わいはありつつも、根底にあるのは結構男っぽい芯の通ったジャズ・ファンク。完璧なまでに70'sテイストを再現しているので、敢えて2003年の作品をチョイスする理由を考えてみると、ちょっと決定力に欠けるかも知れません。「だったらレア・グルーヴをスピンします」っていう意見もご尤もですからね(もちろん、クリアな音質を求める人にはベストですけれど)。そんな意味では、今日的なミックス感覚が如実に出た傑作『William's Style』みたいな作風が今後のカギになる気もします。あとはライブでしょうね、こればっかりは現行バンドにのみ許されたアドバンテージなワケですから。
それにしても、完成度はかなり高いです。巧くてセンスも抜群。特にハモンドやローズが大好きな僕みたいなファンにはもってこいの1枚と言えるでしょう。実用性も高いと思います。 (Jan 2006)
Impressions Vol.1
Janko Nilovic
2000/FRA
60〜70年代、フランスで膨大なライブラリー・ミュージックを残したヤンコ・ニロヴィック。90年代のモンド/ラウンジ・ムーブメントの中で再評価され、一躍ニーズの中心に躍り出た彼の作品はここ日本でも大人気となりました。本作は「dare-dare」が紡いだコンピレーション盤の第一弾で、膨大なカタログから選りすぐられているだけに、高い音楽性とヒップな魅力をたっぷりと吸収したお得な1枚に仕上がっています。
モンドやラウンジといった観点からチェックしても完璧なアルバムですが、彩り豊かな選曲がなされていて、しかも総じて完成度が高い上にポップ(ここがポイントですね。ヤンコの作品はライブラリ音源でも主役級のキャッチーさがあるんです)なので、サバービアとかレディメイド、ジャズ、ファンク、あるいはちょっとひねったポップスが好きなリスナーなんかにもオススメ。リスニングに耐えうるしっかりした楽曲揃いなのが嬉しいですね。ただ、オーディオの前で腕を組んで難しい顔をして聴くなんて無粋ですけれど。
フレンチ・レア・グルーヴの決定版、そう断言してよさそうです。もちろん、人気の女性スキャットモノも収録してますよ。 (May 2007)
Music For Biscuits
Mike Sammes &
The Mike Sammes Singers
2006/UK
モンドチックでレアなサウンドトラックをラインアップする「Trunk Records」が2006年にコンパイルしたマイク・サムズ・シンガーズの音源がコチラ。なんと英国のCM音源集!国内外問わず古いCMサントラが個人的にツボでして、ウォーミーな男女混声コーラスで彩られた何とも夢のあるCM音源(素晴らしいソフトロックばかり!)が数十作品も並んでいる本作はまさに垂涎の逸品です。
CM音源集という特性上、1分に満たない短いトラックが中心で、そのテンポ感も大好きです。Vespa、Timex、Heinekenなど有名な商品名や企業名が歌われたりアナウンスされたりしているのも楽しいですね。しかも表記されていない隠しトラック(?)もついてて(CD盤だけかも知れないですけど)、そちらも全曲いい感じ。
オルガンバー系やレディメイド系のリスナー、それに何と言ってもソフトロック好きなら気に入ると思いますよ。 (Jan 2007)
Float
Peter Broderick
2008/US
アメリカのピアニスト、ピーター・ブロデリック。彼の1stフル・アルバム『Float』がUKの「タイプ」レーベルからリリースされました。
店頭ではクラシックにカテゴライズされる本作ですが、むしろエレクトロニカ系のファンなどに愛されそうな感触があります。自然音のSEなども効果的に使うスタンスや、何より楽曲自体にポスト・エレクトロニカ的な佇まいを見出すことが出来ます。
僕は本作を購入してからというもの、その切なげで、果てしなく美しいアコースティックな響きにすっかり心を奪われてしまいました。ピアノだけではありません。ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器、チェレスタやアコーディオン、あるいは僅かに登場する歌声まで、どれも例外なく美しいのです。しかも、そのほとんどをピーター自身が担当しているそうで、稀有な才能に心底感服いたしました。
初めて本作を聴いた時には、安直にもドラマや映画のサントラをイメージしてしまいました。きっとそれは僕だけではないと思います。ただ、くれぐれも念を押しておきたいのは、『Float』は刹那的に消費されていくだけの安っぽいドラマのサントラなんかとは一線を画した、自立したアートであるということです。
どこまでも繊細に構築されたアコースティックな調べの中、『Something Has Changed』で不意にエレクトロニックなシンセ音が現れる瞬間は、本当に泣けます。 (Aug 2008)
Lupin The Third Best Collection
OST
1986/JPN
少々大げさかも知れませんが、「ルパン三世」は日本人にダンディズムの概念を定着させたと言って過言でない、不世出のTVアニメーション作品であると思います。そのサウンドトラック集として86年にリリースされて以降、実に四半世紀に渡って流通し続けている定番中の定番であり、傑出した出来栄えを誇る1stシリーズと、世代を超えて広く浸透するに至った2ndシリーズの主たる楽曲を編纂した名コンピレーション、それこそがこの『Lupin The Third Best Collection / ルパン三世 ベスト・コレクション』です。
今日では数え切れないほどの“ルパン物”音源がリリースされています。資料性の高いコア向けのものから、クラブ・ジャズに寄せたもの(後者は、安直で雰囲気任せな駄作が混じっていることが多くてあまり好きになれません。クラブ・ジャズもモダン・ジャズもルパン物もかなり好きであるという自負があるにも関わらずです。ニーズがあるのは理解できるのですが・・・)まで、用途に応じて好きなものをセレクトできるわけです。かく言う僕もたくさんのルパン物を持っていますが、最も入れ込んで聴いたのはやはり本作です。
本作との個人的な出会いの話をいたしますと、あれはアシッド・ジャズの洗礼を受けていた90年代初頭でしたでしょうか、自分が初めてジャズを意識した、言わばルーツとなる音楽は何だろうと考える機会があり、それがルパンのサウンドトラックであることに気が付きました。当時はほとんど選択肢がなかったこともあり、迷わず本作を購入。懐かしむことが一番の目的だったのですが、いざプレイボタンを押してみれば違う感情がすぐに沸いてきました。つまり、ジャイルス・ピーターソンなどの影響で夢中になっていたジャズ・ファンク&フュージョンの要素が色濃い演奏、緻密なアレンジ、アダルトな世界観が、新鮮かつ本当にカッコよく感じられたのです。以来、ずっと愛聴し続けています。思えばこの出会いが後のジャズへの傾倒、それにアレンジやミックスに注意深く耳を傾けるクセに繋がった気がします(本作はミックス・バランスが最高なんです。宅録をやっている方とかは絶対聴いておくことをオススメしますよ)。
ハードボイルドの決定版『ルパン三世 その2』。時代ごとのアレンジそれぞれに味わいがある『ルパン三世のテーマ』。『ラヴ・イズ・エヴリシング』、『ラヴ・スコール』など超・傑作揃いのEDテーマ群にあって、木管、ギター、エレピ、シンセ、ハーモニカ、ベース、ドラムスが織り成す造形美が個人的に最もツボな『ルパン三世愛のテーマ』(余談ですが、昨年あるCM撮影で水木一郎さんとお仕事させて頂いたんですが、真っ先にアタマに浮かんだのは『マジンガーZ』ではなく『愛のテーマ』のヴォーカル・ヴァージョンでした。数ある水木さんの作品でも1、2を争そう名曲でしょう!)。他にも挿入歌や劇場作品のトラックも収められた、まさにベスト・コレクションの名に相応しい1枚です。劇中ではナンパなキャラクターであるルパンが妙に男を張っている歌詞にも胸を打たれます。
最後になりましたが、本作中で最も気に入っているのは『ルパン三世'80』です。ビッグ・バンド・ジャズ風のアレンジが何とも洒脱な逸品で、本作の影響で僕はヴィブラフォンのファンになりました。OPアニメーションも凄く良かったですよね!僕にとってのアンセムのひとつです。 (Dec 2010)
Pigmaliao 70
OST
1970/BRA
1970年にブラジルで放映された連続TVドラマのサウンドトラックです。
優れたレコードとして知られる本作ですが、その実、ドラマ自体を知る人は意外と少ない様です。まぁ、ビデオ化すらされていないので当然と言えば当然の話です。それでもこの1枚が高い人気を誇るということは音楽ありきというところでしょうから、中身の良さは推して知るべしですね。
タイトル・トラックはヴァーリ兄弟の作品で、ウマス・イ・オウトラスという女性グループがラウンジ感たっぷりのスキャットを乗せています。楽曲もアレンジも、このスキャットも文句無く素敵です。マルコス・ヴァーリも自らのアルバムで本作を取り上げており、アレンジ違いのマルコス・ヴァージョンも大好きです。アルバム『Marcos Valle』に収録されていますので、そちらもお聴き逃しなく!
他にもアドウフォの楽曲をクラウデッチ・ソアレスが歌っていたり、ソフトロックあり、ラウンジあり、サンバありの実に楽しい1枚。ブラジルものならでは軽妙洒脱なサントラの決定版です。 (Jan 2006)
Blow Up Presents
Exclusive Blend Volume 1
V.A.
1996/UK
英国「Blow Up」レコーズがヒットさせた人気コンピレーション盤です。
内容はと言うと、「KPM」レーベルの1968年から1970年までの音源をまとめた、モンドな彩りを持ったジャズ・ファンク中心のインスト集です。ディストーション掛かったオルガンがグリュグリュ鳴りまくり、パーカッションやサステインの短いベース、シタールなんかがフィーチャーされた、ダンサブルでムードのあるトラックが並びます。
チェレスタ系のリードがこの時代の映像にハマリ過ぎの『Snowmans Stomp』.。派手で勇ましいホーン・アンサンブルの『The Zodiac』。グルーヴィでカッコイイ『Rocky Mountains Runabout』。ドカドカとしたロック・ドラムのキック音がたまらない『Tap Footer』。そして、哀愁のあるメロディがシメに相応しいシメは『Take To The Sky』と、どこをとっても聴き応えのある作品ばかりです。
リリースされた96年頃は、その勝手の良さもあって本当によく使われていましたよね。いい加減使い倒された感もありますが、今久々に聴いてみてもまだ発見があります。改めて素晴らしいコンピだったと実感します。 (Jan 2006)


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