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『平成三十年』に描かれた近未来の日本社会の
概要と、物語のあらすじをまとめてみました。




● 主な登場人物                                         
   
木下 和夫 (43)
 

1974年生まれの団塊ジュニア 産業情報省勤務 
1997年郵政省入省

木下 平美 (40)
 

和夫の妻 和夫が勤務する役所の先輩の娘 女子大卒業後商社勤務、出産を機に退社し専業主婦

木下 成子 (17)
 

木下夫妻の一人娘 2000年生まれの団塊サード

織田 信介 (52)
 

産業情報大臣 父の興した建設業を継がずにIT業界に身を投じて
成功した後、衆議院議員に転身

波多 初芽 (34)
 

産業情報省勤務 2005年入省 東京大学経済学部を総代で卒業  
霞ヶ関を代表する女性官僚

明智 三郎 (57)
 

産業情報省通商局次長 大臣秘書官の経験もあり博識能弁だが、出世コースを外れている

三好 慶三   .
 

総理大臣 旧来的な勢力、手法、発想によって総理の座を獲得

足川 義明   .
 

外相経験のある与党所属衆議院議員 父の元首相が急死した跡を
継いで政治家になる 無政策無能との批判もあるが、ルックスの良さとクリーンなイメージで世間受けが良い

               

『平成三十年』は官僚機構に属する木下和夫の視点を通して物語が進行する。舞台は平成29年から30年にかけての日本。木下が勤務する産業情報省は、今世紀初頭の第二次中央省庁再編により、総務省の情報通信部局と経済産業省が合併して誕生。その産業情報省の大臣が織田信介(のぶすけ)。豊富な資金力と無党派層の支持をバックに改革派勢力を着々と拡げ、反主流派でありながら大臣ポストをつかんだ男だ。やがて織田大臣は官僚機構の慣例を破って自由化志向の官僚グループを抜擢する。そして平成三十年、機を捉えて新党を結成、総選挙で大勝し、本格的な改革政権が登場するのだが...。




● 資源危機とインフレ                                    

石油コンビナート 、油井

中国の原油輸入急増に伴い、世界の原油の中東依存度が異常に高まる。堺屋氏は平成20年までに世界的な資源危機に火がつくと予測する。その結果、エネルギー、希少金属、食糧の国際価格が急騰し、世界的なインフレに見舞われる。

日本を除くアジア諸国、欧米は資源危機を乗り越え、持続的な経済成長を取り戻すが、日本のスタグフレーション
(経済縮小とインフレの同時進行)は平成三十年になっても収束しない。

 




● 平成29〜30年(2017〜2018年)の社会状況                             

経済













為替レートは、1ドル230円台。政府内では300円まで円安に誘導すべきだという意見もある。円安で輸出産業を保護しようという目的のようだ。平均物価は20年前の約3倍に上昇、特にガソリン価格の高騰は顕著でリッター千円もする。

資源危機に端を発するインフレは当初は日本の財政と金融機関を救った。名目GDPが大幅に伸びたため、国債残高の比率は相対的に縮小し、金融機関が抱えていた不良債権も解消してしまったのだ。ところがこれを機に、財政赤字を容認するムードが強まってしまう。平成30年の名目GDPは1300兆円に膨張しているが、国債残高は2000兆円近くにまで達している。

このため、国民負担率(税+社会保障費の負担割合)も上昇。平均的な給与所得者の場合、給料の14%が年金保険料、20%が所得税、6%が地方税として天引きされている。また、消費税率は12%だが、これを20%に引き上げようという議論がなされている。

政治


20世紀末の政治改革で採り入れられた小選挙区制は、新人の参入を一層困難にした。300の小選挙区の半分以上が有力議員の指定席となっている。与党は絶対多数を維持し続け、野党は政権奪取の意欲もない。与野党ともに組織票の獲得に終始し、国民の政治に対する関心は低下している。          




● バーチャル・ガバメント                                    

数人の若手官僚が集まり、全く新しい政府の姿を自由な発想で構築しようという遊びの会が生まれる。この仮想政府の構想はネット上に公開され、人気サイトになっている。特に若い世代の支持が目立つらしい。のちに織田大臣がまとめる改革試案にも採用される。 このように、決して多数ではないものの、官僚機構の中にも改革を求める勢力が出現するという筋書きになっている。

 



国家意思決定機関
国会
内閣  閣議
予算統制局
世界政策局
有事対策局

 

行政支援機構
予算執行庁
徴税庁
情報庁
広報委員会
公正委員会
夢創り委員会


行政執行機関
衣食省
  食品局・衣料局・買物局・調理局・保存局・再生廃棄局・支援部
耐久財省
  AV局・通信局・家具局・家電局・楽しみ用品局・支援部
居住街並省
  敷地局・ライフライン局・建築局・改装取潰し局・道路局・支援部
通勤職場省
  通勤局・オフィススタジオ局・工場局・商店局・自営局・野外職場局・支援部
情報娯楽省
  映像音楽局・スポーツ演劇局・移動局・図書局・ニュース局・エレクトロレジャー局・旅行宿泊局・アウトドアライフ局・支援部
学習訓練省
  幼児局・生徒局・学生局・研究者局・社会人局・技能習得局・支援部
養生長寿省
  養生局・通院救急局・入院局・健康増進局・長寿局・料金保険局・支援部
貯蓄・金融省
  貯金局・投資局・信託保険局・不動産局・ローン局・支援部
安全省
  国土防衛局・海外安全局・備蓄局・防災局・防犯局・消防局・輸入経路局・物価安定局・支援部
                        (参考資料 : 文藝春秋 97年12月号 堺屋太一氏寄稿記事)


このような消費者の立場に基づいた行政機構の見取り図を眺めると、 
どこかの大手サイトのポータル(玄関)を見ているような気分になります。 


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