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Reggae / Dub / Ska Review 01
since 2006/01/15

Original Rockers
Augustus Pablo
1975/JAM
オーガスタス・パブロが72年から75年にかけて発表したシングルなどをコンパイルした作品。編集盤ではありますが、今ではパブロの代表的なオリジナル・アルバムとして扱われ、多くのファンに愛されています。
各楽器がガッシリと噛み合ったトラックの上を漂うメロディカが、何とも叙情的。そして絶妙のディレイ効果を始め、ダブとしてのカッコよさに溢れた1枚です。止めたり揺らしたり散らしたり・・・。それでいてギミックではない"必然性"をどこか感じさせるダブなのです。
エンジニアにはキング・タビーやプリンス・ジャーミー等が、またバッキングではバレット兄弟やロビー・シェイクスピア、アール・チナ・スミスといった面々が名前を連ねており、何とも豪華ですよね。『Brace A Boy』ではディリンジャーがディー・ジェイを披露しています。
ジャケもカッコイイですし、キャッチーで馴染み深いメロディが次々登場する、かなりオススメな作品です。 (Feb 2006)
I Wah Dub
Blackbeard
1980/UK
デニス・ボーヴェルがブラックベアード名義で80年にリリースした『I Wah Dub』は、昔からUKダブの定番として知られる1枚で、スリッツやポップ・グループのプロデュース・ワークと並び称されるデニス屈指の人気作品です。
概して荒っぽさも魅力である本国・ジャマイカのダブに対して、本作は密度や完成度で勝り、今聴けばスタイリッシュさすら感じさせるその佇まいに惹かれます。ジャマイカ産よりも気温にして20度くらい下がった感触があり、やはりお国柄というのは音に出るものなのですね。
基本的にインスト中心で、装飾やコラージュ的なものも含めて音数の多い緻密な作りになっています。その辺りがじっくり聴き込むリスニング派にも支持される所以でしょうか。また、『Steadie』ではハーモニカが、『Blaubart』ではメロディカ、さらに『'Nough』ではピッチを変調させたヴォーカル(エフェクト具合がチープなんですが、そこもまたいい!)がそれぞれフィーチャーされていて、そのどれもが遂にはプレイヤーの手を離れた1素材としてデニスの卓捌きによって調理され、最高の結果へと導かれています。
実験的でありながらキャッチーで、しかもこの当時特有の空気をたっぷり含んだ、紛れもない名盤です。なお、Dry&Heavyがバーニング・スピアなら、Audio Activeは言うまでもなくブラックベアード作品名からの引用。つまり、それだけ日本での人気も高くて、後続に道を作ったと言うことでしょうね。 (Sep 2008)
CB200
Dillinger
1976/JAM
ディリンジャーのソロ2作目は「チャンネル・ワン」が誇る、DeeJayスタイルの重要アルバムとなっています。ルーディな男の代名詞であった70年代のディリンジャー。彼のヒーローにあやかってデニス・アルカポーン“Jr”を名乗ったところ、リー・ペリーに「お前はディリンジャーだ」と言われ、その名がついたという有名なエピソードがありますが、何だか映画の1シーンみたいで妙に惹かれます。
彼の在り方、そしてトースティングは掛け値なしにカッコいい、男の憧れって感じでしょうか。とりわけ本作での彼はヤバイカッコよさです。さらに素晴らしいのが、レヴォルーショナリーズが手腕を発揮しているトラック。僕はリディムに詳しくないですが、現行の国内盤では『CB200』収録作品のリディムが掲載されているので、そっちを掘り下げたい方はぜひご一読を。
もうひとつ重要なのは、この国内盤、何と3rdアルバム『Bionic Dread』が2in1で収録されているんです!これは素晴らしい再発ですね。『Cokone In My Brain』と『Ragnampiza』というキラーな競演が出来てしまうわけです。音もすごく良いですよ。 (Jan 2006)
In The Light+
In The Light Dub
Horace Andy 
1977/JAM
ホレス・アンディ1977年の名盤『In The Light』が、95年に「Blood & Fire」より復刻されました。かなりのレア盤として知られた1枚だけに、多くの賞賛の声が上がりました。しかも、プリンス・ジャミーが手掛けた、同じく名作の『In The Light Dub』もカップリング!文句なしですね。
まずは『In The Light』ですが、噂に違わぬ素晴らしい内容です。ヴォーカルものの決定版と言って過言でないでしょう。重心を低くした安定感のあるトラックにハイトーン・ヴォイスが映えます。今も現役と言えども、やはり当時の声はズバ抜けて魅力的ですね。勿論、例の大きなヴィブラートも楽しめます。
全て名曲ばかりですが、あえてピックアップするなら『Government Land』や『Rome』辺りが特に注目です。フルートのテーマと派手なドラミング(ホースマウスでしょうか)が印象的な『Leave Rasta』や、同じくドラムスがカッコイイ『If I』も気に入っています。冒頭の泣きのギターには少々面食らってしまいましたが、とにかく通して聴けるアルバムなのです。
ジャミーによるダブも最高です。良い意味で聴きやすく、本編に負けず劣らずの出来栄えとなっています。締まりがあって、他ジャンルのリスナーにもアピールするミックスです。 (Jan 2006)
Dance Hall Style
Horace Andy 
1982/US
ホレス・アンディがブルワッキーの元でニューヨーク録音した、「ワッキーズ」のカタログでも一と言って二とは下らない人気作です。
結論から先に申しますが、もう文句なしの逸品です。90年代以降、もっと言えばマッシヴ・アタック以降のシーン及びそのオーディエンスが渇望したこの1枚が、ようやくCD(&ヴァイナル)リイシューされたことを本当に喜びましたし、そのクールな内容に改めて打ちのめされたのでした。元よりホレスのハイトーン・ヴォイスの虜であった身としては、その歌声が、いかにもNYの地下室らしい硬質なトラックとの見事なマッチングを見せてくれる本作は特別な存在となりました。『Money Money』、『Cuss Cuss』、『Spying Glass』といったラインアップも豪華過ぎて鼻血もんです。
ブルワッキーのダブ処理も最高で、しかもショーケース・スタイル!もう一度申しますが、ほんと文句なしです。 (Dec 2007)
Last Train to Skaville
Jackie Mittoo
1965-67/JAM
14歳でスカタライツに参加後、ソウル・ブラザーズ、ソウル・ヴェンダーズ、ソロ作品で名演の数々を残したキーボード奏者、ジャッキー・ミットゥ。スカタライツでの活動直後である1965年〜67年頃のレア音源をたっぷりコンパイルした1枚が「Soul Jazz」からリリースされました。
お馴染みの名作が収録されている点も踏まえて、スカからロック・ステディ期ジャッキーのベスト的役割も果たしていると言えるでしょう。個人的に『James Bond』あたりは苦手ですが、とにかく“使える度”の高い好トラックばかりです。
この時代のスタジオ・ワンや、スカ、ロック・ステディ好きは絶対ストライクなはずです。 (Jan 2006)
Police & Thieves
Junior Murvin
1977/JAM
クラッシュにカヴァーされたことでロック・ファンにもよく知られるレゲエ・クラシック『Police & Thieves』(『ポリスとコソ泥』という邦題も秀逸!)をフィーチャーした傑作アルバムが、同タイトルを冠した本作です。定番過ぎて、かえってコアなファンからは話題に取り上げられないきらいもありますが、リー・ペリーのプロデュース作品の中でもとりわけ完成度に秀でた、紛れもない逸品です。
ジュニア・マーヴィン最大の特徴と言えば、やはりファルセットのみで歌い切る、そのヴォーカル・スタイル。相当に個性的です。ピッチも怪しいもんですが、その辺りをどうこう議論するのも無粋ですね。
そんなマーヴィンのヴォーカルが主役であることはもちろん間違いないのですが、僕らの様なリー・ペリー・ファンはミックスやダブワイズの風合い、それにアレンジの方に耳を傾けてしまいます。ブラック・アーク・スタジオ全盛期に生み出された本作のトラックには、他のプロデューサーやスタジオでは絶対に出せないワン・アンド・オンリーな質感が宿っており(さらに言うなら、他の時代のペリーにも出せない味わいでもあります)、独特のドンシャリ具合やエコー感がクセになります。引き締まっているのに弾力があるんですよね。
件の『Police & Thieves』が名曲なのは言うまでもありませんが、個人的には『Tedious』や『False Teachin'』の方がもっと気に入っています。特に後者は楽曲にもアレンジにも華がありますが、それでもどこか奇怪でドープな印象を残します。これはアルバム全編を通しての特徴でもあり、その奇怪でドープな様が本当にカッコイイわけです。
最後になりましたが、アート・ワークも最高だとしか言いようがありません。このジャケ画が本作の価値をさらに高めていると感じているのは、きっと僕だけではないハズです。 (Nov 2009)
Cloak & Dagger
Lee“Scratch”Perry
& The Upsetters
1973/JAM
リー・ペリー、ダブ初期の名作。
あのトミー・マクックをフィーチャーしたトラックも数曲あって、その中でもずっと長い間ファンなのが冒頭の『Cloak & Dagger』です。これはもう文句なしにカッコイイ作品で、ベース&ドラムの低域の出し方といい、クールなアレンジといい、何回聴いたかわかりません。もちろん他のトラックも粒ぞろいで、ボーナスのインスト『Jungle Lion』なんかも嬉しい収録です。この時代にして、後の超絶ダブへのヒントがそこかしこに転がっています。ですが、まだあっちの世界へイキきっていない(?)分、スマートな印象も残ります。
最近出版された『定本リー“スクラッチ”ペリー』を見たら、あっさり「『Cloak & Dagger』がブラック・アーク録音というのはウソ」なんて書いてありました。これで、時系列的に「?」と感じていた人の疑問も解消されたのではないでしょうか。他にも、今まで意味なんて知らずに聴いていたリー・ペリーものが詳しく解説されており、この手の本としては大変実用的な一冊でしたね。正直、こんな夢みたいな一冊が日本で出るなんて・・・。必読です。
ちなみに写真を見て頂ければおわかりの様に、僕は「トロージャン」盤の現行品を愛聴しています。これは『Black Board Jungle Dub(ちゃんと14曲入りです)』、『Revolution Dub』との夢のコンパイルCD。コチラについても、また改めて紹介いたします。 (Apr 2006)
Kung Fu Meets The Dragon
Lee Perry
(The Mighty Upsetter)
1975/JAM
長年、激レア盤としてファンに知られる存在であった『Kung Fu Meets The Dragon』が、90年代半ばにUKのレーベルにてリイシューされ、現在ではCDで聴くことが出来る様になりました。個人的には、ジャケ画に一目惚れしたことが購入のきっかけとなりましたが(きっとそういう方は多いのではないでしょうか。あまりにもブっとんだカッコよさですよ、コレ!)、音楽的にも面白い傑作だと思います。
基本的にインスト作品である本作ですが、気合の入った(?)「ウッ!ハッ!」の掛け声が印象的な『Kung Fu Man』ではヴォーカルが、また、『Flames Of The Dragon』では唸り&叫びがたっぷりフィーチャーされています。ホーンや、オーガスタス・パブロのメロディカを前面に押し出したトラックがあったり、低音で鳴らされるアナログ・シンセ(何気にカッコイイです)があったり、なかなかバラエティ豊かなんですが、カンフーをテーマに揚げている割には一貫してユルめの作り。まぁ例によって一筋縄でいかないところが最高なワケです。
70年代のペリーが好きな人であれば、ミックスや楽曲も気に入るハズです。リズム隊の音も最高ですよね。 (Aug 2008)
Creation
Lennie Hibbert
1970/JAM
レニー・ヒバートがたった2枚だけ「スタジオ・ワン」に残したアルバムの1枚です。ヒバートは、このジャンルでは珍しいヴィブラフォン奏者。本作及び、本作の続編的な位置づけとなる『More Creation』が名盤として愛されています。
僕が所有しているのはジャマイカ盤のCDで、とにかくCD-R並のお粗末な代物です。音もプリントも悪いし、ジャマイカ産の醍醐味を味わえます(シングル盤とかなら分かるんですが、CDもか〜って感じですよね。そこがイイって人は多いですけど)。しかし、音楽の中身はお粗末なんて決して言わせない、素晴らしいトラックばかりです。インストで綴られる、リゾート気分なロックステディ集。ですが、そこに安住せず、ラテン風、ジャズ・サンバ風、エスニック風、ロック風と次々とアレンジのスタイルを変化させています。しかもどれもがハマっていますよね。また、オルガンはジャッキー・ミットゥで、さすがグルーヴィなプレイを披露しています。
気になるのは、A/B面の並びがCDではテレコになってる点です。ゆるくてイイ感じのロックステディが多い人気のB面(件の『Village Soul』もコチラですし)を推しているのでしょうか。個人的には雑食性の強いA面収録曲に好きな作品が多いんですが、たしかに今のカタチの方がまとまりは良くなっているのかも知れませんね。
土臭さが最高な『Nature Boy』はかなり好きです。『Sweet Loving』はコンピ等のシメで使うと、最強のチル・アウトになると思います。 (Jan 2006)
MW
Likkle Mai
2007/JPN
DRY&HEAVYを脱退し、ソロ・シンガーとして活躍中のリクル・マイ。旦那さんでもあるThe Kとの協力体制のもと、自ら立ち上げたインディ・レーベルからのリリースとなった2ndソロ・アルバムです。
結論から言えば、とても素敵なアルバムです。キャッチーで、ルーツやダンスホールなど広いふり幅のアプローチを見せつつ、あくまでレゲエというスタイルに拘って作られています。森俊也が手掛けたというミックスも的を射ていて、ギミックに走らずにマイのヴォーカルをポップに聴かせることが最優先に置かれていることがわかります。そのほとんどが日本語で占められた歌詞も、いかにも女性らしくシンプルで明快、ポジティヴなものばかり。本作の出来栄えやセールスでレーベルの先行きが占われるだけに、地に足をつけていこうという意思がよく伝わってきます。
実はこれまで、彼女のレコードを聴いたことがありませんでした。もちろん、彼女は有名人ですし、インタビュー記事などでその人柄はそれとなく知っていたのですが、理想を語る「わかりやすさ」が僕には少しピンとこなかったりして、あまり興味を惹かれなかったところもあります(よく知りもしないで、その上ちょっと意地悪なものの見方でごめんなさい)。例えばメディア(ひょっとしたらご本人も)が声高に掲げた「レーベルを立ち上げるという自由と勇気!」みたいな風潮も、ちょっと「?」な部分もありました。僕の周囲でメジャー・デビューした人たちも現状、メジャーで展開していくことのデメリット(もちろん、多大なメリットもある前提なんですが)が増えており、またメジャーのシステム上、なかなか個人が儲からない事を異口同音にとなえて路線変更していましたし、近年だと曽我部恵一さんが、「インディ・レーベルの方がむしろ儲かり得る」ことを実証していることが知られています。何が言いたいのかというと、つまり、確かにレーベル運営は大変なこと(例えばお店の運営が大変なのと同様に)ではありますが、そこを自由と勇気のシンボルにしてしまうと、やや本質を欠くのではないかと、1音楽ファンとして無責任にも思ってしまうのでした。
そんな先入観アリアリの状態で、敢えてリクル・マイの作品を手に取ろうとは思わなかったのですが、ある日事件は起こりました。某レコード屋さんで流れるキュートなロック・ステディに魅了されてしまったワケです。「誰だかわからないけど、日本語だし、楽曲もプロダクションもすごくスキルが高い感じだから名のある人だろうなぁ。もしかして・・・?」。
彼女のピースな歌声は、僕のつまらない先入観など軽く飛び越し、胸に届いてきました。いい声とメロディ、結局それ以上に大事なものなんてないのかも知れません。いまだに歌詞や立ち位置の全てが好きとは言い切れませんが、リクル・マイはそんな奴をも魅了する、懐の深いアーティストであったのです。彼女の目標のひとつとして、本作を新しいファン獲得の足掛かりにしたいそうで、その目論見はこうして、じわじわと達成されていくかも知れません。 (Sep 2007)
Outlaw
LSK
2003/UK
その名もズバリ『LSK』を冠したデビュー・アルバムで世界的規模の大成功を収めたLSKが、満を持してドロップした2ndアルバムです。
ジャケもカッコイイですが、中身もなかなか。スウィートだった前作に自ら区切りをつける、ダンスホール/レゲエ色の濃いタフなサウンドを選択。LSKことリー・スティーヴン・ケニーが、これほど完璧にレゲエをコントロール出来るのも、自らのルーツに自覚的になったからなのでしょう。つまり彼にとってレゲエの選択は必然の流れにあり、小手先のファッションではなかったということなのです。実際、『70's 80's』といったダンスホール色の強い数々の傑作は生い立ちから滲み出たものだ、と彼は語っています。
全曲ストリートに根ざしたサウンドながら、とにかくキャッチー。歌声もさることながら、彼の非凡なメロディ・センスこそLSK人気の根本と言えるでしょう。UKガラージ、UKヒップホップの未来をも予見するサウンド・デザインが、何とも的を射ていますね。 (Jan 2006)
Time Will Tell
Millie
1970/JAM
ブルー・ビート・ガール、ミリー・スモール1970年の作品がリイシューされました。彼女の代名詞である『My Boy Lollipop』は僕にとって特別な作品ではなかったのですが、この1枚をディスク・ユニオンで見かけた時は思わずジャケ買いしました。本当、このジャケ好きです。
嬉しい誤算だったのは、ジャケだけでなく、予想以上に中身もよかったことです。彼女の歌声もなかなかに魅力的なんですが、やはりこの時代のスキンズ色の強いバッキングが最高!脳がとろけ出す極上のオルガンをたっぷり堪能できて大満足でした。
ミリーのヴォーカルまで含めてベスト・トラックと言えそうなのが『My Love And I』。結局このオルガンの刻みには勝てません。また、『Poor Little Willie』のリヴァーブやギターも面白いですし、大袈裟なホーン・セクションが決め手の名曲『Melting Pot』や、まさにキラー・トラックと呼ぶに相応しい『White Boys』も見逃せません。
なお、ボーナス・トラックとして15曲もの作品が追加されています。生粋のミリー・ファンは60年代中心のボーナス・トラックに食いつきそうですが、個人的には本編が断然オススメです。 (Jan 2006)
Ital Corner
Prince Jazzbo
1980/JAM
千枚にも満たないリリースだったという、プリンス・ジャズボ76年のレア盤『Natty Passing Thru'』に若干の変更を加えたリイシュー作品、それがこの『Ital Corner』です。リイシューを手掛けたのはアメリカの「クロックタワー」で、後に本作がDJモノの大傑作にして定番という評価を得る礎を築いた功績は計り知れません。
初っ端からマックス・ロメオの『One Step Forward』を下敷きにした『Ital Corner』で度肝を抜き、その後も人気のネタが目白押し。それらに被せていくジャズボのトースティングはやや無骨ながら、じわじわ効いてくるのが良いんです。そして録音はもちろんブラック・アーク!このスタジオからしか生まれなかった超個性派ドンシャリ・サウンドをふんだんに用いたDJアルバムということでも、貴重な一枚ということが出来るでしょう。 (Apr 2009)
Say Greetings!
Pushim
2000/JPN
大阪での活動で下地を築き、遂にメジャー・デビューを果たす、まさにその瞬間の勢いをコンパイルしたプシンの1stアルバムです。
R&Bディーヴァ・ブームに乗っかって祭り上げられた割には、その実平凡なシンガーがシーンに氾濫する中、彼女たちとは決定的に「実力」で一線を画す存在であったプシン。とにかく歌の力が並大抵でありません。ダンスホールもR&Bもヒップホップも見事に乗りこなし、繊細な表現力も伴ったパワフルな歌声で聴く人を魅了します。さらに驚きなのが、多くの作品で詞も曲もプシン本人が手掛けている点です。詞のみを書く、このタイプのシンガーは腐るほどいますが、楽曲を作り、しかもそのクオリティが非常に高いことは特筆すべきだと思います。
アルバムに先駆けてリリースされた2ndシングル『Greetings!』には本当に驚かされたことを思い出します。当時、僕が携わる番組でこの楽曲をプロモーションする機会があったのですが、音源を受け取るなり「コレはすごい!」と唸ってしまいました。とんでもない歌の上手さに加えて、本人が書いたアッパーな楽曲が抜群に良かったからです。
本アルバムは『Greetings!』だけでなく初期シングル3作品を全て収録し、またスティーリー&クリーヴィーが手掛けるダンスホール『Vibes Up』でジャンボ・マーチとの見事な掛け合いを聴かせてくれるなど、豪華な内容です。
“本物”の新人が登場、それを多くのファンに印象付けた1枚でした。 (Jan 2006)
Tapper Roots
Tapper Zukie
1979/JAM
レゲエとパンクが結びつきを深めていく時代の中で、パティ・スミスとの親交が深かったタッパ・ズーキーは、社会派なトースティングも含めてパンクスのリスナーにも人気があったそう。そんな彼が79年にリリースしたアルバム作品で、代表作のひとつです。
有名なところでは『Oh Lord!』、『Satta』、『Green Bay Murder』といった作品を収録しています。でも個人的に一番ハマったのは『Simpleton Leave Violence』でした。
ディージェイも男っぽくてカッコイイし(僕には言葉の意味は分かりかねますが)、またリディムも粒ぞろいです。やっぱりレヴォルーショナリーズのバッキングは最高ですね。
チャンネル・ワン録音、ミキサーはプリンス・ジャミー。そして何より、この素晴らしいジャケ!・・・完璧な組み合わせです。 (Oct 2006)
The Upsetter
The Upsetters (V.A.)
1969/JAM
トロージャン」より69年にリリースされた編集盤ですが、実質アップセッターズの初アルバムと捉えてよいでしょう。いわゆる第一期アップセッターズによる、ダンス・クラシックスとも言うべきスキンズ・サウンドがたっぷり詰まった最高の1枚です。
『Return of Django』同様に英国のスキンズたちを熱狂させた本作には、『Night Doctor』や『Soulful I』、『Man From MI5』、『Thunderball』といったキラーなインストが収録されているばかりでなく、現行のリイシューCDでは8曲もの素晴らしいボーナスが追加されています。デヴィッド・アイザックスの唄入りトラックなどは当然選ばれていますが、他にも注目したいのがアップセッターズ名義の『Untitled Instrumental』や『Slow Motion Version 2』。なかなかカッコイイこれらのトラック、クレジットで見ると「2003年」の文字。無知で恐縮ですが、録音が新しいのでしょうか・・・?詳しい方に伺いたいところです。
一部内容に『Return of Django』との重複もある中で、やはり本作に軍配があがる要素と言えば、ジャケの素晴らしさに他ならないでしょう。鮮明な緑が生い茂る英国の森というロケーションの魅力が、古くからスクラッチ・フリークたちを夢中にさせてきたワケです。 (Jul 2007)
Return of Django
The Upsetters
1969/JAM
ここ数年のレゲエ/ロックステディのリイシュー・ラッシュは本当に嬉しい限りです。「アップセッター」レーベルの7インチをカタログ化した『Single Collection』と並んで、このジャンルの最高峰だと断言したい『Return of Django』が、リマスターされて登場です。
リー・ペリーは全ジャンルを通しても、ベスト5に入るほど好きなアーティストです。もちろん70年代中盤のブラック・アークものも大好きですが、スキンズ向けだった60年代の彼もどうしようもなく好きです。それは、僕がオルガン・フェチであることも影響していると思います。スキンズは本当にカッコイイですよね。重々しいレゲエだと素直に音楽に陶酔できないことが多くて、好きなジャマイカ(やUK)のレコードは、意外とこの時代のスキンズものやダブやインストに偏ってしまいます。
全作品シングルでいけると思えるほど粒選りな本作にあって、とりわけ『Live Injection』のグリッサンドとスネアのキメには、何度でもやられてしまいます。この度のリイシューで追加された後半のトラックも、裏切りなしの作品揃いでかなりお得です。オルガン・カッティングもありますよ。 (Jan 2006)
Rock A Shacka Vol.2
Voice Of The People
V.A.(Selection by Shin)
2003/JAM
『Drum&Bass Records』の名コンピ、Rock A Shackaシリーズのカタログ2作品目は、かつてプリンス・バスターが運営していたVoice Of The Peopleの音源からセレクトされました。手掛けたのは、何とバスターの来日公演で競演(!)を果たしているデタミネーションズ・足達晋一氏です。
スカのオリジネイターであり、数々の武勇伝で知られるバスターはプロデューサーとしても有能で、さすがに質が高い作品がたくさん残されているのは当たり前ですが、深い愛情を持った人間が抽出したコンピには、説得力とか含蓄があって、また新たな魅力が引き出されるのがいいですね。本作も然り。単純にいい曲ばっかりですし、激レア作品(『Babylon』、すごく好きになりました!)もあり、また、足達氏がトロンボーン奏者ということもあってかドン・ドラモンドには畏敬の念が感じられたりと、様々な形で愛情表現が成されているわけです。買って損しないと思いますよ。 (Jan 2007)


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