現在、総義歯の臨床では、義歯の高さをある一定の参考基準から計測するという事は行われています。又、最近一部の臨床家で「噛み合せ」が低いということで咬合高径を高くする方法を紹介しているところがあります。
ところが、私自身、口の中にほんの数ミクロン「接触」を変え、数センチ咬合高径を変え体験し、何十人かの歯科医の方々と一緒に『咬合』『噛み合せ』『顎位』について勉強させていただきますと、現在の診断では実におおまかな表現が多く、上下顎の『咬合』の分析にはまだまだ不十分である事に気付きます。
例えば、「スピーの彎曲がきつい」 という表現の場合ですが、たしかに特徴はとらえる歯科業界用語ですが、実におお、おおまかな表現です。正しくは、診断時に、設定した基準平面から各歯牙の位置・高さを変化しながら曲線を描いていますので、各歯牙の位置及び咬頭・隆線・外斜面・内斜面・各斜面の位置も、より詳しく段階を付けて現さなければいけません。(ある程度の数値化可) ) 加えて、対顎の歯列・反対側同顎・反対側対顎のスピーの彎曲は成長期から一緒に生えそろったモノですので統計的にも特徴を捉えて、詳しく段階を付けて現さなければならないはずの用語です。(こちらもある程度の数値化可)
歯列模型をフェイスボウを使用してマウントする時にマニュアルに沿って単に装着していたり、下顎歯列に対して、解剖・生理学から得られた情報を元に正しく設定した基準平面を設定せずに、普段から診断されていますと単調な表現となってしまいます。この先、歯科の自然科学的な診断を行うのであれば使用出来ない用語です。(余談でした)
ここまで、模型分析上での基礎的な19個ほどのチェック項目を見ていただきましたが、「歯列彎曲の判断項目」や、「ファセットの判断項目」、「口腔内に現れる鰓弓由来の特徴を判断する項目」や、「顎偏位の判断項目」 等らの残り29個は省略しております。項目をお知りになりたい方はメールにてご連絡下さい。
(当サイト内リンク 歯科のEBMとNBM も参照されて下さい)
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上述の三木氏や西原氏の研究報告から口腔周辺の諸組織は鰓弓内臓由来という遺伝子的に自律性の働きがある可能性を示唆してくれていますが、実際、歯科臨床模型で、万人を比較できる基準を模型に記入し、歯牙の形態を判別し、歯牙の位置(彎曲)や高さを区別し、これらを数多く観てきますと(統計)、動物らしい「接触」や「顎偏位」による自律性の顎のバランスの保ち方を精細に知る (診断する)事ができます。
さらに、これらの経過を数年掛けて観続けますと(変遷)、機能的に優れた「歯の形態」や「歯並び」、歯牙疾患や歯周疾患の局所的発生要因を精細に知る (診断する)事ができます。
歯科用の口腔内印象模型には、そのような情報が隠れているのです。(2009 6月)
参考文献一覧
・生命形態の自然誌 解剖学論集 三木成夫 うぶすな書院
・生命形態学序説 根原形象とメタモルフォーゼ 三木成夫 うぶすな書院
・海・呼吸・古代形象 生命記録と回想 三木成夫 うぶすな書院
・ヒトのからだ 生命史的考察 三木成夫 うぶすな書院
・人間生命の誕生 三木成夫 築地書館
・呼吸健康術 西原克成 法研
・免疫病は怖くない 西原克成 同朋舎
・究極の免疫力 西原克成 講談社インターナショナル
・免疫 生命の渦 西原克成 哲学書房
・免疫力を高める生活 西原克成 サンマーク出版
・歯はヒトの魂である 西原克成 青灯社
| 現在私は、日頃、臨床ケースも含め、より詳細に『咬合』『噛み合せ』『顎位』の診断が可能になるよう、48個ほど項目を設定し、正常な方各個人の、「接触」「空隙」「咬耗面」や「歯列彎曲の違い」「安静位量の違い」「顎位置量の違い」等 の統計及びその後の変遷(過渡)を分析しています。(30年程掛けて分析する計画です 一緒に協力して下さる方メールにてご連絡下さい) |
(画像クリックしますと拡大いたします)





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分析項目とは、例えば、












参考(ヒトの横顔)
参考(下顎オトガイ部 歯槽性突顎の違い)










日本人の比較的健康体の方でも前歯の突出度合い(突顎)は様々です。この部分は口蓋(こうがい)部の形態とも相関し、下顎も含めた左右幅径や、切歯唇面から犬歯遠心端の幅径などから前歯部の特徴を分類します。
























上顎は、後天的に偏位要素が多く判断が難しい成人以降のものを分析するために、基本的に胎生9週齢(生後約2ヶ月)に左右外側口蓋板が癒合した口蓋縫線相等部を優先して基準を決定し、この部分から歯列の対称性位置を比較するための基準を設定します。 下顎は、成人以降のものはさらに判断しづらいですので、比較的健康体で左右歯列が対称な方を基本にし、さほど偏位をして無い方を優先し、除々に偏位の量が多い方を参考にします。そして上顎と同じく歯列の対称性位置を比較するための基準を設定します。
| 歯槽性突顎の分類と前歯幅径計測 |
| 上下顎左右偏位を比較するための基準と上下顎左右対称性位置比較のための基準 |
| 歯槽骨上の上顎第1小臼歯 第1大臼歯 下顎第1大臼歯の正常な位置確認 |
参考(上顎骨 下顎骨上での考察)
















参考(下顎骨上での考察)

上顎第一小臼歯の位置は上記口蓋部の形態と相関しています、殆どの方は近遠心(前後)で左右対称な方はいませんので、さほど偏位をして無い方で下顎小臼歯との咬合状態から、右側と左側で正常と思われる位置を確認します。上顎第一大臼歯の位置はこの位置と歯牙の咬合面近遠心幅径から確認します。下顎第一大臼歯は上記偏位を比較するための基準と、歯牙の咬合面近遠心幅径から確認します。
(上下顎歯槽骨も左右対称な方はあまりいませんので、基準を設定し矢状面 水平面からも比較いたします)
| 上顎口蓋骨水平板と頬骨下稜の高低差計測 |
口蓋部の深さの違いについての研究は、いまだ確認していませんが、この口蓋部分の最深部分の口蓋骨水平板と左右の頬骨下稜(きょうこつかりょう)は上顎の高さ (高径)を計測する時に参考とする重要な部分です。ここの高低差を計測します。
| 上顎前歯部高径 左右臼歯部高径 下顎前歯部高径 左右臼歯部高径の計測 |
上顎歯列と下顎歯列の左右の違い、前後彎曲の違い(スピーの彎曲)、接触の違い、顎運動での違い を分析する上で、それぞれの高径 (咬合高径)を計測する事は重要な項目です。(守秘項目のため詳細は省略いたします)
| 前歯オーバーバイト量の計測 |
患者さんの口腔内を観察する時、一番最初の目につく項目です。一般的には、この項目で切端咬合 開咬 噛み合せが深い 噛み合せが低い 等判断いたします。
しかし前歯部分だけの判断では無く、上下左右咬合高径の計測 歯列彎曲の特徴分析 模型上に現れる軟組織の情報 等を分類しますと、より詳細な諸性質を知る事が出来ます。






上顎左側臼歯高径
上顎前歯高径
上顎右側臼歯高径
下顎左側臼歯高径
下顎前歯高径
下顎右側臼歯高径










歯科模型分析による統計 変遷
しかし、現在歯科の臨床では、歯の大切さは認識されているようですが、咀嚼器官の一部でしか無いと言う以前からの『咬合』理論のまま、、肝心の臨床家が必要とする『咬合』の精確な統計や変遷(過渡)の資料がありません 。そのため実際の臨床では、「歯の形態」や「歯並び」とはとても呼べない人工物を口腔内に装着したり、診断用・治療用と称して急激な高さの変化を来すスプリントを処置したり、又、現在でも、各個人の『咬合』の高さを精確に計測した資料や移り変わりを精確に比較した資料がほとんど無いにも拘らず、詳細な診断が無いまま、「咬合」の高さや「顎位置」を十分把握しないまま、処置が進められます。
これを言い換えますと、処置終了時には、ほんのわずか「咬合」が高くなっているのか、低くなっているのか、ほんのわずか「顎の位置」が左右に寄っているのか、前後に寄っているのか、もしくは、初診時と比較してほとんど変っていないのか、治療側が十分に把握してない事を意味します。
これは私が日頃、臨床で個人の患者さんの詳細な模型分析 (診断) をしていまして、実に多くの方が、粗雑な人工物や診断によって、とても不自然な「咬合」に変わっている事から気付いたことです。
(こうした要因は何かと考えますと、個性を比較する資料が殆ど存在しない事に加え。治療側が現代歯科診療においての患者さんの主訴である、「一過性の痛み除去」や「審美目的」等にだけ目を向け、上記、鰓弓由来の諸組織と関わりがあると思われる口腔内の構造的生理的組織の研究・分析・診断を疎かにしてきたためと考えられます。)
生命の形態学とメタモルフォーゼ(変身 変態)で知られる三木成夫(みき しげお故人)氏や、口呼吸での疾患作用及び脊椎動物の重力対応進化学で知られる西原克成(にしはら
かつなり)氏によれば、生命の進化学(系統発生学)で脊椎動物であるヒトのことを比較観察しますと、水の中で生きていた魚類の時代から現在の陸に上がり重力作用や酸素濃度21%に対応する比較解剖的には、鰓(えら)の呼吸部位(鰓弓部)や、心臓の血液循環部位など、日頃絶えなく無意識に動いている(自律作用)これらの部位が、現在のわれわれでいう横隔膜から上部の心臓を含む 肺 甲状腺 舌 咀嚼筋 表情筋 嚥下筋(えんげ) 発声筋(声帯) 耳小骨筋 付近の部位に変わった(進化した)とおっしゃっています。
(西原氏は、横隔膜 舌 咀嚼筋 表情筋 嚥下筋 発声筋 耳小骨筋らは鰓腸の内臓平滑筋由来である事を明らかにしています)
このサイトの主題に沿って説明しますと、これはつまり、一般的には心臓 肺 甲状腺らは自律的に動くものとして知られていますが、 表情筋 舌 咀嚼筋 嚥下筋 発声筋 耳小骨筋 らは体の筋肉と同じく (自分の意思の力でも動く)横紋筋由来とされているものが、進化の源を辿ると呼吸や血液の脈拍のような (絶えず淡々と律動的に動く)平滑筋由来だと発表したものです。 (詳しくは下記掲載 各著書をお読み下さい) 特に、私たちの頸(くび)の部分は、水の中で生きていた魚類の時代と比べ、細くくびれ、自由自在に動きますが、この細い部位に上記の 舌(舌骨) 甲状腺 嚥下筋 発声筋らが集約され、この頸(くび)の前半部を含む上に位置する口腔周辺や、後方部の咽頭 喉頭(喉頭蓋) 前方左右周囲部の表情筋 咀嚼筋 等がこの部位にあたります。上下顎周囲の舌や咽頭 喉頭 気道 食道を含む全体が鰓弓内臓由来ということなのです。鰓弓からの由来という事は、これらすべて自律性の遺伝作用があるだろう事を意味します。
(発生・神経生理学等の学問上ではともかく、臨床では未だ十分に解析・応用されていない途上の部位です)
これらは皆、顎関節部も包括して上下顎共々細胞で連動していますので、「歯の形態」及び「歯並び」による「噛み合い」も相関しています。 (構造的方面 神経生理的方面 等すべて、遺伝子を通じ幾世代も受け継がれて来たもの)


オーバーバイト量 1.5mm
オーバーバイト量 4mm