イースター島の文明崩壊と杉花粉症

ハリマモンドブログ 2014.2.24 より一部転載しました。



「イースター島の文明崩壊」の原因は、
森林の破壊といわれます。

イースター島は、椰子の木が覆い繁る
豊かな森林の島でしたが、古代に
ポリネシアから人々が移住しました。

島の人口が急激に増加し、食糧増産を
せまられ、椰子の森林を伐採して
農地を拡大しました。

ですが、文明そのものが崩壊した
と言われます。

約1000年間、文明が発展しましたが、
人々は自然を大切にする心を捨て去り
巨石の彫刻 『モアイ像』 の偶像崇拝を
信じるようになりました。





大きさが淡路島くらいのイースター島は
最盛期で約1万人が暮らし、約1000体の
モアイ像が作られました。

人口増加とともに食糧増産が必要になり
森林を切り開いて農地拡大した結果、
豊かな森林は破壊されました。

島の表土は流出し、土壌は痩せ細り、
農産物の収穫量が激減し食糧難になり
部族間の戦争が繰り返され、ついに
1000年の文明が崩壊しました。

21世紀の人間社会が直面している
地球規模の人口問題と森林消失に
繋がると言われます。





イースター島の森林崩壊のようなことが
日本でも同じように起きています。

日本国民の約10% 約1300万人が
毎年の春、杉花粉症の被害者になります。

被害人数は年々増加し、近い将来
国民の20%にまで及ぶと予測されます。

私も数十年前は 杉花粉症に悩まされ、
当時は「杉花粉症」という病名すらなく
社会的認知されてませんでした。

鼻風邪と診断され治療を受けました。
突然 クシャミが何回も続き、本当に
鼻風邪と信じてました。

お医者さんも、まだ「杉花粉症」について
あまり ご存知なかったみたいでした。

それから数年後、テレビとか新聞で
「杉花粉症」の記事が掲載され始め
多くの人が詳しく知るようになりました。

ですが、多くの人が花粉症に悩むように
なった頃には、杉花粉症は治ってました。

年齢を重ね、歳を取れば、杉花粉症の
症状は緩和するとお医者さんから
言われました。





発生源は杉花粉ですが、その杉は自然に
生えた杉でなく、人工的に植林された杉木
の花粉が「花粉症」を起こすといわれます。

杉植林事業は、昭和30年代に農林省が
全国各地に推奨し、自然林を伐採して
杉苗を植林してきました。

ですが、日本経済の高度成長とともに
輸入材の価格が安くなり、人工杉林の
間伐作業をする余裕もなくなりました。

杉木を切り出しても、採算に合わない
状況に陥り、国家事業として取り組んだ
杉木植林は間伐作業がされず、
放置されました。

その結果、大量の杉花粉が植林された
杉木から撒き散らされてると言われます。

ですから、杉花粉症は人為的に起きた
『公害病」ではないでしょうか?





山奥で農業されている知人の農家さん
の近辺では、山のてっぺんまで杉木が
植林されています。

そんな山奥の村で、30年くらい前に
治水ダム建設工事がありました。

知人の山林も、一部がダムに水没し
政府に買い上げられました。

そして、水没した山林に植えた杉木
にも補償費が支払われました。

それを 『立ち木補償』というのですが、
算定基準は、植林された年代別に
決められ、杉木の年輪に比例した価格で
補償費が支払われます。

ですが、その時の話を知人から聞いて
笑ってしまいました。





植林された「杉木」は成長するに伴って、
木と木の間隔が狭くなり、放っとけば
太陽光が入らなくなって、杉木は
ひ弱になってしまいます。

立派な杉木を育成するために、一部の
杉木を刈り取る作業が必要になります。

それを 『間伐』と言いますが、間伐する
ことで残された杉木は立派に生育します。

間伐された杉林は、地面にまで太陽光が
射し込み、雑草や低木が育ち、枯れ草や
落ち葉が地面に積もります。

そのおかげで、表土の流出を防止し、
また 枯れ草や落ち葉は腐葉土になり
肥沃な土壌が熟成されます。

間伐作業を施すことで、杉木は立派に育ち
人工杉林も自然に近い森林になります。

ダム工事の『立ち木補償費』に戻りますが、
間伐作業を真面目にされた農家さんの
杉林ほど、単位面積当たりの杉木の
本数は少なく、従って 『立ち木補償費』 も
少ないです。

ですが、間伐作業をしなかった杉林は
杉木が密集していますので、地主さんには
たくさんの 『単位面積当たりの補償費』が
支払われることになりました。





毎年、初春になれば、北海道と沖縄を除いて
全国で1000万人以上が杉花粉症に
悩まされます。

杉花粉症は、杉花粉と自動車排気ガスなど
による複合大気汚染が原因と言われますが、
第一の原因は、杉花粉の大量飛散です。

発生源の杉林は、もとからの自然林でなく、
国家事業として人工植林されたものが
大部分です。

ですが、現在は価格低下で、杉木を切り出す
費用さえ 賄えなくなりました。

その結果、間伐されずに 密集した杉林から
大量の杉花粉が舞うようになりました。

さらに、自然林の多目的な価値をゼロに
してしまい、野生動物の生態系を奪い去り、
自然災害まで起こしています。

ですから、人工的に作られた杉林は
ある意味で、自然破壊では?
と思うのです。

戦前から、杉の植林事業は全国各地で
なされてきましたが、どうして最近になって、
大量の杉花粉が飛散し始めたのか? 

それは、間伐作業が行き届かなくなり、
杉林が荒れ放題になったのが、
主な原因と言われます。

専門家の意見によれば、
密植された杉林は生育環境が悪化し、
絶滅の危機に瀕します。

だから、滅亡する前に花粉を飛ばして
別の場所に子孫を残そうとする
『種の保存の原則』
が働いていると言われます。

間伐などの作業が行き届いた杉林からの
花粉飛散量は、わずかしかない
と言われます。



間伐作業が行き届いた杉林


杉木は肥沃な土地を好みますが、
常緑針葉樹だけが植えられた山林は
栄養源となる落ち葉がありません。

そのため、雨が降るたびに表土が流出し
「森のダム」機能が果されず、鉄砲水
となって土砂崩れを起こします。

自然林の雑木林は、昔は薪(たきぎ)しか
取れない価値のない森林と言われましたが
専門家の研究で、雑木林は自然環境の
保全に なくてはならないという事実が
解ってきました。

雑木林は、雨水を保有する自然ダムの
役割だけでなく、川や海への栄養供給源
として重要な役割を担っています。

人間も含め、地球の動物・植物にとって
『宝の山』と研究者は評価されます。





雑木林の落葉広葉樹の 落ち葉、枯葉は
地面に積もって肥沃な腐葉土を形成し、
低木とか雑草の繁殖を助けます。

植林された杉林の中を歩きますと、
表土が無く、砂利が露出しています。

専門家は、そのような杉林を「緑の砂漠」
と呼んでいます。

雨が降れば、さらに表土が流出し
豪雨になれば 鉄砲水になります。

集中豪雨による土砂崩れのニュースを
見ますが、たいていは植林された
人工杉林が映っています。

戦後に実施された山間地の復興事業の
はずだった杉植林事業の結末は、
自然破壊が残されました。





ですから もう一度、自然な雑木林に
戻すような国策事業を施行すれば
良いのでは? 

大変な事業になりますが・・・

自然でなくなった杉林は、肥沃な土壌は
ありませんから、雑木林を作ろうにも、
自然の営みが阻害され、気の遠くなるような 
『再チャレンジ』になります。

だからこそ、杉植林したのに、その後、
放ったらかし 荒れ放題になり、手入れが
されてない杉林を、元の自然林に戻すのは
国策事業としてやるしかありません。

しばらくの間、金銭的に何の見返りもない
『重労働』だけを強いるのですから・・・

だけど、そのように自然林を取り戻せば、
杉花粉の発生も押さえられますし
自然環境が再生すれば、人間生活にとって
地球にとっても、大きな恵みを与えてくれます。

本来あるべき森林の姿に戻す事業として、
若者の雇用と山間地過疎化対策を
兼ね備えた国家プロジェクトに
すれば良いと思ったのです。





豊かな自然林は、漁業対策にもなります。
森林に自然が戻れば、山の栄養が海に
流れ込み、海産物の海苔、牡蠣の養殖に
好影響をもたらします。

オホーツク海は 豊かな漁場といわれます。

それは、シベリア大陸のアムール川が
オホーツク海へ流れ出て、大量の氷が
作られます。

それが流氷となって、北海道の沿岸まで
やってきます。

春になって流氷が解ければ、氷の中に
溜められたシベリア大陸の多種多様な
ミネラルが解け出して、海に滲み込みます。

そのミネラルでプランクトンが繁殖し、
多くのプランクトンは魚の餌となり、
豊かな漁場になるといわれます。

杉林の雑木林復興事業は、人間生活に
関係ないように見えますが、山と海に
囲まれた日本にとって、
とても重要と思いました。


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