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Boomania
Betty Boo
1990/UK 【Sire】
この『Boomania』は、当時ファッション誌なんかで取り上げられてたコトで敬遠してしまった、耳の肥えたコアなリスナーにこそ再評価を促したい、質の高いポップ・アルバムです。
スコットランド人とマレーシア人のあいだに生まれたアリスン・クラークソンが、ポップでキッチュなキャラクター、ベティ・ブーとして大ブレイクを果たしたのが本作をリリースした1990年。世界中で一大旋風を巻き起こした彼女が表舞台から姿を消すのは、この年からわずか2、3年のこと。奇しくも、以降は絶望的にチャート音楽からアート色や実験性が失われていくこととなり、今にして思えば、ベティ・ブーのカラフルな活躍は何と痛快であったか・・・。
ウワモノは60's風のキャッチーなフレーズと音色を多用し、ボトムは4つ打ちやバウンシーな打ち込み。そして絶妙なバランスで歌を織り交ぜるベティのラップが乗る構図は、あざといと分かっていながらも好きにならずにはいられないほど完璧な商品に仕上がっていました。良質なポップ・レコードって元来、音楽的才能にもメディア戦略にも長けたブレインが仕掛けてきた歴史があったワケで、フィル・スペクターとかセルジュ・ゲンスブール、ティンバランドみたいな存在こそココにはいませんが、見事にトータル・パッケージが成された本作のようなレコードは、その系譜に並べて語るべき良質な1枚だと思うのです。
とにかく全曲シングルOKなほど粒ぞろい!個人的には、人気作品『Hey DJ』や『Doin' the Do』よりも、切ない歌モノの『Valentine's Day』や『Don't Know What To Do』とか、あまりにパーフェクトな完成度を誇る『Where Are You Baby?』が好きです。他にも、ハウシーなアプローチのトラックは全部好きです。 (Apr 2007)
Burt Bacharach Plays His Hits
Burt Bacharach
1965/US 【KAPP】
ポップス/イージー・リスニング作曲家の至宝、バート・バカラック。65年に「KAPP」レーベルからリリースされた1stアルバムで、バカラック初期の名作たちがズラリと並んでいます。内容がカブっている編集盤が数種類存在していますが、本作は1997年時点で把握し得た全てのトラックをまとめ、さらに未発表作まで発掘して収録しているという、ありがたい1枚に仕上がっています。
言うまでもありませんが、とにかく曲が良過ぎです。曲が良いから大掛かりなアレンジの作品でも全然飽きないんですよね。しかもそのアレンジがまた素晴らしい。文句のつけ様がないです。
映画『何かいいことないかな子猫ちゃん?』のテーマである『What's New Pussycat?』。その挿入歌で、トニー・ミドルトンの歌がいい味を出してる『My Little Red Book』。アンニュイなイントロ『Anyone Who Had A Heart』。ロジャー・ニコルスのヴァージョンも有名な『Don't Go Breaking My Heart』などなど、宝石の様なポップスが目白押し。
ジャケも良いですよね。正直、バカラック本人の写真ヴァージョンよりだいぶ好きです。 (Jan 2006)
Chocolat a la mode
Chocolat
1997/JPN 【Neosite】
5曲入りの1stミニ・アルバム(マキシケースですが)で、代表曲『ブルーでハッピーがいい』を収録しています。Great3の片寄氏との結婚前、まだまだ初々しいミュージシャン1年生時代のショコラの魅力がぎっしり詰まった好盤です。
サポート陣はカジヒデキ、ニール・アンド・イライザの他に、ユカリフレッシュ、ノーザン・ブライトの原秀樹、pate大橋伸行、Yoshie、金原千恵子グループといった充実ぶり。そしてミックスでは高山徹が名を連ねており、当時、高山氏の録音やコンプ使いに憧れていた僕にとっては、「クレジット買い」の意味もありました。
そんな面々が作り上げたバッキングやミックス、それに楽曲も抜群に良いのですが、何より拙いショコラの唄はもっと良いです。ソウル好きを公言し、アーティストとしての自らに自覚的になった近年のショコラももちろん好きですが、ニル・イラらにフィーチャーされていた“元モデルのショコラ”の方がより魅力的に思えてなりません。こんな無責任な思い込みは、大人になった今のショコラには余分な枷でしかないのですが、“唄わされていた”ジェーン・バーキンやヴァネッサ・パラディに匹敵する、素材としての輝きがあるからこそ、ついつい高望みしてしまうのです。まぁ、あれだけの才人と出会って結婚したのですから、アーティストとしての歩みを選んだのも当然かもですけどね(片寄氏がマルコス・ヴァーリ『Previsao Do Tempo』復刻に深く携わったと聞いて、正直ひっくり返りました。スゴイ人ですね!)。
この年、最も瑞々しい光を放っていたレコードは、文句なく『Chocolat a la mode』であったと断言したいです。毎年の様に、初夏になると一度くらい棚から引っ張りだしてしまう1枚なのです。 (Jan 2006)
Jumpers Survive
Cinnamon Toast Crunch
1998/JPN 【Smile】
「Smile RECORDS」よりリリースされた、シナモン・トースト・クランチの1stアルバムです。
シナモン・トースト・クランチはヴォーカル・saiとコンポーザー・イマダケンジによる男女ユニットで、僅か数年の活動をもって2000年に解散。グループの形態や名前といい、カフェ受けしそうな風通しのよいアコーステック・サウンドといい、「あまりに前時代的!」なんて声もあるでしょうが、そう仰らずに聴いてみて下さい。アコーディオンを中心に据えた完成度の高いインディ・ポップは、きっと瑞々しく響くはずですよ。
今聴いてもあまり嫌味を感じないのは、たぶんsaiの声質によるところが大きいと思います。「ナチュラルさを作りすぎる」という本末転倒なヴォーカルが多い中で、彼女の歌は落ち着いているのが良いのでしょうかね(部分的に演出過多な歌いまわしもあるにはあるのですが、まぁセーフでしょう)。アコーディオン、木管、弦なども最小限の編成ながら、ポップス的においしい帯域がちゃんと録音されていますし、楽曲もかなり質が高くて、隠れた(?)名盤なのではないでしょうか。
そして、当サイト的に見逃せないのが、オマケで同梱された8cm盤。ここではなんとスミスの『This Charming Man』がカヴァーされています。ギターのフレーズを、ほぼ“まんま”アコーディオンが奏でるという意外性(アコギもいるのに、です)が面白いです。スミス・ファンには相容れないノリかもしれませんが、モリッシーとはかけ離れたsaiの朴訥なヴォーカルも含めて、僕は結構好きです。 (Dec 2007)
Sine
Cymbals
2002/JPN 【Victor】
惜しまれつつ解散してしまいましたが、知的な佇まいと、趣味のいい引用先からの音楽的エッセンス抽出に定評があったシンバルズ。
或いはスノビッシュとも捉えられがちな、饒舌で理屈じみた、コンセプト先行という在り方。“遅れてきた渋谷系”という十字架を背負った宿命。その全部が、口さがない批評家たちには格好の標的であったワケです。確かに、その実「アツイもの」を好む嗜好性を、必要以上にクールにコーティングしてきてしまったツケは大きかった部分もあって、そこを意地悪にクローズ・アップして批判することは簡単です。でも、シンバルズが誠実であったことは、スタイルとしてイージーにハンドリング出来たハズの「90's的ギター・ポップ」を、思い切って乗り捨てたことからわかります。『Sine』をもって90年代を清算し、きちんと2000年代に向き合った点で、僕はシンバルズを信頼したいのです。
彼らの3rdアルバム『Sine』は、その名の通り、サイン波(正弦波)をテーマにして作られた作品です。シンセ好きの方にはお分かり頂けると思いますが、サイン波はごく基本的な波形のひとつで、例えばTVのカラーバー映像に乗っかった「ピー(僕のイメージでは「ポー」ですけど)」という基準音なんかが有名でしょうか。僕もシンセ、特にサイン波が大好きで、サイン波を加工した音は色々な用途で使ったりしてました。でもシンバルズの手にかかれば、そんな生易しいレベルは楽々超越。実に表現豊かに使い倒していることがわかります。さすが!どこか落ち着きがあって、ソリッドかつクールという本作の印象は、間違いなくサイン波の性格によるところです。土岐麻子のヴォーカルも、無機質な空間とうまく調和していますね。
分かりやすさで言えば、やはり傑作『Mr.Noone Special』に分があると思いますが、今聴くなら断然『Sine』を推したいと思います。「ナチュラルでベーシックなバンド・サウンドや音色を用いた方が、時代に左右されず長く聴ける」という定説も、必ずしもその限りではないと言えそうです。何故なら、とっくに賞味期限切れを起こしても不思議でない『Sine』が、『Mr.Noone Special』と比べてもずっとナチュラルに、今もって耳に響くからです。
良質シングル『Higher than the Sun』、『Wingspan』も収録しています。(Jun 2007)
El Perro Del Mar
El Perro Del Mar
2006/SWE 【Memphis Industries】
スウェーデンの女性シンガー・ソングライターによるソロ・ユニット、エル・ペロ・デル・マー。その1stが装いも新たに、「メンフィス・インダストリーズ」からUKデビューを果たしました。
か細いロリータ・ヴォイスはいかにも北欧らしい透明感があり、激キュート。ちょっとセイント・エティエンヌのサラ似でしょうか(彼女の本名も偶然、サラですし?)。古き良きガール・ポップ、インディ・ギター・ポップ、ソフト・ロックを今日的にまとめたドリーミーなサウンドとも相まって、これ以上なく可愛い作品に仕上がっています。それでいて、アンニュイでアート性も高い。しかも楽曲が総じて良過ぎですし、(多分)本人によるコーラス・ワークも最高です。コンパクトなサイズの10曲入り、というスタイルもポップ・レコードとして理想的だと思います。最近のレコードって長過ぎですよね。その点、本作は実に丁度いいボリューム感なのです。
1曲の駄作もありませんが、特に好きなのは『People』です。購入以来、毎日の様にプレイ・ボタンを押させてしまう、そんな1枚です。 (Jun 2006)
Luxury
Fantastic Plastic Machine
1998/JPN 【Colombia】
田中知之氏のソロ・ユニット、ファンタスティック・プラスティック・マシーン(FPM)の2ndアルバム。日本国内だけでなく、世界中で評価を得た大傑作です。
当時の僕にとって最も重要であった「ハウス」「ラウンジ」の2大キーワードを同時に満たす、とても大切な1枚でした。元々は何気なく買っただけだったのですが、プレイするや否や、一貫して“モダンであること”にこだわった美的センスと完成度の高さにノックアウトされました。・・・ただ、日本のクリエータのお家芸と言いましょうか、完成度だけなら高いレコードはたくさんあるんです。ですがFPMが他と違うのは、その上とても音楽的で、手法にとらわれ過ぎて頭でっかちになったりしないこと。比較対象として不適切かも知れませんが、例えば電気グルーヴが手法優先で、音楽レベルで言うと時折物足りなさが残る感じ(そこも魅力なのかも知れませんが・・・)とは対照的に、稚拙な歪(いびつ)さがない分ストレスなしに楽しめるのです。『米国音楽』誌でしたか、「つなぎ目のないロボットを作ってる様なもの」と、本人の口から語られていたのを思い出します。言いえて妙、フレーズとしてとても気に入ったものでした。つまり、サンプリング・ミュージックとしては異例なほどスムースに完成されているのがFPMなのです。
『Honolulu,Calcutta』、『Lotto』、『I've Forgotten My Fagotto』、『mpf』など、全編に渡ってポップかつキュート過ぎるFPMワールドを堪能できます。ですが、No.1はユカリンが唄う超名曲『Electric Lady Land』にとどめを刺すでしょう。完璧すぎてぐぅの音も出ません。スペース・エイジっぽいものからラウンジ、4つ打ちまで、いちいち巧いですよね。やはりセンスが伴った“知識”の強みを実感します。 (Jan 2006)
blue
hal
2001/JPN 【Victor】
現時点で、メジャーからは最後の1枚となったhal(本当はaの上に点がつきますが、文字化けを避けてhalと表記します)の4作目です。
彼女の作品はどれもジャケが好きで、購買意欲をそそられるものばかり。本作も例に漏れずとても好きです。内容もかなり充実していて、名作『all kinds of crayon』や『ラブレター』を凌駕していると思います。素晴らしいシングルの『カフェ☆レーサー』と『オートバイ』を収録し、向井秀徳のペンによる作品でZAZEN BOYSが参加している事なども話題となりました。
それにしても、halのソング・ライティングのスキルがここまで向上しているのには驚かされました。顕著なのは、大人なメロディが印象的な『人魚』ですね。楽曲自体がすごく良いです。
さらに相変わらずスタッフも豪華です。プロデュース/作家陣では向井氏の他に朝本浩文、渡辺善太郎、渡辺慎、丸木戸定男。エンジニアでは高山徹、ミュージシャンではあらきゆうこ、ASA-CHANNG、清水弘貴などなど、クレジットを眺めていても楽しいです。かねてから絶妙のエレピでhalを支えてきた高野勲のプレイも『オートバイ』などで味わえます。この作品はドラムも面白いですね。ハイハットが左に定位されているところも、ドラム心が感じられて好きです。
halは現在、バンドを結成してインディーズで活動しているそうです。以前の彼女の堅苦しい唄い方が個人的に苦手でしたが、力を抜いた声の使い方が自然になってきた矢先でしたし、ぜひまたソロでも良い作品を作って欲しいところです。 (Jan 2006)
【EP】The Best
Heaco
1998/JPN 【Neosite】
ショコラの双子の妹でもある、ヒーコの傑作デビュー・シングルです。
プロデュースを手掛けたのは元ヘアカット100のニック・ヘイワード。4トラック全ての作曲もニックが担当しており、ポップスのクリエーターとして円熟の腕前を揮っています。
実際、楽曲の出来はかなり良いと思います。コーラス・ワークの肉付けも、独特の重厚な重ね方でテンションなども気持ちよく、特に『SayGoodbye』での大サビは素晴らしい出来栄えです。またタイトル・トラックの『The Best』では、一番の盛り上がりで、何と低いハモリだけを足したりしています。最初は違和感もあるんですが、次第にその効果がじわじわクセになってくるのです。きっと日本人ではなかなか選ばない手法だと思います(でもコーラス・アレンジは日本の方みたいですね、素晴らしいセンス!)。惜しむらくはドラムスが打ち込みなことなのですが、生のシミュレーションっぽいリズムをやっているだけに苦しい感じです。一瞬、「一周回って狙ってやってるのかな?」なんて考えたりもしましたが、98年という時代を考慮してもその選択肢はあり得ないでしょうから、まぁ予算の問題と見るのが妥当でしょうか。
当時ライブ映像なんかを見て、ヒーコの方がショコラよりずっとピッチがいいなと感じていたんですが、今聴くとデビュー作では意外とズレていますね。でもそこが良いところなんです。ガーリィなトラックで熱唱しちゃう様なヴォーカルがいますが、あれってすごく冷めるわけです。 (Mar 2006)
Cheerful Monsters
Instant Cytron
1997/JPN 【EMI】
長瀬五郎と片岡知子からなるインスタント・シトロン、97年の名作ミニ・アルバムです。
2人揃ってレコード・コレクターで、モンド、ラウンジ、OST、フレンチ、ビーチ・ボーイズなどなど気になるキーワード満載、キュートでポップなサウンドを得意とするインスタント・シトロンに、思わず夢中になるのは仕方のないことでしょう。
FPM田中氏をスーパー・バイザーに迎えて製作されたこの15分間そこそこの『Cheerful Monsters』は、それはもう素敵過ぎる1枚に仕上がっています。古いディズニー映画さながらのインター・ルードで繋がった珠玉のポップス集。外国の子供コーラスを活かしたアイディアも見事です。雰囲気だけの空っぽな“ラウンジかぶれ”ばっかりが目立つシーンにあって、インスタント・シトロンの音楽的レベルの高さはまさに別格。実際、お気に入りの国内盤CDの解説者に片岡さんの名前を見つけたりして、「さすがだわー」と唸ることもしばしばです。知識も豊富でセンスも抜群、しかも素晴らしいメロディ・メーカーなんですから、思わず尊敬してしまうわけです。
当時のキーボード・マガジンか何かで「弦楽器のスコアに自ら挑戦した」というコメントを見つけて購入したのですが、僕にとって本当に幸運な出会いでした。現行品はレアなシングル音源が加えられているみたいですね。機会があれば買い換えてみようかと思います。 (Mar 2006)
D-D-Don't Stop the Beat
Junior Senior
2002/DEN 【Atlantic】
小さいジュニアと大きいシニアからなる、デンマークの男2人ポップユニットの1st。ヨーロッパ各地で旋風を巻き起こし、まさか?の大ブレイクと相成りました。
60's、80's、90'sの良いトコ取り、キャッチーで激ポップなパーティ・チューンがこれでもかと並んでいて、スマートではないんですけど、とにかく楽しくなれること請け合いです。「ブームが1周回ったからこの音使ってます」といった体裁も照れも一切ナシの力技で一気に押し通されてしまうんですが、それが快感でもあります。聞いた話ですと、サンプリングはほとんど使わず生演奏+打ち込みが中心だとか。そこら辺りも、逆に体裁関係なし!って感じですよね。やりたい事をやっている人達の強さを感じます。
特に影響を強く感じるのは、80年代ダンス・ビートとサーフ、ビッグ・ビート辺りでしょうか。しかも、当人たちがよく歌ってます。ちょっと他に例が思いつかないパターンですよね。想定外の登場、本物の異端児だと思います。
全曲ノリノリな好トラックばかりで甲乙付けがたいんですが、特に好きなのは『Go Junior, Go Senior』、『Good Girl, Bad Boy』、『White Trash』辺りです。ブレイクをもたらした出世作『Move Your Feet』も勿論大好きです。唐突にとんでもなくソウルフルに歌いあげるヴォーカル(どうやらプロデューサーらしいんですが)が堪らないんですよね。傑作です。 (Jan 2006)
Alright, Still...
Lily Allen
2006/UK 【EMI】
21歳のブロガーが、デビュー・アルバムで全英2位にいきなりチャート・イン。俳優とスリッツ(!)の元メンバーの間に生まれたリリー・アレンの辛辣な物言いと“時の人”としての輝きは、遠い日本にいても、「新しいことが始まった!」という胸躍る期待感と共に伝わってきました。
ルックスや言動、リリックに関しても話題の尽きない彼女ですが、やはり最も語るべき本質は、ポップ・ミュージックとして抜群に冴えたデビューアルバムを作ってしまったことにあると思います。とにかくカラフルで楽しくて、キャッチーなトラックの宝庫。それは各プロデューサー陣の腕前によるところも大きいでしょうが、リリーのポップ・センスも相当なもので、例えば1つのサンプルやモチーフを選ぶセレクト力とかは、エッジィなものを見極めてると言うよりは、やはり女の子特有のファッション的嗅覚というか、直感によって成されていると思いました。「好きなもの」を並べたらカワイくなりました的な感覚というか…。そこがすごく新鮮。実際、リリーは楽器も出来ないし、たぶん音楽教育も受けていない、それでもリリックをトラック上で躍らせるリズム感は素晴らしいし、メロディだってかなりいい感じですよね。そうです、彼女の音楽的才能は、生まれ育った環境や、イビサなんかで過ごしたティーン時代のストリート仕込みによる、多分に感覚的なものなんです。ベースとなっているスカやロック・ステディ、ヒップホップはリアルに彼女の素養として体の中に在ったもの、だから本物として響くし、キュートだけど説得力があるのかも知れませんね。
『Smile』『LDN』の両シングル作品は言うに及ばず、ラウンジィな『Everything's Just Wonderful』なんかも大好きです。『Take What You Take』は何とキース(同じく昨年のニュー・アクト。1stアルバムは力作でした!)の連中がバッキングを担当しているらしいし、ネタの引用元もジャッキー・ミットゥ、トミー・マクック、ニューオーリンズと多岐に渡る上にセンス良すぎ。そして最後になりましたが、歌声も最高なのでした。 (Jan 2007)
It's a man's man's field
Mansfield
2000/JPN 【Readymade】
マンスフィールド名義での2ndミニ・アルバム(と言っても8トラックも入ってますけどね)で、絶妙のサンプリング・テクニックと人選で組み立てられた、ラウンジィでハッピーなダンス・トラックがズラリ並んでいます。
当時えらく流行った和モノブーム火付け役のひとりである池田氏だけに、その最高峰をここに聴かせてくれています。たしかにこの方法論は旬でこそなくなってしまったかも知れませんが、今聴いても充分楽しめるサウンドはさすが!という感じです。
マンスフィールド+ユカリフレッシュは当然いいに決まってるんですが、『ヴァケイション』で知られるジャズ/ポップス歌手、弘田三枝子や、11PMやネスカフェCFでお馴染みの“スキャットの女王”伊集加代子をフィーチャーした作品も素晴らしい出来栄え。レディメイド絡みでは欠かせないアイコン、野本かりあも『Shuffle bang bang』に参加。この様に本作は、ヴォーカルモノが充実しているのです。カヴァーも含めて、楽曲もいいと思います。 (Nov 2006)
二十歳の恋
Mayumi Kojima(小島麻由美)
1996/JPN 【Pony Canyon】
小島麻由美「セシル・シリーズ」三部作の2枚目です。
初めて聴いた時の衝撃は、もう言葉に出来ないくらいのものでした。センスの塊!天才も過言じゃない!昭和歌謡ジャズ風の作品をポップに聴かせるだけでなく、ビッグ・バンド・サウンドを率いてそのアレンジ/プロデュースまでしてしまう彼女は、本当に只者じゃないです。しかも完成形には例外なくガーリィなテイストと、その影に潜ませた狂気とが混在しているんですよね。製作当時は20代前半、名曲『真夏の海』の作曲当時は18歳だそうです。・・・あり得ます?
全曲パーフェクトの出来栄えですが、中でも『パレード』は本っ当にヤバイです。子供目線からのサーカスの怖さをこんな風に具現化してしまう人がいるなんて・・・。松本治氏のアレンジも見事としか言いようがないですし、詞の最後の一文は『サーカスがやって来た。悪い子をさらいに。』です。この感覚による同系統のモチーフとしては『移動式遊園地』がありますが、コチラも正気の沙汰を失ったスキャットで展開してますし、ピアノ連弾が狂っていくインスト『二十歳の恋』も子供っぽさに包まれた危なさが心にずっと引っ掛かります。
フロア・タムやチェレスタ、チェンバロ、大編成の管楽器らを上手く用いてレトロな匂いを出しているバッキングを聴くだけでも勉強になりますし、唯一無二としか言いようのない彼女の歌世界は、少なくとも70年代生まれの僕らに共通する琴線を、間違いなく直撃するものです。 (May 2006)
Reveries
Pacific!
2008/SWE 【Virgin】
非常に出来のいい7インチ盤が一部で話題になっていたスウェーデンのエレ・ポップ・デュオ、パシフィック!。彼らの1stアルバムが「ヴァージン」からリリースされました。
シンセによる打ち込みのリズム、リード、シーケンスが軸を作り、そこに極上の旋律をなぞるヴォーカルが乗っかるのがパシフィック!の基本的なスタイル。さらに、ビーチ・ボーイズばりのコーラス&カウンター・ラインや、アノラック・サウンドを思わせるギターのアルペジオが絡んできたりして、懐かしさと新鮮さが気持ちよく交差するサウンドスケープを堪能できます。しかもその装いは北欧らしく、あくまでクール。これはもうエレ・ポップ、スウェディッシュ・ポップ、ネオ・アコースティック、インディ・ギター、ニュー・ウェーヴ、ソフト・ロック、フォークトロニカ(って今はあんまり言わないですけれど)などなど、多岐に渡る音楽ファンを満足させ得る大傑作でしょう!
ニュー・オーダー・ミーツ・タヒチ80といった趣のダンス・ポップも最高なんですが、ノスタルジックさが胸を締めつける『Sunrise』から、いかにもアルバムの終焉を思わせる切ない開放感が泣ける『Silent Running』に繋がるオーラスの流れがあまりに素晴らしいです。
甘いヴォーカルも清涼感と哀愁があって日本人ウケが良さそうですし、2ndあたりで国内盤も出たりして、日本でもブレイクしそうな予感がします。まだ聴いていない方はぜひチェックしてみて下さい。 (Dec 2009)
Paper Dolls House
The Paper Dolls
1968/UK 【Pye】
そんなに詳しいわけではありませんが、60'sガール・ポップは大好きです。特にブレインやアレンジャーがプロフェッショナルで、演者がやや拙いくらいが好きなさじ加減でして、そんなバランスが丁度いいペイパー・ドールズの音源に運良く出会えたのは嬉しい出来事でした。
彼女たちは「パイ」レーベルにて僅か1年あまりの活動ののち、そっと姿を消していってしまった3人組ヴォーカル・グループ。プロデュースと大半の楽曲を手掛けたのはトニー・マッコウレイで、アレンジはジョン・マックロード(3曲のみニッキー・ウェルシュ)が担当しています。彼らの手腕によって、ペイパー・ドールズ唯一のアルバムである本作は煌びやかに輝きを放っています。楽曲とアレンジの質がかなり高くて、超キャッチーなのがいいですね。
結構ガチガチにコンセプチュアルな売り出し方をされたであろうことは、奇抜かつ魅力的なジャケ写を見れば想像できるところですが、タイガー、コッパー、スパイダーの3人は見事なハマリ役となって、ブレインたちの目論見を具現化してみせているのが立派です。特に注目したいのが、そのキュートな歌声。歌い込み過ぎず、ヘタ過ぎず、まさに絶妙なヴォーカルにすっかりやられてしまいました。ビーチ・ボーイズの素晴らしいカヴァー『Darlin'』での歌声なんてヤバ過ぎでしょう!ベスト・トラックを選ぶなら、『Captain Of Your Ship』を推したいと思います。他にも『Any Old Time You're Lonely And Sad』、『Boy』、お馴染みの『Do You Know The Way To San Jose』や前出の『Darlin'』なんかもいい感じです。あれ?たまたまマッコウレイのペン以外の作品も多くなってしまいましたが、でも彼のライティング&プロデュース能力は疑う余地がないところだと思います。
オルガンやストリングスの音色、コーラス・ワークの良さもあって、ソフト・ロック系のファンにもフィットすること間違いなし。数年前に、世界初CDリイシューが成されて本当によかったと思います。 (Mar 2008)
Katso maisemaa
Regina
2005/FIN 【Next Big Thing】
北欧はフィンランドのニュー・アクト、レジーナ(レギナ)の1stアルバムは、本国でかなり高い評価を受けているとのことで、日本でも国内盤がリリースされています。
ノルウェーやフィンランドでは近年、質のよいエレ・ポップがたくさんリリースされていて、レコード屋さんでその辺りを探してまわるだけでも実に楽しい作業(インテリアや雑貨も久々に北欧チックなものが主流になりつつあって嬉しい流れです)。本作はジャケにも惹かれ(シカ系の動物がホントに好きなのです。そういえば、季節のせいかも知れませんがヘラジカ系もブームみたいですね。最高に嬉しいです!)、購入したアイテム。80'sな音色と、90'sっぽいメロディ・センスを掛け合わせたようなエレ・ポップ・サウンドが魅力です。エレ・ドラを含むハデなシンセ使いも、清涼感があるので下品にならない感じですね。女性ヴォーカル、イーサ・パユラのちょっと無機質で透明感溢れる歌声のせいかも知れませんし、北欧の空気のせいかも知れません。
全編フィンランド語です。その語感を楽しむのもいいかも知れませんね。人気の1stシングルの他に『Tokio』なんて作品も収録されていますので、日本人としてはますます気になってしまうところでしょう。 (Dec 2007)
So Tough
Saint Etienne
1993/UK 【Warner Bros.】
ボブ・スタンレイとピート・ウィグス、サラ・クラックネルから成るセイント・エティエンヌ、その傑作2ndアルバムです。
同じく傑作だった1stアルバム『Foxbase Alpha』が出た91年から、この『So Tough』がリリースされた93年くらいまでのUKシーンは、良質のポップスとクラブ・ミュージックが奇跡的に美しく噛み合っていた時代だったと言えるのではないでしょうか。その好例として1番に挙げたいのが初期セイント・エティエンヌでして、とりわけ本作におけるハウスの消化の上手さ、ダンス・ポップとしての高い完成度は見るべきものがあります。ただ、こうした融合が上手く機能した作品ほど、“音色の流行り廃り”の煽りを受けて、皮肉なことに賞味期限が短くなる運命を持つものです。つまり新たな再評価を受けるまでにサイクルが一周するのを待たなくてはならなかったりするワケですが、本作はそのアンニュイでメランコリックなメロディやハーモニーが時代を超越して心に響くので、今に至るまで永続的に、すんなり聴けてしまう魅力を持っているのです。60'sガール・ポップを彷彿とさせる普遍的なラインを、ハウシーなリズムの上で自然に展開させるあたり、ボブらの音楽オタクぶりが功を奏したのかも知れませんね。さすが、元メロディ・メイカーのライターさん!
サラの透明感溢れるロリータ・ヴォイスと、英国的な深いリヴァーブ処理によるまどろみの空間が、ますますセイント・エティエンヌの音楽をドリーミーで非現実的に演出していきます。一見、日曜日の昼下がりが似合う様な耳ざわりの良い楽曲の裏で、ちょっとした悪意とか遊び心が隠されているのも、いかにも彼ららしい知的な仕掛けですね。洒脱な佇まいやポップなメロディといった甘いコーティングだけを味わっていると見過ごしてしまう、こうした遊び心があるからこそ、ツウな連中をも楽しく躍らせたのだと思います。冷静な俯瞰の目線を保ちつつ、外見は美しくコーティングしておく姿勢は、いかにも90年代のシーンを象徴している感じです。
インナー・スリーヴには「ボブがプロフィット5やジュピターを、ピートがモーグやイーミューのサンプラーを担当」みたいな記述があるんですが、僕はこういうのに弱いんです。しかも、こんな記述にまで彼ららしい遊びが・・・。ぜひご覧になって下さいね。 (Oct 2007)
Songs
Sugar Babe
1975/JPN 【Niagara】
シュガー・ベイブ唯一のアルバムにして、日本のポップス・シーンの最高峰とも位置付けられているのが、この『Songs』です。あまりにも有名なこの1枚ですが、90年代に入って再評価の波が大きくなるまでは幻のアルバム扱いだったのですから不思議な気がしてしまいます。勿論、現在ではなくてはならないマスト・アイテムとして定着しています。
山下達郎氏も大貫妙子さんも、シュガー・ベイブの音楽を「稚拙だった」とも振り返っていますが、僕らの様な一ファンからすれば、あれだけのメンバーの青春時代が瑞々しく録音されている盤だからこそ、愛おしさも含めて憧れてしまうわけですよね。それに、これを稚拙だなんて言われてしまったら、数々のシュガー・ベイブ・フォロワー達なんて、それこそ手も足も出ないのではないでしょうか。
さて、伝説云々は置いておいて単にポップスとして聴いた場合でも、やはり『Songs』は素晴らしいアルバムです。突き抜けた爽やかポップス『Show』、『Down Town』、『すてきなメロディー』や、山下氏とは違う個性と魅力を発揮する大貫さんの『蜃気楼の街』、『風の世界(最後のコーラスが聴き物!)』といった作品、それに最後に開かれるパーティーとも言える『Sugar』などなど、珠玉のトラックばかり!若さ故か、現在の彼らの様なパーフェクトなスムース・サウンドでこそありませんが、だからこそ僕たちに、永遠とも思える鮮やかな輝きを、切ない心の葛藤を、音楽への誠実な愛情を、リアルに伝えてくれるのです。 (Jan 2006)
For You
Tatsuro Yamashita(山下達郎)
1982/JPN 【Air】
山下達郎が1982年にリリースした大ヒット・アルバム。2002年に待望のリマスター音源で再発され、音フェチの間では大いに話題となりました。何故なら、今回のリマスタリングを手掛けたのは誰あろう山下氏本人と、氏が絶対の信頼を寄せるエンジニア・原田光晴さん。レコーディングに興味がある人ならばご存知だと思いますが、山下達郎は1アーティストの域に止まらないほど録音への造詣が深く、並大抵のリマスタリングで満足する男ではないのです。それだけに、今回施されたリマスタリング(『For You』に限らず、RCA/AIR時代にリリースされた一連の初期音源が対象となりました)には注目が集まったワケですが、大方の予想通り、超一流の業によって高品位な録音と演奏が生々しく蘇る結果となりました。
この様に、山下達郎はオーディオ・ファンにも崇拝される一方で、陳腐なチャート音楽とは一線を画したハイブロウなポップスを長年に渡って生み出してきた実績から、それこそオルタナティヴでアンダーグラウンドな音楽を愛するコアなリスナーまでも含めた老若男女に愛されている、稀有な存在と言えるでしょう。実際、この『For You』から流れ出すメロディはどれも普遍的な輝きに満ち、おそらく今のT層が聴いても、リリース当時の若い人たちと同じ気持ちで受け入れることが出来るのではないかと思います(ちなみに僕もリリース当時は小学校の低学年でしたから、リアルタイムではなく後追いです)。
本作からは、燦燦と降り注ぐ夏の陽射しをイメージすることが出来ます。個人的には、先日出掛けた常夏のリゾート地で『For You』を堪能した時のハマリ具合が忘れられません。こうした“夏”のイメージに一役買っている鮮やかなジャケのイラストも、いかにも80'sな感じが今の時代にピッタリきますよね。ちなみに実際にリリースされたのは82年1月ということで、冬だったそうですが・・・。
最も注目したいトラックは1曲目の『Sparkle』ですね。自身によるギター・カッティングは眩暈がするほどカッコイイ!本人のライナーによれば、当時手に入れたテレキャスターが大当たりで、このテレキャスありきで楽曲制作を行ったそうです。「テレキャスター」で「クリーン・トーン」の「カッティング」というのは、個人的に最強の取り合わせだと考えているので、もうこのイントロ(ヒラ歌部分のフレーズも最高なんですが)だけでヤラレてしまいます。
『Sparkle』だけではありません。同じくリゾート色の強い、眩しいキラー・チューン『Loveland, Island』と、今回のリイシューで嬉しいボーナス・トラックとなった『あまく危険な香り』の両シングル作品は実に華がありますし、吉田美奈子さんや本人による多重録音コーラスが圧巻の『Music Book』や『Futari』も聴きごたえ十分。『Morning Glory』も掛け値なしにいい曲ですよね。本当にどの作品も素晴らしい出来栄えだと思います。
唯一、スネアの音色だけが好みではありませんが、夏の決定盤といえばコレだと思います。 (Aug 2009)
New Year's Fresh
Yukari Fresh
1999/JPN 【Escalator】
ユカリ・フレッシュ名義での2ndアルバムで、個人的に「オールタイム・ベスト10」に必ず入れたい1枚です。リリース当時は、本当にどれだけ聴いたか分からないくらい、コレばっかりでした。
ユーゴ・スターがアカイのサンプラー・S950使いだと知って、S3000から乗り換えようとしたくらい影響を受けたものですから、サウンドもかなり研究しました。でも、そんな風に頭で考えても仕方ないな、とも思わせるチープさが何よりの魅力ですね。エポック・メイキングな作品なのに、とにかくカワイイです。
このアルバムに繋がるEP、『cook some dishes』も含めてですが、全曲マスト!です。それでも敢えてオススメを挙げるとすれば、『Paris Symphony』や『Paul Scholes』(彼女は有名なフットボール・フリーク)でしょうか。音色やサンプルのセンスが特にいいと思えるからです。
近年は色々な方向性を試みてきた彼女たちでしたが、『Yukari Rotten』名義での1枚目は、キュートなエレクトロ爆発で、当時のファンにも最も受け入れやすそうです。要チェックですよ。
あと余談ですが、ある雑貨店でこの1枚が流れていて、すっかり店の常連となった思い出があります。最近はさすがに使われなくなりましたけど、当時はMAスタジオの必須アイテムでもありましたよね。 (Jan 2006)
Not Dead
Yukari Rotten
2004/JPN 【Escalator】
2004年、ユカリ・フレッシュが別名義でシングル&アルバムリリースを展開、その名もユカリ・ロットン!
以前『New Year's Fresh』の項でも書きましたが、この『Not Dead』は、近年の彼女の作品中では最も質が高いと感じております。要は、当時爆発的に流行したエレクトロクラッシュやディスコ・パンクをユカリン&ユーゴ・スター流に料理するというユニットだったと思われますが、元々エレクトロチックなアプローチは抜群にセンスがよかったわけですし、明確なコンセプトがあった(と思われる)おかげで、適度なテンポ感と“やりきった”感が生まれている気がします。縛りがいい方向に出たのではないでしょうか。ユカリンの声も、ギター・ポップ時代より打ち込みになってからの方がハマリがいいですよね。ですからこのテのサウンドとは相性がいいんだと思います。そういえば、「エスカレータ」の仲氏もかなりエレクトロ系に傾倒してましたっけ。レーベルとの足並みが揃った相乗効果も音に出ているのかもなんて、考え過ぎでしょうか。
と、ここまでいろいろユカリ・ロットンでのコンセプトについて書きましたが、でも実際はこれまでのユカリ・フレッシュ作品とそれほどイメージが違うワケでもないんです。先行シングル『C.L.I.J.S.T.E.R.S.』や、いかにもな『Fuck Metal Slime』にしたって、おそらく別のアルバムに収録されていても違和感はないですし、つまりは、いい意味で想定の範疇にある音であり、あくまでユカリ・フレッシュ・ファンならば誰でも安心して楽しめる作品だということが出来るでしょう。『Going To Heaven To See The Househunters & Fat Truckers If It Rains』とか『Break』とか、『Seditionaries』とか、良質なトラックも多いですし、かつてのファンの方なら絶対注目の1枚です。
ちなみに以降の作品はユカリ・フレッシュの名前でリリースされていますから、一時的な活動だけロットン名義で行ったのかも知れませんね。 (Jul 2007)
Irma Cocktail Lounge Vol. 2
V.A.
1999/ITA 【Irma】
HCFDMというジャンルになくてはならない、イタリアは「イルマ」レーベルのコンピレーションです。「イルマ」との相性で言えば、恐らくこの人以上の適任者はいないであろうFPMの田中知之氏がコンパイルしているのですから、もう完璧です。
この時代は、とにかくモンドでキッチュでラウンジィでポップな作品が最もウケていた頃ですから、この1枚が果たした役割は、それはそれは大きいものでした。クラブやカフェなんかは言うに及ばず、とにかくテレビ番組では死ぬほど使われていましたよね(かく言う僕も、さんざん色んな場面で使わせて頂きました)。それほどドストライクな内容だったワケです。
ちなみにこの『Vol.2』は、現行のDJやミュージシャンによるハウスやポップを集めたものですのです(『Vol.1』は60〜70年代ラウンジもの)。超名作コンピとして、語り継がれるべき作品と言えましょう。 (Jan 2006)


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