管理者仮保存用 俳句


11月,12月

草が好きなように人が好きとは言えない
誉められた少女の横顔だった
暇な店員の横顔は壷
寝息穏やかな休日の俺という生物
両手の拳は夢の中であったこと

出会ったばかりのふたりには肉まんがぬくもり
ざわめきまだ止まずほうれん草を買う
本日は晴天なりって未明の星空
生きるとは冬の夕日が壁一面
冬は夜はフルフェイスメットの中は

恋人を仏と思えば
仏はAB型で現れた
消え入るどころか午後の月はこれから
蓑虫も初春を迎える
番犬なので吠えてみました一応

せっかちは先に斎場で待つ故人とか
人は全能とも無知ともこれはここんちの表札
酔えば醤油の口があっちむいてほい
靴音近づいて遠のいて寒い家の湯船で
朝焼け長い影が口もきかぬ同僚と

逆コースでは暮れの夕べが光っていた
よその池の氷まで割っている
晦日は一同掃除夫ということで合意

1、2月

夕景柔らかな石油タンクがおっぱい
糞の本人は目を合わせまいとする犬
こちらのお宅の敷石としてもうかれこれ
候補者ポスターには陽と陰半分
踏まれてだんだん角の取れたマンホールですよ

転居決まればしみじみ酒はいつもの酒屋の
終わる時始まった頃を思い出すのはなんでだろ
適量にって適量に生きたことなんてないのに
開店準備は男の視線浴びてゆく尻
シャボン玉ふわり父娘が恋人

この人とは話すこともないからすかあ
翌朝すずめに鬼の豆のご馳走
この命をもっと犬の綱伸び切れば
死は生の側にある
いつまでも続くのは耐え難い何事も

不自由なんて生きてるうちしか味わえないしさ
後向きに歩くように出来てないので前向き
あの日物置の屋根に落ちてから栗の年月
表札がスヌーピーの割りによく吠える
空耳ではなくガス工事の地中から

鳥篭に風を飼ってた
早春を微笑めば入歯の白さ
風見鶏風がくれば飛び立とうとする
ぽっかりあの雲の下のわだかまりもぽっかり
富士とは目出てえ立小便の跡か
手振りよりその眉毛が語る早春


タイ(チェンマイ周辺)


左から二番目の仏がこのままでいいって
風は疲れない飽きたら止むだけ
家族おんなじ笑い方してこっちまでへへ
ひどい夕立の犬なので玄関だけ拝借
玄関だと会話もそれなり気になる犬です

そういえばテーブルの前はいつも空席
そうしてる間にも大枝流れいこうとするものの
びーびー初めに雨上がり伝えるのは私
食うぐらいより用がない雨を聴くより
あてない旅あてない腹が二杯目のそば

すれ違って遠くなってポリ容器のリズムか
あのくさむらの陰で働く声かな
二人のバイクが三人乗せて帰ってきた
何の句読点かよ鶏
どこをどう流れてここにちょろりと水

思いもかけず結婚式でした
裏道のことを忘れていた
裏道で犬が尻尾振っただけの絵です
草の揺れ具合でとかげ
裏庭にメロン忘れたままですよ

子供打つのにおばさん葉っぱじゃ無理
断りもなく足嗅がれ意味もなく認めてくれた
金玉を掻いている
覗いた首が耐え切れず一歩
とんでもない場所から答えたので驚く

音もなく追う「音もない」という字
舟は造りかけ日陰としても応用
夕立の余韻が忘れた頃に雨だれ
ゆえなく行き交う犬と同列で結構
誰を待ってかバイクが錆びていた

美輪明宏ではなくこういう鶏
ラッパーではなく漬物売りの青年
こんな村のはずれのポストの中にも
歩いて結局どこを目指すわけでもない
野の一本道を日傘

すこしがんばってとうがらし私だけ赤くなった
似てはいても何一つ同じじゃない
返事もいちいち振り向かぬ仲が夕暮れ
無駄を省けばお祭りなんてないんだよ
悔恨の置き場がある苦いそして大切な

背中が一人分を炒めてくれてる
いやあお寺の十二支皆さんこっち向いて
コーヒーもお酒もよせば水のような日
いいえ視線の先には何もないですって
もう戻らない踏まれた木の実も


2003.4

掃除中につきバケツの水にも桜
傘の色とりどりに雨上がりの法則
電線があやとりをする春の日の正午は
ふと黙れば空との二人言はじまる
おじぎ草どこでいくさのこと知った

ただ生えてればいいんだと教えてくれた
雨もまたかけがえなく一粒一粒
ひっそりと心の目が開く
終業の顔をまだ明るい空に見せます
運転席に今何か気づいた表情

大人なら何獲ってるか聞くのも趣
生命あるものは皆相応の朝をどうぞ
君の枕でいるのに専心
空を恋しがるのは昔鳥だったから
ほらあの落葉一枚が俺の人生だよ

背を向けても背を照らしてくれる陽
畑って平屋建て
ここをどくわけにいかねえとつっかえ棒の意志
迷うのもまた楽しいらしいので
食べてくれる人のある重そうな袋左右

何十年も働いた足はゆっくりと動く
尻さえよければ区別はしない
祝日は街も休んでるわけだよ
二人っていうのは埋めようとしたりまた穴を空けたり
洗濯機にも事情がありこんな時にぴ-

2003.5.6

春のおっぱいひとつふたつと数える
つつじのことじゃなく水道メーターが見つからない
この国の路傍に咲いたからここが好き
私しばらく濡れてなかった台ふきん
お隣分も掃きますしゃがの花からこちら

屋根より低い鯉のぼりでも元気元気
なんとかなるだろうコンビニ袋提げて帰る
酔えばあの世の入り口さがすあの樹に
連休明けた上手に焼けたしゃけの皮も
朝から鉢巻して日曜はやる気

花壇は風呂なしでして五月雨がシャワー
まあ大抵の時間は救われちゃいないが
太陽が巨大な欺瞞だったら
おにぎりというのは米粒が一粒一粒
陽春のたたずまいは犬の糞にも

つまり酔っ払った地球の中を俺も
お庭は花盛り蝿盛り
ごまかして生きることは腰痛に教わる
休日に眺めるものは熊手とか
下町じゃ社員募集性格のいい方だって

効率悪い仕事もあじさいは気づかぬようで
蝶の降り立つキャベツも偶然
雨の日は小便空へ戻してやる
ひょうたん池って呼んでほしいな水溜りでも
背筋伸ばせば夏はきっかり午後3時の時計

干した水着もひとまず梅雨に濡れ
別に無理する訳でもなくあじさい紫
落としても拾わねえ夜は無責任な奴
ここらの祭りはとっくに色の褪めたポスター
これはこれで考えがあってねじ花

存在とは店先にしまい忘れたたわし
説明はいらない痒い場所がある
尻好きと尻とが並ぶ窓は地下鉄
まっすぐ歩けばぶつかるに決まってる
まったく駄目だった時もここの噴水を見てた

2003.7.8

朝は電線五線譜にして鳥たちの創作活動
怒ってみたところでたった俺ひとつ分
おいら熊蜂働くために生まれてきた
猫売り物になるよ無人販売の棚に寝てると
そっと忍び寄ったビニール袋かよ

蚊に食われてたってやっぱ臍出し
雨も一日働いていた
ベランダ遠く白い腕返るのが女
俺の肩に乗ったらしょうじょう蝿の旅
日本が晴れれば外人さんのハミング

警報機睨んでも踏切上がりませんよ
ようやく空は夏を示す矢印もないのに
モップとしてはどうでも電気の消し忘れとか
湿ったトイレットペーパーです長梅雨

どうってことねえ酔っ払った仏だ
俺の自由は白い裏紙
みんなおんなじみんなちがう
掃除の尻から挨拶されたりして梅雨
見て聞いて知って雲は散ってゆくだけ

歩き回って結局おうちで食べようよって言う
休日屁がまた独り言
独り言じゃなく大きな体の陰にお連れ
園児送りにどれもが産んだ尻
順序変わって尻見られる立場

タイミングによっちゃゴミ下げたまま井戸端
俺ひとり死んで困る世界じゃねえ
おいパパのサンダル履いてないかって夕暮れ
心配してるよもう帰りな

2003.9

見上げてたのは網にかかったボールか太陽
黙ったきりで朝日の蜘蛛で
見上げて見下ろしてなんの障りもない日で
休日外を向いたり背にしてみたり
青い空が好きで青い車を

あの窓は脳神経外科の夜
ここを生きる今は鼻毛抜いている
双子の母の顔はわざわざ見る
夏が行ってしまう遠い鉄塔
手を振られたんじゃなく風にバリの布

電線が揺れているだけ
こう置かれた今日の椅子です
外は雨でガラスの美術館で
散り残った花より電気自転車の家
今朝は君の寝息か虫の音

路地は路地なり水の流れ様
納経の順序は順に尻がふくらむ
見つめてると柿の実笑い出しそう
足音が連れ合い
猫の画家のそばでは丸まる

お花見てる方記念撮影ですよ
散歩の深窓に美人がいたり
尻の形状は裏からの仏
秋晴れの水子観音ずぶ濡れ
いい足ですねえちいちゃんよく歩きますねえ

いずれにしても帰っていく道
影も風に揺れている花
雲は長野か
こぼした醤油は舐めるこういうレベル
馬鹿だと思われるのが嫌なら生きるな

遊んで疲れてそうだ夜に散る花
暑い日をユンボが眠る夜
深くお詫びの尻から携帯
身体で払い合えばいいじゃん
そうそうこの坂外人さんも立ちこぎ

降りそうな朝を転ぶ人や落とす人や
喫煙所の蜂を逃がしている
立ちションの携帯が深刻な話を
風吹けば揺れる枝ごと心ごと
笑った顔じゃなくてまぶしいわけ

ちびちゃん私の荷物は蚊取線香だけ
いっぱい入れば袋はまるうく人もまるうく
でっかい魚がうろこ雲の空
朝の歯磨きにトイレの香りも
真上で夕焼け小焼けの仕事中だけどまだ

突っ立ってますけどモップに用じゃないですから
そうかごぼう食べたんだった
しんどく考えようと思えばいくらでもできます
製材を虫の音とみなして秋

拾って当たり前に食う
柿は落ちるにまかせ御主人奥から出てくる
ふと思い出す同級生は白衣を着ていた
急にひとりぼっちの気がしてごぼうを噛んでる
お経の上の探し物はなんですか蝿

2003.10

この顔が遠く子供の頃から辿ってきた
車両の端へとお顔見せて歩きます
夜は疲れてジーパンだけが新品
この時間の町は新聞配達のもの
頬杖の女は手と顔ばかり

屁をたれながら飯を噛むひとり
人なので人の中で喜ぶ
ねぎはねぎのお好きなように
当店の天ぷらは塩で俺も俺のままで
カップルというのは顔がふたつ並んでいる

待っちゃいないのにお待たせって言うか
一円のお返しでございますって言うか
いい女は娼婦になる
生え際が白髪なのに
女の形だから女なんだな

人はなにより座りたがる
ええと花束に混ぜてねぎ持ってますよね
見知ったばかりにぎやかなのは砂利道
振り向いた女というのは白い顔
気づけば雨を見ていた

髪伸びれば刈りますよね命も
代もかわって昼寝の猫です
切片は治った君の風邪薬の

11月

揉んでくださいねおっぱいですよほら
朝風呂あれは消防車かな
残されてブランコ雨のひとり遊び
ねぎはどうしたってはみだす
のぼった分の坂をおりてきた

猫にとっちゃ間が重要
つっかえ棒に生まれたからにはつっかえますよ俺
休日を眺めれば猫の平日
散り残ってあじさいが見ています秋
うれしく働くこともあり愚痴は余裕の

一応尻は見ておく
やっと来たつまみには醤油をたっぷり
誰も振り向かない秋の風鈴とか
当たり前に生き今日も混沌としていること
己に鑿を当てる

猫の喧嘩に首が窓からあっちから
掃く人いれば木の葉降る
バスが来ないでお月さんが
新郎は借りられてくるものと
つまみはうまい肴と限らず尻

スチュワーデスの傷に幼い日
マンホール覗くようなときはぼうふら
治安ってものがヘルメット大きすぎ
耳垢取れたね母子乞食で
仲良いことでまあいや手錠で

人は人を
穴はあくび
命まるごと生きてますよ小声で
リキシャ引きはうつむいているダッカに来ている
うつむけば足の裏が語りだす

すごい鼻のほじり方だ
妻は充分に肥えさせておりますと
蚊帳がウェディングドレスに見える事情
蝿のお好みは魚市場
蜂の好みはやっぱり砂糖屋

リキシャ引きの視線の先を演じる
靴磨きの目がサンダルの俺
甘いもの屋の顔は甘く煙草屋は
満月だから道の真ん中を
車の荷台さ起きたら現場さ

びっこの犬を追えば排便まで終始
散歩は俺の顔見せ
斧下げて人ごみを歩くな
目が悪いのでチャドル眼鏡
変なのは外人だからという一点

お日様は笑顔に変わるんだな
もちょっと歩きたい位が丁度いい微妙な
文句あっても結局は遂行
そういうあなたの腕に青いバナナ房ごと
からす何故飛ぶのってこの人ごみ

いい形のはげ遠ざかれば一粒
喧嘩ひとつあれば役割分担
女のあくびがあらまだ閉じない
リキシャの上の総年齢で勝負
祈りとは荷台の卵落とさぬようにね

ふいに濡れた手が触れ満月
今は臨終の蚊とお互い
神っていうより人の目じゃん
どうでもいいことで迷う暇のある旅です
お相手にご不満かしらってレモンティーが

銃持ってポーズ決めて印刷ずれてます
女の伸びはおっぱい
ガンダムの話が異国の空耳
どこにいてもここ
ひとまず右手から投げ出してみた

あの猫はどこにいたっけ旅の終わりに
托鉢があんなに太っている
皿を動かしてみるのが肴
身重の蟷螂つぶれなくてよかった
別に理由はないから結果もない

返事待つ間はくしゃみの一部始終
その心誤りと口に出したら誤り

12月

髪一本拾えばそれが今は君
中断したところを言い直してからまた
寒い身体を見渡す
ときどき君のありがたさを忘れて
便利な耳は洗って干した熊ですし

ぐるんと回ってまた元に戻りたいのね
今日も木下さんの気が利かぬ話からね
電車じゃ仕方なく大根をだっこ
かあかあ燃えないごみの日はかあ
ひとまず青首出して世を窺うってわけ

人に倦んだら誰もいない空を
腰が痛いって大人になった気分かな
坊さんじゃなきゃヤクザってどうよ
一番自由なのは心だってこと
君が当たり前にあると思わないこと

リズムな手足じゃなくおしっこ近い
君と会って答えだけが置かれ
晴れ渡った冬は便器の白さ
ベクトルはどこにでも生まれる
腹立てば音立て働いてる仏

死ぬ日は俺の決めることじゃないし
朝は一人が起きて襖引く音
寝るも起きるも日曜の君はペット

1月

月が冴えます三日月の残業
なかなか及ばないものがだから未来が
済んだと思えば始まっていてまた
忘れられ犬が吠えます元日

飛びっきりの善であれよ悪であれ
実は俺ん中の小人はいつも小走り
生きるっていいもんだな死ぬことも
生かし合い殺し合うふたりです

2月

人は理解し合えないようにできてんだから
曇りの日は雲になろう雨の日は雨
世界は夏からはじまったきっと
春近い空の名前は電柱
朝な夕なと屋根にアンテナの至福

祝日ひとり白菜をどうしようかな
話せば消えてしまうよ
かあかあ燃えるごみの日はかあ
夢の女は濡れた青い傘
死ぬからこそ生きているとしか

すれ違い振り向き合った猫と俺で
今日も手ぶらでペンギン

3月

たまたま女とたまたま男で
犬という毎日に雪は夜から
みんなかなっちゃつまらないでしょ
やっと覚えた花の名は何度も
庭のあせびは誰のものでもないあせび

揃って張り付き窓拭き掃除の術
シクラメンの祈り一心
ひとりじゃ余すふたりじゃ足らない
にしんは網の上で納得

煙草の灰で時間をはかるらしい
小春の空巣狙いはどこに

4月

お供のしるしに尻尾を立てて
ひとりだけあっち向いた子さくらさくら
人情とは消費税分おまけ
言葉にできないから正しいこと
酔って歩くといつもこの表札

始まったものは終わるって道理
勝手に生まれちゃ死んでく体だし
こんな日は飛んだ葉書もひとひら
毎日暮らしていますが下手くそ

生まれた場所に咲くだけですもん
振り向いてもチューリップの立てた音じゃない
犬猫とみんな裸足で春の虫も
伝票も春の風に乗って
別に命がすべてじゃないんだから

俺になくても誰か持ってるし
蒲団がよく乾くからお天気
石の蛙なので留守番には不向きで
空腹とは黙り込んだ唇
生きるとはひたすらそこから逃げること

俺のサイズは君以上でも以下でもなく
人とはそれどころじゃない存在
君の破顔は笑わせた俺の
ドの音空はドラえもん色
地位も名誉もエレベーターにひとり
長話に尾を振るよりない夕べ

5月

いかりや長介を全部使い切ってった
裏返せば裏返る手の平で
冷めただけ昼寝の前と後の番茶は
猫と俺のようで俺と猫

酔うってことは夢中になることだから
よかったゴミ間に合ったって表情から今朝
凧揚げの楽しみは凧になること
ふっと気が抜け売り物の麦藁帽子か
やもりはやもりの探し物が天井

なかなかな汚れをこのへんで諦め
見送るに専心背を向けるに専心
やもりと呼ばれ逃げますかやもり
無口な店員の背中に注意力
来てみれば君が水着を買いたがる海

診察室へは足が後から

6月

手足生えて伸びて君になって私のそば
おのおの辻に迎えられている花に
いつまでも生きない体が急ぐ
抱き合う日曜もそろそろ大喜利
永遠は君に添寝の午後五時きっかり

人ごみの視線は乳母車から
美人の落し物拾おうとしたところゴミ
にっこりそこがセンテンスの区切り
ねえ退屈って人が作り出したもの
細い手首を細い手首が十代の恋

不美女で不美男でしあわせ面ばかりで
恋が生まれたとしてもそば屋なのですする音
満員電車の女は頬骨
拾った傘がちゃんと開く夜影が
目にごみが入った奥様を演じてるとこ

完全な球形は接する線と点の方が尻
空の境界はゴミ回収車の青
順序としては夜の次に朝
酔えばちらちら風の一ページ目
空腹は台風一過の空が喰いたい

堅物のあなたの個性はぴくり鼻穴
個性はまっすぐ押せないハンコです私
色と形によって黒猫
市場だからトマトのことで叱っている
俺の代わりに豆苗伸びていくし

よくもまあ起きればまたこの体
全部定まってることなので楽
台風によく濡れた少女ですよ見てね
酔ってく過程を扇風機回る

7月

ひとりはトイレの匂いを連れて人中
団扇さばきの屋台が舞台さ
降られて濡れて乾いて木阿弥
濡れてしぼってまた着て木阿弥
酔えば少女のおっぱいは二個

猫の生きる道沿いを
休暇って足を掻いていること
退屈はこの海遠く見えている島
ほぼ寝ている日常は犬だった頃
点きづらいライターが島の一件

ついでに足を掻く
男は足をパタパタさせている俺
面白くもない顔で面白い魚ぶら下げ
満ち足りた中に不足をさがすもので
島に終わりも始まりもなく鐘は錆び

寄り添う心は犬の頭か
舟が出て洗濯物がくるうり旋回
ああ泣いているんじゃなく浜の歌声
白人のゴム跳びじゃなくもやってある綱
パンツから脱ぎ海へ子供は

たまたまその姿勢のまま砂浜
おまえを見てると人じゃないので犬
ねえ空全部は見渡せないようにできてる

8月

顔が見ていた
茄子の心も冷蔵庫の中
ビデオ見たり妻を見ていたりして酔って
犬なんだけど人
卵割れちゃったのもヒトラーのせいだと

靴屋が薬屋になっていまして夏の旗
ふと私が消えたとしても夏のベランダ
うなづく頭が地球です
今朝街に着いた自転車が八月
初めての街を台風として暴れ

9月

今日の掃除係は鼻歌つき
トイレの男は愚痴つき
女は女の形をたまねぎはたまねぎ
いなごを食べている世界を
焦ることない叩く腰はある

下半身のような顔でどっかり
秋ですよ秋って風鈴の早鐘
トイレに急ぐ二人は俺も入れて三人
愛情は悪口にもさん付け
おっぱい揉みたい君の心と

誰もいない神社で誰か笑った
へこんだ車も走ってるしお天気だし
ねえねえねえって初秋の風が口づけ
それでその中に俺の人生いっこ
みんな木漏れ日の下の風景

これから始まる気分は缶蹴りの缶
一家の缶蹴りが本日の出し物
子宝にしては父母の熱中の背を見
こうして陽を落としていくのは僕ら
過ぎてゆくありがたくも悲しくも

お下がりの三輪車がワイルドな俺
夜の景色は惜しげもなく朝
公園の痒がってるあたりには蚊
どうぞ煙草挟んだ手がこちらへ
喫煙者いて公園に一本突き出る

10月

土曜日だからパパがバスまで
虹を見上げに来た訳じゃないけど
妻の調理姿はおでこ
楽器練習のときは背中

釣る人それを見る人を撮る人
久々の客にもホットドッグ早業
サックス吹きが絵の中でもひとり
女の興味に男は背を向けている席
ふと妻似の手を引いている男

裁断していいところだけ追想
ミシシシッピじゃシがひとつ多い独言
笑ってるんじゃなくまぶしい顔を並べ
風ばかりの街が一羽を空へ
草に風に選挙とは関係ない

銅像だから後姿もサッチモ
かばでいられていいなあ
時報は夕立のはじまり

11月

ボール上がって落ちてくる子供たちの約束
背後の客には背中が俺
約束は裏切らなかっただけ
挨拶はまぶしい顔するだけ
冬の底まで白く洗うバケツを

夕日は秋の駅のことが好き
そんな俺にヘラクレスが殴る格好
足の裏洗うときにはフラミンゴ
独言は雲が継いで流れて
一日を生き熱い掌

12月

ひとはひとりひとつ

2005

1月

候補者で自分の旗は自分で
昔ばあちゃんを競い合った男の話だよ
こんなに静かに降る雪が私
脇役の声されてたので主役を失敬
美人乗っけた胴体です

後姿は母娘で年を経てきた
酒席のどうせ忘れる話が詳しい
雪の警備員が案山子
俺の前じゃいつだって食われているかつお
六本の足は女子高生と北風


2月

こうしてると楽なので倒れたアンテナのまま
まったくいつもそこだけが交番
そうそうまた何度でも蕾から始まる
順序とかバランスってもんは肴と酒
爪が

嘘だろうって知ってて頷く
殺すも生かすも包丁
ふたつの生き物になって寝ている

3月

風邪のマスクに閉じ込めた言葉や
花屋には花花には花屋
バス停には私が必要
ズボン片足で干してあってわお
駆け出す力がない分恋は

家路の窓にはズボンから脱ぐ人
白梅ってこんな夕暮れの祈り
クレーン早春の空から垂直
絵本を膝に居眠りして何処へ

出社の女の駆けては抜かれ
用のある灯を集め夜景と
このアイデアに小型車がウインク
車窓に写した人は幻

4月

(サムイ島)

景色は女の肌を中心に
犬も時代の流れをまた眠る
多少は無理して死んで生まれて
神だと思えばそこにも犬
私の命は波音ずっと途切れず

波にまぎれて俺の名を呼んだか
自慢しながら笑いながら背中掻きながら
ぜえんぶ知ってるのよって海の言葉
なあんかずるいこと生きていること
蟹になったら海を眺める

旅では猫にコネ
怒らせても怒ってもお二人
その件については籠の動かぬインコに
浜百合の背中を合わせなんて広い
波際に立小便を見るとも見ぬとも

黙って撫でて撫でられていて
黙って眠り眠らせていて
誰もなくても浜辺の椅子は
地球くるりとひっくり返るかもねすぐ
まあまあ本はおかずですから

例えば私の初恋も海のどこか
お風呂みたいに海に入るのよ恋は
猫とは何も約束してないんだけど
巨大な影にしてから女が消える
酔っ払いはここです

あなたに殺された男が女が夜の海へ
腹ぼての猫と蜜月
犬は夕べの尻尾振る具合
旅人伸びたらアフロだよって笑った
椰子の葉の風を例えて

決まりを作れば間違いもあるさ
並んで歩きたいのがんばって歩くの
ちいさな分ふたりには大切な
孤独は猫との関係論
怒った顔好きなんで俺トーテンポールの猿

眠っても眠っても海の果てることも
語り合えば海と胡坐で
意外なことなど何もない
影に君が寄り添えば旅も終章
夜のブランコでリズム取ってるひとり

暇には往復って表現
床屋ですって中央に一脚
床屋との関係は今のところうなじ
重い瞼が知らぬ間に豚は丸焼き
大きさの表現としては尻

(以上)

うつむく一人も笑っているよ満開
持ち場持ち場を咲くや散るや
お返事しようにも今はシクラメンだし
君は全部捨てるところがない
キューブの謎はルービック雨ざらしで

台車そっと現れるそんな朝を
背もたれないので後姿でコーヒー
バスの熱心は鼻毛抜いている
煙草探すとほらねパントマイム
遠足のお隣はねインドの子の掌

5月

否応もなく止んでそしてまた降って
この朝誰にもそれぞれの朝
しかしだけが声になった独白の

6月

だけど肩は濡れていて猫背
洗濯済んだのは夢の中でバスで
コーヒーも不安も朝の恍惚
こうして日常がおでこを掻く

7月

選挙は大きくても届かぬ言葉
眠るのはただ
そこまで立派に説明して自分のためかよ
君の鼾も俺あってのことなら

上手に頷いて恋人になろうとして
未明の気配は電気釜の約束

8月

雀ったら自分の名前も知らないで
この海の果てには私の後頭部
廃屋には花咲く
骨格は八月の父の背

死ぬこと生きることなんでも慣れだし
ああエレベーターは君を待っていた
そしてだみ声のまま遠のいていく

9月

女が並ぶと比較の問題
いいえ世界が私を生きてる

10月

生きているのは自然なことよ風になびいて
濡れてダンボール人に踏まれるもよし
死ぬわけないのね草になるだけ
整った頭頂は丁寧なお礼
ねぎの気持ちはね緑色に白

12月

連帯っていうのはねみんな寒い日
醜く生まれるつもりも美しく生まれるつもりもなかった

2006

1月

刺し込まれ抜かれロビーの鍵穴として
夫婦同じ方向を向いてそして何処へ

3月

得しに生まれて来たと考える

4月

産まれてきたのはまっさらな俺
産まれてきて八十年分の得
ひとり飲みの歌にはひとり飲みの耳
はつの好きな酒飲みでよかった
ふと未来に尻を向けてる気がして

それは途方もない夢だろうか
誰のものでもない風だよ僕たち

6月

それでも産まれてきてよかったんだよ
さあどの嘘を信じようかな
ここにこうしてることだけが真実
愛されて始まり疎まれて終わることも
すみれだったかもね人間だったかも

口下手な理容師が好きだよねうちら
一生は多分雨の一粒
女はかたち
男っていうことは女にとっての
蝶になって逃れたくて捕まりたくて

7月

大雑把だよね神も俺も
形状は人にそうされたまま
嫌いな奴とだけ気が合う
そうそう時には口ごもりながら
脱ぐ時が女着る時が女

8月

御精算は最期の日で
生きたかったわけじゃない死にたかったわけでも
夏はりすの背じゃなかったたわし
夏の終わりをとんぼ追い抜いてった

10月

一日黙った結論として夕焼け
朝顔の夢はね学校のフェンスほど
ずっと借りて住む方針は命もとより
俺だってそんな覚悟ない奴の一人
そして小雨の夜を遠く見えなくなった

11月

善意というか裏返ったかまきりを起こす
後姿は朝まら洗いに入念
書き心地では11月
ほら今来ていなくなったのが音
年月は居眠りしてて行き過ぎたような

自分だけ特別と思わぬようになれるか
死なない体が生きろと言う
言いよどんでる人のほうがいいな
また一から始めたけど俺のまんま

07年

1月

本が読んでいるのは私
見上げる女は空か遠い性の記憶
知人が死ぬとまたひとつほっとする一面
死んで本当に良かったと言われる生を送った
今朝も本年も男も女も

2月

たかが人生のことで
大抵のことはほったらかしになってる

3月

捨てられた軍手にも夢はあった
終わりが始まり
心の持ちようもけぶる満月

立場上そう言うしかないんです言葉は
沈丁花は沈丁花に専念
死ぬまでパンダ
空はいつも見上げる
バスは眉で運転

4月

草木とは言葉もいらない
どうせ伸びるので適当に剃る

5月

どこが中心ってこともなく木
今はちゃんと生きてるってまた調子に乗って
元に戻らぬことばかりなので進むだけ
出しても出しても財布の小銭は
どおりでお前が最初に辿りついた精子

6月

降るか止むかが雨の選択肢
そう川が下流へ流れるようになるべく
世の中金じゃないよねってどくだみの花
俺を俺のまんま放り出して後は知らねえ
空き部屋にも陽は昇り陽は沈み
鼻紙の願いはたったひとつ

9月

覗いてた目はかくれんぼの夏
伸び伸びとへちまのようにだらあんと
なあちょっとは休めよって雨の言葉
能率なんていうけど雨宿り
絶対降るぜって困り顔かやる気

どこもよい道寄り道よちよち
手を出せば手を取る
たまたま人でたまたま俺
鳴き尽くし死んだらあとはくだけるだけ

10月

開けばもう踏み切りのことは忘れ
吹くから風降るから雨

11月

判子は凸に浮かんだ俺の名
遅々としか進まないが進む遅々として
枝から枝が伸びて人から人
落ち葉舞うからって秋空に傘
二人会えた偶然に頼って

12月

落葉掃いて俯いていて警官で
寒さにゃ行列が一番とばかり
気楽だけどちょっとさびしいけど蛾だけど

08年

1月

何を思って生きたか死んだか煮付けられたか
善と悪の数はいっしょ
こんな終わり方も地下道に落葉
同級生は火事で両親を亡くした子だった秋の空

5月

生まれつきを生きて欲しいと願う
命はつの字で死んでいるみみず
ものとして役割としてごみ箱として
あの情熱も今は裏紙に
間違って教えた道も二度と会わぬ人

8月

課長背中にとんぼが
しゃぼん玉の中から縁側の親子
終点そのまま起点
尻はゴキブリと対峙する妻
答えはいつでも単純化

納車の帰りは歩きで手ぶらで汗かいて
海の砂の一粒がお昼寝の足

09年

1月

点いて消えて灯消えて点いて消えて
タバスコがないのでラー油
今朝もお隣まだエンジンかからず師走
寝ぼけて掴んだ目覚ましじゃなく積木
ただこの生活だけが大事