なぜ 公園からゲートボールが消えたのか
「流行に見るお年寄り今昔物語」
日経ビジネスオンライン 2015年9月29日より引用しました。

最近、ゲートボールしている高齢者を
見かけなくなりました。
1990年代、ゲートボールに興じる高齢者は
歓声を響かせ、ゼッケン姿で楽しそうに
プレーしました。
全国の公園では、どこでもゲートボール
する高齢者の姿を見かけました。
公益財団法人 日本ゲートボール連合は、
「残念なことですが、確かに愛好者は
減っています」といわれます。
ゲートボール連合の統計では、
2014年の加盟団体の会員数は
11万8985人、統計を取り始めた1996年の
会員数は 56万7232人です。
ピーク時の1991年と比べ、
6分の1に減っています。

ゲートボールは日本発祥のスポーツで、
1947年に北海道の鈴木栄治氏が、
ヨーロッパの伝統競技「クロッケー」を
ヒントに考案されました。
太平洋戦争の終結直後、遊び道具のない
子供たちが手軽に遊べるようにという
思いが込められました。
当初、ゲートボールは高齢者向けでなく、
子供のためのスポーツとして生まれました。
1964年の東京オリンピックを契機に、
政府が「国民皆スポーツ」を提唱して
文部省が予算を組み、全国の学校や
自治体にゲートボール道具を寄贈しました。
ですが、ゲートボールを教える体育指導員
(ボランティア)は定年後の高齢者が中心
でしたので、彼らは知人に声をかけて
独自の愛好会を各地で立ち上げました。
それが、全国規模に広がり、高齢者の
スポーツとして 大ブームになりました。

1969年、東京都が70歳以上の医療費の
無料化に乗り出し、全国に拡大しました。
高齢者医療費が無料化になると、なぜか
高齢者は病気を罹ってないのに、日常的に
病院へ集まるようになり、医療費の増加
という深刻な問題を引き起こしました。
各地の自治体は、医療費コストを抑制しようと
高齢者の健康促進手段として、ゲートボール
活用に取り組みました。
そして、ゲートボールは高齢者スポーツの
社会的地位を確立しました。

ですが、健康寿命が男女ともに70歳を超え、
あまり体力を必要としないゲートボールへ
高齢者は移行しなくなりました。
ゴルフやテニスなど、現役時代の趣味を
続ける高齢者が増加し、ゲートボールの
競技人口は減少していきました。
ゲートボールは『高齢者のスポーツ』という
行政側の固定観念がマイナスに作用し、
元気な高齢者から敬遠されました。
また、時代の変化とともに、定年になれば
老人会や自治会に所属してゲートボール
チームに加わることが「自然の流れ」
だったのが、高齢者は 次第に独自の
コミュニティーを持つようになりました。

他にも、高齢者のゲートボール離れの理由
として、ゲートボールの特徴である
「チームプレー」が高齢者から
厭われたといわれます。
ゲートボールは、5人対5人のチーム対抗で
争われ、そのための戦術の違いなどから
チームメート同士で口論になり、人間関係
に ひびが入ることも珍しくありませんでした。
行政側の指導方法が、高齢者は 『こうだろう』
という 一方的な決めつけ、押し付けたことで、
実態とギャップが広がり、高齢者から嫌われ
避けられてしまいました。
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