市場取引 と 産地直売 (その2)

市場取引 と 産地直売 (その1) の続きです。

私の言い分を聞かれた 農協、卸売市場の
担当者さんは唖然とされ、反論もありませんでした。

『お前だけなら、好きにやって構わないんだよ。』
そんな雰囲気でした。

私は末端農家でしたから、何ら問題ない。
ですが、このような直接販売(システム)が、他の農家に
拡散することが問題だったみたいです。

先輩農家さんが苦労して築かれた 「システム」が
高度経済成長からバブル期とともに 安定軌道に乗り、
当地域の生産販売体制が 確立されつつありました。

そのシステムに 私のような末端農家も参加させてもらい、
そのおかげで なんとか農業経営が可能になりました。

ですから、既存システムから 逸脱するようなことをすれば、
『掟破り』 と言われるのは 分からなくありません。

ですが、既存システムの中に居る限り、先輩は先輩で、
権益も当然ですが、先輩が優先的に享受されます。

他の農家さんも 声に出されなかっただけで、
私の『考え』と大差なかったのでは? 

今もそう思っています。





私は、ハッキリと声に出して言ってしまいました。
だから、唖然とされたのは 仕方ありません。

暗黙の了解は、暗黙であってこそ 成り立ちます。

暗黙であれば、正式な「改善要求」が提案できませんので、
『既得権益』も ずっと先輩有利で維持継続していきます。


ですが、もしも 他の多くの農家さんが声を出されたら、
そもそも 組合は 一人一票が原則 ですから、
簡単にひっくり返ります。

既得権益を保有される先輩諸氏は、
不都合な部分を お分かりになってましたから、
私のような人間が表面化するのは どうしても
避けたかったのでしょう (多分ですが)。

既存システムから外れたような、新たな仕組みを構築し、
それを 他の農家さんに扇動した"行為"が、

  掟破り

と捉えられ、私は嫌われたと感じました。





それから 数年後、
私が取り組もうとした『市場外取引』による産地直売は、
どこでも見かけるようになりました。

農協直営の産地直売店までがオープンするという
そんな時代になりました。

私が取り組もうとした『市場外取引』を批判されていた
先輩農家さんも、地元のスーパーに 『市場外取引』で
直接出荷されるようになりました。

先輩農家さんが 『市場外取引』されていることは、
ずっと以前から やっていたかのように、まるで
当然のように堂々と、『市場外取引』を始められました。

世の中の流れが変われば、当然ですが、
ご自身も変わらねばなりません。

私の場合、『市場外取引』に取り組む時期が、
数年ほど早かったので、その時点では
変化すべき空気が、まだ漂っていませんでした。

たった それだけの理由で、先輩農家さんは
『市場外取引』を否定されたのではと考えます。

私の考え、意見を聞こうとされず、ただ闇雲に
『市場外取引』を批判されたと思います。

そして、何故か 分かりませんが、
私自身まで 嫌われるようになりました。



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