いつの時代にも、歴史を塗り替えるとんでもないニュー・カマーの登場が待たれていて、時にそれは、頭打ちになった音楽業界の経済的な活性を意図したレコード会社とメディアの結託によって、度量もないのにシーンの主役に担ぎ出された“張りぼての大型新人”(当人がその気になっているのがまた哀しいのですけれど)の登場などという無理くりな仕立て上げを生み出してしまうワケですが、「今度こそ本物です」の触れ込みの元、2年ほど前に主役に抜擢されたのが、このアークティック・モンキーズでした。デビューに先駆けて、Web上に楽曲が出回って人気に火が点いたり、あるいは1stアルバムが驚異的なスピードで売れていったりと話題に事欠かず、各メディアや幅広い音楽ファンが一斉に注目した存在でもありました。決して天邪鬼なつもりもないのですが、このテの担ぎ上げには辟易していたこともあり、個人的にはすっかり傍観を決め込んでいたのですが、たまたま手にした2ndアルバム『Favourite
Worst Nightmare』が段々と自分の中で大きくなっていき、ついには「しまった、今度ばかりは本当にやる連中だった!」などと改心した次第なのです。
冒頭から畳み掛けるような『Brianstorm』、『Teddy Picker』、『D Is For Dangerous』。いや、ホントカッコイイですね!多くの皆様は1stアルバムの頃に議論されたでしょうから今さら分析するのも照れますが、リフやメロディがリズミックであり、しかも元よりポジションごとのシンクロ感に注意が払われているであろう音作りが奏功し、リズム隊、ギター、ヴォーカルが渾然一体となっているのが素晴らしいですね。それがロックのダイナミズムにも直結し、気持ちよさに繋がっているのだと思います。脈々と受け継がれる2000年代らしいタイトな録音もキマっていて、例えばストロークスあたりが出てきた時のような、一見クラシカルなロック・サウンドを斬新な視点から切り取った感覚を思い出しました。どの楽器も、キモの帯域がしっかりフィーチャーされているところも好みです。
中盤で時折顔を出す音頭みたいなフレーズには「ちょっと、ご勘弁を・・・」なんて思ってしまいましたが、総じてロック然としたカッコイイ音でスピード感たっぷりにドライヴするこの1枚はとても気に入りました。二十歳そこそこの青年らしい柔軟かつ新鮮な解釈と、二十歳そこそこの青年とは思えないプロフェッショナルなスキルとが混在して成り立っている楽曲も実に魅力的で、とっくの昔にティーンエイジャーを卒業してしまった僕らの様な世代にまで響いてくるのです。 (Aug
2008) |